kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

戦火の馬

2012年03月09日 | 洋画(普通、まあまあ、及第点)
日時:3月7日
映画館:八丁座
パンフレット:A4横版700円。ページ数も多く充実の内容。

タイトルの通り、南北戦争中、南軍の金塊を運ぶ馬車隊を描く・・・って、まだマカロニ大会から抜けきっていませんな。(笑)

第一次大戦を背景に一頭の馬の数奇な運命と人との友情を描いた、スピルバーグの映画だが、非の打ち所のない完全無欠の作品。

イギリスの田舎で生まれた馬のジョーイは、やがて徴用されフランスの戦場へ送られる。激戦の後、ドイツ軍に捕獲され軍馬としてコキ使われ、またその後・・・と流転の運命をたどる。

ミスターエド(古いっ!!)じゃないから言葉を話せない馬に、感情たっぷりに演技させる演出。馬の心の声まで聞こえてきそう。

そのジョーイに関わる青年、イギリス軍将校、ドイツ兵、フランス人少女と祖父・・・と多くの人間が関わるが、元々名馬の血筋を引くらしく、誰しもがジョーイの魅力に惹かれ、なんとか過酷な境遇から救ってやろうとする。

この辺は第一次大戦だからできる話で、第二次大戦下で敵味方を行き来するバイクの話なんて無理ですね。(「鬼戦車T-34」なんて映画もありますが。)

人間側にもそれぞれに物語が用意され、各々の運命に直面する。各エピソードはそれぞれに深みのある話だが、過度に感情移入することなく、少し距離を置いて描かれる。この距離感が程良くて、ちょうどいい。(ただ、ドイツ人もフランス人も英語を話すのは興ざめ。)

ストーリー展開も全体にダレることなく、それでいて緩急の付け方の巧みさには感服させられてしまう。スピルバーグは本当に映画作りを隅から隅まで理解しているんだなと実感。

画面の作りも美しく、オープニングのイギリスの田園からフランスの戦場、塹壕戦と完璧なまでの絵作り。ワタシ的には言うまでもなく、塹壕のディテールとか鉄条網とかマークI戦車に感動するのですが。(「エンジェルウォーズ」に見習ってほしいところ。)

もう、「どうぞ」と熨斗付きで渡されたかのようなオチも分かりきっているとはいえ、予定調和に涙せずにはいられない。

ただ、あまりにもきれいに整いすぎて、アドレナリンが放出されない。実際の人間もそうだけど、パーフェクトな人より少し個性的でどこかクセがあった方が好きになれるんだよな。

今年の年末「年間ベスト映画は何ですか?」という質問に「戦火の馬」と答える映画ファンは、たぶん話が合わないと思う。(笑)






題名:戦火の馬
原題:War Horse
監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:馬、ジェレミー・アーヴァイン、エミリー・ワトソン


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