kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

ベルファスト

2022年04月03日 | ★★★★★
日時:4月2日
映画館:バルト11



アカデミー賞の複数タイトルにノミネートされたケネス・ブラナーの自伝的映画。

一言で言うと「沁みる」

1969年、カソリックとプロテスタントが対立するアイルランドのベルファストで育つ少年バディ。大好きな家族やおじいちゃん、おばあちゃんと毎日を過ごし、学校ではかわいくて頭のいい女の子が好きな普通の男の子の生活がモノクロ映像で描かれる。

だが、北アイルランド紛争はエスカレートし、バディの周辺も穏やかでなくなってくる。(エスカレートする紛争を描いた映画が「ベルファスト71」)

1969年というとワタシの生まれた年だが、世代的にはバディと近い。映像が基本、モノクロというのも見ていて気持ちがいい。普段の生活感とか劇中登場するテレビ番組、映画にも当然親しみを覚える。テレビでは「宇宙大作戦」、映画館では「恐竜100万年」「チキチキバンバン」「リバティバランスを撃った男」と王道のセレクションなのだが、モノクロの劇中、カラー映画はカラーで登場する。単に色だけじゃなく、少年時代、新しい映画を観たとき感じる輝くようなワクワク感がものすごくいい。

バディの父親は大工でロンドンに出稼ぎに行っており、収入はちょっと苦しい。母親はバディとお兄ちゃん兄弟の子育てに奮闘している。映画ではバディの目線だけでなく、両親の生活もキチンと描いており、ブラナー監督の両親に対する感謝とか愛情も表現されている。逆に親目線で見るとウチの子にもこういった時代があったことをしみじみと懐かしんだり、もっと一緒に遊べばよかったとも思ったりする。

じいちゃん、ばあちゃんを演じるのはキアラン・ハインズとジュディ・デンチ。工作員とか諜報員をコントロールしそうな重厚な顔ぶれだが、ここではバディにいろいろ教えてくれ、話し相手になってくれる。ワタシもおじいちゃん、おばあちゃんが近くに住んでいたなあ・・・。

だが、紛争の激化にともない家族の身も安全とは言えなくなり、一家は転居も考えざる得なくなる。当事者目線で描かれる紛争の様子はアルフォンソ・キュアロンの「ROMA/ローマ」にも通じるものがあり、なかなかヒリヒリとした緊張感が漂う。
そんな中、家族みんなが巻き込まれる事件が発生し、実質、その場面が映画の見せ場となるのだが、これが西部劇の古典に家族愛を重ね合わせて、自然と涙があふれてくる。

やがて、家族にも転機が訪れ、バディ少年も成長する。

背景に北アイルランド紛争があるとは言え、親子3代の1つ1つのエピソードに親近感を覚え、映画を観終わった時より映画館を出た後の方がじんわりと泣ける映画。

ところで、舞台設定的にサラディン装甲車やサラセン装甲車、ランドローバーが見えたりするのがとても気になるねえ(笑)






題名:ベルファスト
原題:BELFAST
監督:ケネス・ブラナー
出演:ジュード・ヒル、カトリーナ・バルフマー、ジェイミー・ドーマン、キアラン・ハインズ、ジュディ・デンチ

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