kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

ホース・ソルジャー

2018年05月16日 | ★★★★★
9.11テロ直後、アメリカはアフガニスタンのアルカイダ壊滅のため、グリーンベレーの1チームを現地に派遣し、アルカイダと対立するタリバンの北部連盟と共同戦線を張ることにする。

邦題とパブだけだとアクション映画っぽく見えるが、同じブラッカイマー製作による「ブラックホーク・ダウン」にも通じる実録戦争映画。

顔なじみなのはクリス・ヘムズワースとマイケル・シャノン、マイケル・ペーニャだけで、あとはあまり馴染みのない地味な顔ぶれ。まあ、知っていたとしても「ブラックホーク・ダウン」同様、みんな顔が汚れまくって誰が誰かわからなくなるのだが。
あと、現地司令官としてウィリアム・フィクトナーが出ているが、「ブラックホーク・ダウン」の時から出世して、いまや階級は大佐(笑)

ハリウッド映画とは言え、脚本は戦史再現ドキュメンタリーのような作りで、個々の戦闘と作戦の全体像が俯瞰できる丁寧な出来。とは言え、それはミリタリー好きだからそう思うので、人間ドラマの方は印象が薄い。一応、クリス・ヘムズワースの隊長と北部連盟側の将軍との対立や交流も描かれるが、彼らの人間性より双方の政治的思惑の方が面白かったりする。

作戦描写は非常に分かりやすくて面白い。偵察をし、空爆をして、弾着観測をし、側面攻撃を仕掛け、補給路を絶ち、拠点を制圧するという軍事プロセスを余すところなく見せてくれる。
戦況を分かりやすくするために、司令部への報告や通信、テロップなどを効果的に使っているが、北部連盟が使う地図の地名表記が堂々たる英語だったのは噴飯モノ。

ディテールも細かく、何年も現地滞在しているCIAの現地工作員とか、移動手段の馬やラバとか、通信用携帯アンテナを命がけで確保するとか、グリーンベレーの一人が椎間板ヘルニアで苦しむとか、もうどうでもいいけど印象的な描写が盛りだくさん。
(移動手段の馬が邦題と原作小説のタイトルの所以となっている。)

敵もT-72戦車とかBMPとかBM−21とかがワンサカでてきて、共産主義のアカの露助の無神論者の旧ソ連兵器が大好きなワタシは大満足。

一方、対抗兵器のない敵に対して、B-52から強力な誘導爆弾を叩き込む様など、戦術として正しくても人道的には受け入れられないが。

荒野好きなワタシの感性にビンビンくる砂漠のロケ地はどこかと思ったら、これが何とニューメキシコ。エンドクレジットに出てくるヴィジュアル・エフェクト系会社の羅列を見ると、画面にはかなり手が入っているのだろう。
そう思うと、共産主義のアカの露助の無神論者の旧ソ連兵器の多くはCG描き起こしかも知れない。そうだとしたら、ちょっと残念。

この作戦は長らく機密扱いだったらしいが、確かに軍事介入して現地の内戦を煽っている訳だからオープンにできるはずもない。ベトナム戦争時代の「軍事顧問団」そのものでイメージも良くないだろうし。

ところで、アフガニスタンを舞台にした戦争映画は昔から面白いものが多い。
「王になろうとした男」しかり「レッドストーム/アフガン侵攻」しかり。劇中でも述べられるが、いかなる帝国でも支配できなかったアフガニスタンで、強国が痛い目に会う様が破滅指向のワタシにピッタリなのだろう。(笑)






題名:ホース・ソルジャー
原題:12 STRONG
監督:ニコライ・フルシ−
出演:クリス・ヘムズワース、マイケル・シャノン、マイケル・ペーニャ


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