kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

ベルファスト71

2015年09月28日 | ★★★★☆
日時:9月27日
映画館:シネツイン

日本人にはなじみの薄い北アイルランド紛争。でも、昔からこの話題が気になっていたワタシにすれば、久々の作品。

1971年、北アイルランド、ベルファストに派遣された英軍の新兵、ゲイリー。治安維持活動に出動したものの、地元住民との小競り合いがあっという間に暴動化。事態が悪化するプロセスにはものすごく説得力がある。いくつかの手違いとテロが重なり、ゲイリーは紛争のど真ん中にひとり取り残されることになる。

この戦場に取り残されるという切迫感は「ブラック・ホーク・ダウン」に通じるものがあるが、あちらがお互い重火器で殺し合ったのに対し、こちらは拳銃とナイフで追い詰められていく。登場人物の死傷率は高くはないが、思いがけない形で人が情容赦なく死んでいく。

主人公はスーパーマンでもなければ、卓越したスキルを持つわけではないので、ギリギリのところで追い詰められる。この描写がリアルで、迫真感がある。とりあえず最後まで生き残るとは思うのだが、思いがけない方向に話が転がるものだから、どうにもならない主人公の焦燥感に同化してしまう。さらにざらついた画面と迷路のような市街地の闇が雰囲気を一層盛り上げてくれる。

ベルファストではカトリック派、プロテスタント派、さらに英軍の潜入工作員が入り乱れて、対立しており、それぞれの活動も描かれているだが、元々なじみのない俳優陣であるうえ、みな同じ人種で顔が似ているし、それぞれの立場が詳しく解説されるわけでもなく、加えて水面下の工作活動もあったりするので、かなりしっかりと観ていないと、途中で話が分からなくなるのは必至。(そこが話を面白く、深いものにしている。)

何の解決にもならないラストもいい。あと、背景にごろごろ出てくる無骨なソフトスキン車両が目の保養です。ランドローバーとか軍用トラック、いいなあ。






題名:ベルファスト71
原題:71
監督:ヤン・ドマンジュ
出演:ジャック・オコンネル、ポール・アンダースン、ショーン・ハリス


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