kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

ヒトラーの忘れもの

2017年03月22日 | ★★★☆☆
日時:3月19日
映画館:サロンシネマ
パンフレット:残念ながら売り切れ

第二次世界大戦終了直後、デンマーク沿岸には連合国の上陸阻止のため、大量のナチの地雷が埋設されていた。デンマーク軍のラスムスン軍曹はかっての占領者であるナチの少年兵を使い、浜辺の地雷処理の任務を行う。

これまで地雷原を舞台にした映画はあったが、地雷処理をテーマにした映画は世界初ではないだろうか。爆弾処理同様、映像にはしづらいネタだが、それだけで1本の映画にする脚本と力技は上手い。
工兵出身ではない少年兵が地雷処理に慣れているわけではないので、恐ろしいほどの緊張感が続く。案の定、少年兵たちは処理を誤り、次々爆死。

占領者であったナチへの憎悪を持つラスムスン軍曹だったが、目の前で少年兵が「ママ、ママ」と泣き叫びながら死んでいく姿に彼らへの対応が徐々に変化していく。(これがSSの兵隊で、瀕死の状態でも「ハイルヒトラー!」とか「デンマークめ、共産主義者に蹂躙されろ!」と憎まれ口を叩いて死んでいったら、全然、共感しないんだろう。)

ただ、元々、戦時捕虜に地雷処理をさせるのは第二次世界大戦中、普通のことだったので、そこの道義感についてはあまり感じるところはない。「史上最大の作戦」の原作本でも、ドイツ軍捕虜が「2週間前に敷設した地雷をまた掘り返すとは思わなかった。」とぼやく場面がある。

さて、軍曹と少年兵の間に徐々に心の交流が芽生え始めるが、当然、さらなる悲劇が彼らに振りかかる・・・。

映画の尺もあってか、軍曹も少年兵もキャラクターの背景があまり語られない。軍曹に子どもがいるのかどうか、生きているのかどうかが分からないので、ちょっと感情移入がしにくい。のべ14人の少年兵もあまり説明がなく、また置かれている状況についてもほとんど語らないので、見分けがつかない。

展開としては定番だし、前述のように登場人物に感情移入しづらいので、あまり心震わすような出来ではなかった。ただし、積み上げられた35型地雷といったプロダクションデザインやデンマークのロケ地は美しい。

ところで、この映画、全編にヤバイ匂いがする。
「11人の少年を監禁して、いたぶる。」というシチュエーションからしてヤバイし、女っけは少女とその母親のみ(しかも脇役)。少年兵の二人は双子、ビンタに、ホースでの水責め、小便責め、少年兵を犬扱いなど、「そっち系かい!」と妄想するような描写が多い。(と思う。)
なんか、そっち方面で高く評価されそうだよなあ・・・。






題名:ヒトラーの忘れもの
原題:Land of Mine
監督:マーチン・サントフリート
出演:ローラン・ムラ、ルイス・ホフマン


最新の画像もっと見る

コメントを投稿