kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

ダークグラス

2023年07月03日 | ★★★☆☆
日時:6月23日
映画館:サロンシネマ



こちらは来館者記念の80年代風ポストカード。「恐怖倍増!戦慄の〇〇サウンド!」の惹句は欲しかった(笑)

聖地に蜘蛛は巣を張る」と同じ日に観たのがダリオ・アルジェント10年ぶりの劇場用作品「ダーク・グラス」。こちらも娼婦連続殺人事件を描いており、期せずして「恐怖の娼婦連続殺人二本立て!」

現代のローマ、コールガールをターゲットにした連続殺人が発生、主人公のコールガール、ディアナも犯人に狙われる。犯人から車で逃亡する際、中国人家族が乗る車と接触する大事故を起こしてしまう。この事故のせいで彼女は失明し、中国人家族も10歳の少年だけを残して両親は死亡する。
やがて二人は出会い、故あって共同生活を始めるが、そこに犯人の魔の手が迫る。

ダリオ・アルジェントの連続殺人ものといえば「サスペリアpart2」や「シャドー」「フェノミナ」を思い出すが、随所にらしさが散りばめられている。

今回、みんな真っ先に言うであろうが、嬉しくなるのがアルノー・ルボチーニの音楽。80年代のこの手の映画を彷彿とさせるサウンドだ。その世代にはすぐにわかるあのリズムですよ。逆に今の世代の観客には新鮮に聞こえるのだろうか。
劇中、この音楽がしつこいくらい流れ、かえってメリハリがないくらい(笑)

黒手袋も登場するし、ちょっと頭を抱えたくなるようなストーリー展開も健在。そこはアルジェント研究会の矢澤会長によると「現実世界からアルジェントの夢の世界への移行」だという。なるほど。

アルジェント好きが期待するようなビックリ仰天の殺しのテクニックはほとんど披露されないし、直接的に描かれる被害者も少ない。そんな光がどこから出ているのかと思うような極彩色で彩られた世界観も登場しない。最後に家も燃えない(笑)上映時間が短いせいとか予算とかもあるのか、その辺はちょっと残念。

今回印象的だったのは、何度も登場するシンメトリー構図の画面構成。アルジェントはこの構図を多用する人だっただろうか。

そういえば、ジャロとかイタリアホラーにはなぜか盲目の人がよく登場する。イタリア映画界の何かの暗喩なのだろうか。
観終わってから思ったのだが、本作「フェノミナ」の焼き直しのようでもある。連続殺人犯に狙われる女性というのはよくあるが、社会から疎外された主人公や〇〇〇〇な警察官をはじめとするサブキャラクター設定、犯人が判明する手がかりの設定、生理的な嫌悪感を醸す水攻め、クライマックスなど「フェノミナ」にそっくりだ。となると主人公と心を通わす中国人少年は昆虫かチンパンジーの役どころなのか?(笑)

ちょっと食い足りないところもあるので、
評価は★★★☆☆

ところで、一部のアルジェントファンには、とある重要な役でワタシが出演していたと見えるらしい(笑)







題名:ダークグラス
原題:Occhiali Neri
監督:ダリオ・アルジェント
出演:イレニア・パストレッリ、アーシア・アルジェント、アンドレア・ゲルペッリ、

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