露子がしばらく進むと、橋の袂に一人の老婆がいた。
躊躇なく歩み寄り、老婆に尋ねた。
「すみません。地縛霊さんですか?」
「そうですが何か?」
「もう長いのですか?}
「そうじゃね~。もう何年になるか・・・・ここに橋ができた当初かね~」
橋の欄干に書かれている完成日を見ると、昭和36年。
透が亡くなる・・・いや生霊になる前の話だ。
「すみません。お聞きしたいのですが、この辺りに身体の弱い高校生の男子がいて、それで人工的に生かされていて・・・・」
焦っていたのか、内容が上手く話せない。
老婆も聞いているのか聞いていないのか・・・よくわからない表情で遠くを見ている。
「・・で、その人がどこに入院していたかを探しているんです」
「知らんね~」
「でも、今昭和48年なんですよ。つまりその人は38年ごろにね・・・・」
「私が亡くなったのは、この場所でね。ひどい洪水でね~もう少し上にいたんです。流されてこの橋の真下で頭をぶつけたことと・・・溺死だったそうですわ。そのままひっかかっていたらしく、しばらくは姉妹やらが花を手向けてくれました。あれから数十年。兄弟も亡くなってしまって、みんなあの世に行ってしもうた。私だけがずっとここに留まり続けている」
「あばあさんも大変だったのですね。でも今はおばあさんの話よりも、その男の子のことを聞きたいんです。思い出してもらえませんか」
「覚えとらん」
話を続けられないことに怒りを感じたのか、そっけない返事だ。
でも何かを思い出している顔をしている。
なんとか宥めなければ。
躊躇なく歩み寄り、老婆に尋ねた。
「すみません。地縛霊さんですか?」
「そうですが何か?」
「もう長いのですか?}
「そうじゃね~。もう何年になるか・・・・ここに橋ができた当初かね~」
橋の欄干に書かれている完成日を見ると、昭和36年。
透が亡くなる・・・いや生霊になる前の話だ。
「すみません。お聞きしたいのですが、この辺りに身体の弱い高校生の男子がいて、それで人工的に生かされていて・・・・」
焦っていたのか、内容が上手く話せない。
老婆も聞いているのか聞いていないのか・・・よくわからない表情で遠くを見ている。
「・・で、その人がどこに入院していたかを探しているんです」
「知らんね~」
「でも、今昭和48年なんですよ。つまりその人は38年ごろにね・・・・」
「私が亡くなったのは、この場所でね。ひどい洪水でね~もう少し上にいたんです。流されてこの橋の真下で頭をぶつけたことと・・・溺死だったそうですわ。そのままひっかかっていたらしく、しばらくは姉妹やらが花を手向けてくれました。あれから数十年。兄弟も亡くなってしまって、みんなあの世に行ってしもうた。私だけがずっとここに留まり続けている」
「あばあさんも大変だったのですね。でも今はおばあさんの話よりも、その男の子のことを聞きたいんです。思い出してもらえませんか」
「覚えとらん」
話を続けられないことに怒りを感じたのか、そっけない返事だ。
でも何かを思い出している顔をしている。
なんとか宥めなければ。
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