「そう。この鉄塔の・・・・」
透はあたりを見渡した。
何かを思い出そうとしている。
幸せだった時間。
生きているときの自分。
「確かあの辺りだと思うけど~記憶は薄らとあるんだけどね。どうやら建物も変わっているようで」
「確か以前に、家族は引っ越したと言わなかったっけ?」
時々透の話す内容には、信憑性を疑うことがある。
前に話したことと内容が違う。
「そうだよ」
「だったら建物が無くても、不思議ではないよ」
「わかってる」
「家族がいない家には戻りたくないって」
「わかってる。でも・・・・時折思うんだ。生きていた時の自分に会いたいって」
「生きているときの自分」
「そう・・・本当は・・・」
言いかけてやめる。
「どーしたの?」
彼の先が聞きたい。
「実は、、、本当はね。僕は死んでいないんだ」
「えっ?」
「身体はね。生きているというよりも生かされている」
「どーいうこと?」
「脳死状態なんだ。だからあっちの世界にも行けない」
「でもお墓に住んでいるって・・・」
「身体はね呼吸器で息はしているけど、本当は既に死んでいるんだ。だからさ・・・墓に住んでいるんだよ」
「家に帰ればいいじゃん。いや肉体に戻れば」
「身体には戻れない。もう長く・・・・離れてしまったからね」
「でもそれなら、せめて病室にいれば」
「僕が脳死になった病院は、この町にあるんだ。でも今は別の病院に身体は運ばれて、それもあって自分の身体がどこにあるかわからない」
「なんで?自分の肉体じゃん。理科準備室の勇作君なんて、いつも自分の眼と一緒だよ」
「それはたぶん。眼は肉の塊であって、生きていないからだよ」
「僕の場合は身体は生きているけど、身体と魂である僕とを繋ぐラインは切れているんだ」
「だから戻るに戻れない」
透はあたりを見渡した。
何かを思い出そうとしている。
幸せだった時間。
生きているときの自分。
「確かあの辺りだと思うけど~記憶は薄らとあるんだけどね。どうやら建物も変わっているようで」
「確か以前に、家族は引っ越したと言わなかったっけ?」
時々透の話す内容には、信憑性を疑うことがある。
前に話したことと内容が違う。
「そうだよ」
「だったら建物が無くても、不思議ではないよ」
「わかってる」
「家族がいない家には戻りたくないって」
「わかってる。でも・・・・時折思うんだ。生きていた時の自分に会いたいって」
「生きているときの自分」
「そう・・・本当は・・・」
言いかけてやめる。
「どーしたの?」
彼の先が聞きたい。
「実は、、、本当はね。僕は死んでいないんだ」
「えっ?」
「身体はね。生きているというよりも生かされている」
「どーいうこと?」
「脳死状態なんだ。だからあっちの世界にも行けない」
「でもお墓に住んでいるって・・・」
「身体はね呼吸器で息はしているけど、本当は既に死んでいるんだ。だからさ・・・墓に住んでいるんだよ」
「家に帰ればいいじゃん。いや肉体に戻れば」
「身体には戻れない。もう長く・・・・離れてしまったからね」
「でもそれなら、せめて病室にいれば」
「僕が脳死になった病院は、この町にあるんだ。でも今は別の病院に身体は運ばれて、それもあって自分の身体がどこにあるかわからない」
「なんで?自分の肉体じゃん。理科準備室の勇作君なんて、いつも自分の眼と一緒だよ」
「それはたぶん。眼は肉の塊であって、生きていないからだよ」
「僕の場合は身体は生きているけど、身体と魂である僕とを繋ぐラインは切れているんだ」
「だから戻るに戻れない」
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