やんちゃでいこう

5歳の冷めた男の子の独り言

神隠しの跡-7話

2010-05-13 07:20:51 | 小説
「徳之助がいた時代には何があったんだ?なぜこの時代に飛ばされたのだろう」
「私に聞かれてもわからん」
「そうか・・・そう言えば安政とかいったよな?安政って桜田門外の変があった年か?」
「井伊直弼??すまん。よくわからないが、、、」
「おなえは自分が生まれた時代のこともわからないのか?」
「どーいうことだ?」
「江戸城の桜田門外の変だ。」
「江戸?そんな遠いところの話などわからん」
「えっ?江戸末期のことだぞ。中心で起きた事件のことも知らないのか?」
「私は足軽の子だ。そんな事件のことなぞ知らぬ。特に江戸のことなどほとんど耳にせん」
「そーいうものか。。。」
確かにそうだ。
今の世の中情報は電波を通じて飛び回っている。
しかし、江戸の時代では中央で起きた事件など、行政に携わっていなければ、地方では必要もない情報なのかもしれない。
特に徳之助は子供だ。
わからないのも無理ない。

「さて、、、話を変えよう。もし徳之助がこの時代に飛ばされてきたのなら、帰る方法を考えなければならない。何か来たときのこと思い出せるか?」
「私は道場に向かっているときに、海沿いの街道を歩いていた。そこからが思い出せないのだが・・・」
「誰かと接触したとか。何か天変地異があったとか。何も無いのか?」
「う~ん。わからん」
「そうか・・・」
これ以上は無理やり聞きだすのは止めておこう。
そう考えた。
日差しは徐々に西に傾いていく。
「徳之助は帰る場所ないよな。今日はここに泊まっていけ」
「かたじけない」
「親は健在か?」
「父上は健在です。母上は2年前に病で亡くなりました。」
「そうか。悪いこと聞いたな」
「構いませぬ。私はそれでも武士のことして成長しています」
「そうか・・・。で兄弟は?」
「姉が2人」
「大変だな」
「大丈夫です。私は男子。何があっても動じはしません」
時代が違えばこんなにも違うのか。
自分が持っていない徳之助の言葉には、すごく刺激を受ける。
しかし、それは俺たちの先祖のころの教育だ。
新鮮という言葉は似合わない。
日本男子としての、魂なのかもしれない。
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