やんちゃでいこう

5歳の冷めた男の子の独り言

呪いアプリー3話

2012-05-04 22:39:42 | 小説
先山署に捜査本部が立ちあがった。

事件性がある限り、徹底的に調べる必要がある。

鑑識の情報を元に捜査会議が何度か行われた。

その場に、科捜研が調べた結果が届けられる。

「ジェットコースターの支柱が折れていたのは、偶然のようです。事件性は見当たりませんね」

「事件性は無い?しかしビスが何で全部飛んでたんだ?」

「ビスの外れ具合を調べましたが、工具によってではないですね。自然に劣化して落ちたようです」

この報告をもとに、捜査本部は早期解散した。

中村の気持ちはしっくりとはしていない。

あの切り口が事件性が無い・・・・考えられないな。

中村の目から見れば、あのように斜めにカットされることは無いと思う。

しかし科捜研の報告では、重みに耐えかねて偶然に切れたということだ。

「おかしな事件が増えましたね。先日はナタで自分の頭を割ったなんていうのもありましたしね」

「東久世署の件か。あんな自殺をするやつがいるなんて、狂ってるな」

「しかしあれはなぜ自殺になったんだ?」

「科捜研に聞いた話だと、ナタでは無かったらしいですよ」

「なんなんだ?」

「それがですね。聞いてくださいよ」

岡野が前かがみになって話す。

「壁に飾り付けてあったインドのアジャ・カティという刃剣だそうですよ」

「なんだそれは?」

「まぁナタのようなものらしいですが、貴族が所有している刀です。それがですね~不思議なのは壁に固定されてたんですよ。それをわざわざはずして自分の頭を割るなんて・・・正気じゃないですよね」

岡野の言うことはもっともだと思う。

自殺で片づけられたのは、それなりの理由があったと思うが。

ただ余所の所轄の自殺だ。

それ以上に詮索するわけにもいかない。

中村は岡野の肩をポンポンと2回たたき、片付けがほぼ終わった捜査本部を後にした。


「あれ?携帯が光ってるよ」

美智子の声に、慶介はスマホを持った。

「なんだこれ?あなたの死にかた教えますって。気味わり~」

慶介はスマホをソファに投げた。

「うわー私興味ある~。」

美智子はソファに向かう。

スマホを見ると、既に画面には何もなかった。

指で触って、画面を起動させる。

今のアプリは何だろう?

そう思って画面をスクロールさせる。

その時、首筋に生温かいものが触れた。

なんだろうと手で拭う。

見つめた指先は、鮮血で染まっていた。。。





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