マッシュムラムラ(仮) ――クラ鈴が斬る!――

SINCE:2002.2.24
氷室京介、あぶない刑事、マンガ etc

もっとあぶない刑事・第20話「迷惑」

2013-12-28 12:47:56 | あぶない刑事
簡単にストーリーを紹介すると、こんな感じです。

向井京一・通称103号という殺し屋を追って、警視庁刑事・が横浜に流れ着く。
横浜には橘の元相棒で、ともに向井を追っていた金子が経営しているバーがある。金子には、かつて橘に囮として使われ、向井のために片足を失ってしまった、という過去がある。
一方の向井としては、長年追われ続けることを苦痛に思い、ここらでケリをつけるために、金子を人質に橘を誘き寄せることを画策する。
それも予測していた橘は、銀星会のチンピラとあえて乱闘騒ぎを起こすことで、自分の相棒になる骨のある刑事を探していた。そこへ駆けつけたタカとユージを相手にさらに乱闘を巻き起こすことで、とくタカに目をつけ、彼を相棒に指名する。

今回、





久しぶりに「ハードボイルドなあぶ刑事」って感じで、見応えありました。



ただし、





「かなり男臭い、昭和のハードボイルド」



って感じなんで、若い人には重苦しく映るかも(笑)。まあ、もっとあぶない刑事放送中に年号替わってますが、平成元年なんてほとんど昭和です。
今回の話、ルパンに例えるなら「昔のTVシリーズにおける、次元がメインのエピソード」ビバップなら「ジェットがメインのエピソード」ってトコですかね(笑)。
ともかく、結構、重いです。
まあ、冒頭に近いシーンで、

ユージ「とどめは、オレのクロスカウンターパンチよ」
鈴江「なにせ、カミソリパンチだからな」
カオル「カミソリ? それが?」





瞳ちゃん(ユージの拳を見て)「タワシみたい」



なんてのもありましたが(笑)。
っつーか、これは瞳ちゃん(長谷部香苗)にしては珍しいアドリブかと思われます。本人も素で笑いながら言ってたし、メンバー全員(とくに浅野温子が)、素で噴き出してました(笑)。
まあ、それはいいとして。
まず、橘って刑事についてですが、タカやユージ以上に問題児だったりします。ちょっとアル中で、拳銃もまともに撃てず(このため、タカのような相棒を探していた、という面もあり)、向井を追っているのも上からの指示ではなく、「独断で日本全国を追い続けて、今回、横浜に辿り着いた」といった、警視庁でも浮いた存在です。
ただね、もちろん、問題のある人で見習っちゃいけない人なんですが、事件への執念はまさにプロフェッショナルで、態度は悪いけど情にも厚い人でね。
ユージを始めとする港署のメンバーとしては、「橘が、今度はタカを囮にしている」なんて考え、とくにユージは彼に反発してたんですが――

タカ「103号の狙いはオレじゃない」
ユージ「タカぁ」
タカ「103号は、金子を脅して、橘を横浜に誘き寄せたんだ」
ユージ「誘き寄せた? 何のために?」
タカ「橘は、103号を3年間追い続けた。その執念に恐怖を感じて、橘さえ殺せば安全だと思ったんだ」

タカ「昔、同僚だった金子を脅せば、橘がやってくると思った」
ユージ「じゃあ、奴はなんで、あんなにタカのことを?」
タカ「橘刑事は、最初から103号に殺される覚悟だったんだ。





自分を囮にして、103号を誘き寄せるつもりでいたんだ



ユージ「それじゃ、あの人がタカを欲しがったのは、自分を標的にして、タカに103号を捕まえさせるためだった、ってわけか」
タカ「・・・





キザな野郎だぜ



まあ、つまりはそういうことです。って、誰よりもキザなタカにそんなこと言われたくないでしょうが(笑)。
ともかく、橘のような不器用なやり方しかできない刑事さんって、いかにも昭和の刑事ドラマって感じでいいですよね。スマートなやり方は決してできない、自分にはこういう損なやり方しかできない、っていうのは男の哀愁を感じます。
あぶ刑事は、おしゃれで小粋な作風がウリではあるんですが、そこは(ほぼ)昭和の時代にやってただけあって、こういう「泥臭くも切ない展開」「人情味のある、浪花節な話」も多かったりします。
橘刑事って人は、タカ&ユージや、あるいはトオルのような「スマートなイケメン刑事さん」ではなく、ちょっと汚い、いかにも昭和のおっさん(ただし、男前ではある)って風貌でね。こういう人がそういう展開やるもんだから、キャラクターと話の流れがはまるはまる。
橘役の苅谷俊介の演技も、ホントにすごい。ワイルドでダーティなおっさん刑事を熱演してます。
一時は石原プロにも所属した人で、西部警察にも出てました。ってか、無印あぶ刑事でもゲストで出てましたね。
そういえば、無印のDVD-BOXの最終回レビューで、銀星会会長演じる室田日出男の演技についても触れましたが、貫禄があったり、あるいはこの橘のような役を演じる俳優さんって、見なくなりましたねぇ。
黒幕役の人も、非エリートな人も、ちょっと前までカッコいい主役級だった、おしゃれな中年俳優さんが演じるようになっちゃって・・・そもそも、橘みたいな役自体が見かけなくなってるかも。
ラスト、御殿山プールで、金子を人質にとった103号=向井と対峙するシーンの橘は最高にカッコいいです。
施設に入る前、多分、舘ひろし歌う切なげなバラード(曲名は不明)をバックに、「最後の一杯」とばかりに、常に携帯していた(多分)ウィスキーをグビッとやり、

橘「出てこい、103号! きたねぇ真似するな。おまえの標的はオレのはずだ!」

――ここで103号(向井)による狙撃。橘、物陰に隠れ、拳銃を抜く――

橘「三年間だ。ここまで三年かかっちまったぜ!」
向井「大したデカだぜ! もっと早くに決着つけとくべきだったな」
橘「お互いにな!」
向井「拳銃を捨てて出てこい!」
橘「金子を返せ! 金子は関係ねぇ!」
向井「いいだろう」

――金子解放――

向井「拳銃を捨てろ!」

――橘、拳銃を捨てる――

向井「これでオレもやっと自由になれる」
橘「笑わせるな。





たとえオレが追わなくなっても、おまえみたいな奴に自由があるわけがねぇ!



この橘の台詞、カッコよかったなぁ。言葉の内容ももちろんですが、なんか橘が「魂の叫びを振り絞っている」って感じがして。
もちろん、最後はタカとユージが〆ることになりますが。
ちなみに、このときのふたりの台詞もカッコよかったです。
上の橘の言葉のあと、向井が「なんとでもほざけ!」いってライフルの引き金引こうとしたところ、

「おまえの自由は、死刑台の向こうにあるんだ」

直前に発砲して向井の狙撃を妨害しつつ、そんな言葉を口にしながら登場するユージもまた、男の色気を漂わせてます。
また、傍に寄ってきた橘に「鷹山」いわれたあとのタカの台詞――

「オレに命を預けるって、最初からそういってくれりゃよかったんですよ」

これもよかったわ。最初、橘が態度悪いから、反発し合ってたんですよね。渋々、彼とともに103号追うことを了承したとはいえ。
で、上の台詞を口にすると同時に、橘に手錠を渡し、彼に向井を逮捕させることで花を持たせようとする。やっぱハードボイルドと浪花節は紙一重! (笑)
忘れちゃならないのが、橘の元相棒の金子。
このあと、最後の悪あがきに、隠し持っていた拳銃を抜き発砲しようとした向井に対し、片足を失っていたゆえに常に杖をついていた金子がそれを放り投げ、命中させることで向井の反撃を阻止する。さすが、元刑事なだけあります。

そんなわけで、あぶ刑事風ハードボイルド(すなわち、浪花節/笑)を堪能した回でした。
正直、「もっと」はレビュー書くほどではないかな、なんて思ってたんですが、今回の話は書かずにいられませんでした(笑)。

コメント (5)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 進撃の巨人12巻 | トップ | 機動戦士ガンダムBD-BOX 2 »
最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ハードボイルド万歳! (まっきー)
2013-12-29 02:50:23
クラウド鈴木さん、レビューお待ちしとりましたよ~^^

いやもう、全文 「そうなのよ!」 と大きく頷きながら読ませて頂きました!
苅谷俊介さん、いいですよね。好きな役者さんです。(『西部警察』 の源ちゃんも好きでした^^)
『あぶ刑事』 シリーズは無印 「衝動」、もっと 「迷惑」、映画 「もっとも―」と出られましたが
どれもシリーズの中でかなり好きな話なんですよ^^
ちなみにクラウドさん、「衝動」 のレビューも以前書かれてませんでしたっけ?
私、コメントさせてもらったような…^^;

香苗さんは、私もアドリブかなぁと思って見てました^^
あのシーンは、キャストの掛け合いがホントに見事で皆さん楽しまれてますよね。
また橘が刑事だとわかった後、近藤課長に
タカと勇次の武勇伝^^;を身振り手振りでワイワイガヤガヤ知らせるシーンも最高でした。
瞳ちゃん関連だと、もう少し先のシーンで橘とぶつかって、鉛筆をぶちまけながら壁際に飛ばされた際、
舘さんや衣笠さんが、倒された(といっても演出でしょうが)香苗さんを気遣いながら演じてるのがツボ。
(この回の監督、長谷部さんでしたし^^ まぁ、舘さんは常にフェミニストって感じですけど)

勇次がタカに手錠をかけるシーンなどは、二人の性格というか関係性が出てる会話で
無印 「狙撃」 の感じが少しするなぁと思ったら、どちらも脚本が田部俊行さんで。
とにかく、太文字で抜かれたしびれるシーンと会話は
若干はね過ぎ感のある “もっと― シリーズ” の中では、私好みの 「ハードボイルドなあぶ刑事」 です。
(同シリーズだとあとは 「不惑」 くらいでしょうか?)

うわ~っ! やっぱり還暦超えのタカと勇次の会話が聞きたいッス!!
もちろん彼ららしい、ハードボイルドと浪花節で…。


追伸。 その切なげなバラードは 「A LOVE SONG」 という曲です。 
(1988(昭和63)年4月発表のオリジナルアルバムの中の1曲)
この回に使用されたので、昨年発売された 『TAKA THE BEST』 には収録された筈。
ちなみに、この曲をロック調にアレンジしたインストゥルメンタル曲が
『ゴリラ警視庁捜査第8班』 の前期OP曲で、このバラードは挿入歌としても使われてました^^
返信する
浪花節だよ人生は (クラウド鈴木)
2013-12-29 21:19:15
ありがとうございます。
そういえば、恭兵さんが来年の大河ドラマに出るようですね(笑)。

>苅谷俊介さん
そうだ、「衝動」の足長おじさんでしたね(レビュー書いておきながら/笑)。
あれもよかったなぁ、「昭和の、情の深い、不器用な中年男性」っぷりが。

あぶ刑事は、ってか、日テレのドラマって、結構アドリブやってキャストが素で笑ってるの多いですよね。
西遊記(数年前にDVD買って見たんですが)で、マチャアキがアドリブいって、夏目雅子さんが素で笑ってたり、まっちゃんと中居君の教師もの(?)で、まっちゃんのアドリブに中居君や生徒たちが素で笑ってたり。
瞳ちゃんを気遣うタカ・・・まあ、舘さんは役離れたプライベートからフェミニストっぽい(笑)。
ってか、瞳ちゃんのアドリブ、お父さんはどう思ったんでしょう? (笑)

なるほど、「狙撃」の監督と脚本家だったんですね。どうりでハードボイルド=浪花節(?)なわけだ。

ああ、あの曲はやっぱ舘さんの曲だったんですね。
「もっと」が始まるちょっと前にリリースされたアルバムか・・・
って、ゴリラも舘さんのイントロ曲がOPだったんか(笑)。

>うわ~っ! やっぱり還暦超えのタカと勇次の会話が聞きたいッス!!
これは、ほぼすべてのあぶ刑事ファンの共通認識ですよね(笑)。
もう1回くらい、やってくんないかなぁ。個人的にはTVシリーズでやってほしいけど・・・無理なら、「FOREVER」のときのように、「まずはTVスペシャルで、続きは映画で」って感じで、舘さんには「泣いていいよ」を書き下ろしたように、新曲用意してもらって(笑)。
返信する
どうやって喰うんだよ、それ by 勇次 (まっきー)
2013-12-30 06:29:25
そのアルバム、『GOLDEN SHADOW』(1988年4月1日発売)の1曲目は
「翼を拡げて~open your heart~」 だったんですよ。
で、その後、7月公開の 【またまた―】 の主題歌にもなりました。

実はアルバム発売と同じ日に、「翼―」 はシングルとしても発売になってまして、
いきなりドラムで始まる、アレンジ違いのシングルVer.は、【もっと―】 の主題歌となりました。


>恭兵さんが来年の大河ドラマに出るようですね(笑)。

ポツポツ番宣でお見かけするようになりました。
主人公の父を演じられるので、1年も出演期間はないと思いますが、
それでも長丁場の大河ですからね、
オファーを受けられた = お元気 なんだと安心しました。

ちなみに、大河出演は1988年の 『武田信玄』 での上杉謙信役以来で26年ぶりだそうです。
無印の終盤、劇場版1作目&2作目、もっと―の序盤あたりは撮影が被ってらっしゃったかと。
そういえば 【またまた―】 でも
「瞳ちゃん、茶を持てぃ!」by勇次や、「おうおうおう、(上杉)謙信!」byタカ とかアドリブがありましたね^^


>個人的にはTVシリーズでやってほしいけど・・・

私もそう思ってます! 1クールが無理なら、改編期等のスペシャルドラマあたりでいいかなぁと。
原点に戻ってラストはテレビで締めて欲しい感じがします。欲張らないスケールの作品にで願いたいと言うか…。
ええ、ええ、もちろん、舘さんには新曲書き下ろして頂きましょう!!


追伸。 「ドッキリアワード2014」 2014年1月2日(木) 18時00分~ TBS
     なんかねぇ、審査委員長らしいッス^^;
返信する
Unknown (まっきー)
2013-12-30 06:32:44
あ、舘さんがです。 >審査委員長
返信する
翼を拡げては (クラウド鈴木)
2013-12-30 21:07:05
当時、歌番組で舘さんが歌ってたのを覚えてます。Mステだったと思いますが。

武田信玄は、「柴田恭兵(上杉謙信)が出るシーンは」思ってチェックしてたものの、OPにクレジットされててもなかなか出てこなかったんで、すぐに元気が出るTVに戻しちゃった記憶が(笑)。まあ、北条との合戦で「小田原は(越後と比べて)暖かいのぉ!」いってたのと、単騎で信玄の本陣に侵入し、信玄に襲い掛かったシーン(対する信玄も軍配で斬撃を防いだ)は覚えてます。

そうですねぇ、スペシャルドラマでもいいんで、またやってほしいですねぇ。
対テロリストや対カルトもいいけど、久しぶりに銀星会絡みで、あくまで「横浜の刑事さん」って話だといいなぁ(笑)。
返信する

コメントを投稿