ってわけで、宇宙に上がったWB。大気圏を突破したところで、彼らを追撃していたシャアのザンジバルと、その腹心ドレン率いるキャメル艦隊から挟撃を受けます。
とはいえ、アムロを始めとする各パイロットも、指揮を執るブライトさんも、着実に成長しており、また、新戦力
スレッガー中尉の力もあって、見事、撃退に成功します。
まあ、映画版ではシャアのザンジバルは間に合わず、キャメル艦隊がアムロに一方的に蹴散らされてね、
ここでのアムロのヒーローっぷり、無双っぷりが何気にカッコいいんですが、これ(TV版)はこれでカッコいいやね。もっとも、シャアはMSで出るわけでなく(直前まで与えられてたのが地球用のズゴッグですからね)、あくまで艦長として戦ってましたが。
で、WBは
サイド6に寄港し、そこで
アムロは酸素欠乏症になってしまった父親テム・レイとの再会、別れを経験するんですが・・・まあ、ここはそれより、
ミライさんを巡る男たちの心理描写ですかね。
カムランさんとしてもね、彼は彼なりにミライさんを想ってはいるんだよね。ただ、彼がミライさんに与えることができるものとは、ミライさんの望むものではなかった。
ブライトさんも不器用ですよね(笑)。映画版では、
ブライト「オレだって、せめて生きてるうちは人並みに・・・不器用だからな」
ミライ「・・・・・・ホント」
みたいなやりとりがあってね。自身で認めてるうえ、最も身近なミライさんにまで(笑)。
のちにスレッガーさんの「男っぷり」に惹かれたりもしますが、母性の強いミライさんとしては、最終的には(スレッガーさんの戦死もあるけど)ブライトさんのそういうトコに惹かれたのかもしれませんね。
で、スレッガーさん。
まさに、昭和のイケメン(笑)。
軽口叩いてすかしてはいるけど、やっぱ場数踏んでいるがゆえの
「男の余裕」が滲み出てるんだよね。戦闘(仕事)だけではなく、男女の色恋沙汰についてもね。
もうね、
「イケメン」というよりは、
ハンサム
だよね。すっかり死語になっちゃってるけど、
顔のよさだけでなく「男っぷりもいい」っていうかさ。
そんな彼ですが、いや、そんな彼ゆえに、ビグザムに特攻かけて、ガンダムに活路を与え、自身は散っていきます。
「悲しいけど、これ、戦争なのよね!」
これは
名台詞ですよね。
それと、
カムランさんの身の引き方。まあ、ちょっと未練あったけど、それは人間誰しもね。
そんなこんなで、サイド6を出航したWBは、
ソロモン攻略戦に参加し、ソロモン陥落後はほかの連邦軍部隊たちとともに、同要塞に留まります。
ちなみに、ソロモンで散った将
ドズル・ザビですが、この際、妻子や女官たちを逃がしており、その娘
ミネバ・ザビは続編に出てきます。直接の続編であるZガンダムではまだ幼く大した役柄ではありませんが、
ガンダムUCでは亡国の王女として立派にヒロインを演じてたりします(まあ、後者については、私もちらっとしか見てませんが/笑)。
それはともかく、このソロモンでね、シャアの暗躍とララァの活躍が本格化します。
シャアはこのときは
キシリア配下なんでね、ソロモンへは救援には向かったんですが、間に合わず・・・。これ、もしシャアとララァがソロモン戦に加わってたら、あるいは連邦は撃退されてたかもね。
事前に
ソーラーレイで大打撃与えたとはいえ、ビグザム一機にあれだけ手こずってたんだからね。スレッガーとアムロいなかったらヤバかったくらい。そのうえ、
エルメスのビットとシャアの指揮能力、パイロット能力が加わればね。
オレは別に連邦びいきでもジオンびいきでもないけど、後者の人たちにとっては、つくつぐ
「ザビ家に内紛なければ・・・」って感じかもね。
また話はそれてしまいましたが(笑)。
その後、事実上、廃棄された
テキサスコロニーにて、残敵掃討の任務に当たっていたアムロは、
マ・クベ駆る
ギャンと、シャアの乗る
ゲルググと戦闘を行います。
ギャンの存在自体もそうですが、マ・クベの戦死もTV版だけなんですよね。劇場版では、ギャンは出なかったし、マ・クベはフェードアウト(生きてるのか、死んでるのかわからないまま)。
で、
シャアゲル(
この呼び名が懐かしいです/笑)戦。
アムロはNTとして完全に覚醒していたので、スペック的にはガンダム以上であるゲルググに乗っているにもかかわらず、シャアはアムロに圧倒されます。
ただし、ガンダムの操縦系統のほうがアムロの過敏な反応速度についていくことができず、結局、アムロはシャアを討ち切れず、彼に逃げられます。
その後、ソロモン(連邦名
コンペイトウ)付近での戦闘の際も、シャアはアムロに圧倒されます。結構ネタにされてる、
ララァ「大佐、邪魔です! どいてください!」
――この台詞はここでのものです(笑)。
ただね・・・今回、改めて視聴して思ったけど、
みんな、シャアを過小評価しすぎ(笑)。
まあ、オレも散々ネタにしてるけどさ(笑)。いや、
シャアは充分強いのよ。充分に天才。ただ、
1st後半とCCAのアムロ、そしてララァが化物レベルなんだよね。
のちにシャアが戦って敗れたハマーンやシロッコもそう。シャアはあくまで
人間レベルの天才なんです。化物じみた、神がかったといってもいいアムロを相手に(最後には)痛み分けに持ち込んだり、ハマーン、シロッコに対しても性能の劣るMSで善戦したりなんて、シャアでないとできないって。
むしろ
「弱者の戦い」「機転を利かせて、完全敗北は避ける」ってほうが、
「等身大に近いヒーロー」って感じがしてオレは好きだなぁ。それに、そういった戦い方ができるっていうのは、結局は
メンタルが人一倍強いってことですからね。情けないことも口にはするけど、最後には踏ん張る、っつーか。アムロにしてもララァにしても、あるいはハマーンにしても
カミーユにしても、彼のそういうトコを「実力」として認めてたのかな、と。
まあ、ララァの場合は、シャアに対して
母性本能もあったっぽいですが(彼女と、のちの
ナナイの場合は/笑)。
って、
ガンダムの話って、ホント脱線しちゃうよなぁ(笑)。
話を戻すと、コンペイトウ付近で戦火を交えるアムロとシャア&ララァ。そこに
セイラが割って入り、シャアは彼女を撃墜しそうになります。それを己のNT能力で察したララァの制止で、自身もセイラの存在に気づくシャア。その際、一瞬動きが止まった隙をつき、アムロはゲルググに攻撃をしかけます。
死を覚悟するシャア。そのとき、
ララァの乗るエルメスが割って入り・・・
これはオレが知らないだけかもしれないけどさ、
「敵味方に分かれた男女が惹かれ合う」っていうのはあったかもしれないけど、「それが恋愛感情を超越したもの」「第三者がヒロインを殺すということはあったかもしれないけど、主人公自らが」ってのは、それまでのアニメにはなかったかもね。
こういう文字通り劇的な描写は、ホントにすごいです。これが30年以上昔のアニメなんですから、さらに驚きです。
ただ、ララァの死を巡るアムロとシャアの嘆きは、案外あっさりしてます。まあ、TV版は尺の問題がありますからね(笑)。打ち切りも決まってたし。
そんなこんなで、最終決戦です。
ア・バオア・クーです。
ここはまず
出撃前のカイさんがカッコいいですよね。
その前に、アムロとブライトにこんなやりとりがあってね――
アムロ「作戦は成功します」
ブライト「NTの勘か?」
アムロ「はい」
台詞はうろ覚えですが、ともかく、それを近くで聞いてたカイが、エレベーターの中で自分とアムロとセイラの三人だけになったのを見計らって、
「よぉ、アムロ。さっきの話・・・ホントかよ?」
ってね。直前までチビ三人たちもいて、彼らの前ではいつもどおりヘラヘラした言動を見せててね、チビたちが途中でエレベーターから降りたあと、一転して真顔になってね。
で、アムロが
「嘘ですよ。NTになって未来のことがわかれば、苦労はありません」いって、セイラさんが
「アムロにああでも言ってもらわなきゃ、みんな逃げ出してたわ。怖くてね」いったあと、
「そりゃそうだな。人間、逆立ちしたって神様にはなれないからな」ってのが、カイさんらしいカッコよさですよね。
その後、いよいよ最終決戦です。
キシリアはシャアにNT専用機である
ジオングを預け、自身は総帥
ギレンが指揮を執る司令部へ向かいます。
この前にね、
ソーラーシステムで父親である
デギン公王もろとも、連邦艦隊のおよそ半数をギレンが葬っていてね。それを疑っていたキシリアは、直接ギレンの口から確認したあと、今度は彼女が兄であるギレンに手をかけます。
これね・・・前述のとおり、オレは別にジオンびいきでも連邦びいきでもないけど、キシリアははやまったよね。
ギレンが指揮執っている間は、ジオン優勢だったんですよ。そりゃ、防衛側に有利な要塞戦ですし、前述のとおり、連邦艦隊の大半はソーラーシステムで消滅してましたからね。
キシリアがギレン殺したことで、一瞬、指揮系統が断絶し、そこを連邦に突かれたわけだし、そもそも彼女は政策立案、実行能力や、政局争いの才はあるのかもしれんけど、実戦指揮なんかは未知数だと思うのね。ギレンは超天才ゆえにオールマイティに備わっているのに対してね。まあ、ギレンの資質もキシリアの資質も、
あくまでイメージですが。
だから、(ギレン暗殺は)連邦が撤退したタイミングを見計らうべきでしたね。戦闘が完全に終わったあとだと、今度は「ギレンは救国の英雄」ってことで、「父殺し」も理由になりにくくなるし。
ただ、まあ、アムロの人間離れした戦果と、連邦の物量、さらにはジオン側の人材難を考えると、ギレン指揮でも結局は押し返されたかもしれませんが。
ここらで、話をアムロとシャアのほうに向けます。
前述のとおり、キシリアがシャアに固執するのは、これは仕方ないことではありますよね。「戦局を打開できる可能性を秘めているパイロット」がシャアしかいないんだから。たとえ、アムロと比べれば見劣りしてしまう彼でもね。
「赤い彗星も地に落ちたものだな。しかし、ガンダムのパイロットがNTとして異常発達したものならば、やむを得ぬというところか」――キシリアのこのひとことに、すべてが集約されているように思えます。
とはいえ、腐っても赤い彗星です(笑)。彼もやはり戦闘の天才です。また、やはりジオングはオーバーテクノロジーです。
あれだけ苦しめられたガンダム、それもアムロの反応についていけるように
マグネットコーティングを施されたガンダムを、逆に散々に苦しめます。
まあ、マグネットコーティングなんて所詮は急場凌ぎですし、基本スペックとしてもジオングのほうがガンダムをはるかに凌駕してはいるんですが(笑)。
ちなみに、この辺は名台詞のオンパレードです(笑)。
シャア「足はついていない?」
整備兵「あんなのは飾りですよぉ。偉い人にはわからんのですよ」
シャア「使い方はさっきの説明でわかるが・・・サイコミュな、私に使えるか?」
整備兵「大佐のNTの能力は未知数です。保障できるわけありません」
シャア「はっきりいう。気に入らんな」
整備兵「どうも・・・
――気休めかもしれませんが、大佐ならうまくやれますよ!」
シャア「ありがとう」
アムロ「本当の敵はあの中にいる。シャアじゃない!」
シャア「見えるぞ! 私にも敵が見える!」
アムロ「こう近づけば四方からの攻撃は無理だな、シャア!」
シャア「な・・・なんだ?」
アムロ「なぜララァを巻き込んだんだ。ララァは戦いをする人じゃなかった!」
アムロ「まだだ! たかがメインカメラをやられただけだ!」
そういったやりとりがあり、ガンダムは頭部と左腕を失い、ジオングも頭部のみになって、ア・バオア・クー内部へ。
そして、
ラストシューティング。
ガンダムはほぼ大破、ジオングは完全に撃墜。
と、まあ、それまでのロボットアニメだったらここで終わってもよさそうなものですが、そこはガンダム。それで終わるわけもありません。
アムロもシャアもMSを乗り捨て、ふたりの戦いは白兵戦に移行します。
ただ、ここはさ・・・
士官学校主席で出て、戦争初期から功績残してる歴戦の軍人シャアが、つい最近まで半引きこもりの機械オタクだったアムロに、フェンシングで押されちゃうのはね・・・(笑)。
まあ、それいったら、話は進まなくなるんですが。
ともかく、そのふたりの戦いに、セイラが割って入ってね。不意に起こった爆発もあって、アムロもシャアもその場を離れ、やがて脱出を試みることになります。
途中、
シャア「アルテイシアは脱出しろ」
セイラ「兄さんはどうするのです?」
シャア「チャンスを最大限に活かすのが私のやり方だ。ザビ家の人間は、やはり許せぬとわかった。ケリはつける」
セイラ「兄さん」
シャア「おまえももう大人だろ。戦争も忘れろ。
――いい女になるのだな」
といった兄妹のやりとりがあり(この後、続編においても、この兄妹が再会することはありません)、シャアがザビ家でひとり生き残ったキシリアを暗殺し、その後行方をくらまします。
なお、脱出した巨大戦艦にシャアのシルエットが確認できるのは劇場版のほうであり、TV版では完全に行方不明です。まあ、私を含む当時の子供たちも、劇場版見る前から、誰もシャアが死んだなんて思ってなかったのを覚えてますが(
「絶対、シャア、死んでないよな」なんて/笑)。
一方、アムロのほうも無事脱出し、WBのクルーたちのもとへ帰っていきます。最初のころはあんなにギスギスしてたクルーたちが、みな、両手を広げ、笑顔でアムロを迎えます。
っつーか、
カイさんなんて、キャラ違っちゃってるくらいの笑顔です(笑)。
それに対し、
「ごめんよ。まだボクには帰れるトコがあるんだ。こんなうれしいことはない。
わかってくれるよね。ララァにはいつでも会いに行けるから」
と、涙ながらに呟くアムロ。この辺は、アムロ、ブライトをはじめとするWBのクルーたちの成長描写でしょうね。
人はこうやってわかり合うことができるっつーか。
先日、この1stガンダムのナレーションもやってた
永井一郎さんがお亡くなりになられました。
もうね、ガキのころ、ガンダムの再放送見てて、永井さんによる冒頭の
「人類が、増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになり、すでに半世紀」と、次回予告での
「君は、生き延びることができるか?」で、背筋がピンとしたような気持ちにさせられてね(笑)。
そういえば、このBD-BOXの映像特典で、
1stガンダムの番宣があってね。これは貴重ですよね。
2パターンあって、永井さんナレーションのものと、多分、鈴置さんナレーションのものですかね。
どちらも、作品の内容に反し、いかにも70年代のロボットアニメなノリ(笑)。
それはそうと、永井さんに話を戻すと、TV版では、デギン、コンスコン、エルランはじめ、ビッグネームなキャラからモブまで、いろんな声当ててましたね。「奥さん、ここが○○(都市名。忘れた)だった場所です」いって去って行った、紳士的なジオン軍人も永井さんだったようで。
ともかく、非常に残念です。まあ、もうご高齢ではありましたが、この人はね・・・子供のころから声聞いてたからね。
もう、「おじいちゃんキャラ」といえばこの人でしたから。波平さんは、サザエさん、カツオ君、ワカメちゃんから見ればお父さんではありますが(笑)。
それに、オレがアニメから離れてたころなんかも、いろんな番組のナレーションで聞いてたような気がするし。「あ、これ、波平さんの人だ」って感じでね。
それにしても・・・・最近(というか近年)、やたら声優さんがお亡くなりになられるような・・・
オレがネット始めたころ、
塩沢兼人さんがお亡くなりになられてね。マ・クベや北斗の拳のレイ、湘爆の江口もそうかな? まだ、50になったかそこらで・・・
で、その後、セイラさんの
井上瑶さん、ブライトさんの
鈴置洋孝さんと、立て続けに・・・
そのうえで、昨年の
本多知恵子さん(プル、プルツー、桂木弥生)、
納谷悟朗さん(銭形のとっつぁん、桂木源三郎)もね。
今年に入ってからは、永井さんとそのちょっと前の
加藤精三さん(星一徹)、永井さんとほぼ同時期に、
塚田正昭さんもお亡くなりになられたそうです。
加藤さんもね、
星一徹の声は未だに脳内再生できますからね。塚田さんという方は、正直、存じ上げなかったのですが、やはり大ベテランで、
野沢雅子さんの旦那様とのことです(最近だと、BLEACHとかに出てたそうです)。
もうね、ガキのころ見てた人、あるいは私がネットデビューしたころから活躍していた方が次々と・・・しょうがないこととはいえ、やはり残念です。
永井さんはじめ、皆様に対し、
謹んでお悔やみ申し上げます。
――宇宙世紀0080。この戦いのあと、地球連邦政府とジオン共和国の間に、終戦協定が結ばれた。 (ナレーション・永井一郎)