はい、ってわけで、久米田康治1年5ヶ月ぶりの新連載です。その名も「せっかち伯爵と時間どろぼう」。
なんか「改蔵で時間どろぼうってネタあったな」とか「主人公が引きこもりって、絶望先生の初期設定だよな」とかいってはいけません。
決して「焼き直し」などといってはいけません。
ま、そんなこんなで、記念すべき第1話ってことで、軽くいってみましょう。
まずは主人公の時只卓(ときただすぐる)。この、ネーミングにダジャレを絡めるトコが久米田さんらしいです。あるいは、この辺は奇面組の影響とかあるのかも。久米田さんの世代的に。
で、この人は前述のとおり引きこもりです。それもいじめとか病気とかではなく、「なんとなく不登校」です。
この人はある意味で、久米田さんらしい主人公ですよね(笑)。
ネーミングももちろんですが、「イケメンだけど問題児」ってトコが久米田ヒーローらしい(笑)。月斗、改蔵、糸色先生もそうだったでしょ?
まあ、この人は、ってか、久米田ヒーローは改蔵以降はそういう特徴にある気がしますが、自らは適度にバカやるタイプですよね。バカやってヒロインがツッコむことから話が立ち上がるんだけど、周りのレギュラーキャラたちや、あるいはゲストキャラたちがさらにネタに走り、それに便乗したり、その害を被ることで話がおもしろくなるっていうか。
第1話も、この卓がアホなことやることで始まりましたし(笑)。
お次はヒロイン・夕仏真心(ゆぶつまごころ)。卓からは「マゴ」なんて呼ばれてます。
このコも久米田さんが好きなヒロイン像ですよね~(笑)。
いや、まず、
――まあ、七つとは限らないんですが(笑)。――
こんな感じの、「世話焼き系ツッコミヒロイン」っぽいの好きじゃないっすか、久米田さんって。そあらといい、初期の羽美といい。
ただ、このコはそれだけではありません。
このように、中期以降の羽美や絶望の千里のように、さりげない意地の悪さも持ってます(笑)。
まあ、千里もある意味では「世話焼き系ツッコミヒロイン」なトコありましたが、ともかく、彼女らの成分も入ってます。
そう、「世話焼き系ツッコミヒロイン」でありながら、さりげなく意地悪でもあり、さらには、
真鍮でできた牛の中に人を入れ、下で火を焚くの!
すると、中の人が苦しむ呻き声から、まるで牛の鳴き声のように――
もーもーもーもーもーもーと!
拷問に目を輝かせるトコも(笑)。
すると、中の人が苦しむ呻き声から、まるで牛の鳴き声のように――
もーもーもーもーもーもーと!
拷問に目を輝かせるトコも(笑)。
羽美や千里にも、そういうトコ見受けられましたよね。ってか、彼女らは拷問を実践してましたが(笑)。
まあ、それはいいとして、まさにこのマゴというコは、久米田ヒロインのハイブリッド(笑)。
で、このマゴと卓のやりとりもいいですよね。まさに久米田ヒーローとヒロインのやりとり(笑)。
とくに、これがおもろかった――
マゴ(卓に対し)「将来、働きもせず、どこかの小部屋で孤独死して、発見されず腐乱していく――」
下の「うまいこというなぁ」「ひどいこといったの!」が、なんか月斗とそあらを彷彿させて懐かしい(笑)。
ってか、引きこもりの卓を外に連れ出すんだから、そあらよりも世話焼きで、かつ、ほかの久米田ヒロインよりアクティブかもしれません(笑)。
続きまして、最初はこの人が主人公かと思ってたサンジェルマン伯爵。
この作品における狂言回しとでもいうべき存在でしょうか?
人間とはちょっと違う存在で、彼らの寿命は約一年のみのようです(様々な時代に点在できるだけの存在)。生まれて一ヶ月で成人し、その後死ぬまで同じ姿である、とのことです(ゆえに、後述の妹はわずか数週間前までは幼女の姿だった)。
まあ、これはなんか・・・そういう設定を演じているだけかもね。すなわち、「今回の糸色先生ポジションで、最終回近くに『じつはこういう世界でした』的な説明をするのがこの人と妹さん・・・?」って気も(笑)。
ともかく、寿命の短さゆえに、「引きこもる」「昭和の子供のヒマつぶしみたいなことをやってる」「七味を七つに分けてる」、
「葉っぱから落ちてくる水滴が、何粒で口の中をいっぱいにするか数えている」
などと、ひたすらなまでに時間を浪費している卓に対し、激しい嫌悪感を抱きます。
まあ、自分が一年しか生きられない存在としては(これが「そういう設定をかたっている」のではなしに、本当のことであったら)、頭にきますよね。
ただ、おもしろいくらいにキレやすい人で(世間の常識と自分の思考との乖離に精神が耐え切れなくなってブチギレたときの羽美や千里並みかも/笑)、そのせいか、(前述のとおり)マゴにいいようにからかわれてたりも。
最後に、サンジェルマン伯爵の妹――広いつばのお姫様。
名前はまだ呼ばれてないし、名乗ってもいないと思います。
伯爵の妹で、伯爵と同じ存在ではあるのですが、彼女の場合は、時間を浪費する卓に惹かれています。兄とは正反対に、時間を無駄に使っている(彼女から見れば「使える」)ことを「贅沢」ととらえ、自分ではできない贅沢な時間の使い方をする卓を時セレブととらえ、卓に恋心を抱きます。
ただ・・・このコも、伯爵が糸色先生ポジションなら、倫ちゃんや、場合によっては知恵先生、すずポジションかも・・・?
って、今回の“黒幕”は、伯爵兄弟に仕える執事みたいな兄ちゃんかもしれませんが(笑)。
そんなこんなで、「せっかち伯爵と時間どろぼう」、第1話は普通におもしろかったです。先が楽しみですね。
ただ、今回は「時間の浪費に対するそれぞれのキャラのとらえ方」といったものがテーマとなっちゃってるんで、とくにテーマを設定しなかった改蔵や絶望とは違い、あまり長くは続けないつもりかもしれませんね。
蛇足――
ウチの地元も、「サンジェルマン」いえばパン屋です。
・・・この新連載、思ってたよりずっとおもしろかったんで・・・ちょっとパン買いに行ってきます!
いや~、新連載が開始されるというのに、前情報が全然なかったので「いったいどういう話になるんだ?」といろいろ予想はしてましたが、まさかこういう話にするとは思ってもいませんでした。
吸血鬼伝説の代表格であるドラキュラ伯爵や、ルパン三世の映画の敵キャラのモチーフとなったカリオストロ伯爵と違ってあまり名を知られてはいないものの、その謎の多い人生から不老不死者説やタイムトラベラー説がささやかれたサンジェルマン伯爵を持ってくるとは意外でした。
しかも、「寿命が一年しかない四次元人」という新解釈を付けて。
今回の主人公の卓くんとヒロインの真心ちゃんは、僕も南国の月斗とそあらを連想しました。
というより、絶望先生の終盤の話も南国の最終回のリメイク的な要素も入ってるので、今作品の卓君と真心ちゃんも過去作のリメイクも少し入ってるんでしょうね。
ともかく、ネギま!に対抗するためにやたらと登場人物を多くした絶望先生と違い、今回はキャラ人数は少なくしていくんだなと読んでいて思いました。
伯爵が自分達の寿命を「一年」と言っていることから、おそらく久米田先生は短期・あるいは中期連載の予定でいるのでしょうけれど、果たしてこの作品をどういう着地点に久米田先生は持っていくのか。
ともかく、生きる希望がまたできて良かったと心から思います!
たしかに予想外でした。改造、絶望路線もありますが、結構南国テイストなんで。
そういえば、前情報ありませんでしたねw 強いて言えば、サンデーでやった読み切りが、雰囲気として近かったかも。
卓とマゴ、やっぱ月斗とそあらっぽいとこありますよねw 二話立ち読みしたんですが、マゴのドキドキぶりなんか見てるととくに。
そしてフルヌードの妹とかw ますます南国っぽいw
そういえば、サンジェルマン伯爵の都市伝説?って、ホントにあるんですってね。まあ、この作品の伯爵がホントにサンジェルマン伯爵なのかはわかりませんがw
ってか、絶対、あの執事はなんかあるw
私も、今回は長くはやらないかなって気はしてますが・・・羅列ネタが出たことで、久米田さんお得意ののらりくらりなペースになり(笑)、案外続くかも?