正直、アニメのエンディング曲が、私にとっての“入口”でした(笑)。
「ごめんね、いいコじゃいられない」という曲で、「キルラキル」というアニメのエンディング曲だったんですが、この曲で沢井美空(さわいみく)というミュージシャンを知ってね。最近になって、やはりアニメのエンディング曲「カラフル。」を聴いて、この曲もよかったんで、とりあえずアルバムも買ってみました。
で、このアルバム「憂鬱日和。」が思ってた以上によかった、全体通しで(笑)。
やっぱね、女性ミュージシャン(ヴォーカリスト)って、
作詞能力だよな。
もちろん、売れた人、売れてる人ってのは、同時に作曲能力も高いことが多いけどね。沢井さんもそうだと思うし。
で、作詞能力ってのは、
聴いてる人間に、情景や世界観、あるいは心情といったものを瞬時にイメージさせる「描写能力」が必要ね。
まあ、これは聴く側の嗜好もあるんだけどさ。
っていうか、沢井さんの場合は、
タイアップした曲は作品の世界観や主人公が、ノンタイアップ曲はその歌詞におけるそれらが、まるで彼女に憑依してるかのような描写なのね。
これは貴重な才能だと思う。そもそも、オレが沢井さんを知ったきっかけである「ごめんね、いいコじゃいられない」にしても、あるいは「カラフル。」にしても、まさにそんな感じ。沢井美空に世界や主人公が憑依して、彼女の体や声帯を借りて訴えてきてるみたいな。
そんな能力、センスを気に入ってね、このアルバムを買ってみました。
それと、ルックス(笑)。本人は「冴えない私は~」なんて謙遜してますが、普通にかわいいと思います。まあ、美人女性ヴォーカリストによく見られるような「女優やモデル的な、あるいはアイドル的な」といったものではないけど、等身大のかわいさみたいなものはあると思う。
で、ここから収録曲について。
1曲目の浮遊旋律。なにもOPナンバーは、必ずしもアップテンポな曲である必要はありません。
この人の歌詞は一人称が「僕」であることが、すなわち少年視点も多いのが、男でも入ってくることができる理由のひとつではあると思います。オレのようなおっさんも、ほんのちょっとだけ少年に戻れる・・・かな? (笑)
2曲目は「カラフル。」。アニメ「冴えない彼女(ヒロイン)の育てかた」のエンディング曲です。
これはポップでややアッパーな曲調でね。なにより歌詞が、作品のヒロインたち(主に加藤さん視点か?)の心情を表してる、いや、加藤さんらが沢井さんに憑依してるかのような描写になっててね、そういうトコ――
沢井さんの感受性、理解力・把握力、そして表現力にたまらなく惹かれますね。
沢井さん本人としては、最も感情移入してたのは、やっぱ加藤さんなのかな? (笑)
4曲目の「I know」もいいですね。これは女の子視点で、彼女がなにいっても「わかってる、わかってる」といった具合に、適当に相槌打つだけの男の子に対してね、「あんまり干渉したくはないけど、もうちょっと・・・」って心情がね、かわいいですよね。
で、5曲目の「Lost Generation」。これ、かなりお気に入りよ(笑)。
ってか、微妙にロック調な曲もやるんだね。
やっぱ、オレら世代の男はギターサウンドなんですよ(笑)。
ホントの話かわからんけど、なんか意識高い系のバンドが「いまどきギターロックなんて」みたいなこといったとかいわないとかって話だけど、
だったら、オレは意識低い人間で結構です(笑)。
それはともかく、ちょっと意外だったかな、ロックテイストな曲については。「ごめんね、~」は、昭和歌謡ロックパロディみたいなコンセプトのある、例外的な曲かと思ってたけど。
やっぱ、普段はポップな曲、メロディアスな曲が多いであろう女の子ヴォーカリストが、ロック調な曲もやるのって、なんかいいやね。
あまりテクニカルなことを考えずに、一生懸命、声を張り上げるような歌い方が、逆にいいですよね。
ってか、シャウトの不慣れなさまが、逆にかわいい(笑)。
そういえば、miwaなんかも、そういう魅力ありますよね。
まあ、この曲、イントロのギターがKISS辺りで聴いたことのあるフレーズだったりもしますが(笑)。
9曲目の「SAKURA-iro」。これは女の子視点のかわいい曲ですよね。ポップでキャッチーで、いかにも「春の柔らかい日差しの下、カップルになりたてのふたりが」って世界観も好きです。
で、10曲目。
読めんし、書けん(笑)。
タイトルのことなんですがね。書いても字化けする記号を用いてます(笑)。
これも「ロック調の曲」といっていいかな。まあ、「チャラいとまではいわんけど、あまり(少なくとも自分に対しては)誠実ではない男の子にフられ、悪態ついてる」「でも、決して本人にはいえず、あくまで自分の中での悶々としたもの」って感じの歌詞ですかね。
「酔ったふりも嘘もキスも、いまだからいうけど下手よ」――男にとっては「ドキ、グサッ」です(笑)。ただ、前述のとおり、本人にはいえないで、あくまで内に向かって、もう世の中そのものに、人生そのものに絶望しているかのような世界観です。
・・・大丈夫かな? こういう歌詞書ける女の子ミュージシャンって、結構、精神的に・・・まあ、面識もないオレが心配することじゃないでしょうが(沢井さんやスタッフが知ったら、気持ち悪くなるでしょう/笑)。
最後に、11曲目の「ごめんね、いいコじゃいられない」。この曲で、沢井美空というミュージシャンを知りました。
「キルラキル」ってアニメのタイアップ曲でね。この作品が「昭和の大映ドラマにありそうな、スケバン青春グラフィティ」のパロディみたいな作風で、そのエンディングってこともあって、歌詞のほうにもそういう世界観が表れてますよね。曲調も「昭和の歌謡ロック」的な感じだし。
ってか、ホントに沢井美空の理解力、表現力はすごい!
絶対、昭和なんて知らないであろう世代なのに、「それっぽさ」をきっちり表現できてる。
繰り返すようですが、これは貴重な才能です。
この曲はね、やっぱ懐かしい雰囲気もあって、とくにリピートしまくってます(笑)。このアルバム自体がヘビーローテーションなんですが、やっぱこの曲はとくに繰り返し聴いちゃう(笑)。
そういえば、このアルバムにはDVDがついててね。「ごめんね、~」や「カラフル。」のPVなんかが収録されてんですが・・・
やっぱ女は天性の役者(笑)。
沢井さんが演技やってたかは知らんけど、「ごめんね、~」における「堕ちきることはできないんだけど、生き方が不器用、他人とうまく接することができない、陰のある女の子」っぷりに対して、「カラフル。」における「等身大の女の子っぽいかわいさ」――同一人物とは思えません(笑)。
そんなこんなで、沢井美空のアルバム「憂鬱日和。」についてでした。
少なくともこのアルバムを聴いてる限りでは、この人の才能は貴重なものがあると思います。
オタクなオレがいうのも何ですが(笑)、
アニソン歌手、アニソン系歌手で終わらせるにはもったいない。
アニメタイアップもいいけど、ドラマやCMタイアップを狙っていったほうがいいんじゃないかな?
それと、なによりライブ。ライブで地道に力つけたミュージシャンってのは、やっぱ強いですよ。
ま、その辺は本人が決めることであってね、外野がどうこういうことではありませんね(失礼しました/笑)。