角口酒造店 酒の履歴書

長野県飯山市の酒蔵の酒造りブログ

長野の酒メッセin東京2010を終えて

2010-05-20 | 未分類
昨日長野の酒メッセin東京2010に出展し、今日帰ってきました。
お越しいただいた皆様、ありがとうございました。
ウチのお酒はいかがだったでしょうか?



今回は私の相方が急用で来れなくなってしまったので
"1人でも十分にお酒を提供するにはどうしたらイイか・・・?"
というコトで他社とは全く違う方法、セルフサービスでの提供をさせていただきました。

概ね好評だったようで、「試飲会でこんな提供方法は見たコトがないが、コレはイイね!」というお言葉を多くの方からいただきました。



お酒の方もまずまずだったようで、今回持参したお酒のほとんどが終わってしまいました。
特に大吟醸が好評だったようです。
終わってしまって飲めなかった方はゴメンナサイ。。。



今回も多くの方にご来場いただきました。
来年の会場は赤坂プリンスではなくなるのかな?
場所が変わっても皆様にお会いできるコトを楽しみにしています。
お疲れ様でした!

今シーズンの反省など

2010-05-13 | 未分類
お久しぶりです。
酒造りが終わってからロクにログインもせずに放置していましたが、ひとまず今シーズンの総括なんかしとかないとなぁ・・・と思いましたので、グダグダと書いていきます。



GOOD!な項目

・無事に終えた!
蔵人全員大きなケガも事故もなく造り終えました。
杜氏として、この点は最重要項目です。


・すべての酒がちゃんと売り物になる品質で仕上がった!
これも超重要項目ですね。
もちろん全部が全部最高の、造り手の理想とする酒に仕上がったワケではありませんが、商品としてキチンと代金をいただける品質のお酒にはなっていると思います。


・改革の成功!
完全週休制と仕込配合の大幅な見直し、上槽日の事前決定などなど今年は様々な面で製造の改革を行いました。
これらは"机上の論理"であって、実際に稼働してみないとドコに欠陥があるのか、ドコにムリがかかっているのかわからない部分が多々あります。
今回の酒造りでは、確かにいろいろな部分で多少の"ムリ"は発生しましたが、ほとんど製造の計画どおりに進めるコトができました。
まぁその"ムリ"を補うための週休でもあるんですがね。
来年以降も今回のやり方で進めていけそうです。



BAD・・・な項目

・1月以降の急激な冷え込みに対処できなかった・・・
大きな仕込は問題なかったのですが、150kgでチマチマ仕込んだ酒は1月以降の冷え込みの対処が甘かったですね。
仕込量がものすごく小さいのでこちらの予想以上に温度の影響を受けてしまいました。
もろみ日数もかなり延びましたし。。。
まぁ逆に12月上旬までに仕込んだ150kg仕込の酒は、気温が高くて温度を下げる方で苦労しましたけどね。
来年へ向けての課題であります。


・一か所にムリがかかりすぎ・・・
仕事内容に関してなんですが、ある1か所にどうしてもムリがかかってしまいました。(内部の人間以外には、なんのコトだかワケがわからないと思うので詳しくは書きませんが・・・)
作業内容をいったん総合して再分配しなきゃならないと思いました。
これも来年への課題です。



ひとまずこんなところでしょうか。
このブログに関しても、清酒業界にほとんど(まったく?)無い「清酒製造のトレーサビリティ」みたいなコトを実現したかったのでやってみました。(毎日ネタ探しをしたくない!というのも理由にありますが。。。)
ところどころサボったりまとめてUPしたりしていますが、とりあえず製造のトレーサビリティとして機能してくれる程度のモノにはなっていると思います。
そんな意味の「酒の履歴書」です。
ウチの酒を飲むときに身近にパソコンがあれば、どうやって造られたか見ながら飲める!という、まぁただそれだけのモノなんですが、どうやって出来上がったかを見ればフツーに飲むより多少はおいしく感じられる!かもしれません。


来年以降このブログはこの方向でやるかどうか・・・。
いや、ただ写真撮って一言コメントつけてUPしてるだけですがね・・・結構大変なんですよ。。。
日記的なコトもスゲー苦手ですしね。。。
ひとまず今シーズンは無事終了です。

またたまーにUPすることもあると思いますので、たまーにこのブログをチェックしてみてください。

掃除と準備の日々

2009-11-10 | 未分類

掃除と準備ばかりで特に公開できるような写真がないので、米の写真でお楽しみください。


明日から、と言っても今週は1度だけですが洗米に入ります。
1本目の酒母用の麹なので大した量ではないんですがね。
今日で麹を作るための器具等がそろったので一安心。
準備は思った以上に予定通り進んでいますので、明日からはあまりセカセカしなくてイイかんじです。

今年は麹作りでもいろいろと試してみたいことがありますんで、まぁ一発目に少し実験してみようかなぁと。。。
酒の"味"の部分は麹によって決まってしまいますので、非常に重要です。
と言うか良い麹(=目的に沿った麹)を作ることが、良い酒を作り出す一番の近道であると思います。
ひとまず明日の洗米が第一関門になりますので・・・何か最初の洗米なので「今季を占う!」みたいなことは言いたくないんですが・・・上手くいくようにしたいもんです。

平成21年度入蔵

2009-11-09 | 未分類

平成21年度の酒造りが今日始まりました。
個人的には今年2度目の入蔵です。

飯山市内の蔵人(酒造りの職人)が3人と若手社員のT君、それに私の計5人で主に酒造りを行います。

あいさつと今季の方針、新しく増設した設備を確認してすぐに作業に移ります。
とにかく掃除、掃除、掃除。。。
約半年間使っていなかった場所と器具を一気に掃除していきます。

良く言えばアタマが整理されている状態、悪く言えば「そーいえば去年こーだったなぁ~」とスッポリ抜けた状態でもあり、ひとつずつ確認しながら進めていきます。






お掃除中の原料処理室です。





今年は11/11からさっさと酒母用の麹を作ってしまう予定なので、若干忙しい。。。
やっぱり先に準備を進めておいてよかった!

とりあえず今週は酒母麹を作ること以外はすべて掃除と機器の設置です。
来週の月曜から本格的に稼動するので、それに間に合うように。
慌ただしい日々のはじまりはじまり・・・というワケです。

今季の酒造りに向けて

2009-11-08 | 未分類
いよいよ明日から今季の酒造りの開始となります。
蔵人が入る準備などでバタバタしていますが、今シーズンの酒造りについて少しご紹介しておこうかと思います。
蔵に入ったら、なかなかゆっくりしている時間も取れないでしょうからね。。。



今季は11種類・19本の酒を仕込む予定でいます。
内訳としては、

・優撰(普通酒)・・・8本
・本醸造・・・2本
・純米酒(new!)・・・1本
・特別純米・・・1本
・吟醸(new!)・・・1本
・純米吟醸・・・1本
・大吟醸・・・1本
・純米大吟醸(new!)・・・1本
・企画モノその1(new!)・・・1本
・企画モノその2(new!)・・・1本
・企画モノその3(new!)・・・1本

↑ちゃんと19本ありますよね?

「秋しぼり」で使った小さなタンクの有効活用と、優撰・本醸造の仕込量の大型化(従来の1.5倍増)などで、かなりいろいろな種類の酒を造ることができるようになりました。
先シーズンの酒造りで十分に実験しておいた成果です。
・・・まぁ「成果です」なんて言っても出来上がった酒がマズけりゃ何の意味もありませんがね。



それと日曜日を定休日にしてしまいます。
昨年までは日曜も交代で出勤して、洗米や麹の管理をしていました。

"日曜定休"は一昨年からの私の構想で、
「日程をうまくやりくりすれば日曜を休みにしても、全製造日数が同じまま現在と同じ量の酒を造れる!」
という方法を考え出しました。
昨年実際に仕込配合・製麹日程・上槽方法などなどを徹底的に見直して解体・再構築し、新たな製造方法での酒造りの実験を少し行っておきました。

今年はその集大成、すべての酒にこの方法を応用して日曜をお休みさせていただきます。
今年の酒がすべてマトモなモノに仕上がれば大成功!
来年以降もそのまま日曜が定休になります。
ですが、もしうまくいかなかったら・・・また日曜出勤を考えなくてはならないですね。。。

やっぱり休みがあると無いとでは、肉体的にも精神的にも全然違います。
週1休みでのリフレッシュ・気持ちのリセットは、酒そのものにも良い影響を与えるのでは・・・とイイ方に勝手に解釈しています。
まぁ昨年しっかり実験しておいたので、どの酒もキチンとしたモノになるのではないかなぁと思いますが。



今季のテーマとしては
「20世紀・昭和の酒造りから21世紀・平成の酒造りへ!」

何をもって"20世紀・昭和の酒造り"とするのか、何をもって"21世紀・平成の酒造り"とするのかなんてのは、な~んの決まりもありません。
が、ウチとしては"コンセプトのハッキリとした少量多品種化"、"日曜の定休化"が「ウチなりの」21世紀・平成の酒造りであると考えています。
がんばって成功させましょう。



酒造り全体としてはこんなモノですかねェ。
各酒についてはそれぞれの製造に入ったらご紹介しようかと。
ブログも「秋しぼり」のような形式で書いていこうと思います。

酒造り準備

2009-10-31 | 未分類
今季の酒造り、ウチでは11月9日に蔵人が全員集合して開始となります。
8月から製造した「秋しぼり 純米吟醸」のように、事前に製造して冷凍した麹や他社から購入した麹を使用する場合以外、酒造りは例外なく麹造りからスタートします。
(もちろんその前に”掃除”という大事な工程がありますが)

今年の計画では例年に比べて早くに麹造りを開始する予定です。
なので11月9日まで待って準備を始めたら間に合わない!

ということで、蔵人集合の前に一足はやく麹作りの準備をやってしまいます。






麹蓋(こうじぶた)を洗ってやります。



ウチでは、この麹蓋は吟醸などの高級酒用麹を作るときに使います。
普通酒・本醸造用麹は自動製麹機(じどうせいきくき)を使って作っています。
そちらの方はまた後々登場するコトになろうかと思います。



麹蓋を使うからといって、今季の一発目から高級酒を造るワケではないんですが。。。
自動製麹機とその周辺を掃除して設定・設置するのには、それなりに時間がかかります。
蔵や麹室(こうじむろ:麹を作るための部屋)の構造にもよりますが、ウチの場合麹蓋を使った方法の方が準備が少なくて済むため、こちらの方法を選択しました。
「準備」という点だけなら麹蓋を使った方がお手軽ですね。
ただしそれ以外はぜ~んぜんお手軽ではありませんがね。。。






よ~く洗って






熱湯殺菌して






天日でよ~く乾かせば完了です。





さらに床部屋(とこべや:蒸した米を広げ、麹菌を植付ける場所)や・・・





棚部屋(たなべや:床部屋で約1日間過ごした米を麹蓋に入れ、温度管理する場所)を拭き掃除&殺菌消毒していきます。



ひとまずこんなトコロで作業終了です。
まだ小物類の掃除などなどありますが、11月9日からで間に合う・・・という目論みで。



あと10日ほどで酒造りの開始です。
な~んとなくソワソワしてきた感がありますね。



ところがここに来て「一部の米の入荷が間に合わない!」という厄介なお知らせがッ!
どうも稲の刈り取りが遅れている関係のようです。
そんなワケで今製造計画の見直しをちょこちょことしています。
原料が入ってこなきゃ酒なんて造れないですからね。。。



去年も一部入荷が遅れて、製造の直前で計画を変更しました。
こればっかりはどうしようもない部分があるんですがね・・・さすがにヒヤヒヤします。
まぁここら辺の計画変更も私の仕事ではあるんで。
”何とか”うまくいくようにしましょう。

長野の酒メッセ2009

2009-10-16 | 未分類
長野の酒メッセ2009に出席(出展?)してまいりました。
今回持っていったお酒は

秋しぼり 純米吟醸しぼりたて生原酒
ひやおろし生一本
雪幻にごり 純米フローズン生酒

以上の3点です。




会場前のウチのブースです。

今回写真はコレしか撮れませんでした。。。
言い訳としては”いろいろと忙しくて!”
忙しさが落ち着いた頃には「蛍の光」が流れ出しましたとさ♪



さてお酒の評価はといいますと・・・概ね好評だったのではないかと思います。
まぁ蔵元の人間に向かって「マズイ!」なんて言うヒトもそうそういませんけどね。。。



雪幻にごりはいつものように黒山の人だかりで、長い行列までできてしまいました。
たくさん飲んでいただいてありがたいです。
コレが直接売り上げに結びつけばイイんですね。
なかなか簡単にはいかないモノで。



反省点もたくさんありますが、まずまず上手くプレゼンができた酒メッセだったのではないでしょうか。
ウチのブースまで足を運んで試飲してくださった方々に感謝いたします。

金紋錦の会

2009-09-30 | 未分類
飯山のJAで開かれた「金紋錦の会」に出席してきました。



「金紋錦の会」とは、長年にわたり「金紋錦」を長野県木島平村の農家との契約栽培で守り続けてきた、石川県の株式会社 福光屋さんを中心に「金紋錦」を使って酒造りを行っている7社の酒造メーカーとJA北信州みゆきさんにて構成される会です。



今日は収獲前の稲の状態の見学と、分析等による本年度の「金紋錦」の出来具合の報告をしていただきました。






収穫間近の「金紋錦」です。






こちらは試験的にJAS規格に沿う有機栽培方法で栽培した「金紋錦」です。
紙マルチを使用したため稲の間に溝ができているとの説明を受けました。






等級検査会場も視察させていただきました。













さて、今年の「金紋錦」の出来ですが・・・
例年になく”悪い”とのことでした。。。



6月中の雨の多さや、昨年の積雪量が少なかったが為に発生する害虫の出現など色々な要因があるようです。
こうして見るとホントに「自然を相手に」戦っているのだなぁとつくづく思います。
ある意味、酒造りよりもシビアな世界ですよね。



幸いワインと違って、日本酒は原料の品質がダイレクトに酒の質に反映されません。
それ以上に造り手の技術がモノをいいます。
技術さえあれば品質のあまり良くない米でも高品質の酒を造り出すことが可能です。
逆に最高の米を使っても駄酒にしかならなかった、なんてコトも起こりうるって意味でもありますが。。。



今後様子を見ながら刈り入れとなるようです。
「可能なものはある程度刈り入れ時期を後ろに引っ張って、なるべく良い状態で刈る」とのことでした。
ココらへんは酒造り、特に「麹作り」と「上槽」に通じるモノがあるなぁと感じました。



大事に育てていただいたお米、大事に使わせていただきます。