総合科学出版の「営業の人」こと森口正宏氏よりご献本いただきました。(毎度ありがとうございます)
今回は、
原子力と原子力発電をほんとうにわかりやすく解説した本である。
東日本大震災にともない発生した福島原発の一連の事故で、連日ニュースなどで報道されていて思うのだけれど、原子力関係の用語ってむつかしい。
ベクレルやシーベルトなんかの数字を伝えてくれるのはありがたいのだけれど、その数字が実際どれほどのものなのか感触としてぜんぜんわからない。
こんなの、40℃の気温を知らないエスキモーのひとに「40℃を超えました。熱中症に注意してください!」と言っているようなもので、なんにも伝えていないに等しいのだ。
40℃になるとなぜ熱中症になるのか。熱中症はどういうしくみで体に悪影響を及ぼすのか、その状態はどれほど危険なのか。よってその予防策は。と、順を追って説明しないといけないはず。
でもテレビのニュース番組なんかを見ていると、いまだに「放射線」「放射能」「放射性物質」の三つを混同して伝えていたりしていて、僕はなんだかゲンナリしてしまう。「あ、このひとたちも知らないんだな。知らないけど原稿に書いてある数字を読んでるだけなんだな」とか思うのだ。
なら、
テレビを切ってわかるひとに説明してもらおう。
そこで本書。
→『みんなの原子力発電
』青山智樹・総合科学出版
』(宝島)や『手にとるように物理学がわかる本
』(かんき出版)などを書いている青山智裕氏。タイトルからも想像できる通り、彼の文章は本当にわかりやすい。
さらに図版も多用されていて、「原子力とは」「放射能とは」が直感的にわかるしくみだ。
すこし引用してみる。
ここまでわかりやすい説明を、僕はちょっと見たことがない。
本書はこういった原子力や放射線の初歩の初歩から、被曝したときの人体の影響、さらには福島第一原子力発電所がなぜこうなったのかという説明と今後の課題、代替案となるクリーンエネルギーの問題点などもわかりやすく解説してあって、この一冊で「原発とエネルギー問題」の「どうして?」がすんなり理解できる。
ご献本いただいた書籍をあんまり褒めると「嘘だろ?」と思われそうで気がひけるのだけれど、でも本当にわかりやすいのだからしかたがない。
「原子力」と「放射能」のいろいろな疑問を、ここまで広くわかりやすく集めた本って、ほかにはちょっとない。
原発関係で「?」と思ったことがあったら、まずこの本を読んでみればいいんじゃないだろうか。
オススメ。
→『みんなの原子力発電
』青山智樹・総合科学出版
もくじ
僕個人的には、「濃縮ウラン」についてと「放射線被曝」のしくみについて知ることができたのが助かった。
ニュースで「濃縮ウラン」と聞くたび、僕は90%とか100%に濃縮された純ウランみたいなものだろうと思っていたのだけれど、実際はそうではないらしい。
放射線被曝にしてもそう。
「白血病とかガンを引き起こす、なんだか得体の知れないもの」ではなくて、その実態は原子レベルの小さなカケラが散弾銃のように飛んでいるようなものだ。銃口の近くにいけば被害が大きくなるだろうけれど、離れれば威力は落ちる。だからきちんと避ける方法もある。
たしかにこれを知っても安心はできないとは思う。
でも僕たちはもう、そういう世界に足を踏み入れてしまったのだからしかたがないじゃないか。かくなるうえは、きちんと怖がって上手に避けることが必要なのだ。
→『みんなの原子力発電
』青山智樹・総合科学出版
今回は、
原子力と原子力発電をほんとうにわかりやすく解説した本である。
![]() | みんなの原子力発電価格:¥ 1,470(税込)発売日:2011-05-23 |
東日本大震災にともない発生した福島原発の一連の事故で、連日ニュースなどで報道されていて思うのだけれど、原子力関係の用語ってむつかしい。
ベクレルやシーベルトなんかの数字を伝えてくれるのはありがたいのだけれど、その数字が実際どれほどのものなのか感触としてぜんぜんわからない。
こんなの、40℃の気温を知らないエスキモーのひとに「40℃を超えました。熱中症に注意してください!」と言っているようなもので、なんにも伝えていないに等しいのだ。
40℃になるとなぜ熱中症になるのか。熱中症はどういうしくみで体に悪影響を及ぼすのか、その状態はどれほど危険なのか。よってその予防策は。と、順を追って説明しないといけないはず。
でもテレビのニュース番組なんかを見ていると、いまだに「放射線」「放射能」「放射性物質」の三つを混同して伝えていたりしていて、僕はなんだかゲンナリしてしまう。「あ、このひとたちも知らないんだな。知らないけど原稿に書いてある数字を読んでるだけなんだな」とか思うのだ。
なら、
テレビを切ってわかるひとに説明してもらおう。
そこで本書。
→『みんなの原子力発電
「原発なんて、わたしには関係ないことと思ってた」では済まされない!著者は『世界一わかりやすい放射能の本当の話
短絡的にYES、NOをいうのでなく、わたしたち「みんな」には覚悟が必要なテーマになってしまった(いや、本来なら以前から。)そのために、いま一度、科学的な知識から「いくつもの?を!にする」材料を提供した本である。
さらに図版も多用されていて、「原子力とは」「放射能とは」が直感的にわかるしくみだ。
すこし引用してみる。
まずここでは、放射線というのは「ビーム」、あるいは「遠赤外線」のようなものであると仮に考えてください。怪獣映画に出てくるビームです。あるいは懐中電灯でも構いません。
もしビームを一ヶ所に集中させたらどうなるでしょうか? 何らかの反応が起こるのは想像いただけるでしょう。
懐中電灯はつけたり消したりできます。(略)放射性物質ではそういうことはできません。同じページには【放射線は光のビームのようなもの】というタイトルの図版があって、それを見ると「懐中電灯が放射性物質だとすると出てくる光が放射線、光を発する能力が放射能にあたるんだな」というのがよくわかる(14ページ)。
放射性物質は何もせずにビームを発している物質なのです。
ビームを発している物質を一ヶ所に集めたらどうなるでしょうか。
ここまでわかりやすい説明を、僕はちょっと見たことがない。
本書はこういった原子力や放射線の初歩の初歩から、被曝したときの人体の影響、さらには福島第一原子力発電所がなぜこうなったのかという説明と今後の課題、代替案となるクリーンエネルギーの問題点などもわかりやすく解説してあって、この一冊で「原発とエネルギー問題」の「どうして?」がすんなり理解できる。
ご献本いただいた書籍をあんまり褒めると「嘘だろ?」と思われそうで気がひけるのだけれど、でも本当にわかりやすいのだからしかたがない。
「原子力」と「放射能」のいろいろな疑問を、ここまで広くわかりやすく集めた本って、ほかにはちょっとない。
原発関係で「?」と思ったことがあったら、まずこの本を読んでみればいいんじゃないだろうか。
オススメ。
![]() | みんなの原子力発電価格:¥ 1,470(税込)発売日:2011-05-23 |
→『みんなの原子力発電
もくじ
第1章 原子力はどうして発電できるのか本書を読んで。
1 原子力といっても、しくみは“巨大な蒸気機関車”
2 原子炉の正体は“制御された核反応”である
3 原子炉はどうやって熱を起こしているのか
4 代表的な原子炉の種類
5 原子炉と建屋の構造はどうなっているのか
6 原子炉はどのようにコントロールするのか
第2章 「核」のことを少し知っておこう
1 元素の“性格”がわかる周期表
2 「放射線が出る」ということ
3 「不安定な物質」ということ
4 核分裂はなぜ起こるのか
5 ウランが核分裂するとき
第3章 放射能はどれだけ怖いのか?
1 見えないから怖い放射線
2 放射線によって被曝するとどうなるのか
3 なぜヨウ素ががいつも問題になるのか
4 特定が難しい放射性元素
5 放射能からどのくらい逃げれば安全なのか
第4章 福島第一原発でなにがあったのか?
1 「想定外」の原発事故
2 明らかに重大事故……これも想定外の「炉心溶融」
3 さらに「想定外」……使用済み燃料プール
4 これもまた「未曾有」の原子力事故レベル
5 「福島第一原子力発電所」の今後は
6 放射性廃棄物はどうなるのか
7 今後の放射能はどうなるのか
8 「いまは危険ではない」という言葉の本当の意味
第5章 原発の現状とその他の発電方法
1 原子力発電の現状はどうなっているのか
2 火力・水力発電の技術革新
3 従来と同様にタービンを回した動力で発電する方法
4 化学的な反応を電気に変える方法
5 ポイントは大規模電力の供給
僕個人的には、「濃縮ウラン」についてと「放射線被曝」のしくみについて知ることができたのが助かった。
ニュースで「濃縮ウラン」と聞くたび、僕は90%とか100%に濃縮された純ウランみたいなものだろうと思っていたのだけれど、実際はそうではないらしい。
九〇%濃縮などという大袈裟なものではなく、二%から三%の低濃縮ウランを使っています。これだけ薄いと原爆のような爆発的な連鎖反応は起こりません。さらにメルトダウンすれば、まわりのいろいろな金属も一緒に溶けて不純物の割合が増えるのでさらに反応は起こりにくくなる。有毒物質が漏れているので不安は消えないけれど、でも「核爆発するかも!?」とか過度に悲観的になる必要はないわけだ。
放射線被曝にしてもそう。
「白血病とかガンを引き起こす、なんだか得体の知れないもの」ではなくて、その実態は原子レベルの小さなカケラが散弾銃のように飛んでいるようなものだ。銃口の近くにいけば被害が大きくなるだろうけれど、離れれば威力は落ちる。だからきちんと避ける方法もある。
たしかにこれを知っても安心はできないとは思う。
でも僕たちはもう、そういう世界に足を踏み入れてしまったのだからしかたがないじゃないか。かくなるうえは、きちんと怖がって上手に避けることが必要なのだ。
「原発なんて、わたしには関係ないことと思ってた」では済まされない!パニックやヒステリーを起こしても、 いいことなんてなんにもないんだからね。
短絡的にYES、NOをいうのでなく、わたしたち「みんな」には覚悟が必要なテーマになってしまった(いや、本来なら以前から。)そのために、いま一度、科学的な知識から「いくつもの?を!にする」材料を提供した本である。
![]() | みんなの原子力発電価格:¥ 1,470(税込)発売日:2011-05-23 |
→『みんなの原子力発電