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鏑木保ノート

ブックライターの書評、本読みブログ。

【書評】『天皇家99の謎』歴史の謎研究会編・彩図社

2015年08月08日 | 歴史
 天皇家の初代神武天皇からの「欠史八代」とか、継体天皇はじつは……という系の話、僕は大好きなんだ。


 そんなわけで本書。
天皇家99の謎
彩図社


 表紙に神武天皇像があるので、僕はもうちょっと難しめな歴史本なのかなと思って開いたのだけれどそんなことはなかった。天皇にまつわる謎と雑学の本。


 一番最初の謎は『そもそも、天皇家とは?』。
 日本国憲法第一条の「天皇は、日本国の象徴であり云々」ってアレなんだけれど、じゃあ象徴ってなんなんよ? って部分をコンパクトに解説してくれる。
 見開きで右ページに解説を、左ページには図版をのせているつくりでサクッと読めてわかりやすい。

 ほかにも第一章では『天皇家はなぜ苗字を持たないのか』とか『天皇家の人々は日本国の「国民」か?』、『天皇家の家紋はなぜ菊になったのか?』などなど、身近だけれど、「そういえばこれってどうなんだろう?」という謎が紹介されている。


 ちなみに。
 天皇家の家紋が菊というのはみんな知っている。パスポートの表紙も菊の紋だし戦時中には戦艦大和とか軍艦の艦首にも菊紋がついてたりもする。だから僕はてっきり日本という国の家紋のような……なんていうんだろう、国旗とはまたちがう日本の公式エンブレムのようなものが菊なんだと思っていたんだけれど、これ、違うんだそうだ。

 天皇家の紋が菊と決められたのは1873年の太政官布告ことで、それまでの天皇家は竹・桐・鳳凰の紋様や桐の紋様を家紋にしていた。

 そんでもって、現在の日本国の公式エンブレムも菊じゃない。
 「五七桐花紋」といって、桐の葉っぱの上に三本の枝があって真ん中が七つの花で左右が五つの花というデザインなんですよ。→五七桐花紋(Google)
 ってこれ、『信長の野望』の豊臣家の家紋じゃないかっ。


 天皇家に関係して、天皇家以外の雑学もあちこちにちりばめられていてさくっと読めた。それで本体価格537円のとても安い本だね。
 装丁はコンビニとかに並んでいるペーパーバックを思い浮かべていただければいい。カバーのついていないああいう形の本だ。


 このあとにも天皇家の謎はたくさん出てくる。

 第二章では天皇の実際の仕事と家計。
 毎日分単位のスケジュールで公務をこなし、天皇家に伝わる数々の儀式をいくつもやっているからすごい。天皇は超多忙なんだ。あと皇室にはどれくらいお金がかかってるのかとか「即位の礼」ってどういうものか、一般参賀には誰でもいけるのか、っていう疑問も説明されている。そうだったんだねー。

 三章、四章では日本史を彩ったいろいろな天皇の事跡や謎。
 神話時代から太平洋戦争末期の昭和天皇にまつわるエピソードまで、歴史上の「天皇の謎」に迫る。欠史八代も継体天皇も出てくるよ。あと最年少天皇とか在位最長の天皇なんかの情報もある。在位最年長は激動の近代を生きたあの天皇なんだ。

 最後、五章は天皇家の日常と未来。
 天皇陛下っていつもどんな料理を食べてるの? とか、皇族にも恋愛や結婚の自由はあるのか、とか昭和天皇と今上(平成)天皇のご趣味は? 競馬で「天皇賞」があるのはなぜか? といった身近な話題だ。


 どのページもすぐ読めるので、どこから読みはじめてもいいしどこでやめてもいい。電車の中とかで読むのにピッタリかもね。


 世界でも類を見ないほど長い歴史をもった天皇家。
 その天皇家にまつわる歴史の謎からちょっとした雑学まで。

 サクッと読めて楽しめる本だ。

天皇家99の謎
彩図社



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●こんな本も
『日本史の大誤解 激動の近代史編』夏池優一・彩図社

【書評】『セデック・バレ』嚴云農(イェン・ユンノン)・魏徳聖(ウェイ・ダーション)・出版ワークス

2015年06月13日 | 歴史
株式会社出版ワークスさまよりご献本いただきました。


セデック・バレ
出版ワークス
抗戦か、
降伏か――

セデック族屈指の勇士、
モーナ・ルダオが
戦いの狼煙を上げる


台湾中部の山岳地帯に暮らす誇り高き狩猟民族・セデック族。
1985年、日清戦争で清が敗れると、彼らの住む土地にも日本の統治は拡大。部族たちの平穏な生活は日々奪われていく。
それから35年、部族の有志たちがついに立ち上がる。集落を統べる頭目、モーナ・ルダオは一族の尊厳を胸に秘め、仲間たちとともに日本軍に抗戦する。だが、蜂起軍は日本軍が誇る近代兵器の前に花びらのように次々と散っていき……。
 1985年。
 日清戦争のあとに交わされた下関条約により、台湾と澎湖《ほうこ》列島の日本への割譲が決められる。以後、台湾は日本領として日本の統治下に置かれた。

 このすこしあとの1930年の10月27日。
 台湾原住民による、日本の圧政に反発した大規模な抗日暴動事件(霧社《むしゃ》事件)が起こる。これは歴史的事実(→Wikipedia)だ。


 本書は、
 その実際にあった霧社事件の頭目、モーナ・ルダオの物語だ。


 台湾で映画化され、台湾でノベライズされた作品を日本語に訳したのが本書になる。


 譲ることのできない尊厳を胸に戦った部族の、熱い物語だ。

セデック・バレ
出版ワークス

 一八九五年、モーナ・ルダオは十三歳だった。
 台湾の山岳地帯には土着の「セデック族」という狩猟民族が住んでいた。

 彼ら狩猟民族のセデック族には首狩りの風習があった。
 ひとことで「首狩り族」というと、なんだか「未開のジャングルに住んでいて探検に訪れた文明人を見つけると容赦なく襲ってくる理解不能の部族」というイメージがあるんだけれど(僕はいったいなにを読んでこんなイメージを持つにいたったんだろうか?)、実際はもちろんそんなわけじゃない。

 彼らには彼らなりのきちんと筋の通ったしきたりと、祖先の霊を祀る風習を守っているだけなんだ。
 祖霊の見守る森で狩りをして生きるため、他の部族との縄張り争いもある。
 一族を養うためには縄張りを死守しなければならないわけで、戦士として誇りを持って戦い、その結果としての首狩りがあるんだ。これは大人になるために避けて通れない通過儀礼でもあるし、さらには死後、祖霊の待つ虹の橋を渡るために絶対に必要な行動でもあった。だから狩ったあとを辱めるようなことはしない。憎い他部族の首であっても、いままでの恨みはなくなり、自分たちの仲間として、見守ってもらう対象としてきちんと敬った。
 つまり、これは確乎とした彼らの宗教なわけだ。
 種族の強大な戦闘力を維持するため、セデック族は男の子たちに大きな責任を与える。勇敢に戦闘に向き合うことを学び、自らの刀法と脚力を鍛えなければならない。いつでも戦場に赴き、危険と接近し、恐怖心を撃退し、進んで家園を守る責任を負う。戦いこそが、何者をも恐れぬ戦士を育て上げる。
 優れた狩りの技術をもち、敵の首を狩る(彼らは「出草《しゅっそう》」と表現する)ことでセデック族は初めて大人として「真正の人」、つまりは「セデック・バレ」と認められ頭目立ち会いのもと顔に大人の印の刺青をすることができる。
 セデック族はその刺青があって、ようやく結婚し次の世代を持つことができる。顔に刺青のない者は永遠に子ども扱いされ、将来は死んでも虹の橋を通って祖先の霊に会いに行くことはできない。
 顔に刺青がないことは、セデック族にとって最も恥ずべき堕落なのだった。

 男たちは戦士であることを求められ、戦士として生きて死ぬ。
 一族の厳しい掟に守られながら森林で生きてきたモーナは成長し、マヘボ社(=村)の頭目となり、やがては霧社のセデック族全体の頭目へと成長していく。

 当時、台湾に進駐したばかりの日本人の目には、このセデック族の風習が「未開の蛮族」に見えた。統治している日本人の大多数は相手を人間として扱わなかった。セデック族伝統の「出草」も「野蛮だから」といういう理由で頭ごなしに禁止した。セデック族の若者は成人として認められないばかりか、死後、祖霊の待つ虹の橋を渡れなくなってしまった。死んだ後も救われなくなったんだ。こうしてセデック族は一族の誇りと宗教を一方的に剥奪された。

 それはもうひどい扱いを受けるんだけれど、頭目モーナ・ルダオの抑えで一族は恥を堪え忍んでいた。


 そんななか。
 セデック族の結婚式で日本人とトラブルが起こった。
 この事件が、とうとうセデック族の導火線に火をつけるに至った。

 それは一族の「誇り」のため。
 モーナ・ルダオに率いられた霧社のセデック族の戦士、約300人が蜂起した。
 当時の最新装備をもった日本軍に対して土着の部族が戦いの狼煙を上げるんだ。大砲や機関銃、戦闘機、さらには毒ガス兵器まで使う日本軍相手に、生まれ育った山岳地帯と祖霊の見守る森林を武器にセデック族はゲリラ戦を挑んでいく。
 ただ、戦士の誇りを胸に。

 こう言って良いのかわからないんだけれど、
 物語のこのへんのセデック族が超カッコイイんだ。


 中盤以降、物語は悲壮さを増していく。

 圧倒的な物量と近代兵器、さらにはセデック族と敵対していた部族をも取り込んでゲリラ戦に対抗し始める日本軍に対して、セデック族の戦士たちはひとり、またひとりと倒れていき、食糧も弾薬も底をつきはじめるんだ。
 部族の女たちは、部族の誇りを守るために男たちの手伝いをするんだけれど、男たちと一緒に戦うことはできない。ではなにをするか? それは、集団で自殺するんだよ。こうすれば食糧が少なくてすむ。男たちが戦えるようになる。先に虹の橋を渡って待っているから、祖霊に恥じない戦いをしてきてね。と。
 女たちも部族の誇りを胸に、凜として事態に挑むんだ。


 この蜂起の結果は、歴史が示すとおりだ。


 ただ、
 彼らは戦士の誇りと尊厳のために戦った。
 そこには譲れない確乎としたものがあったから。

 日本人として……いや、たとえ僕が何者であったとしても、相手の誇りを傷つける権利を持ってはいない。相手の胸の誇りだけは、なにがあっても踏みにじってはいけないものなんだ。

 僕はそういうふうに読んだ。

セデック・バレ
出版ワークス

あなたは知っていましたか?
無知と無理解が生んだ
未曾有の悲劇を……。


セデック・バレ 第一部:太陽旗/第二部:虹の橋【通常版 2枚組】[DVD]
マクザム


→【本がもらえる】レビュープラス

●こんな本も
『KANO ―カノ― 1931 海の向こうの甲子園』豊田美加・出版ワークス

【書評】『新説「三国志」の虚構と真実』満田剛・パンダ・パブリッシング

2015年06月06日 | 歴史
新説 「三国志」の虚構と真実 (Panda Publishing)
満田剛
Panda Publishing



 僕が『三国志』を知ったのは光栄の歴史ゲームの『三国志』の四作目か五作目でした。
 それまでももちろん『三国志』自体は知っていたけれど、でもそれは学校で習った世界史程度の知識でして細かいところまでは知りませんでした。しかしまぁ、知ってみると面白いんですよね。これ。

 そこから横山光輝『三国志』を読んで「曹操かっけー」となって、
 さらに『蒼天航路』(王欣太・李學仁)を読んでもう痺れちゃいましたね。


 そんなわけで僕は曹操ファンです。
 曹操が主人公の『蒼天航路』はもちろん、横山光輝『三国志』でも赤い鎧で自分の信念というか覇道に対する確乎とした理屈をもっていて、それはときに冷徹で、でも筋は通っているっていうダークヒーローな感じだったな。のちに魏公、魏王となり三国の一角にもなる。
 人望を頼られて仲間に押し上げてもらいつつ蜀の地で漢帝国の再興を目指す劉備や、江南に割拠し呉を打ち立てた武の兄と策謀の弟、孫策・孫権兄弟とか魅力的なライバルと三国の時代を築くんですよ。

 カッコイイよね。三国志。


 そんなわけで本書。


新説 「三国志」の虚構と真実 (Panda Publishing)
満田剛
Panda Publishing

『三国志演義』と歴史書『三国志』とで評価が異なる人物について、比較しながら簡潔に紹介し、レーダーチャートで能力もわかりやすく評価してみました。
 また、『三国志』に関連する歴史や文学の研究が日進月歩で進んでいることを踏まえ、これまでの(私自身のものも含めた)見解・解釈とは少し異なった「歴史書『三国志』や『三国志演義』の登場人物たちの新しい姿」を紹介しようとしております。
 本書を通して、最近の研究成果を基にした歴史書と小説の『三国志』の人物たちの姿に少しでも触れていただくことができれば幸いです。
 本書のつくりはとても読みやすかった。
 まず人物の名前があって、その人物をあらわすひとことがばんと書いてある。これで三国志に詳しいひとだったら「ああ、あのときのひとね」とピンとくるんじゃないだろうか。
 次に『演義』と『史実』の能力差をレーダーチャート上に重ねて書いてあって、いよいよ本編、『演義』の活躍と『史実』の記録とつづく。

 ひとりひとりの分量もコンパクトにまとめられていて僕程度の三国志知識しかない人間にはとてもありがたかったな。


 たとえば曹操。
【演義】“悪の美学”を貫く後漢末のアンチヒーロー
【史実】“袁紹の部下”で、“袁紹の真似ばかり”だった?
 えっ!? 史実、ちょっとマジかよ!?

 『三国志演義』での活躍は三国志を読んだひとはみんな知ってるだろうから割愛するけれど、登場から死去までの演義での曹操のうごきがコンパクトにまとめられている。精強な敵だった青州兵を自分の部隊として運用し、人格よりも能力を優先する徹底した現実主義で覇業に邁進するんだよ。曹操さまやっぱカッケーよ。

 ふまえて「【史実】」だよ! 「【史実】」!
反董卓連合軍から離脱した後、揚州での募兵に失敗し、曹操は袁紹の陣営に戻っており、事実上袁紹に仕えていたと考えられる。
 さらに曹操が徐州の陶謙を攻撃するときも袁紹に援軍を派遣してもらっているし、呂布に攻められたときも援軍をもらい、さらには家族を避難させろとアドバイスまでもらっている。
 このように見ると、袁紹は曹操のうしろだてだったということであおり(原文ママ)、曹操は“袁紹の部下”であったと考える方がよいだろう。
 さらにさらに。
 袁紹を官渡で破ったあと天下の覇業に向かう我らが曹操さまなんだけれど
曹操に計画性があったとは思えない。
 袁紹を破ったあとの計画(河北に割拠して河南に攻めて天下統一)がまるまる袁紹が考えていた計画なんだそうな。
 でその方針通り進めると簡単に劉表を制圧してしまったので勢いのまま孫権に攻撃をしかけ、疫病に苦しみながら、あの赤壁の戦いで大敗。
これで曹操の“借り物の”天下統一策が挫折してしまった。そしてその後はあっさりと方針を変更し、天下統一ではなく自らの権力・権威の確立にむかっていくことになったのである。

 まじかー……。
 三国志いちのライバルキャラも長いこと上司に仕えて戦っていたんだと思うと、なんか愛着が湧くというか、一緒に酒でも飲みたくなりますね。


 『三国志演義』の主人公キャラ・劉備もそう。
 演義ではその仁徳に惚れ込んだ関羽・張飛という一騎当千の武者と「桃園の誓い」を……「桃園の誓い」、史実ではやってないんだって(しょぼん)。
 さらには関羽や張飛の武力、諸葛亮の知力に頼りっぱなしで、行く先々では仁徳で各陣営に受け入れられていた『演義』劉備だけれど、実際は武力もあって戦上手だった。各陣営に受け入れられた理由は軍事能力が優秀だったからで、いわゆる「さすらいの傭兵隊長」というポジションだった。
 諸葛亮孔明だって劉備存命中は戦術に口出ししなかったくらいの戦上手だったらしい。
 ……そんなぁ……あのマジシャンレベルの「まて あわてるなこれは孔明の罠だ」がなかったなんて……。


 でもでも。
 戦国時代の「実は……」を扱った本(『教科書には載っていない! 戦国時代の大誤解』熊谷充晃・彩図社)を紹介したときにも書いたことなんだけれど、脚色をとっぱらった史実ってのはとても泥臭いもの。でもだからこそシリアスに生きる人々の息づかいが聞こえてくるものなのかもしれない。

 意外な事実ばっかりだったけれど、でもだからって三国志のことが嫌いになったりしない。それどころか、史実を知ることで同じキャラでも血肉を備えたリアルな存在としていままでよりも近くに感じるから不思議ですね。

 清濁ふまえ、知れば知るほどもっと魅力的に見える。

 僕はそんなふうに読んだ。


新説 「三国志」の虚構と真実 (Panda Publishing)
満田剛
Panda Publishing


↑上はKindle 版。
↓下はオンデマンド版です。

新説 「三国志」の虚構と真実
クリエーター情報なし
パンダ・パブリッシング



→【本がもらえる】レビュープラス

●こんな本も
『教科書には載っていない! 戦国時代の大誤解』熊谷充晃・彩図社

【書評】『歴史の視力 〜太平洋戦争前夜、日英米は世界をどう見たのか〜』松本正・ホルス出版

2015年04月11日 | 歴史
『歴史の視力 〜太平洋戦争前夜、日英米は世界をどう見たのか〜』松本正
『歴史の視力 〜太平洋戦争前夜、日英米は世界をどう見たのか〜』松本正
ホルス出版


 まえに紹介した『それでも日本人は戦争を選んだ』を読んで以来、僕は時折考えている。
 70年近く前にこの日本が、太平洋戦争のような悲劇になぜ突入してしまったのか。

 太平洋戦争中の日本軍が兵站(機材・物資の補給体制や兵員の交代・休息)を軽視していたのは有名な話だし、このあいだ紹介した『教科書には載っていない 大日本帝国の情報戦』(濱田浩一郎・彩図社)によれば情報すら軽視していた。外国に派遣している情報員が「ソ連が同盟国のドイツに勝っています」と報告したら「敵国に有利な情報を送ってくるな」と言ってしまう始末だった。
 こんな体たらくで、なんで戦争をはじめたのか。

 少し歴史を調べれば、当時のアメリカ合衆国の国力は世界でもずば抜けていたことがわかる。なにしろアメリカ一国で太平洋と大西洋で戦ってまだおつりがくるくらいの差があったんだから。でもアメリカは第二次世界大戦に直接的には参加はしていなかった。なのに、日本が真珠湾を奇襲してアメリカに参戦の口実を与えるに至ってしまったのか。


 まあ、
 あとから資料を見ながらだったら、なんとでも批判はできますよね。

 ただ、僕は知りたいんです。
 当時の人々がどんな情報を掴んで、どう考え、その結果としてあの悲劇に至ってしまったのか。それが知りたい。
 だから少しずつだけど当時の資料を扱った本を読んでいる。


 うちの大叔父さん(ばあちゃんの弟)もあの戦争で死にました。
 大叔父さんは船に乗り南の海で戦い、船が沈んだ後は島に流れ着いて、そこで土に還ったんだそうな。

 もし生きていれば法事とかで会うこともあったろう。そのひとが、僕の生まれる前にもういないんですよ。さらに、姉(ばあちゃん)の聞いたことのない名前の船と島だったので記憶にも残っていなくて、子孫の僕に伝わっていないんですね。
 なんという船で戦い、なんという島で土になったのか。それがわからない。

 だからその代わり、というわけじゃないけれど、
「なんでこんなことになっちゃったんだ」と考えてしまうのです。


 そんなわけで本書。

『歴史の視力 〜太平洋戦争前夜、日英米は世界をどう見たのか〜』松本正
『歴史の視力 〜太平洋戦争前夜、日英米は世界をどう見たのか〜』松本正
ホルス出版

 本書は太平洋戦争直前のそれぞれの国、日本、アメリカ、イギリスを「国民性」から見ていく。

 国にはそれぞれ「国民性」というのがある。
 ひとそれぞれ考えることは違うのだけれど、全体としてみれば「この国のひとはこう考えるよね」というのはあるだろう。
 それでは国民性とはなにか。
(略)
 京都精華大学のクントン・インタラタイ人文学部教授は国民性について、「自然環境、風土、各国に固有な歴史、歴史から育まれたものの見方などが国民性を形成する要素だ。この要素が国民性形成にいちばん大きく影響する」と指摘している。
 国民性の形成をめぐってインタラタイ教授があげたもののほかに、しきたり、習慣、国の地勢上の位置、宗教教義、言語なども国民性の形成に寄与している。一国の固有の文化も国民性を映し出す。国文学からも推断することができる。
 本書では
 さまざまな資料を駆使して、太平洋戦争前夜の日本、アメリカ、イギリス、それぞれの国の「国民性」を検証するところからはじまる。その国の歴史や地図上の位置(地政学)や宗教も参照にしつつそれぞれの国の「国民性」、つまりは「一般的にこの国の国民はこう考えるよね」を検証するんだ。

 以上を踏まえ、
 最終章では第二次世界大戦、とりわけ太平洋戦争前夜の日本、アメリカ、イギリスの各国の動きを追っていく。
 そこから見えてくる事実はかなり興味深い。

 いままでの歴史の本では見えなかった「考え方」を追ってると、「このひとだったらこう言うのも仕方ないよなぁ」とか「あちゃー、この考え方のヤツにこんな発言しちまったのか」とか思うことが多数あって。
 歴史ってのは結局、壮大なボタンの掛け違えをずっとやってるんじゃないのかなぁ。とも思ってしまうんだ。


 たとえばアメリカ。
 現代でも「世界の警察」を名乗って各地の紛争に介入しながら、ときには「俺の正義は絶対」という態度で相手の文化や宗教を蔑ろにするような振る舞いをする。またあるときには絶対の正義を掲げながらも自国の有利のために不正に染まった独裁者を援助したりといった矛盾をはらんでいる。ベトナム戦争で南ベトナム政府を支援したのもそうだし最近ではアフガニスタンのカルザイ政権を支援したのもそう。
 この矛盾がすべての元凶とまでは言わないけれども、こんにちの「テロとの戦い」の、そのテロの引き金の一部になっているのも事実なんだ。

 アメリカはなぜこのような考え方の国になったのか。

 それは建国のときから見ていかなければわからない。
 イギリスで迫害されていた清教徒はメイフラワー号に乗り新天地を目指した。これがアメリカ建国のもとになったのだけれど、彼らはプロテスタントのなかでも過激なカルバン主義を信じていた。
 広大なアメリカ大陸は草原から山岳、砂漠まであらゆる地形がある。そのアメリカ大陸を開拓していくうえで、清教徒たちはフロンティア精神と「より効率的に」開拓するすべを身につけながらネイティブアメリカンの土地を奪っていった。

 カルバン主義の理想と、「より効率的に」はしばしば矛盾を生む。
「より効率的に」自国の利益をあげるためなら、他国の独裁者を支援するというわけだ。

 経済至上と効率重視で、さらに建国の父が目指した「理想の国」をつくるために矛盾をはらみながらも現在もずっと邁進しているのがアメリカという国なんだそうだ。


 引用すると長くなるので僕的にまとめてみたけれど、アメリカ人はこういう考え方をするんだそうだ。
 おなじようにして日本とイギリスの「国民性」「一般的な考え方」を順に検証していく。

 最終章では以上を踏まえた上で、太平洋戦争前夜の各国の動きを見ていくんだけれど、これが本書のキモ。もうすごいのなんの。

 「国民性」という、「考え方」から見た太平洋戦争前夜は、いままでの歴史の本とはちょっとちがって見えるんだ。いままで歴史の授業とかで習った事柄で「なんでこんな意固地な反応をするんだろう?」と思ってたことも、「考え方」から見れば理解できる。……とまでは言わないまでも「そうか、あんたならこう考えるよね」と納得できてしまうんだな。


 たとえ納得できたとしても。
 ウチの大叔父さんは帰ってこないし、あの戦争は未曾有の悲劇だったことに変わりはない。
 ただ、当たり前のことだけれど、ひとそれぞれ考え方は違うんですよね。国が違えばもっと違う。自分の考え方だけがすべてじゃないんだね。「相手の考え方」まで考えた大人の対応をしたいもんだ。
 次の戦争を回避する手段がもしあるとすれば、そういう大人の対応なんじゃないかな、と僕は思ったのです。

『歴史の視力 〜太平洋戦争前夜、日英米は世界をどう見たのか〜』松本正
『歴史の視力 〜太平洋戦争前夜、日英米は世界をどう見たのか〜』松本正
ホルス出版

もくじ
はじめに
第一章 国民性とはなにか
第二章 日英米の国民性
第三章 インパーソナル。フォーシズ
第四章 ナショナリズムが「15年戦争」敗北の遠因
第五章 太平洋戦争前夜 日本の苦悩、なぜ真珠湾へ?
あとがき


歴史の視力―太平洋戦争前夜、日英米は世界をどう見たのか
ホルス出版


 正直な話をすると、本書を最初に読んだとき、第一章と二章の各国の考え方を検証する部分がとても退屈だった。なんのために資料をいっぱい出して「各国の考え方」を述べているのか僕には理解できなかったんだ。
 ただ、後半の章にいくほど、先に述べていた日英米の国民性が歴史の中で「そうせざるを得なかった」に繋がっていく過程は本当にすごかった。

 なので後半を読み終わったあとに一章と二章を再読することをオススメする。同じ文章でもぜんぜんちがって見えるよ。

→【本がもらえる】レビュープラス

●こんな本も
『それでも、日本人は「戦争」を選んだ」加藤陽子・朝日出版社
『教科書には載っていない 大日本帝国の情報戦』濱田浩一郎・彩図社
『写真で見る 大阪空襲』ピースおおさか

【書評】『教科書には載っていない! 戦国時代の大誤解』熊谷充晃・彩図社

2015年02月14日 | 歴史
 戦国時代の歴史が好きです。


 僕の戦国時代好きはモロに『信長の野望』というゲームの影響を受けておりまして、っていうか戦国時代を本格的に意識しだしたのはあのゲームのおかげ。政府の権威が失墜し、実力のみが有効な時代に己の力で覇を競うなんて男子の本懐じゃないっすか。

 無位無官の北条早雲がこれまでの常識と権威を打ち壊して戦国の扉をあけ、その戦国の常識を打ち壊した織田信長。跡を継いだこれまた無位無官だった豊臣秀吉が天下に号令をし、その豊臣を徳川が滅ぼしたことで終結した動乱の百年間。すげーよね。カッコイイよね。

 上杉や武田の騎馬軍団すげーもん。
 織田の鉄砲隊すげーもん。

 なかでも「長篠合戦」なんか「戦国最強」といわれた信玄から受け継いだ無敵の騎馬軍団を率いる武田勝頼と、織田徳川連合軍の大鉄砲隊とが激突したんですよ。川沿いに馬防柵を築いて、突撃してくる「最強」騎馬軍団を迎え撃つんです。いろいろな問題点を抱えた最新技術である鉄砲を「三段討ち」するという驚異の作戦で。

 そう、「これまでの最強」と「新技術」とが激突したんですよ。
 織田徳川の馬防柵めがけ武田最強騎馬軍団が川を駆けわたり、水しぶきをあげつつ刀をきらめかせて突撃するんだよ。

 NHKの大河ドラマで何度も見たシーンだし、いろいろな時代劇映画のクライマックスシーンにも使われた名勝負ですよね。

 歴史が示す結果は武田騎馬軍団の大敗に終わった。信玄以来の重臣や名将の多くが戦死し武田滅亡のきっかけにもなった。でもその時、彼らは勝利を信じて当時の最新兵器に向かって突撃したんですよ。まさか常識はずれの作戦が待っているとは思わずに。


 燃えるよね。
 カッコイイよね。


 はい。
 そんなわけで本書。

教科書には載っていない! 戦国時代の大誤解
熊谷 充晃
彩図社
映画やドラマが描けない意外過ぎる戦国のリアル
・無類のお人好しだった信長
・存在しなかった「武田騎馬軍団」
・真の戦国ナンバー1武将は?
・戦国時代に「軍師」はいない

 ちょっっっっとまったぁぁぁぁっ!
「武田騎馬軍団」が存在しなかったってどういうことさ!!!!

 僕がやりまくった『信長の野望・武将風雲録』から『蒼天録』までの数々のパワーアップキットではいつも馬術最強なんだよ。信玄を馬に乗せようものなら、おなじく騎乗した越後の軍神・謙信くらいしか相手にならなかったんだから。織田の鉄砲隊に一発撃たれても走り寄って殴れば粉砕してたんだから。最強だろ! 武田騎馬軍団最強だろ!
ドラマや映画などで武士が騎乗しているのもサラブレッドやアラブ種の馬だが、こんな筋骨隆々の馬は、当時だとヨーロッパにすら存在しない。
 こんにち、僕たちが「馬」と言われて思い浮かべるあの形は、緻密な血統管理のもとに品種改良された姿なんだそうな。だから当時はあんな形じゃなかった。まあわかる話ではある。
 では、戦国時代の騎馬武者が何に乗っていたかといえば日本原産の馬だが、これが私たちの一般的なイメージを大きく裏切るものだ。
 例えるとすれば、シルエットはポニーに近い。サラブレッドなどと比べると仔馬のように背は低く、ずんぐりむっりの胴体に足は太くてがっちりしている。
(略)
当時の甲冑には軽量素材が使われているはずもなく、全重量が30キログラムに達する場合もあったという。仮に武将の体重が50キログラムだとしても、それだけで軽く80キログラムは越える計算になる。
 いくら下半身に安定感があるとはいえ、こんな重量をポニーに乗せたらどうだろう?
  えーっと、つまり戦国時代の馬という生き物は、現代の動物園で「ポニーちゃんがやってくる!」とかいうイベントでボーッとした顔で子どもを乗せてるタテガミの長いアイツみたいな感じってことですかね?

 ポニーに乗った完全武装の信玄公か……。
 ポニー。おまえ、動けるのかポニー。

 本書ではさらに、一軍を馬で固めようと思ったら大量に馬を飼っておくための場所もいるし、エサの問題もあるから効率が悪い。そもそも史料が示すところでは、馬たちは当時の農耕の主力だったわけで、こいつらが死んじゃったら国力の低下に直結するんだから危険なことをさせるわけがない。とつづく。

 あぁ……そうかぁ。
 ポニーの話もそうだけれど、僕には後者の「効率的ではない」がいちばん納得できるなぁ。騎馬隊を使おうと思うなら、戦場に馬のための場所を確保してエサを補給しなければいけなくなる。もしもやられたら米の収穫高=国力に大ダメージを受ける。そんなの、部隊として考えれば効率が悪すぎるもんなぁ。日々戦争状態の戦国武将が非効率な悪手を打つわけないよねぇ……


 本書はこんな感じで、
 僕たちが「大誤解している戦国」の実像を、数々の史料をあたりながらわかりやすく教えてくれる。

 著者は熊谷充晃氏だ。
 以前紹介した『教科書に載っていない! 幕末の大誤解』のひと。
 今回も数々の史料をあたりながらわかりやすく噛み砕いて教えてくれるつくりはいっしょです。


 もうね、僕の中のいろんな戦国時代が“大誤解”だったよ。


 ……あのさ、ちょっとだけ。聞いてもらってもいいかな?

 このまえさ、長野に旅行したんだ。
 で、川中島の古戦場を見にいったらね、「川中島合戦」の名勝負、信玄の本陣に単騎駆けで突っ込んだ謙信が、馬上から直接信玄と斬り結んでる銅像があってさ……あれ、超絶格好良かったんだよ。
 第四次川中島合戦のあの超名シーンだよ。
 放生月毛の馬に乗った謙信が愛刀にして名刀「小豆長光」を馬上から切りおろし、虚を突かれた信玄は本陣の床几に座ったままの姿勢で鉄の軍配で刀を防いでるんだよ。

 あれね。
 本当に……カッコ良かったんだよ……?
 ホントだよ?

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「戦国時代」という言葉で、何を想像するだろうか?
華々しい鎧兜に身を包み、雄々しく馬に跨がった騎馬武者の軍団が、土煙をあげて敵軍と激突するところだろうか。はたまた、鉄砲隊の一斉射撃が起こす砲煙で覆われた戦場で、刀と刀で雌雄を決する武将の姿だろうか。
こうした光景はドラマや映画、漫画でお馴染みだが、実はどれも“誤解”に満ちている。
本書は史料をもとに、こうした数々の“誤解”を紐解き、戦国時代の真の姿に迫ったものである。イメージとは違った現実を知り、幻滅することもあるかもしれない。しかし、筆者はそれで戦国時代の魅力が損なわれるとは、まったく考えない。むしろ、今までの印象とは異なる視点を手に入れることで、歴史はより新鮮な輝きをあなたの目にもたらすはずだ。

 本書ではさらに織田信長の「鉄砲三段撃ち」にもおよぶ。
 これも冷静に考えてみれば非効率このうえない作戦であって……詳しくは本書を読んでいただきたいのだけれど、これも納得の論理展開でさ……あぁ、僕のなかの長篠合戦のイメージが全然かわったよ……。


 でもね。
 講談や演劇、最近ではドラマやゲームなどで脚色された部分を取っ払っい、歴史の本当の姿を知るのはいいことかもしれない。

 史実はフィクションとちがい、とても泥臭いものだった。

 でも、だからこそ、その泥にまみれ必死に戦いあがく人々の歴史は、フィクションとはまた違う意味で迫力があるのも事実なわけで。当時の人々の命のやりとりへの覚悟、決意のようなものがよりシリアスに伝わってくるもんだ。

 こういうのもカッコイイ。

 いや、こういうのこそが本当の意味で「カッコイイ」っていうものなんだろうな。
 僕はそんなふうに思う。


 はぁ……でもあの川中島の像……一目惚れしたのになぁ……。

教科書には載っていない! 戦国時代の大誤解
熊谷 充晃
彩図社


もくじ
はじめに

第一章 戦国の合戦 本当はこうだった。
01 「桶狭間の戦い」は奇襲ではない
02 実は夢がなかった「長篠の戦い」
03 武田軍の騎馬軍団は実在せず?
04 合戦の主役 足軽の悲喜こもごも
05 合戦ではどんな装備が使われた?
06 最新兵器 鉄砲の本当の威力
07 織田信長 覇業の大誤解の数々
08 運が良かった「厳島の戦い」
09 人生逆転! 戦国トライアウト

第二章 戦国大名 天下穫り戦略の内幕
10 大名が一番苦労した「一国統一」
11 制度疲労を起こした「一領具足」
12 三河武士は忠義の塊だったのか?
13 伊達家脅威の縁戚ネットワーク
14 上杉謙信は財テク上手だった
15 武田信玄の戦歴は引き分けばかり
16 茶器を土地の代わりにした信長
17 朝倉家は優秀な人材の宝庫だった
18 実は狭かった「天下布武」の範囲

第三章 戦国時代はこんな社会だった!
19 武士はどう収入を得ていた?
20 忍者の正体は「情報屋」だった?
21 戦国時代に「軍師」はいない?
22 意外と知られていない家紋の由来
23 戦国のローカル憲法「分国法」
24 戦国の城の本当の姿とは?
25 元将軍までいた「御伽衆」の正体
26 戦国の女たちはこんなに強い
27 武将たちはどんな遺書を残した?

第四章 戦国武将たちの意外な実像
28 信長は無類の「良い人」だった!
29 女性の好みが変わっていた秀吉
30 イメージほど苦労していない家康
31 豊臣家は黒田官兵衛だけじゃない
32 水野勝成の凄過ぎる生涯とは
33 北条5代の外交巧者DNA
34 北端の雄 蠣崎家の戦国時代
35 タイで王様になった山田長政

おわりに
参考文献


教科書には載っていない! 戦国時代の大誤解
熊谷 充晃
彩図社


●こんな本も
『教科書に載っていない! 幕末の大誤解』熊谷充晃・彩図社
『本当は怖い京都の話』倉松知さと・彩図社
『日本史の大誤解 激動の近代史編』夏池優一・彩図社

【書評】『大富豪破天荒伝説 Best100』真山知幸・東京書籍

2014年09月27日 | 歴史
大富豪破天荒伝説 Best100大富豪破天荒伝説 Best100価格:¥ 1,620(税込)発売日:2014-08-27
大富豪の嘘のような本当の話を一挙大公開!
軍艦を200億円かけて自家用ヨットに改造した海運王、女同士のマウンティングに56億円つかった鉄道王夫人、高さ173メートルの家を建てたインドの大富豪……そして気になる一位はなんとあの人!
歴史とお金の雑学満載!


 大富豪、つまりは超がつくほどお金持ちなセレブさんたちにもなると、やることなすことのスケールがデカすぎてしばしば常軌を逸しているときがある。

 本書は、古代から現代までの世界中の大富豪のなかから、そんな常識を逸した破天荒な行動をランキング形式で読みやすく紹介している。


 たとえば。
 結婚衣装から白衣宣教会のコートまで白い布の専門店で大成功し「白布の王者」といわれたアルフレッド・ショシャール。
 彼は家に招いたお客には必ずブロンズで作った自分の胸像とか肖像を彫り込んだメダルをプレゼントしていたんだそうだ。オッサンの顔が掘られたメダルやオッサンの銅製フィギュアをプレゼントされた客の気持ちはいかばかりであったろうか……。大富豪に招待されてるわけだから文句も言えないだろうしねぇ。
 さらにショシャールは38億円もついやして自分の葬式を用意していた。豪華な葬式を見物する群衆のざわめきはやがてショシャールへの文句に変わり、なかにはトマトや卵を投げつけるひともいたらしい。
 オッサン、よっぽど嫌われてたんだね。


 こんなトホホな「破天荒」があるかと思えば、
 あまりにも突き抜けすぎて歴史を動かしてしまった破天荒もある。


 ヨーロッパの富豪・ヤーコブ・フッガーなんかはケタが違っていて、スペイン王カルロス一世をローマ皇帝の座につけるために現在の価値で300億円近い額をつぎ込みすさまじい金権選挙をしかけた。結果、カルロス一世はめでたくローマ皇帝カール五世となった。カール五世といえば現在の「ヨーロッパ」の概念を作ったり、神聖ローマ帝国を強大にして世界帝国を築きあげた名君のあのカール五世だ。
 同時にルターが宗教改革を起こすきっかけとなった免罪符(「お金を出して免罪符を買えば天国に行けるよ」ってあれ。あれにルターは「お金出して天国とかそれ、ちょっとおかしいやろ!」と怒ったわけだ)にもフッガー家は絡んでいる。なんと免罪符の売上げの半分はフッガー家への返済に充てられていたんだ。
 なんていうかもう、このひとの行動がそのまんま、ヨーロッパのいちばん激動のころの歴史になっちゃってるんだからすごいでしょ。ほんと。


 本書にはほかにも、海軍から軍艦を買って自家用ヨットした大富豪とか、犬が好きすぎて遺産を全額飼っている150匹の犬にゆずったおばちゃん。はたまたヨーロッパの百年戦争に経済力で干渉していた大富豪などなど、もうみんなやることなすことどこかの方面に突き抜けちゃってるひとたちがわんさか出てくる。


 歴史の雑学も踏まえながらわかりやすい読み物として読める100の「破天荒」。
 こういう無駄知識。
 僕は好きなんだ。


 電車の待ち時間とかにひとつずつ好きなところから読んでみるのもいいんじゃないかな。


 ちなみに一位は意外なあのひとだった。
 たしかに「あのひと」にまつわる数々の逸話を考えれば納得できるけどね。


大富豪破天荒伝説 Best100大富豪破天荒伝説 Best100価格:¥ 1,620(税込)発売日:2014-08-27
服が多すぎて1日に40回も着替えた大富豪、1日に一億円の食費をかけたローマの皇帝、自宅から駅までトンネルを掘った貴族、家の固定電話400台……など、思わずツッコミたくなる、古今東西の大富豪の破天荒な伝説をランキング形式で紹介。大富豪の生きた時代や成功と散財の裏側を知ることで歴史雑学も身につく本。

【書評】『教科書には載っていない 大日本帝国の情報戦』濱田浩一郎・彩図社

2014年09月06日 | 歴史
教科書には載っていない 大日本帝国の情報戦教科書には載っていない 大日本帝国の情報戦価格:¥ 1,296(税込)発売日:2014-08-22
日本はいかにして情報に勝ち、敗れたか
情報は扱い方によって、人を幸せにすることもあれば、破滅の淵に追い込むこともある“諸刃の剣”である。それは、20世紀の日本、つまり「大日本帝国」の国家運営でも同じだった。大日本帝国が誕生した頃は、産業革命による交通手段の発達や、情報関連機器の高度化によって、現代と同じように情報の量や飛び交う速度が、爆発的に増えた時代。だから国策や、軍を動かす作戦を決めるにあたり、質と量を兼ね備えた情報を持つ国が国際競争では優位に立った。そこで生まれるのが、国同士の情報の奪い合い「情報戦」である。本書では、大日本帝国が勃興し滅びるまでに世界を相手に死力を尽くし展開された諜報・謀略・スパイ戦の全貌をあますところなく紹介する。

 国家運営にしても戦争にしても、大きなモノを動かすには「情報」を掴んできちんと活用することが不可欠だ。よくいわれることだけれど太平洋戦争で敗色濃厚になっていた大日本帝国軍は、本当に情報を軽視していた。

 当時の同盟国ドイツとソ連の戦い(独ソ戦)の趨勢を掴んだ日本の情報機関は
「当初はドイツが優勢であったが、次第のソ連の反抗が強まり、厳寒の影響もあって、ドイツ軍は敗退している」
 と東京に打電した。
 東京の返事はどうだったか。
「敵性国家を利する情報は、今後送るに及ばず」
 つまりは「『敵が勝ってる』なんていう面白くない情報は送ってくるな」と言ったわけだ。さらには戦争末期、「ドイツの降伏後にソ連が対日参戦してくる」という情報も東京に送られていた。これにいたっては東京からの返事はなし。
 結果は歴史が示すとおりだ。

 おなじようなことは広島に原子爆弾が投下された前後にもあった。
 情報部は「見慣れないコールサインを発する正体不明機がなにか特殊な訓練をしているようだ」という情報をつかんでいた。じつはそれこそが広島に原子爆弾を投下した「エノラ・ゲイ」の訓練だった。
 この情報を見逃してしまったのは、まあしかたがないともいえる。初めて見るサインの正体不明機がなにかの訓練をしているとしかわからなかったんだから。問題はその三日後。同じようなサインを発する電波が再び確認された。この情報が海軍司令部や参謀本部に知らされたのは長崎への原爆投下の五時間前。
 原子爆弾を積んだB-29「ボックスカー」は小倉上空に到達してから天候不良のために長崎に向かうという不可解なコースを取っていたのもあるけれど、あの広島の惨劇の三日後なんだから全国に空襲警報なり警告を発することはできたはずだ。さらには長崎近辺には戦える戦闘機(紫電改)も配備されていた。
 結果は変わらなかったのかもしれないし間に合わなかったのかもしれない。でもせめて市民を防空壕に避難させるなり戦うことぐらいはできたんじゃなかろうか。この前日にソ連が満州に攻めてきて首脳部は対応に追われていたということも差し引いても……っていうかそれも先のソ連の情報を見逃したのが原因じゃないか。


 ごくごくかいつまんで書くと本書の第一章はこんな感じ。
 このように情報を軽視してボロボロの大日本帝国なのだけれど、はじめからこんな体たらくではなかった。その初期、明治時代の大日本帝国はむしろ世界に肩を並べるほどの情報戦を展開していたんだ。

 第二章以降では少し時代を遡り、設立当時の大日本帝国の情報戦を紹介する。
 日清戦争、日露戦争当時は世界の列強としのぎを削るほどの一級の情報網を配備していた。海底ケーブルを整備して各国にスパイを放って敵国の内情から世界の情勢まで掴んで活用し、あのロシアのバルチック艦隊を叩いて世界を震撼させたりもした。
 当時の大日本帝国が世界最強の「五大国」のひとつに名を連ねられたのは、軍備もあるけれどなにより「情報」の力が大きかったんだ。

 では。
 なぜ、その「情報の力」を持っていた日本が第二次世界大戦では情報を軽視するようになってしまったのか?
 このように、勝利と敗北の鍵を握っていた情報戦の歴史を読み解けば、なぜ大日本帝国が躍進し、衰退していったのかが手に取るように分かる。それが本書の狙いである。
 そこには勝ったゆえ、強かったゆえの驕りがあったように僕には感じられた。もちろん一部の、しかし国家運営に携わる一番大切な部分のごく一部に驕りと慢心が蔓延っていたんだろうな。
 命を賭して掴んだ情報を祖国に発信して無視された諜報員の無念はいかばかりであったろうか。


 本書は諜報機関と特殊任務につく諜報員(スパイ)から見た日本の近代戦争史を描き出している。
 そこには祖国のために名を捨て海外に飛び出し、ときには商人に化けたり現地民と親交を結んで「情報」の戦場で戦い抜き戦況を動かしたひとびとの活躍があった。


 ちなみに。
 戦後、日本のスパイ養成機関・陸軍中野学校のOBは地下に潜り、マッカーサーとGHQをひそかに監視。占領軍がもしも国体の変革を強引に推し進めたり日本人に対して残虐行為を働くならば、ゲリラ戦の訓練をうけたOBが市民を指揮して各地で抵抗する作戦もあったらしい。

 結局この作戦は実行されなかったんだけれど、
 諜報員は戦後まで人知れず戦っていたんだ。

教科書には載っていない 大日本帝国の情報戦教科書には載っていない 大日本帝国の情報戦価格:¥ 1,296(税込)発売日:2014-08-22

→『教科書には載っていない 大日本帝国の情報戦』濱田浩一郎・彩図社

 もくじ

はじめに
第一章太平洋戦争 熾烈な情報戦の真実
01【日米開戦と情報戦】真珠湾に潜入した日本人スパイ
02【情報機関の奮闘空しく】日本軍敗北の影に情報戦あり
03【アメリカの怨念と軍の怠慢】山本五十六はなぜ死んだのか
04【日本人捕虜から情報を奪え】極秘の捕虜尋問センターの内幕
05【見逃されたコールサイン】原爆投下は防げなかったのか?
06【情報の神様、最後の戦い】ソ連の参加を知っていた大本営

第二章明治日本の情報攻防戦
07【戦争前夜に行われた熾烈な情報戦】諜報機関の初仕事 日清戦争
08【情報網の構築で勝負あり】情報で先んじた日露戦争
09【特別任務班が狙うは通信網】ロシアへの命を賭した謀略工作
10【日本が誇る007の実像】明石大佐のの工作は失敗だった?
11【哀れな「露探騒動」の被害者たち】帝政ロシアのスパイを摘発せよ!
12【金子堅太郎の大いなる挑戦】戦争を終結させた広報外交とは

第三章日本の情報戦 衰退の謎
13【果たして日本は勝利者だったのか?】勝利によって招かれた敗北
14【極秘交渉の裏に独露スパイの暗躍】日独防共協定を巡る諜報戦
15【今なお続く日中情報戦】中国国民党の恐るべき宣伝謀略
16【機密文書解禁で明らかになる真実】ノモンハン事件を巡る情報戦
17【日本中枢に食い込んだ男】スパイ・ゾルゲの大いなる暗躍
18【日本は必ずアメリカに負ける!】届かなかった総力戦研究所の警告

第三章大日本帝国 謀略組織の闇
19【エリートたちに施された異例の教え】陸軍中野学校の秘密教育
20【ロマンあふれる珍兵器の数々】登戸研究所のスパイ兵器開発
21【石井四郎が作り上げた恐怖の王国】731部隊の生体実験と細菌戦
22【悪役の定番も情報戦を戦った】壮絶! 憲兵たちの情報戦
23【悪名高き権力の代弁者たち】悪逆非道? 特高警察の仕事とは
24【謀略組織の栄光と闇】世界各地で暗躍した特務機関

第五章敗戦 スパイたちの戦後史
25【凄まじき混沌の始まり】彼らはどう終戦を迎えたのか?
26【マッカーサー暗殺計画】陸軍中野学校最後のミッション
27【日本の夜を支配した米諜報団】キャノン機関と日本の再軍備
28【シベリア抑留とソープランド】特務機関員たちの意外なその後
29【戦犯への恐怖と裏取引】秘密は墓まで 731部隊その後
30【玉砕はまかりならぬ】小野田寛郎の長すぎた戦争

おわりに
参考文献


教科書には載っていない 大日本帝国の情報戦教科書には載っていない 大日本帝国の情報戦価格:¥ 1,296(税込)発売日:2014-08-22


→【本がもらえる】レビュープラス
●こんな本も
『日本史の大誤解 激動の近代史編』夏池優一・彩図社
『ベテラン政策秘書が採点する 戦後総理の査定ファイル』朝倉秀雄・彩図社

【書評】『日本史の大誤解 激動の近代史編』夏池優一・彩図社

2014年01月18日 | 歴史
日本史の大誤解 激動の近代史編日本史の大誤解 激動の近代史編
価格:¥ 1,260(税込)
発売日:2013-12-24
本書では「誤解」をキーワードに、日本の近代を読み直そうと試みる。というのも、この時代は日本人の関心が薄いからか、放置されたまま常識として定着してしまった「誤解」が数多くあり、それを紐解くことでより深く、より面白く近代が理解できると考えたからである。
「近代史」と聞くと僕は、

幕末に突然黒船が来航し開国を迫ったとき、日本のトップは右往左往してきちんと外交することができなかった。

 とか

戦争を避けて大政奉還をした徳川慶喜は弱腰だった。

 とか

終戦記念日(8月15日)に戦争が終わった。


 とか思い浮かべるんだけれど、これ。
 実際はぜんぜん違う「大誤解」だった。


 まずもって「近代史」ってなんだろう?
一般的に1868年(明治元)年に明治新政府が誕生してから、1945(昭和20)年に太平洋戦争で大日本帝国が降伏するまでを指す。この、わずか80年足らずの間に、日本の「今」が急速に構築されたのだ。
 本書はそんな激動の日本近代史にある30個の「大誤解」を、分かりやすい文章で解説しつつ写真や脚注で捕捉して説明していくつくりだ。
 ちなみに本書での「近代史」は少しだけ解釈を広げてペリー来航から第二次世界大戦後までを扱っている。


 読んでみてなにより驚いたのが、徳川慶喜の大政奉還だった。

 大政奉還についてはもともと歴史の授業で習ったくらいで、徳川家が代々受け継いできた将軍職をさっさと返してしまった将軍が慶喜。くらいの知識しかなかった。
 慶喜は「朝廷の敵」という、日本史ではこれ以上ない最上級の死亡フラグを宣告されながらも幕末の動乱を生き延びた。だからたぶんそれなりに優秀な人ではあったんだろうけれど……でもやっぱ「武力を見せられて権力を投げ出したひ弱なおぼっちゃん」なイメージなんだよなぁ。

 でも。
 実際はぜんぜんちがった。
 この大政奉還については、慶喜が権力を手放しただけだと誤解されがちだが、むしろ、その逆である。見かけだけ朝廷に政権を譲ることで、実権を掌握し続けるという慶喜の作戦であった。
 なにしろ、朝廷としても急に政権を渡されて国政の運営ができるはずもない。全国から諸藩が集まって大名会議が開催されるまで、徳川幕府は依然として権限を持ったまま存続。権力を朝廷に渡すと言いながら、天皇が持つわずかな料地ですらも、これまで通り、徳川が管理することになった。
 倒幕の機運が高まり、薩摩・長州の武力による倒幕が始まる前で、まだ実質的な権力を将軍家が持っているうちに、誕生間もない新政権に「じゃ、そう言うんならあんたたちがやってくださいよ」と迫ったわけだ。新政権にできないことを見抜いた上で。

 もちろん倒幕派はあわてる。
 なにしろ「権力にしがみついている徳川家を武力によって追い落とす」という名目で戦おうとしているのに、その権力をあっさり返上されたら攻める理由が消えてしまう。なんとか理由を作ろうと天皇のサインのない偽の詔書で慶喜を朝敵にして討とうとするも、慶喜の大政奉還の実行が一歩早かった。
 絶妙のタイミングで大政奉還を行った慶喜。勢いに乗っていたことは、誰の目にも明らかであった。あとは、大名会議で幕府中心の雄藩連合を主導すれば、実質は何も変わらず、幕府の支配が続くはず。幕府崩壊のピンチを、新体制構築のチャンスに変えようと、慶喜は目論んでいたのである。
 もうこうなると慶喜は「武力を見せられて権力を投げ出したひ弱なおぼっちゃん」どころか「老獪な策士」だよね。知謀のかぎりを尽くして戦場に出ずに鬼気迫る鍔迫り合いのような戦いをしていたんだ。

 結局のところ、
 歴史はこのあと「王政復古の大号令」が出されて鳥羽伏見の戦いが始まり結局幕府は崩壊しちゃうのだけれど、日本の半分を相手取り頭脳で戦う慶喜はかなりイメージが違った。もうとにかくすげーカッコイイ。

 ちなみにこのときの慶喜、30歳そこそこだって。
 ほんとマジかよ。


 本書にはほかにも、
 ペリー来航では幕府は早くから「アメリカの船が通商関係の交渉に来る」という情報を掴んでいて対等に交渉していたとか、終戦記念日のあとに突如侵攻してきたソ連軍相手に「民族の盾」として命の限り戦ったある戦車部隊の話などなど「大誤解の真相」が全部で30個載っている。

 近代史ってのは時代が近いせいか、知れば知るほどそれぞれの人間の思惑が想像できて面白いもんだなぁ。
 最後の戦車隊の話、ちょっと調べてみようっと。

日本史の大誤解 激動の近代史編日本史の大誤解 激動の近代史編
価格:¥ 1,260(税込)
発売日:2013-12-24



 ちなみに。
 本書の著者と編集者は、じつは僕と交流のある方々なんです。

 で、本書の「日露戦争の秋山参謀が煎り豆をポケットに入れていつもバリボリ食べていた」というくだりでの脚注がこれ。
母親の手紙から、好んだのは豌豆豆と空豆であったとされる。本書の担当編集に食べさせたところ、「大豆のそれと違い、非常に固い。脳震盪になりそうだ」とのこと。
 まったくもーお二人でなにやってんすか。ちょっと笑っちゃったじゃないですか。
→『日本史の大誤解 激動の近代史編』夏池優一・彩図社


もくじ
はじめに

一章 幕末 日本の夜明け
【恫喝外交を突っぱねた気骨の男】
ペリーをやり込めた幕臣がいた!
【倒幕の契機となった勘違い】
薩英戦争を引き起こした誤解とは
【あえて醜女を妻にした?】
新撰組局長 近藤勇の意外な素顔
【盗んだ金は散財してパ】
知りたくなかった本当の鼠小僧
【女を置いて逃げ出した!】
英雄 坂本龍馬のの真実
【便乗してやりたい放題】
良くない「ええじゃないか」騒動
【雑誌に自ら撮影した写真を投稿!】
趣味に没頭した最後の将軍

二章 明治 帝国の躍進
【英雄伝説が危機を招いた?】
西郷生存説が起こした大津事件
【目に見えぬ死神が日本を襲う】
コレラパニックが吹き荒れた
【巨額の費用を投ずるも……】
失笑された鹿鳴館のドタバタ劇
【不平等条約解消の裏側】
日本人が知らない明治の外交力
【二・二六、五・一五事件だけじゃなかった】
明治の反乱「竹橋事件」とは
【フンドシと煎豆が止められない!】
天才参謀秋山真之のトンデモ伝説
【明治の外交戦略の基軸となった】
身分違いの「日英同盟」その裏側

三章 大正 成熟の時代
【現代とは真逆の悩みがあった】
多子化に苦しめられた大正時代
【現在の参議院に通じる役割】
貴族院は弊害ばかりだったのか?
【どうだ明るくなったろう?】
成金たちの凄すぎる豪遊生活
【3・11並みの支援の手が差し伸べられた】
関東大震災で日本を助けた国々
【気さくで家族思いなお人柄】
新しい皇室を目指した大正天皇
【大学は出たけれど】
大正にもいたニートや派遣社員
【一人のテロリストがプロ野球を作った?】
大正を駆け抜けた怪人 正力松太郎
【近代日本の終わりのはじまり】
日本を蝕みつつあった軍部の専横

四章 昭和 近代日本の終焉
【松下幸之助の奇策】
昭和恐慌と経営の神様
【人間国宝にゴジラの生みの親まで】
二・二六事件に参加していた大物
【何度ブチ込まれても出てきた】
昭和の脱獄王 白鳥の超人伝説
【はっきりと失敗を認識していた】
勇ましい「国連脱退」の悲哀
【召集令状から逃げ惑う作家たち】
赤紙が来たらこうなった!
【近代日本の栄光と終焉を見届けた】
奇跡の輸送船 信濃丸
【特攻隊員たちの知られざる生き様】
妻を乗せて特攻した兵士がいた
【終戦記念日の後の死闘】
8月15日は終戦の日ではない

おわりに


日本史の大誤解 激動の近代史編日本史の大誤解 激動の近代史編
価格:¥ 1,260(税込)
発売日:2013-12-24


夏池優一(Twitter)


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【書評】『本当は怖い京都の話』倉松知さと・彩図社

2013年12月07日 | 歴史
 まだ若かりし20代のころ。
 京都の女の子と付き合っていた。

 いま考えると京都と大阪の距離なんて通勤圏内くらいの感覚に思えるんだけれども、当時、ポケットベルか駅の伝言掲示板で連絡を取り合っていた20代のカップルにとって京都と大阪の距離はじゅうぶんに遠距離だった。

 お互い働いていることもあって次のデートはお盆のころがいいねと公衆電話で話したっけ。待ち合わせ場所は彼女の住んでいる鴨川沿いの出町柳だった。とても綺麗な町で僕は今でも好きだ。
「んじゃあさ、今度会うのは大文字焼きの日にしようよ。出町柳駅の何番出口だっけ? ほら、『大』の字がよく見えるあの出口」
「……」
「どうしたの?」
「ううん。なんにも……。あのね、大文字は送り火なの。『焼き』じゃないから。そんなこと言っちゃだめよ」

 そのまま待ち合わせを決めいざ当日。
 京阪電車の特急に揺られて京都についた僕に、彼女は「話があるの」と切り出し以下略。


 思えば僕たちの関係はもうかなり前からぎくしゃくしていたんじゃなかろうか。当時の僕は彼女と別れるなんて夢にも思わなかったけれどもね。


 なんて僕の古傷をえぐったところで本書。


ガイドブックには載っていない 本当は怖い京都の話ガイドブックには載っていない 本当は怖い京都の話
価格:¥ 1,260(税込)
発売日:2013-11-25
あなたが行った有名観光地も世界遺産も本当はいわくつき
日本が誇る千年の都には、歴史の闇が隠されていた!
 本書は、
 京都案内のガイドブックに必ず載っている名所の、ガイドブックには載っていない歴史の裏話を集めている。

 観光で京都に訪れる僕たちは華やかな部分に目が行きがちだけれど、華やかな歴史があったということは同じ数の暗い歴史もあったわけで。
 お土産物屋が並ぶにぎやかな通りも維新の志士や戦国の武将が命を賭けて通り抜けた道なんだと知れば、同じ街並みを見ても一段深い歴史を感じられる。

 っていうかね、僕は本書を読んで京都の見方が変わったよ。


 たとえば。
 近年、恋のパワースポットとして有名な貴船神社。

 平安時代の歌人・和泉式部がお詣りして恋が実ったという逸話でカップルや女性で賑わっているあの貴船神社だ。
この神社について少し年配の方々に聞いてみると「恋のパワースポットだって?」と苦笑いし、そして「貴船神社といったら……」と口ごもる。言いにくいことを隠しているかのようだ。
 無理もない。ここは、かつては「丑の刻参り」で有名な神社だったのだ。
「丑の刻参り」とは「夜中の二時にワラ人形にカーンカーン」のあれ。あれの元祖がここなんだ。
 さらに「和泉式部の恋が実った」という逸話にしても、実際のところはかなり情念ドロドロな話だった。

 若い頃から恋多き女性だった和泉式部も寄る年波には勝てずに夫の心が離れてしまった。そんな和泉式部が丑の刻参りで有名な貴船神社にお詣りに来た。
その時詠んだ歌が伝わっている。

物おもえば 沢の蛍も 我が身より あくがれいづる 魂《たま》かとぞみる

「恋しさに思い悩んでいると、沢に飛ぶ蛍も、私の身体から抜け出ていく魂のように見えます」という意味だ。彼女はこの時、魂が抜け出てしまうくらい思い悩んでいたのだ。そして足が向いたのが貴船神社。それは、夫を呪うためだったのだろうか。それとも相手の女性を恨み、呪詛しようとしたのだろうか。貴船に参るということは、それなりの覚悟の上で来たのではと勘ぐってしまう。
 そして、いよいよというとき。
 貴船神社の社殿から先の歌に答える歌が返ってきた。
それは紛うことなき、貴船明神の声であった。
 この返歌を聞いて和泉式部はすんでのところで人の道を踏み外すことを思いとどまり、やがて夫の心も戻ってきたのだそうだ。


 ごらんのとおり実際は「和泉式部の恋が叶ってハッピーエンド」というお話ではない。
 でもこの話を知っていれば、貴船の深い森で千々に乱れた女心を抱えた和泉式部に思いを馳せることもできるだろう。それはただ単に「恋のパワースポット」と思っているだけではけして見ることのできない景色だ。

 僕も貴船に行ったことがあるんだけれど、本書を読んでたらもう一回行ってみたくなったな。だって和泉式部が思い悩みながら詠んだ沢っていまどんな景色なんだろう、とか思うし。
 光があれば、影がある。影を知ることで、そのものがより立体的に見えてくる。
「観光」とは「光を観ること」といわれるが、実は「影」の部分を観ることで、旅は一層面白いものになるのだ。知られざる部分を知ることで、皆さんの京都歩きがより立体的に、奥深いものになると幸いです。
 後半に載せたもくじを見ていただくとわかるとおり、本書にはほかにも清水の舞台から実際に飛び降りたひと(かなりの数にのぼるんだこれが)や「鴨川の岸辺に等間隔の隙間を空けて座るカップル」で有名な三条河川敷では公開処刑やさらし首なんかやられていたとか載ってたり(僕もそのカップルの一員だっただけになんとも言えないよなぁ(汗))、古本関係で公私ともによくお邪魔する百万遍の知恩寺にまつわる話なんかもあってもうなんていうか、まだまだ僕たちの知らない京都ってのはいっぱいあるんだな。


 本書は、読んでいると本当に京都に行きたくなる本だ。
 だってさ、何も考えずに通ってたあの道を坂本龍馬や安倍晴明が通ってたとか聞いたら、なんていうか、こう、萌えるでしょ?

 来週あたり、京都に行こう。
 うん決めた。
「大文字焼き」と呼ぶ事なかれ
●決して口にしてはいけない呼び名
(略)
中にはこの行事を花火と同類の「火の祭典」「火が織り成すエンターテイメント」だと考えている人がいるようだ。
(略)
 ましてやどら焼きか今川焼きかのように「大文字焼き」などと言うことなかれ。言った途端に京都の人から冷ややかな視線を向けられてしまうからだ。
 !!
 ……そ、そうか……そうだったのか……!!
(´;ω;`)


ガイドブックには載っていない 本当は怖い京都の話ガイドブックには載っていない 本当は怖い京都の話
価格:¥ 1,260(税込)
発売日:2013-11-25

→『ガイドブックには載っていない 本当は怖い京都の話 』松倉知さと・彩図社


もくじ
はじめに

第一章 あの有名観光地の怖い話
【世界遺産はなぜ飛び降りの名所だったのか】
1.清水の舞台から飛び降りた人々
【北野天満宮の由緒とは】
2.深い深い学問の神様の恨み
【藩と藩の意地がぶつかる!】
3.三十三間堂で行なわれた壮絶な戦い
【思わず手が伸びてポキッ!】
4.弥勒菩薩像の妖しいほほ笑み
【丑の刻参りの由来】
5.貴船神社は恋のパワースポット?
【それでもそこに座りますか?】
6.三条河原に並んだものとは
【呼ばれても振り向いてはいけない】
7.振り向くな! 嵐山の渡月橋
【彼は何に謝っているのか?】
8.江戸期の半沢直樹? 土下座像の謎
【厄除け粽に隠された恐ろしい逸話】
9.祇園祭は何のためのお祭り?
【明治の京都近代化の真実】
10.京都御所を動物園にした男
【幕末の烈しさを体感できる場所】
11.木屋町通りは暗殺ストリート
【京都の夏の風物詩】
12.「大文字焼き」と呼ぶ事なかれ

第二章 その時、京都で歴史が動いた
【結婚式の前撮りスポットとして人気だが……】
13.応仁の乱、そのはじまりの地
【南蛮寺から実況中継】
14.宣教師は見た! 本能寺の変
【血染めの手形、足形が……】
15.ワケあり建材の裏に忠臣あり
【イチャモンつけて追い落とす】
16.家康の執念 方広寺鐘銘事件
【浪士たちの運命を決めた円山公園】
17.忠臣蔵 討ち入りは京都で決めた
【ロマンチックだけじゃない!】
18.六角獄舎で流転した男たちの運命
【幕末史のターニングポイント】
19.御用改めである! 池田屋事件
【日本史上屈指の英雄最後の地】
20.坂本龍馬暗殺現場は今

第三章 千年の都の不思議な住人たち
【猿の顔 狸の胴体 虎の手足 蛇の尾】
21.新島八重が例えられた怪物 鵺
【男女の出逢いが歴史を変えた?】
22.恋塚寺に伝わる悲しい伝説
【官僚をしながら閻魔様の補佐係?】
23.あの世との境界線 六道の辻
【吉岡一門との決闘】
24.剣豪 宮本武蔵の怪しい足跡
【世にも不気味な化け物】
25.現代に息づく土蜘蛛退治伝説
【花嫁は通ってはいけない!】
26.数々の伝説が伝わる一条戻り橋
【余命3年にならないための処方箋】
27.三年坂で転んでしまったら?
【お花見発祥の地なのだが……】
28.怨霊を鎮める場所だった神泉苑
【宮様を巡る哀しい伝説】
29.魂が宿った人形 万勢伊さん

第四章 本当に怖い京都の話
【良縁に恵まれるのはいつの日か】
30.こんなにある京の縁切りスポット
【苛烈な弾圧の傷跡】
31.元和キリシタン殉教の石碑
【許される日は来るのか?】
32.時代祭りに参加できない新選組
【妖怪の聖地として町おこし】
33.百鬼が夜行した妖怪ストリート
【西陣の少年と少女の約束】
34.哀しい鐘の物語 報恩寺
【あの羅城門も建っていた】
35.千本通りは何が千本あったのか?
【都を襲った戦火の傷痕】
36.京都にもあった都市空襲
【文化財があってもお構いなし】
37.実は原爆投下目標都市だった京都
【あの世とこの世の境界?】
38.タクシー怪談発祥の地 深泥池
【サッカーの神様として有名だが……】
39.皇室が最も恐れた怨霊とは?

あとがき


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【書評】『ベテラン政策秘書が採点する 戦後総理の査定ファイル』朝倉秀雄・彩図社

2013年10月05日 | 歴史
ベテラン政策秘書が採点する 戦後総理の査定ファイルベテラン政策秘書が採点する 戦後総理の査定ファイル
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2013-09-24
行政マンから政策秘書の世界に身を投じた筆者。以来17年間、衆参、与野党合わせて8名の国会議員に仕え、永田町でつぶさに彼らの生態を観察してきた。国会議員多しと言えども、すべてを投げうち困難を乗り越え、永田町の頂点に立つのは総理大臣ただ一人。
本書は、そんな総理大臣たちを取り上げ、その政治的資質を点数をもって「計量的に査定」しようとするものである。
日本政治の裏の裏まで知り尽くした著者の裁定基準は、そこらの政治評論家たちとは当然異なる。読者の政治観を変える一冊!
 著者・朝倉秀雄氏は衆議院参議院合わせて八人の国会議員の補佐をし、委員会の彼らの質問原稿の作成から著作の代筆、後援会作りに資金管理団体の会計責任者として政治献金の管理などなど、国会内のさまざまな仕事を経験した政策秘書だ。

 本書は、
 政治の裏側を知り尽くして歴代総理の生の姿を見てきた著者が、戦後の総理大臣たち??正確には現行憲法施行後、つまり天皇の大命ではなく投票で選ばれた第46代・片山哲から現在(2013年)の安倍晋三まで??を、政策や人柄から見て各能力に点数を付けてその業績をまとめている。


 僕もこの系の本をいくつか読んだ記憶があるのだけれど、本書の評価はかなり独特に思えた。世間一般の言う「良かった総理」や「悪かった総理」とは必ずしも一致しないのだ。

 というのも、
 本書は総理の「良い悪い」を考えるときに少し違う考え方をしているせいだ。
 これまでにも歴代総理の人となりや業績を扱った著作は多いが、どちらかと言えば実績に重点を置いたものが多い。
 しかし、それだと在職日数が極端に短い羽田孜(64日)、石橋湛山(65日)、宇野宗佑(69日)などは実績などないに等しく、評価のしようがない。(略)政権の長短は当人の実力以外の要素に左右され、短期の政権しか担えなかったものにはいかにも不公平だからだ。
 よって本稿は、実績は評価基準の一要素にしか考えず、「もしその人物が長期政権を担っていたら果たして何ができたか?」という「可能性」をも含めた人物評価に重きを置くことにした。「実績」ではなく「人物」の評価である
 本書は各総理の評価と一緒に、その総理がどういう政治活動をしたかを細かくまとめてあるので読み物としてはかなりのボリュームだ。もちろん量だけでなく著者のポジションから見えた情報もちりばめられているので、質的にも相当ある。なのに難しい専門用語を使っていので、ごく普通の週刊誌の記事が読める程度の知識があればするすると読めてしまう。
 このあたりははきっと著者の力量なんだろうな。


 田中角栄と中曽根康弘の項目なんてかなり面白かった。
 敗戦と新憲法施行で、なんとか国を復興させるために動いていた政治は、このあたりから金の力に流れていく。本書で「最悪」と言われた「あのひと」はもちろん僕も同感なのだけれど、それとは別に現在まで引きずる金権政治のおおもとをつくったこのあたりの総理って相当な責任があるんじゃないか?

 ほんともう、どういうことよ? もう金ならあなた、たくさん持ってるんでしょ? じゃあ政治してよ! とか電車の中でブツブツ言ってしまった。


 本書は歴代総理の裏の顔がちらちら見える政治読み物としても面白いし、同時に日本近代史としても読める。
 いやー、きちんと裏の取れたノンフィクションって本当に面白いね。
(考えてみれば政治に携わっていた本人が書いているんだから裏が取れているのは当然なのだけれども)

 総理を含む政治家は、なにも聖人君子である必要はないが、最低限持ち合わせるべき資質がある。それは私利私欲よりも国益・公益を優先させる志である。それを欠く者は総理はおろか国会議員になる資格すらない。
 まったくもってその通りだと思う。


ベテラン政策秘書が採点する 戦後総理の査定ファイルベテラン政策秘書が採点する 戦後総理の査定ファイル
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2013-09-24

→『ベテラン政策秘書が採点する 戦後総理の査定ファイル』朝倉秀雄・彩図社


もくじ
はじめに

第一章 敗戦からの復興と55年体制の成立
【リーダーの器でなかった通称“クズ哲”】
片山哲
【政治的謀略に破れた文人宰相】
芦田均
【組閣歴代1位のワンマン宰相】
吉田茂
【不運に泣いた吉田茂最大のライバル】
鳩山一郎
【短命政権が惜しまれる経済通総理】
石橋湛山
【反共・親米を貫いた“昭和の妖怪”】
岸信介

第二章 高度経済成長と角福戦争
【所得倍増計画を成功させた人気者】
池田勇人
【人気以外はパーフェクトな大宰相】
佐藤栄作
【“今太閤”として人気を誇るも汚点で失速】
田中角栄
【あくなき権力欲で総理の座を射止めた“議会の子”】
三木武夫
【角福戦争に敗れ“遅咲き”を余儀なくされた屈指の政策通】
福田赳夫
【“鈍牛”と称される見た目とは裏腹に切れ者だった】
大平正芳
【総理の座は重すぎた党務の達人】
鈴木善幸

第三章 バブルの狂乱と55年体制の終焉
【強力なリーダーシップで数々の難題にケリを付けた大勲位】
中曽根康弘
【駆け引きに長けた苦労人、唯一の実績は消費税導入】
竹下登
【戦後3位の短命政権だが、総理としての資質は優れていた】
宇野宗佑
【何の実績も残せなかった小沢一郎の傀儡総理】
海部俊樹
【弱点は党務と決断力だけ、政界きっての知性派】
宮澤喜一

第四章 失われた時代の到来と非自民政権
【脆弱な政権基盤の上に立った趣味人】
細川護煕
【戦後在職最短記録を樹立してしまった不運の人】
羽田孜
【出身政党が悔やまれる優れた統率能力】
村山富市
【最悪の形で晩節を汚した政策通】
橋本龍太郎
【派閥の力学で誕生した非凡なる“凡人宰相”】
小渕恵三
【言われるほど失策はなかった“リリーフ総理”】
森喜朗

第五章 規格外の男・小泉純一郎登場以後
【永田町の論理を超越した規格外の天才演出家】
小泉純一郎
【あまりにも就任が早すぎた初の戦後生まれ総理】
安倍晋三(第一次)
【無欲にして沈着冷静な良識派総理】
福田康夫
【外交面で存在感を示すも衆院選で大敗北を喫する】
麻生太郎
【国民の期待を「決められない政治」で打ち砕く】
鳩山由紀夫
【震災対応で“戦後最悪の総理”候補の一人に】
菅直人
【ブレない“どじょう”も時の流れには逆らえず】
野田佳彦
【アベノミクスを掲げ、満を持しての再登板】
安倍晋三(第二次)

おわりに

ベテラン政策秘書が採点する 戦後総理の査定ファイルベテラン政策秘書が採点する 戦後総理の査定ファイル
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2013-09-24



2013/10/06 一部訂正


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