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鏑木保ノート

ブックライターの書評、本読みブログ。

【書評】『天皇家99の謎』歴史の謎研究会編・彩図社

2015年08月08日 | 歴史
 天皇家の初代神武天皇からの「欠史八代」とか、継体天皇はじつは……という系の話、僕は大好きなんだ。


 そんなわけで本書。
天皇家99の謎
彩図社


 表紙に神武天皇像があるので、僕はもうちょっと難しめな歴史本なのかなと思って開いたのだけれどそんなことはなかった。天皇にまつわる謎と雑学の本。


 一番最初の謎は『そもそも、天皇家とは?』。
 日本国憲法第一条の「天皇は、日本国の象徴であり云々」ってアレなんだけれど、じゃあ象徴ってなんなんよ? って部分をコンパクトに解説してくれる。
 見開きで右ページに解説を、左ページには図版をのせているつくりでサクッと読めてわかりやすい。

 ほかにも第一章では『天皇家はなぜ苗字を持たないのか』とか『天皇家の人々は日本国の「国民」か?』、『天皇家の家紋はなぜ菊になったのか?』などなど、身近だけれど、「そういえばこれってどうなんだろう?」という謎が紹介されている。


 ちなみに。
 天皇家の家紋が菊というのはみんな知っている。パスポートの表紙も菊の紋だし戦時中には戦艦大和とか軍艦の艦首にも菊紋がついてたりもする。だから僕はてっきり日本という国の家紋のような……なんていうんだろう、国旗とはまたちがう日本の公式エンブレムのようなものが菊なんだと思っていたんだけれど、これ、違うんだそうだ。

 天皇家の紋が菊と決められたのは1873年の太政官布告ことで、それまでの天皇家は竹・桐・鳳凰の紋様や桐の紋様を家紋にしていた。

 そんでもって、現在の日本国の公式エンブレムも菊じゃない。
 「五七桐花紋」といって、桐の葉っぱの上に三本の枝があって真ん中が七つの花で左右が五つの花というデザインなんですよ。→五七桐花紋(Google)
 ってこれ、『信長の野望』の豊臣家の家紋じゃないかっ。


 天皇家に関係して、天皇家以外の雑学もあちこちにちりばめられていてさくっと読めた。それで本体価格537円のとても安い本だね。
 装丁はコンビニとかに並んでいるペーパーバックを思い浮かべていただければいい。カバーのついていないああいう形の本だ。


 このあとにも天皇家の謎はたくさん出てくる。

 第二章では天皇の実際の仕事と家計。
 毎日分単位のスケジュールで公務をこなし、天皇家に伝わる数々の儀式をいくつもやっているからすごい。天皇は超多忙なんだ。あと皇室にはどれくらいお金がかかってるのかとか「即位の礼」ってどういうものか、一般参賀には誰でもいけるのか、っていう疑問も説明されている。そうだったんだねー。

 三章、四章では日本史を彩ったいろいろな天皇の事跡や謎。
 神話時代から太平洋戦争末期の昭和天皇にまつわるエピソードまで、歴史上の「天皇の謎」に迫る。欠史八代も継体天皇も出てくるよ。あと最年少天皇とか在位最長の天皇なんかの情報もある。在位最年長は激動の近代を生きたあの天皇なんだ。

 最後、五章は天皇家の日常と未来。
 天皇陛下っていつもどんな料理を食べてるの? とか、皇族にも恋愛や結婚の自由はあるのか、とか昭和天皇と今上(平成)天皇のご趣味は? 競馬で「天皇賞」があるのはなぜか? といった身近な話題だ。


 どのページもすぐ読めるので、どこから読みはじめてもいいしどこでやめてもいい。電車の中とかで読むのにピッタリかもね。


 世界でも類を見ないほど長い歴史をもった天皇家。
 その天皇家にまつわる歴史の謎からちょっとした雑学まで。

 サクッと読めて楽しめる本だ。

天皇家99の謎
彩図社



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●こんな本も
『日本史の大誤解 激動の近代史編』夏池優一・彩図社


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