![]() | プア充 ?高収入は、要らない? (ハヤカワ・ノンフィクション) 価格:¥ 1,365(税込) 発売日:2013-08-23 |
年収200万や300万でも充実した生活ができることを「プア充」と名付けた本書。
「プア充」。
これ、信じられる?
年収300万円だからこそ、豊かで幸せな毎日!
私たちは、これまでとは違う新しい生き方を追い求めていく必要があります。この本で提案しているのが、そこそこ働き、企業に縛られず、自分の生活を生き生き生きていく「プア充」という生き方です。私も大学を辞めた後、数年のあいだかなり貧しい生活を強いられました。仕事がなく、年収が200万円に満たない年もありました
「仕事量に合わない、それなりの収入で不安だらけの将来」、「プア充」とはなにか。
「高くはないが。安定した収入で希望にあふれる未来」、
どちらを選ぶ?
インターネット上のスラングで、リアルが充実してるヤツのことを「リアルが充実=リア充」という。おなじようにお金は少ない(プア)けれど充実した暮らしをしている、という意味が「プア充」だ。
でもさ、
お金ってあるに越したことはないじゃない?
少ないお金で充実ってできんの?
本書は「できる」という。
どうして必要以上のお金を稼ぎたがるのか、お金持ちになりたがるのか「必要なお金」っていうのはひとそれぞれのライフスタイルで違ってくるだろう。
じゃあ、自分が本当に必要なお金はどれくらいか、考えてみたことはあるかな?僕は考えたことなかった。
人間だれしも生活に必要な金額というのはたしかにあって、そのぶんを稼ぐのは必要。でも、それ以上「もっともっと」と稼ぐことがはたして必要だろうか?
ましてや、睡眠時間や人間関係のお付き合いの時間を代償にしてまで得た高収入にいったいなんの意味があるのだろうか?
というのが本書の趣旨だ。
お金というものは、あればあるだけ、もっと欲しくなるものらしい。
それが証拠に、なまじお金をもってしまうと企業の演出する幻想を夢物語じゃないと錯覚してしまう。
たとえば家や車のCMだって、お金がないないときには他人事に見えるが、手が届くようになると、気になってしまうというのが人間の心理そして、
買うためにはもっと稼がなきゃいけない。稼ぐためには働かなければ……と連鎖してしまう。
お金を稼ぐために時間のすべてを費やしてしまい、本当の人間関係を築く時間がなくなってしまうのは本当に怖いものだよ寝る間を削ってまでお金を貯めて買おうと思ってるその車や家は、いまのあなたにどうしても必要なのだろうか?
それよりも、
もっと大切な時間があるんじゃないだろうか?
会社というのは、株主に利益をもたらすためにあるものだから、株式会社である限りは、成長という使命からは永遠に逃れられないだろう。大きな会社であればあるほど資本も大きいわけだから、プレッシャーも大きいだろうね。みんな、そのプレッシャーにずいぶんと振り回されているわけだ。
だけど、その会社の成長使命に、君たち個人が振り回される必要はない(略)『成長しなければいけない』『稼がないといけない』、現代社会が生み出しているそんな幻想に、みんな不安をあおられているだけなんだつまり、僕たちが「もっとお金を稼がなきゃ」と思っているのは、社会が生み出した幻想で、ただ単に株式会社の組織としての目的に過ぎないんだ。
僕たちがそんなものに付き合う必要はない。
つまり。
本書の言うところは、
社会の暗示に負けないで、自分の目で見て頭で考えて、きちんと「自分のいま」を生きようよ。ということなのかもしれない。
GDPやGNPなど、数字で成長度を測って一喜一憂するのもいいが、本当の「生きやすさ」は数字では測れないちょっと肩の力を抜いて、自分に必要なだけ働いてみればいいんじゃないかな。
贅沢を我慢するんじゃなくて、本当に必要なものかどうか自分の頭で考えること。
そして自分がごく普通に生活するのに必要なものを買えるだけ稼げたら、あとは余暇に充てればいいと思う。
本書を読んで、
僕はなんだか肩の荷がおりたような気がした。
仕事も大事だけれど、その「仕事」は一体なんのためにやっているのか、と考えたら……それは自分の幸せのためであり、家族が不自由なく生きていけるためにやってるんだもんなぁ。
自分が幸せになれなきゃ、
お金があっても意味ないよね。
必要な分の仕事をしたら、
あとはそうだな、久しぶりに散歩でもしてみようかな?
良い本を読んだ。
![]() | プア充 ?高収入は、要らない? (ハヤカワ・ノンフィクション) 価格:¥ 1,365(税込) 発売日:2013-08-23 |
ちなみに。
本書の著者、島田裕己氏は『戒名は、自分で決める』(幻冬舎新書)や『神道はなぜ教えがないのか』(ベスト新書)など宗教学をわかりやすく教えてくれる著書で有名だ。
本書も仏教で言うところの「小欲知足」なんだけれど、ぜんぜん説教臭くないのが良い感じ。
戒名は、自分で決める (幻冬舎新書) 価格:¥ 777(税込) 発売日:2010-05 |
神道はなぜ教えがないのか (ベスト新書) 価格:¥ 800(税込) 発売日:2013-01-09 |
→『プア充 ?高収入は、要らない? (ハヤカワ・ノンフィクション)
もくじ
プロローグ
第一章 どうして僕らは、お金持ちになりたいんだろう?
働いても働いても貯金がない/稼げば稼ぐほど、お金に対する執着は増す/ローンは借金だ/どうしてそんなにお金を稼ぎたい?
第二章 これからの時代はプア充
ミスをかばってくれない会社/どこまで頑張ればいい?/これからの時代はプア充/過去に例のない時代の到来/先人は、お金持ちになる恐ろしさを知っていた/賃貸と持ち家、どちらがいい?
第三章 毎日がハレではつまらない
前兆/使い捨て社会に使い捨てられるな/禁欲からの解放
第四章 プア充に必要なこと
プア充生活の実践へ/プア充になるためのポイント/お金がないから結婚をする/貯金はもったいない/勝てに不安がって苦しむ現代人/ブラック企業で働き続ける意味/いい人間関係の中で生きる/プア充はケチくさい?
第五章 高収入は、要らない
100万円下がった年収/「あの年収じゃ遊べないだろ」/プア充は心に余裕を生む/プア充のススメ/常識、思い込み、不安、執着からの解放
エピローグ
あとがき
![]() | プア充 ?高収入は、要らない? (ハヤカワ・ノンフィクション) 価格:¥ 1,365(税込) 発売日:2013-08-23 |
![]() ライフスタイル、ライフ、暮らし、生活 |
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→『「わたしはわたし!」セルフ・ラブで幸福の扉を開ける15の鍵』溝口あゆか・ジュリアン
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