goo blog サービス終了のお知らせ 

鏑木保ノート

ブックライターの書評、本読みブログ。

『萌え萌えクトゥルー神話事典』クトゥルー神話事典制作委員会・森瀬繚・イーグルパブリシング

2010年12月03日 | 萌え
萌え萌えクトゥルー神話事典萌え萌えクトゥルー神話事典価格:¥ 1,575(税込)発売日:2009-10-23


 表紙がエロゲのパッケージすぎて本屋の店頭で買えなかった本書。orz
 そういうときのためにあるのが我らが希望、amazonさん。旧型スクール水着ですら「おもちゃですがなにか?」と軽く言ってのけるamazonさんにかかれば、この程度の本なんか誰にも見られずに梱包されてサクッと届けられるのだ。

 さすがamazon! おれたちにできない事を平然とやってのけるッ そこにシビれる! あこがれ(ry


 予備知識として
 クトゥルー神話(クトゥルフ神話、ク・リトル・リトル神話とも言われる)とは。

 米国の作家、H・P・ラヴクラフトが書いたホラー小説がもとになっている架空の神話体系である。
 内容はいわゆるコズミックホラーと言われるものだ。
 人類とはスケールも常識も違う異質かつ絶対的な力をもった宇宙的存在に対する恐怖に、魔導書や古代に沈んだムー大陸などの要素を加えて出来上がった神話体系で、「どう考えても理解し得ない絶対者に対する恐怖感」が濃厚に漂っている。
 やがて、この神話の設定を踏まえた作品がラヴクラフトの作家仲間で書かれるようになり、作品間の設定でゆるいつながりをもったシェアードワールドに似た展開を見せた。そうして出来上がったのがこんにちの「クトゥルー神話」である。(※注・けしてエロゲではない。

 この神話は現代日本にも受け継がれていて、平成ウルトラマンの『ウルトラマンティガ』はこの神と戦ったし、最近ではライトノベルなどでも活発にクトゥルー神話が使われていたりする。つまり僕たちもけっこう見ているのだ。(※注・だからけっしてエロゲではないのだ。


 そんなおどろおどろしい狂気の神話体系、クトゥルーを「萌え」で解説したのが本書である。

萌え萌えクトゥルー神話事典萌え萌えクトゥルー神話事典価格:¥ 1,575(税込)発売日:2009-10-23
クトゥルー神話のことをもっと知りたい??だけど、怖い話はカンベン。『萌え萌えクトゥルー神話事典』が、そんなアキバ系のあなたのための手引き書になることを切に祈る。
 触手と粘液がうねうねと絡み合い、常人ならば見ただけで発狂してしまう容姿をした恐るべき神々が……萌え美少女になっとるやんけっ! うん。たしかに怖くないね。うん。


 それどころかこの本、解説がかなり的確だ。
→『萌え萌えクトゥルー神話事典』(クトゥルー神話事典制作委員会編・森瀬繚監修・イーグルパブリシング)

もくじ
旧支配者
クトゥルーアザトースヨグ=ソトースナイアーラトテップ(以下略)
旧神
星の戦士ノーデンス[大いなるもの]
独立種族・奉仕種族
「深きもの」「バイアクヘー」「古きもの」ショゴス(以下略)
Column
旧支配者の系図
四大元素と旧支配者
設定上の混乱
クトゥルー神話の魔術
旧神の設定
レッツ・SANチェック!
クトゥルー神話 資料編
クトゥルー神話とはなにか
クトゥルー神話の「原典」
クトゥルー神話スポット
邪神が駆る者たち
邪神を狩る者たち
クトゥルー神話の作り手たち
クトゥルー神話書籍ブックガイド
 スペースの都合上、個別の神の項目の引用は割愛させていただいたのだけれど、本書にはこんな感じで合計43種類もの神々やその眷属たちが萌え絵で紹介されている。 なかでも主神、クトゥルーたんの萌えっぷりは一見の価値ありである。あのタコヅラ……もとい、粘液と触手にまみれた「大いなるクトゥルー」がこうなるのかっ!


 さて、肝心の内容について。
 本書のメインディッシュであるそれぞれの神についての解説は、だいたい1~2ページくらいの文章にまとめてある。プラス萌え絵。
 パッと見の文章量は少し多めなのだけれど、それに反して内容はとてもわかりやすい。きっとツボを踏まえたサブタイトルが付いているせいだろう。本文を読む前に「あ、こんな感じなのね」と思えるサブタイトルが理解を深めてくれるのだ。

 メインの神々の紹介以外にも、もくじにもあるようにクトゥルーに関連したコラムや背景に関した読み物も充分に用意されていて、本書を読めば「クトゥルー神話」のだいたいが理解できてしまうだけの情報量がそろっている。クトゥルー神話入門書としては充分な出来である。


 そして本書のもっともすごい点は、
 きちんと伝わるだけの情報を載せながら、それでいて萌えにもまったく手を抜いていないところだ。

 こういう萌え入門書って情報か萌えかのどちらかに偏る傾向があるのだけれど、本書にはそれがなく、タイトルの『萌え萌え』も『事典』も両立してしまっているのがすごい。


 看板に偽りなしの本書はオススメである。


 ちなみに。
 僕のお気に入りはイタカたん。
 雪の夜にやってくる、ねじ曲がった焼死体のようなショッキングナンバーワンな姿をしたイタカが、こんな美少女になるとはっ! その解釈のしかた、お見事である!

萌え萌えクトゥルー神話事典萌え萌えクトゥルー神話事典価格:¥ 1,575(税込)発売日:2009-10-23


 本書でクトゥルー神話に興味を持ったなら、創元推理文庫『ラヴクラフト全集 (1)』からはじまるシリーズを読んでみるといい。
 本書の知識があれば、この身の毛もよだつ神話をすんなりと理解できるだろう。



●こんな本も→『這いよれ!ニャル子さん』逢空万太・ソフトバンククリエイティブ
→『巫女さん入門 初級編』神田明神監修・朝日新聞出版
→『萌える☆哲学入門』造事務所・大和書房
→『〈萌訳☆〉孫子ちゃんの兵法』福田晃市・総合科学出版


コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。