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母校の福岡県立三池高校は少しだけど素敵に変わっていた

2014年07月15日 14時22分51秒 | 徒然日記

 


上の矢印が柳川市の南端を画する矢部川
下の矢印は堂面川

 





認知症の母の介護のため帰省していた五月、ショッキングな話を聞きました。
大牟田市立甘木中学校が閉校されるらしいという話。
つまり、私達の母校がなくなる、と。

б(≧◇≦)ノ ・・・母校がなくなる~?
б(≧◇≦)ノ ・・・許せん~?


で、甘木中学校に直接電話をかけて聞いた。でもって、そんな不躾な電話だったのに、校長先生から直接丁寧なお話しをうかがえた。その結果は・・・、向山校長先生によれば、私達の母校の閉校は「決定」ではないが、平成33年度(2021年)を目処に--母校の生徒群を形成してきた二つの小学校の学区のうち、手鎌小学校区の児童は隣接する白光中学校に、そして、倉永小学校区の児童の方はこれまた隣接する橘中学校に進学することにして--甘木中学校は漸次・自動的に閉校になるということ。

(><)




甘木中学校に倉永小学校方面から
接する陸橋に通じていた階段





それからしばらくして野暮用で何度か福岡県柳川市を訪れた。その柳川市の唯一のターミナル、西鉄柳川駅近辺で異様なものを見かけて私はまたまたショックを受けました。それは通学していく一群の女子高校生達、というか彼女達が着ていた制服。それ私達の母校、福岡県立三池高校の夏服だったから。

φ(。。;)φ(。。;)φ(。。;)


三池高校は私達の郷里、福岡県大牟田市を「学区=縄張り」とする高校のはず。大牟田-柳川間は直線距離にして15キロとはいえ、三池高校には柳川市や大川市出身の生徒など全校に1人いるかいないかという極々希な存在だったと思う。それが、偶然、彼女達の通学時間に通りがかったからだろうけれど、西鉄柳川駅近辺で母校の制服を一度に半ダース以上目にした衝撃は大きかった。これは毎年--おそらく、多くの三池高校のOB/OGがそうであるように--週刊誌で確認する「九州大学合格者数」が私達の頃は毎年50人前後だったのが現在では一桁を低迷しているらしいという情報よりも遥かにショッキングな光景でした。

女子生徒がいるということは男子生徒もいるはずだから--「男に興味はない!」のではありません、校名入りの部活のバッグとかでも持っていない限り制服で男子生徒の所属高校を識別するのが難しいだけのこと--柳川には現在では三池高校の在校生が少なくとも十数人はいるのかしら。と、この推測は小さいけれどクッキリとした世の中の変化を--それが大袈裟ならば「郷里の変化」や「母校の変化」を--私達のような郷里を出てからの時間の方が遥かに長い者にも直感させました。

( ..)φ( ..)φ( ..)φ





調べてみれば、しかし、摩訶不思議なことなどなかった。福岡県の旧12学区最難関校と謳われた(微苦笑)我らが母校・三池高校は、2003年の学区統合の結果、現在では柳川市や大川市からも普通に進学できるようになったとか。調べてみればこの母校の変化はもう10年以上前に起こった話だった(赤面)。

三池高校に問い合わせると、大体、現在では在校生の10%が柳川・大川エリア出身の生徒とのこと。歳がばれるから詳しくは書きたくないのだけれど、私達の頃は、1学年10クラス、1クラス45人の450人が1学年の定員だった。それに対して現在は、1学年6クラス、1クラス40人の240人が1学年の定員らしい。ならば、大雑把にいって、1学年24人、全校では72人の生徒が大牟田市にある三池高校に日々柳川・大川エリアから通学している計算になる。そう、「十数人」ではなく「数十人」の規模で柳川の後輩が存在しているということ。

そう言えば、地場の学習塾としてまずまず頑張っておられる全教研の柳川教室に張られたポスターには--「最新合格実績」として、河合塾でも東進衛星予備校でもよく張り出されている類のあれですけれど--「合格率100%! 三池高校5名」とかなんとか書かれていたものね。蓋し、畢竟、ヘラクレイトスの箴言の通り「万物は流転する」(All things are in a state of flux.; World as well as life is a series of changes occasionally interrupted by stability, I suppose.
)なの、鴨。


б(≧◇≦)ノ ・・・万物は流転する!
б(≧◇≦)ノ ・・・でも、なんか、嬉しい!





国家とは何か、国民たる<私>とはどのような存在なのか。イェリネック(1851-1911)の「国家の三要素」なるものとして人口に膾炙する定義によれば、国家とは領土・人民・権力を備えた社会集団のことらしい。今でも日本では、大体、どんな書物にもそう書いてある有名で陳腐な定義。けれども、イェリネック自身は、名詞の形容詞用法である「国家の:Staats」をそれぞれの項に添えた上で「国家:Staat」を説明して、

・国家的領土:Staatsgebiet
・国家的人民:Staatsvolk
・国家的権力:Staatsgewalt


を備えた自生性と人為性の相矛盾する二つの貌を持つ社会集団と考えていました(die mit ursprünglicher Herrschaftsmacht ausgegründet Körperschaft eines sesshaften Volkes:自生的あるいは正当な統治権力によってまとめあげられた一個の定住する人々を他から切り離す社会集団)。これ、でも同語反復ですよね。つまり、「国家」を定義するのに「国家の」という同一の概念を用いているから。ならば、それは無意味か。はい。微妙なところですが論理的にはそう言える、鴨。

けれど、逆に、ここにこそイェリネックのセンスのよさが一閃している。而して、それこそ、マルクス主義からのそれを含む19世紀-20世紀初頭の数多の国家論の中で、ケルゼンの法国家同一説--法体系と国家を同一と見る国家論--を除けばイェリネックの国家の定義だけが生き残った理由ではないか。そう私は考えています。

すなわち、「国家」の概念規定などは不可能ということ。ならば、「国家の定義」は、このように統治権や国家的という観点からスタートする、ニワトリ玉子的に無限に続く螺旋的な思索--すなわち、間主観性を希求した行為としての思索--の過程で各論者が自分なりにイメージするしかないものだ、と。<国家>の定義は、論理的にはトートロジーであり無意味であるだけでなく、自己をある国家の一員と意識する<私>の間主観的な自己意識を媒介にすることなしには無意味どころか不可能である、と。

かなりの我田引水ですがイェリネックの国家論を私はそう理解しています。少なくとも、「国家」を--諸国家から抽出される国家の事物の本性や国家一般のイメージたる<国家>も、時間的にも権利的にも国家や憲法の前に存在する天賦人権を確保すべく、これまた時間的と法的の二重の意味で国家に先行するらしいアトムとしての等価な--市民が社会契約によって人為的に形成したものなどとはイェリネックが毫も考えていなかったことだけは確かでしょう。

・定義集-「国家」
http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/11e73438ed3c960be96ce179877bd1a7




母校の話からなぜ国家の定義に飛んだのか。それは、母校の閉校予定と母校のプチ帝国主義的進出(苦笑)のニュースを聞いて私が真っ先に思い浮かべたのは、甘木中学校がその中腹に横たわる甘木山を中心とした郷里の手鎌小学校と倉永小学校の校区の具体的な風景だったから。母校閉校予定の情報に接してから微妙に私の意識の中でそれらは変化したし、逆に、柳川がなぜか母校の校区と思えて親しさを感じたから。

そう言えば前に、10歳くらい年長の元同僚から聞いたことがある。彼は--天使幼稚園→笹林小学校→延命中学校→三池高校という、--由緒正しい大牟田のエスタブリッシュメントの三池高校卒業生。而して、実は、私達なんかそうですが、その彼は「帰省の折に甘木中学校の校区とかを通りがかって、とにかく堂面川の北で三池高校の制服を見た日には、なんか、自分の母校が移民に簒奪された気がしたよ」、と。

б(≧◇≦)ノ ・・・失礼な!
б(≧◇≦)ノ ・・・移民の人に謝れ!


・<移民>という視座が照射する日本の魅力と危機-あるペルー女性の場合(上)(下)
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/d279788265b3613d2c08fc805f85b919






蓋し、<母校>とは、<母校>を巡る自己意識とは、母校を包摂する具体的な地域とそこに定住する具体的な人々を看過しては捉えることが難しいのではないか。すなわち、<母校>を一つの核とした自己意識はその学区の<風景>を不可欠の要素にしているの、鴨と。

人間が自己規定を行う場合--「自分とは何ものか」と自分自身に納得させようとする場合--自分がそこに生きてある具体的な生活世界の風景をイメージすることなしにはその試みは徒労に終わるだろうということ。そして、その<風景>には公的で法的な権力による間主観的な何らかの線引きや意味づけが少なからず影響を及ぼすのかもしれない。

ならば、廃藩置県後の人々の間主観的な自己意識の変容もまたこのようなものだったの、鴨。ならば、平成の大合併が個々の日本人の自己意識に漸次及ぼす影響にもこれらの契機は不可欠のなではないでしょうか。この点--「先験的統覚」を巡るカントとフッサールの異同--は現代哲学のメインディッシュに隣接していると思いますがこれ以上の駄弁は割愛します。西新宿の某女史が3回目のあくびをした気配を察したから。閑話休題。


・風景が<伝統>に分節される構図(及びこの続編)
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/87aa6b70f00b7bded5b801f2facda5e3





このように、それらに私が重層的に属する国家や母校、企業や政党という<社会>を捉えるとき、すなわち、<私>の間主観的な自己規定はこれまた重層的で具体的な<風景>を媒介にしており、よって、それらは自生的である反面、人為的でもある--与件として人がとりあえず左右できない側面と可変的な側面の両面を帯びる--両義的な存在と言うべきである。

けれども、国家なら国家、出身高校なら出身高校という<私>の間主観的な自己規定に関しては、同一の抽象度では一個の規定しか与えられない。たとえば、二重国籍というテクニカルな問題を捨象させていただければ日本国籍と韓国籍は相容れないし、同じ人物が同一年度の三池高校かつ伝習館の卒業生ということもありえない。それは、その自己規定を更に規定する<風景>には時間や距離という物理的契機、ならびに、間主観的で公的なsomethingが憑依しているから。蓋し、二重国籍や留学を媒介にした謂わば自己意識の動態的な形成の相は別稿に譲るとして、少なくとも、謂わば静態的な自己意識の形成に関しては大凡私はこう考えています。

要は、私の甘美な<母校>のイメージは日々<風景>の変化を媒介に浸食されているのかもしれないということ。ならば、私が<私>であり続けるためには、時々はメンテナンスも必要なの、鴨。ということで、高校の同窓会なんかに参加するのもコストパフォーマンス的に悪くはないの、鴨。なにより、そうすればそこでは、風景にプチお洒落で素敵な変化があったことなんかもご自分で確認できたりして、而して、それを媒介にあなたの<母校>のイメージもまた一層豊饒で強靱なものになるかもしれませんよ。

お粗末様でした。


<(_  _)> <(_  _)>





P/S
本記事を最後まで読んでいただいた柳川・大川エリアの女子中学生の方に一言。というか、そんな奇特な「読者」がいるはずもないですから、そんな彼女達の保護者の方々に一言。三池高校の制服は間違いなく可愛いです。東京でも京都でも、サンフランシスコでもミネソタでも、ロンドンでもマンチェスターでも、グラスゴーでもダブリンでも卒業アルバムを見せた知人の多くが男女ともに唸っていました。「クラシック・バット・オリジナル!」、「シンプル・アンド・エレガント!」と。

ということで、「制服のことを考えれば伝習館なんぞに行くのは貴女にとって高校時代の無駄遣いとさえ言える」、と。そのへんのとこを彼女達によろしくお伝え下さい。

で、なに、男子は? 
女子が志望すれば男子も志望します。
これが、必殺「鮎の友釣りマーケティング」です(笑)。

 

 


・書評:西村健「地の底のヤマ」<書評編><画像編>
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/439275b45c3a02732a517a58a9c02699

・福岡県柳川市の中空を覆うピタゴラス
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/5f83d5b911d3cb682e7deac34e15f1e6

 

・Only yesterday☆ある九州の元公立中学校校長の回想

 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/702a2aa00d2ef7a6ff7d38c125ee4f82

・なしをいただいた、嬉しかった。なぜだろう?
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/0abee39acedde2838a544c2c679b0b25

・福岡県大牟田市:松屋デパート「洋風かつ丼」復活が孕む思想的意味
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/9ffb70a94181ada4d3527ae2bc548d25

  

・目次記事--私達の郷里=福岡県大牟田市関連記事--
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/c4e4356606fc5608259336ecee1764e4


甘木山山頂から大牟田市街を臨む

 

勝手に、共感の「広告」2本(↓)・・・大牟田市・みやま市・南関町・荒尾市、
柳川市・大川市・八女市・筑後市、玉名市・長洲町とかとか限定!! (たぶん?)

・勝手に連帯ー世界の子供たちに本を送ろう~♪
(大牟田ガールスカウトさんの企画)

 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/161d5fd522c95ef57f280bf920ce1d42

 

 



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