英語と書評 de 海馬之玄関

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英文読解 one パラ道場:英語教材として読む安倍談話(英文全文)-【本編9】

2015年12月03日 17時27分27秒 | 英文読解 one パラ道場

 

In Japan, the postwar generations now exceed eighty per cent of its population. We must not let our children, grandchildren, and even further generations to come, who have nothing to do with that war, be predestined to apologize. Still, even so, we Japanese, across generations, must squarely face the history of the past. We have the responsibility to inherit the past, in all humbleness, and pass it on to the future. 


<語彙:S51-S54>
generation:ある一つの世代(可算名詞であることに注意。L語源は「生み出す」, cf. general(ある種全体), genus(種類), genuine(生来の/本物の)), now:今や(nowが文末に来る場合、「今ではね!」「今でしょう!」と、かなり強面の表現になります。ここは文中に置くことで日本人らしい奥ゆかしさを感じさせます),
exceed:超える/上回る/上手を行く(L語源は「超えていく」、類義語の excel(L語源は「上に立つ」)が 技能・資質の「過度・超え」について使われるのに対して、exceedは、surpass(L語は「super-pass:上に向けて-通過する」)と同様、量・程度についても、ていうか、専ら、量・程度について使われる単語です), per cent:%(米語表記は percent, L語源では「per:まるごと~「cent:100」~につき」, 名詞と形容詞の両方の用法がありますよ), population:人口(L語源の「people:人々」から),

(S52) let ~ to-V:~に・・・させる(死せる孔明、生ける司馬仲達をして走らしめる:let Chutatsu to run away.), grandchildren:孫達(L語源「grand:充分に成長して大きくなった」+IE語源/英語固有種の「child:子宮から出てきた産物である子供」), even:~でさえも/さらに一層(比較級の形容詞の意味をさらに強める even 。同じ用法があるのは、much, yet, still ), further:さらに先の/さらに遠くの,

have nothing to do with:~と関係がない/~に関心がない(前者は「be unconcerned with ~」, 後者は「be indifferent to ~」と書き換え可能、カナ), be predestined to-V:~することを宿命づけられている, apologize:正式に謝罪する(「apologize」は(S41)の名詞形の「apology」に続き2回目の登場、そして、最後の登場),

(S53)still:それでもなお、しかし/しかし、今においても(接続詞副詞のstillは、OEDには「なんらかの原因によって、これから述べることが意外性を帯びるようなときに用いる」とあります。機能文法的観点からは、逆接の意味に加えて状況の継続も持つ、二重の語感を帯びているといえる、鴨),

even so:たとえそうであったとしても, we Japanese:我々日本人(「We Japanese」の如き物言いは、大上段すぎるとされ、あまり使わない方がよいとされます。蓋し、このフレーズをナチュラルに口に出せるのは、日本では総理・副総理・自民党副総裁の立場の方々まで、カナ), across:~の向こう側に/~を通して, squarely:真っ正面から誠実に, face:正視する, history:歴史, the past:過去, responsibility:責任, inherit:引き継ぐ(L語源は「相続人として持つ」, heritage(遺産)), humbleness:謙虚さ/卑下/強いつつしみ, pass ~ on to:~を・・・に伝える/譲る,

* * * *

Our parents’ and grandparents’ generations were able to survive in a devastated land in sheer poverty after the war. The future they brought about is the one our current generation inherited and the one we will hand down to the next generation. Together with the tireless efforts of our predecessors, this has only been possible through the goodwill and assistance extended to us that transcended hatred by a truly large number of countries, such as the United States, Australia, and European nations, which Japan had fiercely fought against as enemies.


<語彙:S55-S57>
survive:困難を超えて生き残る(L語源では[sur:超えて][viv:生きている]), devastate:荒廃させる, sheer:正真正銘まったく, poverty:貧困/欠乏(L語源は「半端なしに困窮している貧しい人」の抽象名詞, poorも同語源), bring about:成し遂げる, current:現下の/現行の(L語源は「走る/水が流れていく」), hand down:下げ渡す/引き渡す,

(S57)together with:~に加えて, tireless:疲れを知らない/休むことを知らない, effort:努力(L語源は「ef:外にむけて」「fort:力を出す」), predecessor:前任者/先達(L語源では、「pre-:前もって」「-decessor:去ってしまった人達」, ちなみに、人の職業等を表す語末の綴りが「-or」のものは、大体はラテン語起源の語幹を持つ単語です。そして、「-er」が英語の固有種系、あくまで大体ですけどね), possible:~することが出来る/~が可能である(L語源は、そのまんま「≒being able to」。power(力), possess(所有する)も同語源), goodwill:好意・親善/営業権・顧客好感度, assistance:助力(L語源「as:傍に」+([st-]→)「sistance:立つこと」),

extend:延長する/助力や祝意を与える(L語源では、[ex-:外に]「tend:伸ばす」, もちろん、extension(拡張)は姉妹語), transcend:超える/超越する(語頭の「「trans-」は「~を超える」の意味。形容詞形 「transcendental:先験的・超越論的」は、カント哲学とフッサールの現象学の鍵言葉), hatred:憎しみ, a number of:かなりの数の/それなりの数の,

nation:主権国家(L語源の「nat:子供が生まれる」から。見たまんまの nature(自然), ちと違う engine(エンジン), pregnant(妊娠している)も同系列の単語), which:=←もちろん関係代名詞のwhich(whichやwhoは英語の固有種、古英語期(1000年~1500年前!)からずうっと、基本的には<英語>チームの疑問詞番で現役張ってるんやよ), fiercely:獰猛な/激しく/ガチンコで, fight:戦う, against:~と対抗して, enemy:敵(L語源は「en:~ではない」+[amita:父の姉妹→親しい人], amateur(アマチュア), amicable(友好的な), inimical(敵意のある), もちろん、aunt(叔母・伯母)も同系列の語彙),





<読解躓きの石>
▽関係代名詞 that の省略
上の英文(S51-57)の中に実はお一人隠れている方がいらっしゃいます。
気づきました。はい、それは(S56)の次の箇所。

>The future they brought about is ・・・

この「future」と「they」の間に関係代名詞のthatさんが隠れている。
恥ずかしがっているところお呼びするとこうなる。

>The future that they brought about is ・・・
>cf. The future that they brought about [先行詞=the future ] is ・・・

thatといわず関係代名詞/関係副詞は--単語としては英語固有種の古株ばかりですが--、もともとは指示代名詞(that)や疑問詞(who, which 以下全部)として専ら活躍していたもの。それらが「関係節」(=「関係代名詞+「S→V→・・・」構造」を)導く「関係詞」の役割もおおっぴらに果たすようになるのは、1000年代後半~1100年代初頭、本格的にブイブイ活躍し始めるのは1300年代から。そう、英語の関係詞は、清少納言さん紫式部さんが健筆を競っていたころ<英語界>で売り出し始め、足利尊氏公が室町幕府を創業された頃(1338)、一本立ちしたグループということ。それが、今や万里の波濤を越えてTOEIC・TOEFLの一大論点となりあなたの前にいる(笑)。

蘊蓄雑談禁止令。ここでの話題は関係代名詞の省略。こここそ、関係副詞の省略も含め--特に、「I think」等の挿入句と併用される場合の関係代名詞の省略、および、ビジネスレターの英文の品格を決める要素の一つ、関係代名詞の二重限定用法の際の(二つある内の)先行する関係代名詞の省略については是非、--のお手元の文法書で確認していただきたいのですが、

>制限用法の
   ↓ ↓
>目的格の関係代名詞

は容赦なく省略されます。注意すべきは「目的格の」というのは、その関係代名詞が関係節(←自らが率いる「S→V→・・・」構造のことですよ。)の中での役割が、すなわち、関係節の中での役割が述語動詞の目的語であるか前置詞の目的語になっている場合ということ(主格の場合については文法書を見てください! 「今でしょう」、多分)。

口語はもちろん英字新聞等においても--逆に、法律のドキュメントでは嫌われる時もあるけれど--大凡、遠慮なく省略される。寧ろ、省略されるのが普通ということ。統計学的に--母集団定義がものすごく難しいので--きちんとした数字はありませんが、例えば、お行儀のよい英語を使うはずの日本の英字新聞(?)、そう、デーリー読売のある1週間で調べたら70%ほどでしたからね、生存率。で、抜き打ち確認-! 

>省略されるのは「制限用法」のときだけですよ。

すべからく、省略は、--舌っ足らずぽくて--子供っぽい/横柄/馴れ馴れしい/頭の回転がよくスマート/強い意志を感じされるけれど、省略が少ないと、逆に、--作文に「そして」「そして」が続く子供の文章みたいで--子供っぽい/よそよそしい/上から目線で冷たい/頭悪いんちゃうかこいつ/自信なさげともなる。何ごとも程度問題と、それが伝えているテクストの内容次第ということでしょう。と、私の嫌いな「正しいが一文にもならない」、朝日新聞の社説の「外交は話し合いが大切だ」的なコメントになりましたが、これはそうとしか言いようがない。ということで最後にもう一つ確認。それは、

他の who、which等と比べてですが、関係代名詞の「that」はそれが意味を受ける先行詞(antecedent:L語源「ante-:前に」「-cedent:行くもの」)との結びつきが強固ということ。よって、いつも一緒のベタベタのあの二人と同じでいつも一緒にいたい/いつも近くにいたいと考える人。ということで、(a)まあ--室町時代から頑張っているんだし、「大人」だからいいかって、--ちょっと目を話すと二人は一緒になる。すなわち、関係代名詞のthatが省略されて、見た目先行詞しかないようになる傾向が強い。(b)同様の理屈で、先行詞と関係代名詞の間に前置詞などは入る余地はない、断固拒否。

The woman to whom he was talking to ask her an autograph was Aki-chan.[○]
The woman to that he was talking to ask her an autograph was Aki-chan.[×]
cf. The woman who he was talking to(,/ in order)to ask her an autograph was Aki-chan.[○]
(彼がサインをおねだりしていたのはほしのあきちゃんだった) (↑)口語はこっち!

そして、(c)先行詞と関係代名詞との間に幾つもの単語が並ぶ場合にはthatではなくwho, whichが好んで使われる(ここは、同僚の英語学専攻のアメリカ人に聞いたことあるけど、彼女は、寧ろ「先行詞との間に--先行詞の(意味論的に不可欠な)後置修飾語句、時間・場所を表す副詞(句)、ならびに、慣用句以外の--他の単語がある場合にはthatは使わない、「使ってはならない」とは言わないがわたしたちはそうしている」と断言していました。私自身はそこまでは言えないと思うけど、英語界の趨勢はそんなものかもしれませんね)。




要は、(S52)は、美しい--日本で言うところの--SVOCの第5文型。
「SはOに「C:謝罪を続ける宿命を背負わせては」「V:なりません」。」
という構造です。で、関係代名詞 who の先行詞は? 

はい、目的語全部です。このように、先行詞に複数の候補がある場合は、究極は意味論的判断--内容との整合性、つまり、最も意味の通る、意味が自然かどうかを巡る当て推量--でやるしかない。なに言ってるかわかりますか? この単なる第5文型のセンテンスだって、隅に置けなくて、その先行詞の可能性は言ってみれば、

・our children
・grandchildren
・even further generations
・our children and grandchildren
・以下、省略
・dittio
・our children, grandchildren, and even further generations

の7通りある。そう、2の3乗マイナス1。これが、素の候補が6個でもあった日にゃー、2の6乗マイナス1、為念。畢竟、「関係節というのは究極、長目の修飾語群なのです。そして、--、「長い長い長い・・・長い長い長い海馬之ブログの記事」のように、どんな長い修飾語句も被修飾語の前に置かれる日本語と違い、英語では短い修飾語句は被修飾語の前に、長い修飾語句は(不定詞の形容詞用法や分詞句の如く、)被修飾語の後に置くのです。ならば、<話者>も相手にわかってもらいたいと思って話す/書くわけですから、関係節と被修飾語である先行詞が離れる方が不自然でしょう」よって「関係代名詞は先行詞の直後、すくなくとも、可能な限り近くに置かなければなりませぬ、ならぬことはならぬものです」という背景理解は妥当だし、そのルールもかなりの頻度で正しいのですが、ここ、それに違反してないものね(笑)。

よって、関係代名詞のこの論点に関しては、
次の2点をTipsとして紹介するにとどめます。

>関係節の「S→V→・・・」構造の情報による絞り込み作業
例えば、先行詞の単数/複数、文法的性/自然的性(gender or sex)によって、関係節の述語動詞の形(三人称単数現在!)や冠詞の有無や種類(a cat/the cat/cats)とか、関係節の中の目的語や補語やなにかの名詞につく指示代名詞(his/their/her/its)で決まるケースはそれで即解。問答無用。

>先行詞候補の大物度合い--慣習的に一体性の高い語句群かどうか--
による絞り込み作業

どういうことか? 
有名な例文で説明させていただくと、

Beside her was a turquoise champagne bottle
in a ice bucket from which she had obviously been drinking.
(彼女の傍らには、それを今まで飲んでいたのが一目瞭然の、
バケツに入った青緑色のシャンペンボトルがあった)

ここで、先行詞は「(a ice)bucket」ではなく、常識的に考えても多分、「(a turquoise champagne) bottle」であろうとは思う。牛じゃないんだから彼女は、多分。家政婦は見た! 奥様がバケツで--しかもシャンペンボトルを入れたままのバケツで器用に--お酒を飲んでいたぁ~、なんてのは、まあ、ない。しかも、ここは、①「drink from a bottle」が「ラッパ飲みをする」という慣用表現であること、②「bread and butter」や「black and white」、「North and South」や「East and West」ほどではないが、まず間違いなく英語のネーティブスピーカーは「bottle in a bucket」はひとまとまりの句と理解する。これらの根拠から、関係代名詞 which の先行詞は「bottle」になる。ということなのです。

①の視点で見た例文
Beside her was a turquoise champagne bottle in a ice bucket from which she had obviously been drinking.

②の視点で見た例文
Beside her was a turquoise champagne bottle in a ice bucket from which she had obviously been drinking.

繰り返します。最後は「当て推量さね」と諦観するしかない。しかし、入滅前にできる上二つの作業はきちんとやってみてください。主節と関係節を「前から後まで」--「前から後に」「左から右に」「リベラルから保守に」--ちゃんと読むこと。それに尽きると思います。アメリカ人もそうしているのですから。

ヽ(^o^)丿ヽ(^o^)丿


<日本語原文>
日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。しかし、それでもなお、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります。

私たちの親、そのまた親の世代が、戦後の焼け野原、貧しさのどん底の中で、命をつなぐことができた。そして、現在の私たちの世代、さらに次の世代へと、未来をつないでいくことができる。それは、先人たちのたゆまぬ努力と共に、敵として熾烈に戦った、米国、豪州、欧州諸国をはじめ、本当にたくさんの国々から、恩讐を越えて、善意と支援の手が差しのべられたおかげであります。


( ..)φ( ..)φ


 

 



>もう一息ですよぉ~♪

 



<続く>


 



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