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英文読解 one パラ道場:英語教材として読む安倍談話(英文全文)-【本編11】

2015年12月03日 17時54分41秒 | 英文読解 one パラ道場


We must pass this down from generation to generation into the future. We have the great responsibility to take the lessons of history deeply into our hearts, to carve out a better future, and to make all possible efforts for the peace and prosperity of Asia and the world.


<語彙:S58-S59>

must:~しなければなりませぬ/ならぬことはならぬものです(←英語の固有種), pass down:~を下げ渡す, into the future:将来にわたって, (S59)great:とても大きな(語源は「程度が半端なくでかい」の意味の英語の固有種に遡る), responsibility:責任, take the lessons of:~を教訓として肝に銘じる,

history:歴史(Gr語源の[histora:よく調べて物事をちゃんと理解すること]が、L語源で「物語」の意味も付加された上で英語に入った言葉。だから、同語源のイタリア語「storia」とフランス語「h'istoire」には「歴史」と「物語」の二義があり、他方、英語では後者の語義専用に「story:物語/建物などの階」が暖簾分けして現在に至っています←順々に段階を経てお話が進むことと階段の類推から story の二つの意味ができたらしい),

carve out:石などを彫って作品を作り上げる/~を自分のものにすべく努力する(語源は、究極、印欧祖語系のIE語源「刻む/尖端が細い筆記用具」に遡るちょっと隅に置けない単語。このcarveとつるんでTOEICパート1の花形引っ掛け論点の一つだった、curb(舗道の縁)とcurve(曲線状のもの/曲げる/野球のカーブボール)の語源はともにL語源の「曲げる」で別系列),

possible:~することが出来る/~が可能である(power(力), possess(所有する)は同語源、despot(専制君主)は従姉妹。ちなみに、despot 側の「do-:家」親族(?)には、domestic(家庭内の/国内の), dominate(支配する), domain(領地/英国の完全土地収用権/知識や活動の得意分野), madam(マダム)いらっしゃいます。ちなみに、Dameアガサ(・クリスティー)の敬称の「Dame」も連枝筋 ),

peace:平和(「pay:払う」「pact:条約」「fiance/-ee:婚約者」と同語源の、L語源のpax(話し合って協定を結び騒動を収める/協定で取り決めた財貨や労働、または、相手に送る嫁婿、ならびに、それらを請求する権利や実際のやり取り/諍いのない、「なべてこの世は事もなし」の穏やかな風情)の姉妹系列の語彙。「潜在的な紛争当事者である氏族間で交換する財物なり人材なりの内容を含めよく話し合う→固く約束してお互い納得する→騒ぎがおきない→渡る世間から鬼がいなくなり天下太平」が原意、鴨。尚、peace の敵役「war:戦争」の語源は中英語期にノルマン語経由で入ったG語源語の「騒乱」),

prosperity:繁栄(英単語増強のために語源を考えるとき、prosperity かなり美味しい単語です。ラテン語にせよゲルマン祖語にせよ、それらが、単線一方通行ではない「相互複線-双六遊戯」のかなり多様な経路をジグザグに通って英語に入って来た。そして、ブリテン島に来てからも個性的な変化の仕方を重ねた経緯がわかるから。prosperity の直の語源は、L語源の[pro-:前に]+[-spes:希望]からできた[prosperous](繁栄している/成功している)。despair(「de+spair:無+希望」→絶望), desperate(絶望的な/~が欲しくてたまらない/危険困難極まりない)は異父妹。このL語源 [-spes:希望]と同系列の古英語期の、よって、英語固有種のある言葉、「繁栄/前進/俊敏・迅速」を意味したその言葉の直系子孫が 今の speed(スピード)。成功は希望と「今でしょう!」精神のたまものなのですね、遅くとも卑弥呼さんのちょびっと前の頃から),

the world:世界(主権国家が相互に実定的な国際法を枠組みとした関係を取り結んでいる現在の世界秩序。尚、この「実定的な国際法を枠組みとする関係」は、すべての国にとって自国たる各国とその他のすべての国の交渉や交流によって形成されるしかないものですので、この「実定的な国際法を枠組みとする関係」を英語で表現する際には、--現在、世界には3個どころではない多くの国がありますが、しかし、--前置詞は amongではなくbetween を用います。すなわち、「the world=the international relations between very nearly 200 countries」となります),

<読解躓きの石>

▽文型分析-化学式:(S59)
もう、結果だけ、でいいですよね(笑)

主語[We]→述語動詞[have]→目的語[冠詞+形容詞型修飾語句(the great)→responsibility]
    ↓
目的語を限定修飾する
不定詞句3個(1~3)
1)[to take ・・・hearts],
2)[to carve out a better future],
+
等位接続詞[and] +3)[to make ・・・ of Asia and the world].


<日本語原文>
そのことを、私たちは、未来へと語り継いでいかなければならない。歴史の教訓を深く胸に刻み、
より良い未来を切り拓いていく、アジア、そして世界の平和と繁栄に力を尽くす。
その大きな責任があります。


( ..)φ( ..)φ





We will engrave in our hearts the past, when Japan attempted to break its deadlock with force. Upon this reflection, Japan will continue to firmly uphold the principle that any disputes must be settled peacefully and diplomatically based on the respect for the rule of law and not through the use of force, and to reach out to other countries in the world to do the same. As the only country to have ever suffered the devastation of atomic bombings during war, Japan will fulfil its responsibility in the international community, aiming at the non-proliferation and ultimate abolition of nuclear weapons.



<語彙:S60-S62>

engrave:心に刻み込む/肝に銘じる(古英語期の「洞窟」が語源の「grave」に接頭辞「en-:~の中に」がついたもの。スペルは同じだけど grave(掘る/心に刻む)は妹語、grave(墓)は同系統。しかし、「墓→死→重たい話題→重大な」と意味が移ったのだろうとか思うのは甘い! grave(重大な), gravity(重力)はじかにラテン語起源の言葉なんですよ、同じL語源が時間差攻撃でドーバーを渡ったということ。このような事柄を「二重語」関係と言います),

attempt:試みる(L語源の意味も「さあ、試してみなよ」。重要なのは、「attempt to-V」は「自分がやろうと思えば少なくともやり始めることは可能なある行為をしようとする」なのに対して「attempt Vg-ing」は「ある結果の実現を目指した企てをしようとする」の違い、

rise(起き上がる)、jump(跳び上がる)が前者の不定詞の行為の例、後者の動名詞の企ての例は、「売り上げ向上」とか「TOEIC900点突破!」とか。よって、本文の「to break its deadlock with force」も「企て」などという水準のものでもなかったということになる、鴨), deadlock:行き詰まり状態, 

(S61)upon:~に基づいて, reflection:熟考(reflect upon(熟考する/回想する)), continue to-V:~を続ける(L語源は「共に保持する」), uphold:支持する/維持する/擁護する, principle:原理(L語源の「第一番目の地位を持つ人」だった prince(君主→王子)に、「ものごとの起源/主要な原因」の語義が乗っかったもの。principal(校長), prime(最初の/第1の)、premier(主要な/[大統領や主席や第一書記といった最高権力者(←語源の元来の意味でのprince)がいる国の]首相、ちなみに、英国・日本の首相はニュース報道以外では、ほぼ、Prime Minister(≒臣の中の序列1位の者)), マキャベリ-”The Prince”『君主論』(1532), primary(最も肝要な/最初期の), primitive(原始的な/素朴で粗野な)も同系列の語彙 ),

the principle that:thatは前のprincipleと同格の内容を以下の「S→V→・・・」構造で表す名詞節を導く接続詞,
any disputes:≒any of disputes(どんな紛争であれ), dispute:紛争/討論する(L語源は[dis-:反対に]「pute:~是非や損得を判断する」で、discuss/discussionに比べて感情的な色彩が強い), settle:問題を解決する/紛争に決着をつける, must be settled:解決されなければならない, respect for:~にの尊重, the rule of law:法の支配, force:武力, reach out to:~に手を差し伸べる/率直に働きかける, the same:同様なこと,

only ~ ever :今までで唯一の, devastation of:~による国土の荒廃(この of は意味上の「行為の主体-下手人」を導く用法。the intervention of China(支那による干渉)), fulfil:義務を果たす(米語表記は「fulfill」), aim at:~を目指す, non-proliferation:非拡散/非増殖, ultimate:最終的な/究極の, abolition:廃止, nuclear weapons:核兵器(cf. weapons of mass destruction:大量破壊兵器),

* * * *

We will engrave in our hearts the past, when the dignity and honour of many women were severely injured during wars in the 20th century. Upon this reflection, Japan wishes to be a country always at the side of such women’s injured hearts. Japan will lead the world in making the 21st century an era in which women’s human rights are not infringed upon.


<語彙:S63-S65>

dignity:尊厳(L語源は「身だしなみも立ち居振る舞いも常道にかなって立派な→尊敬や称賛、役職や地位に値する→価値のあること」。古代ローマの昔から「人は見た目が8割」だったのですね。この「その場に相応しい服装や装飾でバシッときめた→称賛・信用に値する」という語感は、同系列の decoration(装飾), decent(品格がある/品性恥ずかしくない)にも通底しているの、カナ), honour:栄誉/体面(L語源は「名声・美しいもの」, 米語表記は「honor」),

woman:女性(原始、太陽であった存在。天照大神以来、日本がその存在でもっている性別の人々。と、元来は女性一般や女性の属性(attribute)を意味した「wife」という語を含む、「wife man:女の人間」とか「the wife of a man:おれんちの女房」という単語そのもの。ところが、不倫の横行が原因かどうか知らないけれど「wife」の方が単独で「a wife of a man:妻」というより限定された意味を持つにともない、逆に、この「wife of a man→/wifeofaman/→woman」という新単語ができたらしい。わかりますか、要は、意味を基準にすると、「女性:妻」の内容に関して形態面では「wife:woman」→「woman:wife」とたすき掛けの変化が起きたということ、本当に「英語」面白いでしょう?),

severely:厳格な/過酷な, injure:傷つける/毀損する(L語源は「-justice:法にかなって正しい」「in-:状態でなくする」), during wars in the 20th century:20世紀に生起した個々諸々の戦争の間,

(S64)wish to-V:そうしたいものと思う(wish は allow, decide, determine, そして、want, hope, expect 等々と同様に目的語には必ず不定詞(to-V)を取り、動名詞(Vg-ing)は取らない他動詞です), always:常に/恒常的に(英語本来語の「頻度100%の」が語源。辞書によれば、事態の起こる頻度の皮膚感覚は、always, usually, regularly よりも低く、frequentlyとほぼ同じで、sometimeよりも高いとされています),

(S65)lead:先導する, in Vg-ing:~の活動に, era:時代(L語源では、は「銅貨の計算」→「年数の計算」), women’s human rights:女性の人権(women's と所有格を使うことで、(the)human rights of Womenに比べて、権利の主体である「women」をより具体的・主体的に捉えられている), infringe upon:権利を侵害する/契約や法を破る,



<読解躓きの石>

▽must-have to-oughtの語感
義務を表す助動詞-mustのこと。mustは, ought to, shouldという他の類似の助動詞に比べて「ほんと、そうすべきなんですよ、わかってますかぁー!」という感じで意味が強い/押しが強い。他2者の強さは「ought to>should」とされています。また、have to が状況的-間主観的の観点からの「このごに及べば、状勢を鑑みれば、やっぱ、そうすべきじゃないかい、大人なんだから」であるのに対して、mustは話者の主観的価値判断が迸っているという違いがあります。

ここで誤解ないように、これ have to が「弱目の忠告」というわけではないのです。あくまでも、「主観的評価-状況的認識=must-have to」の差。いずれにせよ、ここでは「受動態」を使うことで、安倍総理は、mustで強い自分の意志を示しながらも、that以下の「S→V→・・・」構造、「any disputes must be settled ・・・and not through the use of force」で述べたことは、客観的・冷静に考えても言えることではありますまいか、という総理のよく練られた認識・思索を印象づけていると思います。

▽during wars in the 20th century(S63)
ポイントは、前の同型ボディの同位相のセンテンス(S62)では「the devastation of atomic bombings during war」と「war」を無冠詞にして安倍総理が、より冷静な立場から「war:戦争」をイメージしていたのに対して、--養父や実父に売られた/朝鮮人の女衒に脅され、あるいは、言葉巧みに誘われた等々、公娼になるについては事情は千差万別にせよ、現在の感覚からは、特に、公娼にいまでも比較的寛容な西欧ではなく北米の感覚では、確かに--尊厳と名誉を傷つけられた女性達お一人おひとりのことを慮って「各自が自身その生身で歴史的1回きり体験した、彼女達一人一人にとっての具体的な戦争」として「war:戦争」をイメージしていること。加之、injureは動作動詞ですから、during warの期間における「尊厳と名誉の毀損」は完了形の、取り返しのつかない、起こってしまった厳然たる事実であると安倍総理が捉えておられることが表れていることでしょう),


以上、「文型レントゲン」終わり。ヽ(^o^)丿


<日本語原文>
私たちは、自らの行き詰まりを力によって打開しようとした過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、いかなる紛争も、法の支配を尊重し、力の行使ではなく、平和的・外交的に解決すべきである。この原則を、これからも堅く守り、世界の国々にも働きかけてまいります。唯一の戦争被爆国として、核兵器の不拡散と究極の廃絶を目指し、国際社会でその責任を果たしてまいります。

私たちは、二十世紀において、戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、そうした女性たちの心に、常に寄り添う国でありたい。二十一世紀こそ、女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため、世界をリードしてまいります。


( ..)φ( ..)φ







<続く>



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