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太陽LOG

「太陽にほえろ!」で育ち、卒業してから数十年…大人になった今、改めて向き合う「太陽」と昭和のドラマ

#446 光る紙幣

2018年05月14日 | 太陽にほえろ!
12年前に起きた女児誘拐殺人事件。そのとき身代金に使われた5千円札に蛍光塗料を塗って番号を控えていたが、
今まで発見されずに時が過ぎていた。

七曲署管内のクラブでカジノの摘発があり、その際に偶然光る紙幣を発見した山さん(露口茂)。
紙幣に残された数人の指紋をひとつひとつ照合し、犯人に迫ってゆく。




どことなく胡散臭いwドック(神田正輝)のタキシード姿で始まった本エピソード。
12年という歳月が鍵になっています。

山さんが、未解決のこの事件を片時も忘れることなく追い続けてきたことを知っているボス(石原裕次郎)や長さん(下川辰平)。
別の紙幣が発見されたという知らせに、行き先も告げずに飛び出してゆく山さんを見送って、
「山さんと付き合って10年、あんな山さんは初めてだ」と驚くボス。

一方、紙幣に指紋がついていた主婦は、執拗な山さんの追及に気分を害し協力を拒む。
「12年前、僕は中学生でした。そのころから山村さんは1日も忘れることなくひとつの事件を追っているんです」
ドックのフォローが効いたのか、主婦は5千円の出所が夫であることを告白。その夫の証言から麻雀屋にたどり着き、
捜査は急速に進んでいく。

立ち聞きのプロ・山さんは、先に車に戻っていたのにドックの応援演説をしっかり聞いていました。
子どもと大人では年月の感じ方が違います。
ドックは、そんな前から山さんは…と思っているでしょうが、たぶん山さんはそんなに昔とは感じていないでしょう。

自分よりだいぶ若いとわかっていても、一緒に働いていると普段はそこまで年の差を意識しないものですが、
(12年前って、こいつまだ中坊だったんだ!)と山さんは内心愕然としたんじゃないでしょうか。
山さんと同年代になって、私にもよくわかります。

そんな、ベテランと若手がみんなで協力して、地道に指紋を照合し、やがて真犯人にたどり着く。
人形作家として有望でありながら、誘拐した女児を殺してしまったために、どうしても人形の顔が
その子に似てしまい作家としての道が閉ざされた犯人は、この12年どんな思いで生きてきたんでしょうか。

冒頭の写真は、ようやく事件を解決し亡くなった女児に思いを馳せている(であろう)山さん。

そして、そんな山さんの背中を見つめる当時中学生だった3人。

こんなに大きくなりました。



【本日のツボ】
山さんの美しい左手(白手袋)と、ドックの可愛く組んだ足の裏(白靴下)





#463 六月の鯉のぼり

2018年04月30日 | 太陽にほえろ!
ひき逃げされ、顔がわからないほどひどい状態で発見された男性。
酔っ払って歩いているところを撥ねられた単純な事故に見えたが、
身なりと所持品の貧しさにくらべ靴だけが新品だったことに注目する長さん(下川辰平)。

ドック(神田正輝)は、被害者側にも秘密があり、実は巧妙に仕組まれた計画殺人ではないかと
俄然張り切る。

やたら推理小説風に大ごとにしたがるドックから、
「気持ちに弾みがほしいんだ。弾みがなくなったら刑事をやめちゃうよ」といわれ、
心配するスニーカー(山下真司)。




一係の長い歴史の中でも、6人体制のこの時期は試練のときだったと思います。
しかし、なんでしょう、この安定感。
個性はバラバラ。でも、お互いにそれを認め、補い合い尊重している。
この6人とボス(石原裕次郎)、スコッチ(沖雅也)が揃った80年後半のメンバーは、
なんというか職場としてバランスが良く、盤石の頼もしさを感じます。


長さんとスニーカーが踏切に阻まれ逃がしそうになった容疑者を、線路の向こうで取り押さえるスコッチ!
久々の復活ですが、走る電車越しの遠景なのにこのヒーロー感。


地方から出稼ぎで上京してきたものの、都会の誘惑に負け、酒やばくちで借金をして偽名で職場を転々としていた男が、
心を入れ替えて家族のために貯めたお金を狙われて殺されてしまった。

東京出身のドック以外は、みんな被害者の境遇になにかしら身につまされる部分はあるようす。
山さん(露口茂)は、被害者の身元の確認と遺品を届ける役目を長さんに頼み、ドックを同行させる。

「こどもの日には帰る」という夫の約束を信じ、毎年節句を過ぎても鯉のぼりを揚げて
息子とともに帰りを待っていた妻。
家族のために貯めたお金と、息子への土産を受け取り泣き伏せる姿と、
縁側の向こうに広がる山の濃い緑、はためく鯉のぼりが目に沁みます。



東京に戻る電車の中で、靴がだめになったから新しく買わなきゃとぼやくドックは、
一つの事件で一足は履きつぶすという長さんの言葉に感化され、自分ももっと足で稼ぐと宣言。

地道で着実な捜査が身上の長さんと、アイデア勝負で面白がりなドック。
ある意味もっとも対照的なコンビですが、ふしぎとしっくりまとまっています。
根っこの部分でのやさしさが似ているのかもしれません。

#514 ドックの苦手

2018年04月14日 | 太陽にほえろ!
「健全な精神は健全な肉体に宿る。今日も元気だサラダが美味い」
ピクルスが苦手なラガー(渡辺徹)、キウイが苦手なロッキー(木之元亮)とサラダを食べているドック(神田正輝)は、
苦手なものなんかないと豪語。呼び出しのポケットベルですら大好物と言い、
「今日も元気だ事件が美味い。電話(善は)急げ」と電話をかけに行き、ふたりを呆れさせる。


冒頭からドックの調子の良さ全開で始まった本エピソードは、宝石強盗が人質を取って休日の中学校にたてこもり、
刑事が身分を隠して潜入するという緊張感のある設定ながら、ドック編らしく笑いも随所にちりばめられた作品です。


強盗に撃たれたガードマンの証言から、主犯は前科を隠して警備会社で働いていた神原(片桐竜次)と判明。
共犯の大町(堀礼文)、さらにタレコミをしてきたと思われる藤田(中村好男)も捜査線上に上がってきた。

ドックとラガーは、藤田の働く運送会社を訪ねる途中でトラックに乗り込んだ神原たちを発見、追跡するが逃げられてしまう。
藤田の母校の中学校が近くにあるとわかり念のため訪ねると、理科室から神原たちと思われる声が聞こえてきた。
実は、そこはドックの母校でもあり、人質にされている理科の吉松先生(今福将雄)は2、3年とドックの担任だった。



「じゃ、簡単にくじ引きで決めようか」

少し前に吉松先生を訪ねてきたという男子生徒3人の行方がわからず、彼らが人質にとられているかどうかで
救出作戦も変わってくるため、誰かが教え子を装い中に入ることになった。

ふつうに考えれば、実際に教え子のドックが行くのが妥当でしょう。できるだけ嘘が少ない方がばれる確率が低いし、
理科室の様子や先生のことを知っていた方が有利です。
でも、銃で武装した犯人たちのなかに丸腰で入っていかなくてはならない。下手をすれば殺されてしまう。
決して楽な任務ではありません。

さきほど理科室を訪ねたラガーは除外、ジプシー(三田村邦彦)とロッキーがそれぞれ名乗りを上げるなか、
ドックが軽い調子で提案。運を天に任せた結果なら、みんな納得せざるを得ない。
マッチを3本用意し、短いのが貧乏くじ。先にふたりに引かせるが長かった。やれやれ言い出しっぺかと結果を受け入れ、
「名刑事にとっちゃ軽い仕事だ。ばいちゃ!」と、ペン型の発信機だけ身に着けさっさと行ってしまうドック。

ジプシーは、ドックが捨てたマッチも長いままだと気づき、最初から自分が行くつもりだったんだと、
ロッキーやラガーも愕然とする。


この後の展開を見ても、やはり自分が行くというドックの判断は適切だったと思います。
吉松先生が思い出してくれたことで、卒業生の医者だと信じてもらえた。
刑事に見えないというドックの雰囲気もおおいに役に立っています。

吉松先生の話から、藤田は中学時代も卒業後も、何度もグレながらも先生を頼ってきたことがわかる。
今回の強盗のことも相談され、警察に密告するよう勧めたのも先生だった。
同時に、ドックが中学時代からテニスやスキーで授業をさぼっていたことも明るみにw
そのくせ成績は良かったそうで、先生にしてみれば不良よりもある意味厄介な生徒だったかもしれません。



おしゃべりな医者を演じつつ、不自然に聞こえない言葉とタイミングで必要な情報を送るのは、さすが自称名刑事です。
途中医者にしては度胸が良すぎると、刑事じゃないかと疑われ持ち物を調べられる。
「デカ?ばかなこと言わないデカ」
この状況でダジャレが出るのもドックならでは。


けっきょく刑事だということがバレて痛めつけられ両手を縛られてしまう。
圧倒的に不利な立場になっても、ドックは、おそらく生徒たちの救出活動は進み理科室も仲間が包囲しているだろうと信じ、
中学時代に吉松先生から教わったモールス信号を使って先生に助けを求め、強行突破の瞬間を待つ。

「そいつらがそこまでお前のことを思ってくれるか?よく考えてみろ。その石っころで何が買える。
これほどまでにお前を思ってくれる人の心が、その石で買えるか!」

吉松先生を頼りながらも、先生が痛めつけられても神原たちに抵抗できず、あげくに盗んだ宝石の分け前をもらおうとしていた藤田。
卒業後も藤田を気にかけ必死にまっとうな道に進ませようとする先生の気持ちを汲んだドックが、後輩に投げかけた言葉。

強行突破の瞬間、その言葉に背中を押され、藤田も神原たちの逮捕に協力する。
勇気を出して神原たちとの関係を絶った藤田と、思っていた以上に自分が教えたことを覚えていて逞しく成長していた西條、
教え子たちの姿に吉松先生も教師冥利に尽きるようす。


現場の指揮を執った山さん(露口茂)をはじめ、仲間たちとドックの見事な連携で無事に事件は解決。

誰にも負担をかけずに自分が危険な役目を負うために使ったくじ引きのトリックを、
今度は解決祝いにステーキをおごる人を決めるために、大胆にもボス(石原裕次郎)に仕掛けるドックw
「みんなで、ごちそうさま~!!」

ジプシーもしっかり乗ってるし、ロッキーは礼が深すぎて笑えます。

もちろん、ボスはお見通し。

「こんな手でひっかかると思うか?」
全部短いマッチをドックの顔に向けて放るボス。
でも、たぶんこの日はステーキおごってくれたんじゃないかな、と。
そんな気がします。

#501 ある巡査の死

2018年04月08日 | 太陽にほえろ!


ラガー(渡辺徹)が毎日一緒にジョギングをしている君原巡査(美木良介)は、本庁の警視正を父に持ち、
自身も優秀でエリートコースが約束されていたが、出世よりも一巡査として派出所勤務を希望していて、
同僚の吉野(横谷雄二)も一目置いていた。

その君原巡査が、管内で起きた銀行強盗事件の現場で、ラガーを庇おうとして犯人に撃たれ死んでしまう。
遺体に対面した父である君原警視正が、「つまらん死に方をしおって」と吐き捨てるのを見過ごせず、
ラガーは食ってかかる。

その後、なぜか捜査本部が本庁に移り、ラガーには「本庁の意向」として謹慎1ヶ月がボス(石原裕次郎)に
言い渡される。


「自分の責任だと言ったな、ラガー。だったらその責任を自分の手で償え。それがデカってもんだろう」
辞表を出そうとしていたラガーの胸の内を察したボスの言葉。痺れます。

「おまえのやったことはなにひとつ間違ってない。君原警視正につっかかったことも含めてだ。
おまえが罪に問われるなら、俺も同じ罪に問われたい。俺は初めからそう思ってる」

くわ――!ボス――!!(私の叫びw)

「本当ですか!?」
ボス、山さん、長さん、ゴリさん、ドック、ロッキー…目線で問いかけると、みんな力強くうなずいてくれる。
感激屋さんのラガーは泣きそうです。


離れた席に座るジプシーだって!(ちょっと秀さん入ってますけど)

「捜査を続けます!」
飛び出していくラガー。先輩たちもボスの言葉に熱くなってそれに続く。
すべてを自分で引き受ける覚悟をしたボスの横顔に向けて山さんがひとこと。
「ボス、処罰されるときは私も一緒です」

くわ――!山さ――ん!!


強盗に使われた改造拳銃と同じ銃を持った男を逮捕したラガーとドックは、その男から、銃の入手先が
竜神会のサブであること、サブがよく会っていた暴走族のリーダー寺沢が、強盗事件のあと姿を消していることを聞き出す。

資金繰りに困った竜神会が、寺沢に強盗をやらせたものと思われる。そうなると、口封じのため寺沢が消される可能性が高い。

ラガーは暴走族のメンバーに、リーダーの命を守るため、居場所を教えるよう説得する。
殴られ蹴られ、大けがを負いながらも説得を続けるラガーの姿に、メンバーたちはようやく心を開き、
ついに居場所を告げるのだった。


【本日のジャージ】

ラガーの着ているジャージがドックのおさがりっぽい(#428参照)のもさることながら、
長さんのジャージ姿(PUMA)がなんとも微笑ましかったので、〆はこちらで。



#518 忘れていたもの

2018年03月29日 | 太陽にほえろ!
冒頭から、「太陽にほえろ!序曲」をバックに、ロッキー(木之元亮)とドック(神田正輝)が犯人を追って
工場のような場所へ。銃撃戦の末、ロッキーが犯人・水原に手錠を打って事件解決。
久しぶりに躍動感のある幕開けです。

水原の撃った弾丸の数でもめたふたり。結局ロッキーの方が正しかったのですが、
「大きいんだからね、ちっちゃいことこだわらないの」
ドックにはぐらかされ、その後も折にふれ責めるロッキー。案外こまかいですw

その夜、ロッキーのおごりでご飯を食べに行った若手4人。
そこで、ラガー(渡辺徹)に言われるまでマッターホルンのポスターに気づかなかったロッキーは、
そんな自分にショックを受ける。




翌日、5歳の女の子が誘拐された。犯人は水原の釈放を要求。
取引現場から逃げた水原をロッキーが車で追うが、逃げようと強引な走行をした水原が一般人の車両を巻き込み
そのまま逃走してしまう。

犯人逮捕しか頭になかった自分、関係ない市民に重傷を負わせてしまったこと、
被害者の妻の激しい非難…ロッキーは、激しく落ち込み仕事もうわの空に。

ドックは軽口を言って元気を出させようとするも、ロッキーは力なく返事するだけ。
見ていた山さん(露口茂)も、そんなロッキーを気遣っているのがわかる。



家に帰ると、赤ん坊が破ってしまったカナディアンロッキーのポスターを、令子(長谷直美)がつなぎ合わせて
貼っていてくれた。
刑事になる動機になった登山仲間の死を思い出し、ロッキーは日々の忙しさの中で、大切なものを忘れていたことに
思い至る。



気力をとりもどしたロッキーは、精力的に聞き込み捜査。水原と共犯者の行方を追う。
「お腹空いたよぅ、俺」と休みたがるドックですが、さっきひとりでリンゴ食べてましたがな。



生真面目なロッキーと、マイペースなドックのコンビも好きです。
警察学校の期としてはドックが先輩ですが、年はほぼ変わらないんでしたよね。
そのせいか、スニーカー(山下真司)がいたころから同期っぽい気安さがお互いにあった気がします。

あんなに怒っていた被害者の奥さんが態度を軟化させ許してくれたのは、
実はドックが病院に行って被害者に謝ってくれたからだと知ったロッキー。

気にしていないようで、ちゃんと自分を気にかけ行動に移してくれたドックの友情に、
ロッキーも力を得る。しみじみといいコンビです。

そんなふたりが水原を発見、追いつめる。
ロッキーは、現場にいた子供たちに気づき、水原の発砲にも恐れず飛び出していく。
拳銃恐怖症だったロッキーですが、父となったいま、刑事としても一段と強くたくましくなりました。

それにしても、ドックはどうしていつも子供に気づかないんでしょう。
#491でもロッキーに指摘されるまで気づかず、反省していたはずなのにw



【最後の?乾杯】
事件解決後、ロッキーは、ボス(石原裕次郎)に休暇をもらいロッキー山脈へ。
あの晩、ロッキー、ドック、ジプシー(三田村邦彦)、ラガーで交わしたのが最後の乾杯になるのでしょうか。
弾丸の数やら、映画の話やら、なにげない日常のひとこまが、あとから考えるとかけがえのない時間だったと思う。

危険と隣り合わせの彼らだけではなく、私たち誰もが明日をも知れぬ身。
それだけに、誰かと過ごす時間というものをもう少し意識して大事にしなきゃなと思います。