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太陽LOG

「太陽にほえろ!」で育ち、卒業してから数十年…大人になった今、改めて向き合う「太陽」と昭和のドラマ

#493 スコッチよ静かに眠れ

2018年03月20日 | 太陽にほえろ!

「刑事はもうすぐ廃業だ」

古傷が悪化して病床に臥していたスコッチ(沖雅也)が、命を懸けて最後の事件に挑む。


1982年怒涛のメンバーチェンジ。前年のスニーカー(山下真司)退職、ラガー(渡辺徹)の加入につづき、
年が明けてまもなくついにスコッチが去ります。

このあと、ロッキー(木之元亮)殉職、長さん(下川辰平)転勤、ゴリさん(竜雷太)殉職と別れがつづく一係ですが、
スコッチの場合は、切り離して観ようとしてもどうしても沖雅也さん自身とだぶってしまってつらいです。

それでも、病をおして戦うスコッチを、同じように病と闘いながら演じきった沖さんを見送らなければ次に進めないなと思います。

一匹狼で一係のチームワークをかき乱す存在だったスコッチが、しだいに心を開き
いつのまにかベテランと若手の橋渡しのような、なくてはならない存在になっていました。

私自身、出てきたころのスコッチは人を寄せ付けない感じで正直ちょっと苦手でしたが(たぶん今見たら違う印象をもつと思う)、
後半のかっこよさとユーモアを併せ持ったキャラクターは好きでした。




病院を抜け出し、ボス(石原裕次郎)に電話をかけて最後のわがままに許しを請うスコッチ。
「私は最後まで刑事でいたいんです。ボスの部下でいたいんです」
ボスに怒鳴られ嬉しそうなスコッチに、ボスも「わかった」というしかない。

自分に復讐をしようとしている男から改造拳銃の製造基地の場所を聞き出すため、ロシアンルーレットで脅す。
もはや自分の命も短いことは覚悟しているので、引き金を引くのに躊躇しません。

ようやく聞き出したのに無理が祟って吐血、その場に倒れてしまう。
病院に運ばれたスコッチが最期のときを迎えるとき、そばにいたのは最初にあんなに反目していたゴリさんでした。
駆けつけた山さん(露口茂)は、「ボスももうすぐ来るぞ」と励ます。

最近は若手を率いてリーダーシップをとることが多かったスコッチですが、
最後のエピソードでは、ボス、山さん、長さん、ゴリさんと、先輩たちとの絡みが多く、
「死にたくない」という本音をもらせたのが観ていて少しホッとしました。

必死に笑顔を作りながらポロポロ涙がこぼれてしまうゴリさんには、私も泣かされました。

殉職編というのは本人も周りも格別な思いで演じるのだと思います、
命が消えてゆくさまを繊細に演じた沖さん。
必死にこちらにつなぎとめようとする竜さん。見守る露口さん。
演技をこえたものが伝わってきて、凄みすら感じます。

新しい沖雅也には会えないけれど、こうして作品を何度も見返すことができるのだから、
これからも彼は私たちのなかに生きつづけていくのでしょう。
殉職編のレビューはしましたが、行きつ戻りつしながら、また元気なスコッチやキャプテンにふれたいと思います。




#505 ジプシーの涙

2018年03月04日 | 太陽にほえろ!
矢島という男が自宅マンションで殺された。
部屋にあった写真から、恋人と思われる女性・弘美を訪ねるジプシー(三田村邦彦)とドック(神田正輝)。弘美は姉の景子と同居しているが、姉の態度に何かひっかかるジプシーたち。

弘美は、ここ1週間ほど矢島と会っていないと言ったが、その後事件の数日前に、矢島と口論している弘美を見たという
目撃者が現れた。

弘美を追及すると、あっさりと犯行を認めた。
しかし、犯行現場の状況と自白に食い違う点がありひっかかる。

ジプシーは、姉妹の故郷を訪ね、幼いころ火事で両親を亡くし、景子が弘美の母親代わりになって
ふたりで寄り添って生きてきたという過去を知る。



突然のサービスショットw 捨てられた子犬とジプシー

親戚に預けられて虐待されながらも姉が妹をかばい、逆境を乗り越えてきた。
ふたりの境遇を近所の主婦から聞いたジプシーは、自分の境遇と重ね、自分には庇ってくれる人はいなかったと
孤独だった少年時代を振り返り静かに涙を流します。

顔を洗っていると、どこからともなく子犬がw
あまりにいかにもなシーンで、申し訳ないがちょっと笑ってしまいました。
いや、原少年の過去は同情しますが。

そして、姉妹の境遇を語ってくれた近所のおばさんが上手くて(もちろん俳優さんなんでしょうが)、
ナイスキャスティング。



一係では、姉の景子が矢島から妹を守るために殺したのではないかと推理。
姉には婚約者がいることから、ずっと助けられてきた妹が姉の身代わりを買って出たのではないかと。

景子が自白し、拘留された。しかし、そのときにふと見せた微笑にジプシーは疑問を抱く。

二転三転する姉妹の告白。ジプシーはそれぞれの表情や言葉を丁寧に分析し、真実に迫っていく。
けっきょく、矢島を殺したのは妹の弘美だった。
いくら姉妹だからといって殺人の罪を被るだろうか。
ふつうはそう考えるけれど、この姉妹にとってお互いのために犠牲になることは自然なことだった。

「どうして私が犯人じゃいけないの」
釈放された姉に問われ、ジプシーは自分も似たような境遇であると、嘘は許せないと、
昔のような嘘や打算のないふたりでいてほしいと語りかける。

自分たちと同じようなつらさを味わってきたであろうジプシーの言葉だからこそ、
景子の心にまっすぐに届き、自然に涙がこぼれたのでしょう。
妹を守るために演技しつづけてきた姉が、やっと自分の感情を素直に出せた瞬間だったと思います。


【本日のなごみ】
ジプシーが真実にたどり着く前、姉の景子の犯行だと思われていたときに、
一係では、景子の正当防衛が認められるだろうし、婚約者の気持ちも変わらないし、弘美も一流企業を
辞めずにすむし、一同(除く山さん)にほっとした空気が流れる。

「遅いな、カルメンちゃん」
「事件は解決したってのに、めずらしいですね遅刻なんて。ねえ、ドック」
時計を見たまま肘でドックをつんつんするラガー(渡辺徹)。


ふたりともかわいいですが、こう見えても凶悪犯罪が多発する東京・新宿、七曲署捜査一係の刑事です。

#491 ドックのうわごと

2018年02月26日 | 太陽にほえろ!



自分の担当した事件で、何の罪もない市民を巻き添えにしてしまったら…。

河原での銃撃戦、犯人の撃った弾丸があやうく近くにいた子どもに当たるところだった。
その場では笑って平気な顔をしていたものの、一歩間違えば大変なことだったと
内心ではずっと気にしているドック(神田正輝)。

「犯人の撃った弾丸まで責任持てないよ」というものの、子どもがいることに気づかなかった自分を
無意識のうちに責めてるのではないでしょうか。

そんななか、警官の拳銃が強奪され、凶器の指紋から覚せい剤中毒者の栗山と判明。
以前ゴリさん(竜雷太)が担当した事件で、栗山の保護司が犯人の撃った弾丸に当たって死亡していた。
それを逆恨みしている栗山は、ゴリさんを殺すつもりらしい。

ゴリさんの身を案じて、捜査から外すようボス(石原裕次郎)に頼むドック。
「お前がゴリの立場だったら手を引くか?」
ボスの問いに「絶対引きます」と答えるドック。
ゴリさんを守るためかと思っていたら、本当に自分なら引くと言っていたんですね。

ゴリさんに、何が良くて楽しくてこの仕事をしているのかという疑問をぶつけると、
「そんな話はあとだ」と冷たく突き放されてしまう。



「俺、気に入ってたんだよね、この仕事。なぜかわからないけど好きだったんだ。
思ってみたこともなかった。俺…怖いんだよ。本当に向いてないのかもしれない」


数日前、警察病院で偶然再会した医学部時代の同級生白石良子(岡まゆみ)。
外科医の仕事に疲れていて、もっと楽しくて楽な仕事もあるじゃないかと思うという良子の告白を
聞いていたからこそ、ドックも弱音を吐けたのかもしれません。

良子にしても、久しぶりに会った同級生の西條くんが刑事になっていて、やりがいを感じていると言っていた矢先に
撃たれて運ばれてきて、なにやらうなされてうわごとを言っているのを聞いてしまった。
気になって訪ねてみれば、仕事に自信を無くしているようす。
学生時代には見ることのなかったであろう姿で、そりゃ心配になります。

お互い普通の人より死が身近にある仕事を選んでしまった。
人命を預かる使命感。救えた時の達成感。救えなかった時の自責の念。
振り幅が大きい分ストレスも相当だろうと察しがつく。

悩んでいるのは、苦しいのは自分だけではないと、お互いをみて思えたんじゃないか。
同僚には話せない心の内をさらけ出せる学生時代の友人というのは、貴重です。


それでも、仕事で失った自信は仕事で取り戻すしかない。
自分を標的にして栗山をおびきだそうとするゴリさんの責任感と覚悟を目の当たりにし、
ドックもまた、ゴリさんを栗山の銃口から守ろうと自然と身体が動く。

「俺はだれにも死んでほしくないんだよ。誰にもな。
おまえだって本当はそう思っているはずだ。でなきゃなんで医大を途中で辞めてまで
デカになったりしたんだ」

事件解決後、一転して穏やかな口調で語りかけるゴリさんの言葉が、道に迷い進めなくなっていた
ドックの心に光の道筋をつけてくれた気がします。

「やっぱり世界一の刑事になることにしたわ」
さっぱりとした表情で宣言する友に、それなら私も!と、良子もまた医師として
頑張っていこうという気持ちをとりもどす。
自分の弱さと向き合い、それを乗り越えて前を向くふたりの姿がまぶしいです。



【本日の余計なお世話】
ドックと良子先生、お似合いだと思ってたんですが、色っぽい雰囲気にはならなかったですね。
結婚という形にとらわれない新しいカップルのスタイルを見せてくれそうな期待をしていましたが、
良子先生はこの年の暮れにもう一度登場しただけでした。ちと残念。


#449 ドック刑事 雪山に舞う / #450 ~雪山に斗う

2018年02月04日 | 太陽にほえろ!


雪の季節になると思い出すのがドック(神田正輝)のスキー編です。

デビュー以来、怪我をするといけないからと止められていた(忙しくて行けなかった?)スキーを久しぶりにできるということで、
ドックというより神田さんが、細胞レベルで喜んで滑っているのが伝わってきます。

「イエーイ」って飛んじゃってるし。


響組に裏切られて命を狙われた殺し屋の都築(西沢利明)が、復讐のため組長の息子・武志を追って志賀高原へ。
たまたまスキーに来ていたドックが雪山を縦横無尽に滑りながら都築を追いつめていきます。

某風邪薬のパッケージのようなウェア(上写真参照)や、モケモケのついたかわいいブーツなど、
ファッション面でも楽しませてくれます。(山さんの雪山ファッションも必見です)



バックに流れる「ドック刑事のテーマ」「ドック刑事のテーマⅡ」も効果的で、特にⅡを聴くと、いまだにドックが
スキーで追跡している場面が浮かび、自分も滑っているような気分になります(もう25年くらいスキーをしていませんが)。


美しすぎる殺し屋・都築氏。
演じる西沢さんは北海道のご出身だそうで、一部吹き替えはあるもののスキーもたいへんお上手です。
物腰も紳士的で、なんでこの人殺し屋やってるんだろうw

ところで、都築がドックに「刑事さん」と呼びかけるんですが、どうして刑事だとわかったんでしょう。
自分を追ってくるのは、むしろ響組の関係者の可能性の方が高いと思うんですが…。

やっぱり、クマさんの帽子で「響組じゃないわ」と判断したんでしょうか。



実はガンに侵されていた都築は、一人娘にまとまったお金を残して死のうと響の息子の誘拐を企てたが、
自分を追ってきたドックに最後の勝負を挑み、追いつめられて自らのこめかみに銃口をあて満足げに引金を引くのでした。

ほろ苦い結末に、ドックの背中もめずらしく寂しそう。

…ですが、東京に戻れば親狸が待っていました。

ボスもノリノリで、最後はやっぱり明るく締めるところがドックらしいです。


#499 こわれた時計

2018年01月28日 | 太陽にほえろ!


ある朝の一係。
ナーコ(友直子)がみんなにお茶を配りながら、最近バスで一緒になる小学生男子から見られている感じがして
気になると打ち明ける。ドック(神田正輝)がすかさず「それは初恋です」と分析。
ゴリさん(竜雷太)の初恋は小学生の時、ロッキー(木之元亮)は中学時代の担任の先生、と告白。



「先生に初恋って、岩城さんが?」
「どういう意味だよ。小さい頃はこのひげはなかったんだよ。初恋くらいしますよ、ちゃんと」
ラガー(渡辺徹)に抗議するロッキーと、なぜかいっしょにふんぞりかえるゴリさんが笑えます。

翌日ナーコは少年からこわれた腕時計を渡される。長さん(下川辰平)は、父親の勘でなんとなくその児童が気になり、
ナーコの出勤に付き添って彼と会い話を聞こうとするが、知らないと言い張る。

長さんは、時計に血痕がついているのを見つける。分析の結果、未解決の殺人事件の被害者の血液と一致した。
犯人が落とした可能性が高く、その児童・浩が事件を目撃しているのではないかと踏んで尋ねるが口を閉ざすばかり。


#417「ボスの誕生日」以来のナーコ活躍編。
一係のマスコットといえば、アッコ(木村理恵)が好きでした。
ナーコはあまりに普通っぽくて、逆に彼女が出てくると「芝居」を感じてしまっていました。

ただ、改めて観てみると、決してでしゃばらず、それでいて人としてのおおらかさ、飾らなさに
器の大きさを感じて好ましいです。笑顔も最初のころに比べて自然で、どんどんきれいになってきましたね。

本編では固く閉ざしてしまった浩に寄り添い、最後には彼の心を開いて事件解決に貢献します。

ナーコの活躍以外にも、長さんが息子・俊一に子ども心を知りたくて相談したら、知ってるつもりで
知らなかった我が子の少年時代の出来事を聞いて驚きつつも、息子の成長に目をうるませるホームドラマっぽい場面や


植物園、遊園地で遊んでいたナーコと浩がいつの間にか海に来ていて青春ドラマっぽい場面もあり、
ある意味「太陽にほえろ!」らしい、刑事ドラマの枠にはまらない話でした。
(ちなみに、波打ち際の二人を見守っているのは、ゆうひが丘の木念先生に似ていますが、ドックです)




事件解決後、みんな揃ってなごやかにお茶…じゃなくて日本酒を湯のみで飲んでますw
恒例の主演刑事とボスのツーショットに、今回はナーコも。
こういうところが「太陽」のいいところだなーとほっこりします。