太陽LOG

「太陽にほえろ!」で育ち、卒業してから数十年…大人になった今、改めて向き合う「太陽」と昭和のドラマ

#526 井川刑事着任!

2018年09月29日 | 太陽にほえろ!


「太陽にほえろ!」にレギュラー入りするというのは、新人俳優だけでなくベテランにとっても大きな喜びであると
同時にプレッシャーでもあったと思います。
ましてやあのゴリさん=竜雷太さんの後任ともなれば、どうしたって比べられてしまう。

その大役を担ったのが、トシさん(井川利三)=地井武男さんでした。

当時、地井さんのことは存じ上げず、ずいぶんと地味なキャスティングだなと思ったのが正直なところでした。
でも、本物の刑事に見えるという意味では、長さんかトシさんかというくらいリアリティがありました。

若手が半分以上をしめ、ともすれば頼りなく見えなくもない一係でしたが、トシさんの登場で
きゅっと引き締まった気がします。
子どものころは、母が「トシさん素敵」とうっとりしていたのを「ふーん」と聞き流していましたが、
大人になるとトシさんの魅力がわかるようになりました。


着任早々、酔っ払いが店で暴れているという通報を受けて、トシさんがドック、ボギー、ラガーを連れて駆けつける。
日本酒の一升瓶を振り回して暴れる酔っ払いは平泉征さん。登場編だけにゲストも豪華です。

ひとりで店に入り、酔っ払いと酒を酌み交わしなだめてしまうトシさん。

その夜、当直のジプシー以外の若手が井川家に食事に呼ばれます。



妻・圭子の手料理とビールでもてなされ、感激する3人。
大きな体でなにも3人並ばなくてもと思いますが、まあテレビ上、手前は開けとかないとということでしょう。

中学生の長女・由利と小学生の長男・浩史は、父親が連れてきた同僚に見向きもせず黙々と食べてます。
年頃で照れくさいからわざと無関心を装っているのかと思いきや、ホントに関心がないのかもw
いやいや、神田正輝、世良公則、渡辺徹が一緒にご飯食べてるんですよ。
由利ちゃん、その席変わってくれ。

実際、地井さん宅にもみんなが遊びに行ったりしていたそうですね。
地井さんちの子になりたかった。


しかし、井川家は深刻な家庭崩壊の危機に見舞われているのでした。
捜査が最優先で家庭を顧みないトシさんに不満を抱える妻。
父親との接点が少なく、ほとんど会話もない子どもたち。

追い打ちをかけるように、子どもを狙った事件の解決のために我が子を囮にしたトシさんは、
息子との絆は深めたものの、妻からは激しく非難されてしまう。

トシさんの家庭の描写にリアリティがあって、このあとどんどんシビアな状況に陥る井川家から
目が離せません。

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#531 マグナム・44

2018年09月17日 | 太陽にほえろ!


建設会社に勤める西田という男が廃墟で射殺された。現場の状況から、犯人はマグナム44を使い、
西田を脅して何かを聞き出そうとし、最後の1発で壁越しに射止めたらしいことがわかった。
一方、西田が自分の車ではなく廃車寸前のレンタカーを借りて現場に出向き、スピードを落とさず相手に向かっていることから、
西田にも殺意があったのではないかというのがドック(神田正輝)の推理だった。


西田の部屋から未現像のフィルムをみつけたドックとボギー(世良公則)が現像した写真を見てみると、
海外であろう橋の写真と猟をしている西田が写っていた。
西田とともに写っていた同僚の木村を訪ねた時、ふたりの目の前で木村がバイクで近付いてきた人物に
いきなり狙撃された。

腕を撃たれた木村の怪我が、下手をしたらもげちゃうんじゃないかというほどひどくて、
「マグナム怖えぇ」と思いました。

木村をボギーに託し、ひとり犯人を追うドック。
射撃訓練場(通称穴倉)で命中率50%で喜んでいたボギーでは殺られると判断したのかw
危険度の高い方を引き受ける。良き先輩になりました。
かつて、ロッキーを助けに行く際、ラガーだけプールに飛び込ませていた(#481 闇の中の殺人者)ころとは大違いです。

資材置き場での銃撃戦。相手が弾を撃ち尽し、弾込めをするタイミングを反撃のチャンスに狙ったものの、
なぜか間髪入れずに次の弾が飛んできて、ドックは混乱します。
犯人に逃げられ住宅街を探し回るも、すれ違ったのは車に乗った外国人女性だけ。

彼女がそれらしい男を見たという方向に走っていったものの人影はない。
身体が震えるのを止められないドック。


木村が収容された病院でボギーに対し、弾込めを一瞬で完了するスピードローダーという装置があることを
思い浮かべる余裕もなかったことを打ち明け、完敗宣言して落ち込むドック。
他のエピソードでもドックの完敗宣言は何度か見られますが、今回ほど本気の宣言はないでしょう。

しかし、ドックは逃げませんでした。
捜査の合間を縫って穴倉に籠り、マグナム44に対抗するべく大口径のオートを調達して黙々と練習に励みます。


普段使っているS&W M59と、今回お目見えした銃の2ショットに私の好きなドックの手も入ったサービスカットです(誰に?)。

新しい銃を初めて撃った時に、大きな反動で腕ごと宙に持っていかれて驚いているシーンが妙に気に入っています。
まったく当たらないところから、特訓を重ねてコツを掴み、やっと満足のいく射撃ができた時の微かに嬉しそうな表情も好きです。


捜査が進むなか、西田と木村がもう一人の日本人と参加した海外の狩猟ツアー中に現地の少女を誤射した事故があり、
真犯人がこの3人の中にいるとみて、少女の姉ナンシーが殺し屋を雇って復讐しているという線が濃厚になった。

モデルとして来日中のナンシーは、先日ドックがすれ違った女性で、彼女のマネージャー・ロイ牧は、殺し屋の風貌に近かった。
しかし、牧のアリバイは完璧。そんなとき、入院中の木村がふたたび襲われ病院から逃げ出す。
彼が頼るのはもう一人の日本人だと睨み、一係ではその存在を突き止める。

病院で、犯人の逃走経路と思われる階段ですれ違ったのは看護婦だけというボギーの証言から、
犯人はナンシー自身だと確信したドックは、木村ともう一人の男を襲った白バイの警官に
ナンシーと呼びかけ追跡する。


ぎゅいんぎゅいんと加速し、滑るように曲がり、スピードをあげていくドックの運転はいつもワクワクします。
追跡シーンでおなじみの「ドック刑事のテーマⅡ」も、やはりドックの走りに一番合ってると思います。

最後の対決。なぜか白バイ警官の装束を脱ぎ捨てたとたんに走りを含むすべてのアクションが
ぎこちなくなってしまったナンシーw
服装もモデルらしからぬもっさりした感じで、いくつものクエスチョンマークが浮かびました。

お互いに相手が見えない壁越しに銃を構える。先に引金をひき、勝負を決めたのはドックでした。
いつになくシリアスなドックとナンシーの温度差が大きくて、ここはもっと手強い感じでいってほしかったですが、
考えてみれば、彼女は妹を殺され復讐するために銃を手にした、本来戦いとは無縁の女性なのでしょう。
そう思うとアクションのへっぽこぶりも何だか好ましく思えてきます。



【本日の負けず嫌い】
なんでも器用にこなし、スポーツ万能に見える神田さんですが、テニスを始めたころに
友人のプロテニスプレーヤーと打ち合ったら、全然打ち返せずにコテンパンにやられたとか。
以前に書いたラジオで、「出来ないということにムキになるタイプだからね」と話していて、
相当練習して、そののちそのプロともラリーができるようになったそうです。

持ち前のセンスとか運動神経もあるでしょうが、なんでもあるレベルまで達する人というのは、
けっきょくそこまであきらめずに続けられる人なんだなと、あきらめが異常に早い私はそれだけで尊敬します。

この回のドックを観ていて、そんなエピソードを思い出しました。
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#529 山さんの危険な賭け

2018年09月03日 | 太陽にほえろ!


東亜医科大学研究所から、致死率24%の伝染病ウイルス・マールブルグ菌が強奪された。
襲われたガードマンの証言から、犯人3人組の1人はボクシング経験者らしいことが判明。
山さん(露口茂)は、最近の響組の様子がおかしいことから、元ボクサーの組員川本ではないかとにらむ。




もしも菌をばらまかれたら…と怯える研究所の深町助教授(小野武彦)。ちょっと田中哲司さんに見えなくもない?
彼とライバル関係にある別の助教授による内部犯行の可能性も考えられたが、のちにその疑いは晴れた。

そんななか、都内でマールブルグ菌に感染した患者が発見され、内閣広報室に脅迫電話がかかってきた。
明後日の夜9時までに南米の口座に日本円にして25億円を振り込まなければ、マールブルグ菌を保有したゴキブリを
ばらまくという内容だった。

ボギー(世良公則)の聞き込みで川本を見たという証言を得て鉄工所に急ぐ刑事たち。
山さんは、全員防弾チョッキを着用するよう指示する。



この鉄工所でのアクションがなかなか熱くてしびれました。
何も言わず飛び出していくジプシー(三田村邦彦)は登場編の車での突っ込みを彷彿とさせ、
それを追い走っていく山さんの姿は、ふだんほとんど見ないだけに貴重です。

ラガー(渡辺徹)とボギーが援護射撃というのも、ドック(神田正輝)が銃ではなく格闘で組員をおさえるのも
いつもとは違って新鮮です。
そして劇伴が「ジプシー刑事のテーマ」と「ボンボン刑事のテーマ」。燃えます。

しかし、そこに川本の姿もウイルスもなく、拳銃の密造現場を押さえただけだった。
山さんは、飛び出したことではなく、防弾チョッキを着用していなかったジプシーを責める。



「着けると動きにくいし、着ていたから必ずしも安全ではない」とフォローするボギーとドック。
たぶんみんな着ていないw

山さんは、「おまえたちの命はおまえたちだけのものじゃない。俺たちの捜査に全市民の命がかかっていることを忘れるな」と説く。

直後に、川本の死体が発見された。
山さんは、研究所を辞めるという深町を訪ね、妻を亡くし失うものは何もないという彼の言葉にひっかかり、
妻の闘病の資金を響組系のサラ金から借り、先日完済していることから、深町が主犯で響組が噛んでいると確信する。

あくまで金が目的の響組と、いざとなったら菌を撒くことを辞さない深町との仲間割れの瞬間がチャンスだと、
その機会をうかがう山さん。
動き出した深町を尾行し、ある喫茶店に入る。失敗したら後は任せるとジプシーに託して…。

しかし、喫茶店じたいが響組の息がかかっており、山さんは拳銃を奪われ手錠をかけられる。
それを察したジプシーが、ガスの点検を装い店の地下室に入ると、そこには深町と組員たち、そして山さんがいた。

内閣から金は引き出せないと知り、案の定分裂する深町たち。
響組から裏切られ殺されそうになった深町が、ここにある菌はニセモノで、本物は別の場所に隠していると告白。
山さんは、その場所を聞き出すため危険な賭けに出る。

――内閣から金を引き出す代わりに俺も仲間にしろ。信じられないならこの場で原刑事を射殺して見せる。
信じられない様子の一同をしり目に、山さんは淡々とジプシーに銃口を向け、引き金を引く。

ボスを撃った時とは大違いでしたね。もちろんジプシーの右胸心を生かしたことは私たちにはわかりますが、
この場の一同は山さんの大胆な行動に度肝を抜かれています。
そんな彼らの隙を狙い、山さん、そして死んだふりをしていたジプシーの連携で一網打尽に。

失うものはないという深町の、自分の命だけは惜しいだろうという心理を突いて、菌の場所を吐かせる山さん。


仲間も躊躇なく撃つ姿を見せつけられたばかりの深町は、恐怖のあまり自白。
マールブルグ菌が東京に蔓延する危機は回避できた。


肋骨にひびが入っただけだったというジプシーを、「折っちゃったほうが治りが早い」といって
道場に連れ出すドックたち。
菌が撒かれても、あいつらだけは死なないだろうと呆れるボスと山さん。



ラストのボスと主演刑事のやりとりはいつも楽しみですが、山さんとの絡みはボスもすごく楽しみにしていたんじゃないでしょうか。
そんな空気が伝わってきます。
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