太陽LOG

「太陽にほえろ!」で育ち、卒業してから数十年…大人になった今、改めて向き合う「太陽」と昭和のドラマ

#567 純情よ、どこへゆく

2019年10月14日 | 太陽にほえろ!


ある晩、宿直のボギー(世良公則)が仮眠する横でガールフレンドと電話で盛り上がるドック(神田正輝)。
続けて違う女の子と電話をしているドックを軟派だと責め、ボギーが男と女の理想の形を語ろうとした矢先、
「専務が社長を殺すかもしれない」という通報が入る。
現場に急行した時にはすでに社長は殺されており、一係では通報した倉田という経理部長から事情を聞く。


ドックがよくやる椅子の馬乗り。1脚1脚跨ぎながらボギーに詰め寄るドック。机が2台しかないのに
椅子は何脚あるんだ?ってくらい次々跨いでいくのがマンガチックです。

殺されたのは竜神会系の日南金融の太田黒社長で、田沼専務(辻萬長)から倉田に犯行をほのめかす
電話があったという。
田沼と付き合っているという夏子(竹井みどり)に事情聴取をしたドックは、彼女が太田黒に乱暴され、
それを聞いた田沼が復讐したことを突き止める。



泣き崩れる夏子と、彼女を愛するがゆえに罪を犯した田沼に同情するボギーだが、ドックは彼女になにか引っ掛かりを感じる。

夏子役の竹井みどりさん。綺麗なのはもちろんですが、今回改めて観て声が可愛らしいのが印象的でした。
こういう声に生まれてたら人生違ったかもしれないなぁ。



夏子のことが好きすぎて手も握れない田沼の純情に共感するボギーは、彼を消そうとする竜神会よりも先に
見つけ出そうと必死に田沼の行方を追う。

ボギーと田沼のあいだには似た者同士、どこか響き合う部分があったように見えます。
犯罪者であっても同じ目線に立ち、胸に届く言葉を投げられるボギー。
声や口調に初期のころとは違った成熟を感じます。



田沼役の辻萬長さん。「太陽」では私の記憶する限りとことん悪い役ってない気がします。
いつもやむを得ず罪を犯してしまう…そんな男の役がハマっています。


一方、田沼探しをボギーたちに任せ、ドックは真相を探るべく倉田に迫る。
推理を打ち明け協力を乞うふりをして、倉田が社長の座につくために竜神会と夏子を操り、
田沼に太田黒を殺させたうえで始末しようとしていたことを暴く。

ボギーの素直さ、ストレートな優しさがあったからこそ田沼がそれ以上罪を重ねる前に捕らえることができ、
そんなボギーをも利用して賭けに出るドックのドライな捜査が、真犯人にたどり着く結果につながる。

愛すべき好人物はボギーだけど、細やかに相手の言葉や表情の意味を探り、勝負どころでは
大胆に仕掛けるドックの方が刑事としてのキャリアと適性を感じます。

竜神会に自分を襲わせて逆に逮捕する最後のアクションは、ところどころユーモラスでドックらしい展開でした。
元々明るい色の服装が多いドックですが、なかでも今回は派手で尾行にも敵から逃げるのにもまったく不向き!



後輩が増えるにつれて、ドックがいつのまにか“出来る良い子”になってしまったのが当時はちょっと
寂しかったのですが、今回は初期のころのマイペースで自由な雰囲気が戻ってきて嬉しかったのを覚えています。

出来る子といえば、歩道橋の上でボギーの買い物袋の中からドックがパンを抜き取り、別れ際にボギーが
さりげなく取り戻して安心していたら、実はカフェオレを掏られていたという一場面。



わざとらしく腰痛をアピールするこのあたりが怪しいと思うのですが、何度見ても掏った瞬間がわかりません。
スリでもサギでも金庫破りでも、入門したらその後もスキルを磨いて活かすあたり、さすが出来る子。
コメント
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