太陽LOG

「太陽にほえろ!」で育ち、卒業してから数十年…大人になった今、改めて向き合う「太陽」と昭和のドラマ

#491 ドックのうわごと

2018年02月26日 | 太陽にほえろ!



自分の担当した事件で、何の罪もない市民を巻き添えにしてしまったら…。

河原での銃撃戦、犯人の撃った弾丸があやうく近くにいた子どもに当たるところだった。
その場では笑って平気な顔をしていたものの、一歩間違えば大変なことだったと
内心ではずっと気にしているドック(神田正輝)。

「犯人の撃った弾丸まで責任持てないよ」というものの、子どもがいることに気づかなかった自分を
無意識のうちに責めてるのではないでしょうか。

そんななか、警官の拳銃が強奪され、凶器の指紋から覚せい剤中毒者の栗山と判明。
以前ゴリさん(竜雷太)が担当した事件で、栗山の保護司が犯人の撃った弾丸に当たって死亡していた。
それを逆恨みしている栗山は、ゴリさんを殺すつもりらしい。

ゴリさんの身を案じて、捜査から外すようボス(石原裕次郎)に頼むドック。
「お前がゴリの立場だったら手を引くか?」
ボスの問いに「絶対引きます」と答えるドック。
ゴリさんを守るためかと思っていたら、本当に自分なら引くと言っていたんですね。

ゴリさんに、何が良くて楽しくてこの仕事をしているのかという疑問をぶつけると、
「そんな話はあとだ」と冷たく突き放されてしまう。



「俺、気に入ってたんだよね、この仕事。なぜかわからないけど好きだったんだ。
思ってみたこともなかった。俺…怖いんだよ。本当に向いてないのかもしれない」


数日前、警察病院で偶然再会した医学部時代の同級生白石良子(岡まゆみ)。
外科医の仕事に疲れていて、もっと楽しくて楽な仕事もあるじゃないかと思うという良子の告白を
聞いていたからこそ、ドックも弱音を吐けたのかもしれません。

良子にしても、久しぶりに会った同級生の西條くんが刑事になっていて、やりがいを感じていると言っていた矢先に
撃たれて運ばれてきて、なにやらうなされてうわごとを言っているのを聞いてしまった。
気になって訪ねてみれば、仕事に自信を無くしているようす。
学生時代には見ることのなかったであろう姿で、そりゃ心配になります。

お互い普通の人より死が身近にある仕事を選んでしまった。
人命を預かる使命感。救えた時の達成感。救えなかった時の自責の念。
振り幅が大きい分ストレスも相当だろうと察しがつく。

悩んでいるのは、苦しいのは自分だけではないと、お互いをみて思えたんじゃないか。
同僚には話せない心の内をさらけ出せる学生時代の友人というのは、貴重です。


それでも、仕事で失った自信は仕事で取り戻すしかない。
自分を標的にして栗山をおびきだそうとするゴリさんの責任感と覚悟を目の当たりにし、
ドックもまた、ゴリさんを栗山の銃口から守ろうと自然と身体が動く。

「俺はだれにも死んでほしくないんだよ。誰にもな。
おまえだって本当はそう思っているはずだ。でなきゃなんで医大を途中で辞めてまで
デカになったりしたんだ」

事件解決後、一転して穏やかな口調で語りかけるゴリさんの言葉が、道に迷い進めなくなっていた
ドックの心に光の道筋をつけてくれた気がします。

「やっぱり世界一の刑事になることにしたわ」
さっぱりとした表情で宣言する友に、それなら私も!と、良子もまた医師として
頑張っていこうという気持ちをとりもどす。
自分の弱さと向き合い、それを乗り越えて前を向くふたりの姿がまぶしいです。



【本日の余計なお世話】
ドックと良子先生、お似合いだと思ってたんですが、色っぽい雰囲気にはならなかったですね。
結婚という形にとらわれない新しいカップルのスタイルを見せてくれそうな期待をしていましたが、
良子先生はこの年の暮れにもう一度登場しただけでした。ちと残念。

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#449 ドック刑事 雪山に舞う / #450 ~雪山に斗う

2018年02月04日 | 太陽にほえろ!


雪の季節になると思い出すのがドック(神田正輝)のスキー編です。

デビュー以来、怪我をするといけないからと止められていた(忙しくて行けなかった?)スキーを久しぶりにできるということで、
ドックというより神田さんが、細胞レベルで喜んで滑っているのが伝わってきます。

「イエーイ」って飛んじゃってるし。


響組に裏切られて命を狙われた殺し屋の都築(西沢利明)が、復讐のため組長の息子・武志を追って志賀高原へ。
たまたまスキーに来ていたドックが雪山を縦横無尽に滑りながら都築を追いつめていきます。

某風邪薬のパッケージのようなウェア(上写真参照)や、モケモケのついたかわいいブーツなど、
ファッション面でも楽しませてくれます。(山さんの雪山ファッションも必見です)



バックに流れる「ドック刑事のテーマ」「ドック刑事のテーマⅡ」も効果的で、特にⅡを聴くと、いまだにドックが
スキーで追跡している場面が浮かび、自分も滑っているような気分になります(もう25年くらいスキーをしていませんが)。


美しすぎる殺し屋・都築氏。
演じる西沢さんは北海道のご出身だそうで、一部吹き替えはあるもののスキーもたいへんお上手です。
物腰も紳士的で、なんでこの人殺し屋やってるんだろうw

ところで、都築がドックに「刑事さん」と呼びかけるんですが、どうして刑事だとわかったんでしょう。
自分を追ってくるのは、むしろ響組の関係者の可能性の方が高いと思うんですが…。

やっぱり、クマさんの帽子で「響組じゃないわ」と判断したんでしょうか。



実はガンに侵されていた都築は、一人娘にまとまったお金を残して死のうと響の息子の誘拐を企てたが、
自分を追ってきたドックに最後の勝負を挑み、追いつめられて自らのこめかみに銃口をあて満足げに引金を引くのでした。

ほろ苦い結末に、ドックの背中もめずらしく寂しそう。

…ですが、東京に戻れば親狸が待っていました。

ボスもノリノリで、最後はやっぱり明るく締めるところがドックらしいです。

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