goo blog サービス終了のお知らせ 

太陽LOG

「太陽にほえろ!」で育ち、卒業してから数十年…大人になった今、改めて向き合う「太陽」と昭和のドラマ

#520 野崎刑事 カナダにて最後の激走

2018年06月24日 | 太陽にほえろ!

「警察官になって30年。これほど犯人を憎いと思ったことはない」
一係の良心、みんなの心の拠り所・・・。長さん(下川辰平)、最後の激走です。


杜丘を追跡し、ロッキー(木之元亮)の最期を看取れなかったジプシー(三田村邦彦)とラガー(渡辺徹)。


風葬にしてほしいという妻令子(長谷直美)の願いで、ロッキーの遺灰はヘリコプターでロッキー山脈に撒かれることになった。
「さよなら、ロッキー。さよなら」
ロッキーの帽子とGジャンを身に着けたドック(神田正輝)が、代表してロッキーに別れを告げる。


悲しんでいる暇もなく、カナダ人夫婦を襲って車を奪い逃走した杜丘を探す刑事たち。
目撃情報のあった場所に向かうと、杜丘はいきなり発砲してきて、なんと馬で逃走!

セリカXXの北米仕様スープラで!ドックの運転で!追跡したにもかかわらず、舗装されていないばふばふな地面で
圧倒的に馬が有利。斜面を駆け上がって逃げ切った杜丘を悔しそうに見送るしかないドックとラガー。




日帰り出張かというほどの軽装で応援に駆けつけたゴリさん(竜雷太)も加わり、杜丘を雇っていたアメリカの組織を追う
FBIのバージル刑事と反発しあいながらも捜査を続ける。

七曲署とFBI、追っている人物は同じでも目的が違うため、まったく協力し合えないどころか
お互いにとっては邪魔な存在にすらなっている。
長さんやゴリさんは、FBIの立場も尊重しつつ、これ以上犠牲者を出さないために協力して杜丘を捕まえようと
バージルに訴え、ついに彼の全面協力を得る。

最初は日本語がわからないように見えたバージルですが、実はヒヤリングは相当…?
というか、心を開いたとたん日本語で話してくれてますw

カルガリーに向かったという光子の証言で、年に一度のロデオ祭りで賑わう街中で杜丘を探す一同。
新宿では大きくて目立つ一係の刑事たちも、カナダの民衆の中では埋もれ気味です。

ジプシーがついに杜丘を発見!長さんは、撃たれたジプシーに代わり一人追跡!
右腕に被弾しながらも、弾を撃ち尽した杜丘を追いつめ、肉弾戦でやっつける。
長さん、怒りの蹴りが決まっています。


遅れて駆けつけた仲間(バージル含む)と喜びを分かち合う。
このとき、すでに長さんの胸には最後の現場だという思いがあったんでしょうか。


帰ってきたメンバーを迎えてくれる新宿の高層ビル群とボス(石原裕次郎)。
なぜか私まで「ただいま」というほっとした気分にw

そこで長さんが切りだした言葉に、ボス以下仲間たちは耳を疑う。
「警察学校の教官になって、ロッキーのような優秀な刑事を育てたい」
涙ながらに告げる長さんに「わかったよ」というボス。
比べてみると明らかに長さんより年下ですが、にじみ出る包容力がやっぱりボスです。


「長さんの育てた刑事といっしょに働く日を楽しみにしている」とエールを送る山さん(露口茂)。
長さんから握手を求められ、名前を呼ばれて「ん…」と喉の奥で泣きながら返事をする山さんにもらい泣きです。

長らく苦楽をともにしてきた山さんと長さんのあいだには、名コンビという言葉ではくくれない、
深くしっかりした結びつきがあったんですね。
長さんの最後の事件となった今回、距離は離れていたものの、お互いを信じてともに捜査していたんだと思います。


【本日の旅立ち】

ロッキーを亡くし、長さんまで去ってしまい、この時期は本当に寂しかったのを覚えています。
下川辰平さんは長さんの殉職を望んでいたそうですが、長さんまで死んでしまったら、仲間も、観ている私たちも
ちょっと気持ちがもたなかったと思います。

実際、このあとふたたび長さんが登場する回や本格復帰したPART2は、本当にうれしかったものです。
役者さんとしては殉職を演じたいという気持ちは強かったでしょうが、そこを曲げて生き続けてくれた長さん=辰平さんに
感謝します。



#519 岩城刑事 ロッキーにて殉職

2018年06月16日 | 太陽にほえろ!


念願だったカナダのロッキー山脈への旅に出たロッキー(木之元亮)。
伸びやかな長身が大自然に映えます。ああ、まさにロッキーだなと。ピッタリなあだ名だったなと。
これが最後じゃなければ、雄大なカナダの景色や街並みにわくわくして観ていられたのに…。

東京で起きた殺人事件の容疑者・杜丘(小野進也)がバンクーバーに向かったという情報を得て、
ボス(石原裕次郎)は、ドック(神田正輝)とラガー(渡辺徹)を現地に派遣し、ロッキーと合流して捜査に当たるよう命じる。

その後、長さん(下川辰平)とジプシー(三田村邦彦)も現地入りし、杜丘のかつての恋人光子(高瀬春奈)を張り込み
杜丘が現れるのを待つ。



ロッキー登山の前に捜査に呼び戻されたものの、カナダの大自然を愛する人々に触れ、自然を愛することは人を愛することに通じる、
ここに来て刑事の仕事を続ける自信ができたと照れながら長さんに語るロッキー。
長さんもそんな彼を頼もしく嬉しく思って見つめる。

やがて、杜丘と光子がレンタカーで逃げたことが判明。考えうるいくつかのルートを手分けして追跡する刑事たち。
ロッキーは、遠回りに思えるロッキー山脈を越えるルートを選んだのではないかと睨み、
ついにふたりを発見する。


「太陽」にそれほどしょっちゅう出ているわけではないのに、印象的な小野進也さん。
しばらくは、他のドラマで見ても「杜丘~!!」と思っていましたw


ロッキーに制止され、いきなり銃を発砲し、さらに光子を突き飛ばしダイナマイトを放り投げる杜丘。
岩陰に隠れて応戦していたロッキーは、爆発を阻止するために飛び出し、杜丘に撃たれてしまう。

今まで数々の危機に瀕し、そのたびに生きのびてきたロッキーにしては、ずいぶんあっけない最期だと当時は思いました。
歴代の刑事たちの壮絶な最期と比べても、たった一発で死んでしまうなんて、と。

でも、これが現実かもしれない。みるみるうちに生気がなくなり命の火が消えそうになるロッキーを
長さんとドックが必死に引き留めようとする。ふたりの悲痛な叫びと涙は、何度見ても心を揺さぶられます。



自分が守ったロッキーの景色を目に映し、眠るように息をひきとるロッキー。
妻と子を残し、刑事としてもこれからだというときで、もちろん無念の死ではあります。
でも、憧れのロッキー山脈を守り仲間に看取られて逝った彼は、その瞬間安らかだったんじゃないかと思いたいです。



事件解決の第一報を今か今かと待ちわびていた3人。
長さんからの信じがたい報告に、この笑顔が消えるのがつらい…。

山さんから夫の死を告げられ茫然と座り込む令子(長谷直美)が、ふと部屋の中のおもちゃと眠る子供たちを見て、
堰を切ったように泣き出す。
アパートの外でその泣き声を聞く山さん(露口茂)。


あふれる涙を拭おうともせず、ロッカーに拳を叩きつけるゴリさん(竜雷太)。


そして、ボス。


ロッキーは、みんなにこんなに愛されていたんですよね。


【ロッキー=木之元亮】
インパクトの強い外見のわりに、静かで控えめなロッキーと、演じる木之元亮さん。
DVDの特典映像で、ご本人が「もう一度ロッキーを演じたい」とおっしゃっていて、
本当に太陽とロッキーを愛していたんだなと思いました。

また、神田さん、三田村さん、徹さんの座談会でもカナダロケについて語られていて、
殉職編は、木之元さんはもちろん、周りのキャストやスタッフも並々ならぬ意気込みで臨んでおられたとわかり、
その熱が、長い年月を軽々と越えて伝わってきました。

それだけに、やっぱりいなくなるのは寂しいですね。

#513 真相は・・・・・?

2018年06月08日 | 太陽にほえろ!
深夜、城南署管内の駐車場で大学生・和田が殺された。
周囲の聞き込みで、その時間に現場近くにいた男のモンタージュができたが、
それは警視庁捜査一課の花形警部・高松(山内明)にそっくりだった。

本庁は、マスコミに知られるのを防ぐため、かつて高松の後輩だったボス(石原裕次郎)に
24時間以内に高松から真相を聞き出すよう命じた。




本庁の警視、七曲署の署長のふたりに呼びつけられてご無体な命令をされるボスですが、
どう見てもお偉方たちよりも貫禄があります。
警視も署長も薄々それに気づいている感じで、一所轄の係長相手にちょっとムキになっておりますw

一方、刑事のイロハを教わった高松に対しては敬愛の念を感じます。
「あなたが犯人ですか?」
そんな率直な質問も、信頼すればこそでしょう。

およそ取り調べとは思えない一見のんびりとしたやりとり。
現場を指揮する山さん(露口茂)の緊張感と、山さんや他の部下たちを信頼し任せているボスの落ち着いた表情の違いが
印象的です。



やがてボスは、窓の外で談笑する若い婦警たちを見つめる高松の様子から、一人娘のともこに何か関係するのではと
推理する。

ともこは、あの晩和田が運転する車にはねられ昏倒したところを連れ去られてしまった。
帰宅したともこの異常に気付き問い詰めた高松は、車とともこが見た学生証から和田を探し出し、
駐車場で会っていた。

一人娘を傷つけられた父親の気持ちには共感するものの、それでも刑事としての高松を信じる山さんの
「あるいは殺意があったかもしれん。しかし俺はやっていないと思う」という言葉は、
同じ警察官に対する信頼であり、自分だったら…と考えた時に確信をもてた刑事としての矜持だと思います。

捜査の中で、被害者・和田の腕時計をはめていたチンピラを連行するが殺人を否認。時計は白髪頭の初老の男から買ったと証言。
アリバイもあり、釈放しロッキーが念のため尾行を続ける。

高松が犯人であるという有力な証拠を得たとして、本庁が期限の前に身柄を横取りしようとするのを突っぱねたボス。
なんとしても時間までに真犯人を挙げて高松の無実を証明しなければならない。

夜中も休まず捜査を続ける一係の面々。

メインテーマまるまる一曲が流れ、やがて夜が明ける。


「あと3時間しかない!頼むぞ!」
無線のマイクに取りすがり、めずらしく感情をあらわにする山さんに、長さん、ゴリさんはじめみんなも疲れた体に喝を入れ、
精力的に走り回る。


泳がせていたチンピラを捕らえて絞り上げると、実は時計はボクサー崩れの男から買ったと自供。

若手が3人がかりで取り押さえ、山さんが取調室で男を瞬殺!
山さんの気迫…もあったでしょうが、尺の都合も大きいでしょうw
約束通り24時間以内に事件を解決した藤堂チーム。(本庁は面白くないでしょうね~)

ボスが主役の回は、山さんを筆頭にチーム全体が描かれることが多いです。
これもまた、ボスの器の大きさがにじみ出てさすがだなと思います。


【本日の気になる指】
ドックが右手の中指に包帯をしていたりしてなかったり。
たしか撮影中に捻挫したと当時雑誌で読んだ記憶があります。今回の犯人逮捕の場面でしょうかね。

そして、ボスもまた指に絆創膏を巻いているのですが、本作に限らず例えば「ドックの苦手」などでも
複数の指に絆創膏が…。こう言っちゃなんですが、怪我をする場面が浮かばないですよ。
料理でもされていたんでしょうか。 真相は・・・・・?


#502 癖

2018年05月27日 | 太陽にほえろ!
ドック(神田正輝)とロッキー(木之元亮)の名を語った結婚詐欺師がいることがわかった。
被害者の3人の女性の証言により、犯人はそれぞれ外見は違うものの、ある共通の癖があることが判明。
自分たちの名を使われたことに怒ったふたりは、過去の事件を洗い直す。




資料室でふたりで組んだ事件を中心に資料を見直すドックとロッキー。
窓の外には屋台のラーメン屋。
「俺、食ってくるからあとはよろしく」というドックを「待てい」と捕りおさえ、
お尻をペンペンするロッキーがお父さん味にあふれています。

かつてスニーカー(山下真司)とドックは相棒という感じでよく組んでいましたが、ロッキーとドックも
タイプが全然違うのに仲良しでしたね。
ふたりにとってドックは一応w先輩なのに、上下関係はあまり感じませんでした。


さて、いうことを聞くふりをして再び脱走を試みたドックが、急に開いたドアに顔をぶつけるというお約束の展開。
ラガー(渡辺徹)が、ボス(石原裕次郎)の差し入れのラーメンを運んできてくれたのでした。

明らかに年下のラガーに対しては先輩風を吹かせるドックですが、ロッキーは「岩城さん」と呼ばれているのに
「ドック」とあだ名で呼ばれて(呼ばせて)います。
スポーツはやるけど体育会系ではないフラットな感じが、当時の太陽では新鮮だったと思います。



そのラーメンを食べながら、ある事件で長期の張り込みをした際、協力をしてくれたラーメン屋の主人の癖が、
今回の詐欺師の癖と似ていることを思い出すドックたち。

さっそく都心から離れたその店を再訪すると、店は新装開店したばかりで、店主の小西(阿藤海(のち快))は
ふたりの訪問を予期していたかのように歓迎してくれた。
その態度に不信感を抱いたドックは小西を疑うが、ロッキーは人のいい彼が詐欺などをするとは思えない。

小西を調べるうち、先の事件で警察に協力した彼が、隣同士だった容疑者の家族に恨まれていたことがわかった。
そのとき逮捕された容疑者の妻・雪子と新宿で偶然再会したという話を聞き、雪子が小西に復讐するために仕組んだ罠ではないかと
睨むドック。
確証はなにもない。ドックとロッキーは、仲間たちの協力を得て一発勝負の賭けに出た。


気のいいラーメン店主の小西と、雪子に協力し結婚詐欺を企てた男の二役を演じた阿藤海さん。
本エピソードをはじめ、ドラマやバラエティでおなじみの方だっただけに、
60代の若さで急逝されたのは本当に残念です。



【本日のリアクション王】
本エピソードで忘れてはならないのが、この女優さんの身体を張った?演技。

と、それを受けてのゴリさん(竜雷太)とドックのリアクション。


ギョッとするあまり、彼女が口にした容疑者の髪を触る癖と同じ癖をもつゴリさんは、ついつい頭を掻いてしまう。
同じくギョッとしてゴリさんにすがるように寄り添うドックですが、ゴリさんが頭に手をやるたびについ見てしまう。

この場面のゴリさんとドックの細かい表情が面白くて、観るたびに笑ってしまいます。
甲乙つけがたいリアクション対決です。

#462 あなたにその声が聞こえるか

2018年05月24日 | 太陽にほえろ!
多摩川で白骨体が発見された。性別年齢も定かでなく、ゴリさん(竜雷太)は、頭蓋骨の復顔作業を依頼すべく
法医学研究室を訪ね、そこで麻生晴子(水沢アキ)という女性に出会う。

耳が不自由だという晴子だが、復顔の仕事に自信と誇りをもち、静かながら情熱的に取り組む姿に感銘を受けたゴリさん。
しかし、作業が進むにつれ晴子の様子が違ってきたことが気になった。
誰かに脅され、別の顔を作らされたのではないかというゴリさんの勘は的中した。



運命の人、晴子さんとゴリさんの出会い。
耳が聞こえないというハンディをもちながら、堂々と生きる晴子に惹かれていくゴリさん。

しかし、白骨体の被害者を殺した犯人たちから、別の顔を作らないと近所の子供を殺すという脅された彼女は、
ゴリさんの顔をまともに見られず、あきらかに怯えている。
このあたりの晴子の変化を水沢さんが繊細に演じていて、ゴリさん共々、晴子という人物にぐんぐん惹かれていきます。


「辞めちゃいけない、こんなことで。誰かに脅されたくらいで誇りを失っちゃいけない。
誰に脅されているんですか。言ってください。 僕は、あなたを守ります」

障害があってもなくても、人として尊敬できたからこそ変な遠慮をせず、ストレートに思いをぶつけられたんでしょう。
ゴリさんの真摯な姿勢に、晴子も感じ入るところはあったはずです。

だからこそ、復顔像を持ち出した晴子は、追手から逃れる際に手話でゴリさんに助けを求める。


林の中の空き家に逃げ込んだ晴子が犯人たちに追いつめられていく場面は、当時も今もハラハラドキドキしながら
見入ってしまいます。
間一髪で駆けつけたゴリさん。そりゃ、惚れますわ。

かくして、急速に距離が近づいたふたり。

本当に素敵なカップルの誕生だっただけに、その後を知る身としてはつらいです。


【本日の舞台裏】
1981年前期のDVDではこの作品にコメンタリーがついていました。
ゴリさん&ロッキーと一緒にドラマを観ている感覚で、特典のインタビューもさることながら、このコメンタリーを
もっとたくさんの作品(なんなら全部!w)につけてほしかったです。

何十年も前の仕事にもかかわらず、当時の様子や出演者の近況などをなつかしそうに語ってくれて、
それだけで感無量です。

「すごくきれいな人なんですってね。今度会わせてくださいよ」とドックがゴリさんに頼む場面で、
竜さんが「なんだかドックもいい加減なやつだなあ」と苦笑し、
木之元さんが「神田さんは、意識的にそうやってるっておっしゃってましたよ」とフォローするのが、
劇中のゴリさんやロッキーそのもので、「いかにも地でやってる(ように見える)」と言われるドックもふくめ、
あの頃の空気感が伝わってきて楽しかったです。