太陽LOG

「太陽にほえろ!」で育ち、卒業してから数十年…大人になった今、改めて向き合う「太陽」と昭和のドラマ

#584 盗聴

2020年01月13日 | 太陽にほえろ!


1984年1本目の作品。正月早々「盗聴」って…と当時も思いましたが、あれからン十年、2020年最初のログはこの作品にしました。

覆面車の中で偶然ラジオの電波に乗って盗聴された電話のやりとりを聞いてしまったドック(神田正輝)とラガー(渡辺徹)は、強請られていた田所という宝石店の男を突き止め協力を依頼し取引現場で張り込んでいると、和美という若い女が現れた。実は和美も何者かに強請られていて、代理でやってきたのだった。

必ず守るからと協力を求め、和美を泳がせて尾行していたラガーだったが、地下鉄の構内で近付いてきた男に彼女が襲われ、混乱の中、男は捕らえたものの、その隙に和美が行方不明になってしまった。

やがて和美を誘拐した男から、ダイナマイトを巻かれた和美の写真が送られてきた。
同じく写真を受け取った婚約者の新田医師(星正人)が、一係に捜査から手を引くよう抗議してくる。


新田が犯人と接触するときが逮捕のチャンスと、新田をマークする一係の面々。
自分が協力を依頼したのに守り切れなかったことに責任を感じ、新田の家に盗聴器を仕掛けて、
犯人との取引場所を掴むラガー。



「たいしたことないじゃないですか。駆け出しのデカがひとり首になるだけのことですよ」
助手席のドアを開け、一緒に張り込んでいたボギー(世良公則)を車から降ろそうとするラガーに、
「お前だけにね、そういうカッコいい真似はさせらんないの」
そういってドアを閉め、車を出すよう促すボギー。

ふだん熱くなって暴走しがちなふたりですが、今回はボギーが犯人に対する怒りを胸に秘めながらも、焦るラガーを鎮める役目にまわっていました。
お互いを気遣うやりとりが、さりげなく温かいです。

ラガーたちが取引現場で見張っていると、現れたのは西岡徳馬演じる成島という男。
もう西岡さんが出てきた時点でほぼ犯人確定ですね。
しかし、残念ながら証拠不十分で釈放されてしまいました。

トシさん(地井武男)とボギーがあからさまに尾行するのを振りきった新田がタクシーで逃げる。
車内でほっとしていると、タイヤを鳴らして1台の車が曲がってきた。


ドック! 
顔のアップに“ドック刑事のテーマⅡ”がジャーンと被る演出で、一気に正月ボケが吹っ飛びます。

さらにもう一台…。

マミー! 
一係の走り屋ワンツートップにロックオンされ、逃げきれるのか!?
ふたりとも特に気合が入った感じでもなく、淡々と追っているのがクールです。

追跡劇で使われがちな芝浦界隈や多摩地区の車が少ない通りではなく、新宿の普通の道を走っているのがまた良いです。
そして、捕らえるのではなくあくまで後を追っているだけなので、強引に距離を詰めたりしません。

やがてマミーが横から出てきた車を避けようとして急停車し追跡を断念。
「ドック、あとはお願い」という無線に対し、「ハイ、了解!」と応じ、ちらっとバックミラーを見るドックがかっこいい。
しかし、ドックもそのあと同じように路地を曲がってきたトラックと鉢合わせてタクシーを見失ってしまう。

そのころラガーは和美の居場所を突き止め、新田が駆けつけた時には保護して事情もすべて打ち明けられていた。
和美が投薬ミスで患者を死なせてしまい、それを隠そうとした新田が成島に脅されていたのだった。

刑事生命と引き換えに、和美を救うために違法な手段をとったラガー。
ボス(石原裕次郎)は「責任は俺がとる」と相変わらず頼もしく、仲間たちも一丸となって解決に向けそれぞれが力を尽くす。

とりたてて派手な演出はないものの、一係の結束の固さが随所に感じられて、新春にふさわしい作品だったと思います。

コメント
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