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太陽LOG

「太陽にほえろ!」で育ち、卒業してから数十年…大人になった今、改めて向き合う「太陽」と昭和のドラマ

#534 俺の拳銃が無い!

2018年10月09日 | 太陽にほえろ!
自動車整備工場で売上金が行方不明になり、社長から疑われた少年院出身の守は、腹立ちまぎれに社長を突き飛ばし
当たり所が悪く死なせてしまった。

そのまま逃げた守の行方の手がかりを求め、少年院仲間の三郎を訪ねたラガー(渡辺徹)。
「自分が必ず説得して自首させる」という三郎をひそかに尾行し守の居場所を突き止めたが、
三郎たちに見つかり暴行を受けて拳銃を奪われてしまう。




ラガーが三郎に任せると約束して見送ったあと、すかさず尾行を始めた時、
「あ、追うのね」とちょっと意外でした。ちゃんと刑事なんだねと。



前科者の守が疑われてもしかたないというボギー(世良公則)に、高校時代に給食費を盗んだと疑われたことがあり、
人から疑われることがどんなに悔しいか、疑われたことがある者にしかわからないと訴えるラガー。

天真爛漫に見えるラガーに、そんな過去があったとは。

しかし、刑事ラガーは三郎を裏切る形で守を捕らえようとして失敗。
さんざん痛めつけられた上に拳銃を奪われてしまい、自分がとった行動を悔やみ
傷が癒えない体で夢中になって三郎たちを探す。

病院を抜け出したラガーを呼び止めず、車で後をつけ見守るドック(神田正輝)。

「運転中は前を見て」…スコッチに注意してほしい大胆な脇見運転です。



「おまえがサブに恥ずかしいと思うのは、人として嫌われたくないからじゃないのか。
刑事っていうのは嫌われ者じゃなきゃいけないんだ。お前がサブを追ったのは刑事として正しいんだ」

俺だって最近わかったんだけど、とラガーの行動を肯定するドック。
ラガーもようやく落ち着きを取り戻す。

しかし、三郎と守は赤ちゃんの乗った車を奪い逃走。
身代金目当ての誘拐かと思いきや、赤ちゃんが乗ってることに気づいた時点で車を乗り捨て、
赤ちゃんの居場所を知らせてから逃走。

サラ金を襲い金を奪うも、途中で鞄を取り違えて金をとり損ね、やけになってブティックに立てこもってしまう。

自分が人質になるからと、丸腰で三郎たちのもとに向かうラガー。
隙を見て、山さん(露口茂)から借りてふくらはぎに隠し持っていた銃で三郎たちを取り押さえる。

「裏切者!絶対許さないからな!」
三郎の言葉が突き刺さるものの、ラガーは覚悟のうえでした。
「いつかわかるさ、裏切られて助かったんだってことが」
山さんの力強くも温かい言葉に励まされます。

何年か経って彼らにも伝わる時が来れば…と思ったら、取り調べの最中に感謝されるラガー(早っ!)


警察官になった理由はそれぞれでしょうが、そもそも人間に関心がなければ選ばない仕事でしょう。
事件解決のためにはあえて嫌われ者にならなければいけない場面も出てくる。
でも、刑事だって人間だもの。人を裏切れば自分も傷つく。

末っ子ラガーが直面した葛藤を、かつて同じような痛みを感じ乗り越えてきたであろう兄さんたちが
それぞれのやり方で寄り添っているのが印象的でした。

このころはまだスッキリしてる…と思ったラガーが、上着を脱いでブティックに向かった時、
思いのほか身体は肉付きが良かったのも印象的でした。

#526 井川刑事着任!

2018年09月29日 | 太陽にほえろ!


「太陽にほえろ!」にレギュラー入りするというのは、新人俳優だけでなくベテランにとっても大きな喜びであると
同時にプレッシャーでもあったと思います。
ましてやあのゴリさん=竜雷太さんの後任ともなれば、どうしたって比べられてしまう。

その大役を担ったのが、トシさん(井川利三)=地井武男さんでした。

当時、地井さんのことは存じ上げず、ずいぶんと地味なキャスティングだなと思ったのが正直なところでした。
でも、本物の刑事に見えるという意味では、長さんかトシさんかというくらいリアリティがありました。

若手が半分以上をしめ、ともすれば頼りなく見えなくもない一係でしたが、トシさんの登場で
きゅっと引き締まった気がします。
子どものころは、母が「トシさん素敵」とうっとりしていたのを「ふーん」と聞き流していましたが、
大人になるとトシさんの魅力がわかるようになりました。


着任早々、酔っ払いが店で暴れているという通報を受けて、トシさんがドック、ボギー、ラガーを連れて駆けつける。
日本酒の一升瓶を振り回して暴れる酔っ払いは平泉征さん。登場編だけにゲストも豪華です。

ひとりで店に入り、酔っ払いと酒を酌み交わしなだめてしまうトシさん。

その夜、当直のジプシー以外の若手が井川家に食事に呼ばれます。



妻・圭子の手料理とビールでもてなされ、感激する3人。
大きな体でなにも3人並ばなくてもと思いますが、まあテレビ上、手前は開けとかないとということでしょう。

中学生の長女・由利と小学生の長男・浩史は、父親が連れてきた同僚に見向きもせず黙々と食べてます。
年頃で照れくさいからわざと無関心を装っているのかと思いきや、ホントに関心がないのかもw
いやいや、神田正輝、世良公則、渡辺徹が一緒にご飯食べてるんですよ。
由利ちゃん、その席変わってくれ。

実際、地井さん宅にもみんなが遊びに行ったりしていたそうですね。
地井さんちの子になりたかった。


しかし、井川家は深刻な家庭崩壊の危機に見舞われているのでした。
捜査が最優先で家庭を顧みないトシさんに不満を抱える妻。
父親との接点が少なく、ほとんど会話もない子どもたち。

追い打ちをかけるように、子どもを狙った事件の解決のために我が子を囮にしたトシさんは、
息子との絆は深めたものの、妻からは激しく非難されてしまう。

トシさんの家庭の描写にリアリティがあって、このあとどんどんシビアな状況に陥る井川家から
目が離せません。


#531 マグナム・44

2018年09月17日 | 太陽にほえろ!


建設会社に勤める西田という男が廃墟で射殺された。現場の状況から、犯人はマグナム44を使い、
西田を脅して何かを聞き出そうとし、最後の1発で壁越しに射止めたらしいことがわかった。
一方、西田が自分の車ではなく廃車寸前のレンタカーを借りて現場に出向き、スピードを落とさず相手に向かっていることから、
西田にも殺意があったのではないかというのがドック(神田正輝)の推理だった。


西田の部屋から未現像のフィルムをみつけたドックとボギー(世良公則)が現像した写真を見てみると、
海外であろう橋の写真と猟をしている西田が写っていた。
西田とともに写っていた同僚の木村を訪ねた時、ふたりの目の前で木村がバイクで近付いてきた人物に
いきなり狙撃された。

腕を撃たれた木村の怪我が、下手をしたらもげちゃうんじゃないかというほどひどくて、
「マグナム怖えぇ」と思いました。

木村をボギーに託し、ひとり犯人を追うドック。
射撃訓練場(通称穴倉)で命中率50%で喜んでいたボギーでは殺られると判断したのかw
危険度の高い方を引き受ける。良き先輩になりました。
かつて、ロッキーを助けに行く際、ラガーだけプールに飛び込ませていた(#481 闇の中の殺人者)ころとは大違いです。

資材置き場での銃撃戦。相手が弾を撃ち尽し、弾込めをするタイミングを反撃のチャンスに狙ったものの、
なぜか間髪入れずに次の弾が飛んできて、ドックは混乱します。
犯人に逃げられ住宅街を探し回るも、すれ違ったのは車に乗った外国人女性だけ。

彼女がそれらしい男を見たという方向に走っていったものの人影はない。
身体が震えるのを止められないドック。


木村が収容された病院でボギーに対し、弾込めを一瞬で完了するスピードローダーという装置があることを
思い浮かべる余裕もなかったことを打ち明け、完敗宣言して落ち込むドック。
他のエピソードでもドックの完敗宣言は何度か見られますが、今回ほど本気の宣言はないでしょう。

しかし、ドックは逃げませんでした。
捜査の合間を縫って穴倉に籠り、マグナム44に対抗するべく大口径のオートを調達して黙々と練習に励みます。


普段使っているS&W M59と、今回お目見えした銃の2ショットに私の好きなドックの手も入ったサービスカットです(誰に?)。

新しい銃を初めて撃った時に、大きな反動で腕ごと宙に持っていかれて驚いているシーンが妙に気に入っています。
まったく当たらないところから、特訓を重ねてコツを掴み、やっと満足のいく射撃ができた時の微かに嬉しそうな表情も好きです。


捜査が進むなか、西田と木村がもう一人の日本人と参加した海外の狩猟ツアー中に現地の少女を誤射した事故があり、
真犯人がこの3人の中にいるとみて、少女の姉ナンシーが殺し屋を雇って復讐しているという線が濃厚になった。

モデルとして来日中のナンシーは、先日ドックがすれ違った女性で、彼女のマネージャー・ロイ牧は、殺し屋の風貌に近かった。
しかし、牧のアリバイは完璧。そんなとき、入院中の木村がふたたび襲われ病院から逃げ出す。
彼が頼るのはもう一人の日本人だと睨み、一係ではその存在を突き止める。

病院で、犯人の逃走経路と思われる階段ですれ違ったのは看護婦だけというボギーの証言から、
犯人はナンシー自身だと確信したドックは、木村ともう一人の男を襲った白バイの警官に
ナンシーと呼びかけ追跡する。


ぎゅいんぎゅいんと加速し、滑るように曲がり、スピードをあげていくドックの運転はいつもワクワクします。
追跡シーンでおなじみの「ドック刑事のテーマⅡ」も、やはりドックの走りに一番合ってると思います。

最後の対決。なぜか白バイ警官の装束を脱ぎ捨てたとたんに走りを含むすべてのアクションが
ぎこちなくなってしまったナンシーw
服装もモデルらしからぬもっさりした感じで、いくつものクエスチョンマークが浮かびました。

お互いに相手が見えない壁越しに銃を構える。先に引金をひき、勝負を決めたのはドックでした。
いつになくシリアスなドックとナンシーの温度差が大きくて、ここはもっと手強い感じでいってほしかったですが、
考えてみれば、彼女は妹を殺され復讐するために銃を手にした、本来戦いとは無縁の女性なのでしょう。
そう思うとアクションのへっぽこぶりも何だか好ましく思えてきます。



【本日の負けず嫌い】
なんでも器用にこなし、スポーツ万能に見える神田さんですが、テニスを始めたころに
友人のプロテニスプレーヤーと打ち合ったら、全然打ち返せずにコテンパンにやられたとか。
以前に書いたラジオで、「出来ないということにムキになるタイプだからね」と話していて、
相当練習して、そののちそのプロともラリーができるようになったそうです。

持ち前のセンスとか運動神経もあるでしょうが、なんでもあるレベルまで達する人というのは、
けっきょくそこまであきらめずに続けられる人なんだなと、あきらめが異常に早い私はそれだけで尊敬します。

この回のドックを観ていて、そんなエピソードを思い出しました。

#529 山さんの危険な賭け

2018年09月03日 | 太陽にほえろ!


東亜医科大学研究所から、致死率24%の伝染病ウイルス・マールブルグ菌が強奪された。
襲われたガードマンの証言から、犯人3人組の1人はボクシング経験者らしいことが判明。
山さん(露口茂)は、最近の響組の様子がおかしいことから、元ボクサーの組員川本ではないかとにらむ。




もしも菌をばらまかれたら…と怯える研究所の深町助教授(小野武彦)。ちょっと田中哲司さんに見えなくもない?
彼とライバル関係にある別の助教授による内部犯行の可能性も考えられたが、のちにその疑いは晴れた。

そんななか、都内でマールブルグ菌に感染した患者が発見され、内閣広報室に脅迫電話がかかってきた。
明後日の夜9時までに南米の口座に日本円にして25億円を振り込まなければ、マールブルグ菌を保有したゴキブリを
ばらまくという内容だった。

ボギー(世良公則)の聞き込みで川本を見たという証言を得て鉄工所に急ぐ刑事たち。
山さんは、全員防弾チョッキを着用するよう指示する。



この鉄工所でのアクションがなかなか熱くてしびれました。
何も言わず飛び出していくジプシー(三田村邦彦)は登場編の車での突っ込みを彷彿とさせ、
それを追い走っていく山さんの姿は、ふだんほとんど見ないだけに貴重です。

ラガー(渡辺徹)とボギーが援護射撃というのも、ドック(神田正輝)が銃ではなく格闘で組員をおさえるのも
いつもとは違って新鮮です。
そして劇伴が「ジプシー刑事のテーマ」と「ボンボン刑事のテーマ」。燃えます。

しかし、そこに川本の姿もウイルスもなく、拳銃の密造現場を押さえただけだった。
山さんは、飛び出したことではなく、防弾チョッキを着用していなかったジプシーを責める。



「着けると動きにくいし、着ていたから必ずしも安全ではない」とフォローするボギーとドック。
たぶんみんな着ていないw

山さんは、「おまえたちの命はおまえたちだけのものじゃない。俺たちの捜査に全市民の命がかかっていることを忘れるな」と説く。

直後に、川本の死体が発見された。
山さんは、研究所を辞めるという深町を訪ね、妻を亡くし失うものは何もないという彼の言葉にひっかかり、
妻の闘病の資金を響組系のサラ金から借り、先日完済していることから、深町が主犯で響組が噛んでいると確信する。

あくまで金が目的の響組と、いざとなったら菌を撒くことを辞さない深町との仲間割れの瞬間がチャンスだと、
その機会をうかがう山さん。
動き出した深町を尾行し、ある喫茶店に入る。失敗したら後は任せるとジプシーに託して…。

しかし、喫茶店じたいが響組の息がかかっており、山さんは拳銃を奪われ手錠をかけられる。
それを察したジプシーが、ガスの点検を装い店の地下室に入ると、そこには深町と組員たち、そして山さんがいた。

内閣から金は引き出せないと知り、案の定分裂する深町たち。
響組から裏切られ殺されそうになった深町が、ここにある菌はニセモノで、本物は別の場所に隠していると告白。
山さんは、その場所を聞き出すため危険な賭けに出る。

――内閣から金を引き出す代わりに俺も仲間にしろ。信じられないならこの場で原刑事を射殺して見せる。
信じられない様子の一同をしり目に、山さんは淡々とジプシーに銃口を向け、引き金を引く。

ボスを撃った時とは大違いでしたね。もちろんジプシーの右胸心を生かしたことは私たちにはわかりますが、
この場の一同は山さんの大胆な行動に度肝を抜かれています。
そんな彼らの隙を狙い、山さん、そして死んだふりをしていたジプシーの連携で一網打尽に。

失うものはないという深町の、自分の命だけは惜しいだろうという心理を突いて、菌の場所を吐かせる山さん。


仲間も躊躇なく撃つ姿を見せつけられたばかりの深町は、恐怖のあまり自白。
マールブルグ菌が東京に蔓延する危機は回避できた。


肋骨にひびが入っただけだったというジプシーを、「折っちゃったほうが治りが早い」といって
道場に連れ出すドックたち。
菌が撒かれても、あいつらだけは死なないだろうと呆れるボスと山さん。



ラストのボスと主演刑事のやりとりはいつも楽しみですが、山さんとの絡みはボスもすごく楽しみにしていたんじゃないでしょうか。
そんな空気が伝わってきます。

#525 石塚刑事殉職

2018年08月18日 | 太陽にほえろ!


放送開始から10年。ボス(石原裕次郎)とはまた違った意味で「太陽」の象徴だったゴリさん(竜雷太)、ついに殉職です。

覚醒剤患者による事件が多発。捕らえてみると、その多くがある工場で働く労務者だった。
工場は戸川組の息がかかっていて、一連の事件の背後には戸川組が絡んでいることは間違いなかった。

一係では、戸川組の尻尾を押さえるべく、労務者たちに協力を仰ごうとするが、
工場で働く和子(左時枝)の夫が、以前警察の捜査に協力した逆恨みで殺されたことをきっかけに、
弟の信治(塩谷智章)たちから猛烈な反発を食らう。

あろうことか、戸川組の組員になった信治。
一方、覚醒剤の製造工場だと思われマークしていた店が放火された。発覚を恐れた戸川組が先回りしたのだ。
信治の手引きで工場にあらたな覚醒剤の製造工場を作ろうとした戸川組は、ゴリさんからマークされている信治を疑い、
消そうとする。



信治は必ず守るという説得を受け、信治の居場所を告げる和子。
ゴリさんは七曲署への連絡を頼み、ひとりで工場内に入っていきます。

信治を消すために戸川組の組員が10人以上も工場に現れます(ちと多すぎるんじゃないか)。
ゴリさんは、信治を守るため拳銃に6発全弾装填し、さらに組員たちを背後から襲って次々と拳銃を奪っていきます。
そこからの銃撃戦はまさにゴリさん最後の晴れ舞台。


結局何人いたのかも数えられないくらいの敵を相手に、自分ひとりならまだしも、文字通り足手まといの信治を守りながらの闘い。
ゴリさんだからこそ切り抜けられた修羅場でした。
強すぎて、そんなアホな!と思うんだけど、ゴリさんだから嘘っぽくならないし、むしろ嘘でもいいやという…。
本当にかっこよかったです。

あんなにゴリさんに反発し、石まで投げつけていた労務者たちの協力を得て、無事信治を助けたゴリさん。


嬉しくて署への連絡をしに行く足取りも軽いゴリさんの背後に、先日捕まえたはずの覚醒剤中毒患者の男が
拳銃を持って立っていました。
1発、2発、3発。
続けざまに背中に銃弾をあび、ふりかえるとさらに正面に1発。

あれほど激しい銃撃戦を切り抜けた直後、たった一人のシャブ中の男によって倒されてしまうなんて…。

それでも、ゴリさんは最後の力をふりしぼり、男に手錠をかける。
石塚誠。最後まで刑事です。

力尽き倒れたゴリさんの耳にサイレンの音が聞こえます。
山さん、ドック、ジプシー、ボギー、ラガー。駆けつけた仲間も、壮絶なゴリさんの姿に言葉が出ません。

パトカー、救急車、覆面車、労務者たちのトラック。
長い車列が新宿の街を病院に向かって急ぐ。
救急車に乗り込むボスと晴子(水沢アキ)。
この時点で、まだゴリさんが話ができることに驚きですが、ゴリさんだからアリです。

ボスと晴子に看取られ、ついに永遠の眠りにつくゴリさん。
最期の言葉を、晴子は聞きとります。ゴリさんは、愛する人に音のある世界を贈って去ったのでした。



道の真ん中で止まった救急車に、すべてを察した仲間たち。
最初は茫然と立ち尽くしていたのが、だんだん悲しみに包まれ静かな涙がみんなの頬を濡らします。

なかでも、山さんの涙にはやられました…。

突然、ドックがクラクションを鳴らし、ボギー、ジプシー、工場の労務者たちもそれに続く。
新宿の街に鳴り響くクラクション。長く連なる車列を上空から捉えた画が、まるで空からゴリさんの魂がみんなを見ているようでもあり…。


数日後、ボスとナーコだけの一係に晴子が訪ねてきます。
メソメソするのが嫌いなあの人のために、もう泣かない。
そう言って笑ってみせる晴子にこっちは涙腺決壊です。


大切な人を失っても、それでも生きていかなくてはいけない。
晴子にとっても、ボスや一係の仲間にとっても、見ている私たちにとってもそれは同じ。
ゴリさんの死という大きな大きな出来事は、そんな当たり前のことを教えてくれた気がします。
悲しいけれど、どこか清々しさすらある、ゴリさんらしい殉職編でした。


【本日の敬意】
歴代の殉職刑事の中で、唯一ボスに看取られたゴリさん。
番組立ち上げから10年間、現場のリーダーとして貢献してきたゴリさんと竜さんに対する
ボス・石原裕次郎さんからの敬意と感謝の表れだと聞いたことがあります。

もうひとり、若手のリーダーとしての役割を引き継ぐことになるドックも、今回は珍しくネクタイ姿。
本来ならゴリさんの殉職なんて想像だにしていないはずのドックが改まった服装をしているのは疑問ですが、
これは神田さんからゴリさん&竜さんへの敬意と、決意の表れなのかなと想像しています。

ストーリー全体がシリアスでタフな展開ですが、張り込み中のゴリさんとドックが先に寝るのを譲りあい、
結局朝まで寝ちゃったドックがゴリさんに起こされるという場面が唯一のなごみポイントでした。