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太陽LOG

「太陽にほえろ!」で育ち、卒業してから数十年…大人になった今、改めて向き合う「太陽」と昭和のドラマ

#544 屈辱

2018年12月14日 | 太陽にほえろ!


空手を武器に、嬉々として人を殺める殺人鬼・南(西岡徳馬)と対決するボギー(世良公則)。
いろんな表情を見せますが、私的に今回いちばん気にいってるのがこちらのショット。
かっこいいし、ほんのりかわいい。

では、冒頭にさかのぼります。



隣に引っ越してきた坂田(佐々木功)、ツヨシ親子。
刑事だと自己紹介した途端に態度が変わった坂田を不審に思い、尾行するボギー。
子どもを保育園に送りながら楽しそうに笑う坂田がさすがに美声で、「宇宙戦艦ヤーマートー」を
ここで歌ってほしいです。



翌週ジプシー(三田村邦彦)が転勤してしまうことを思うと、貴重な4ショット。
みんなに自分の勘(一応)を話し、なおも尾行を続けたボギーは、
坂田が男から大金の入った封筒を受け取るところを見る。

男は商社マンの南で空手の有段者。埼玉で起きた撲殺事件と同様の手口の殺しの容疑者でもあった。
そんななか、坂田が南とふたたび接触し、翌朝無残な撲殺体で発見される。
ツヨシからは「父ちゃんを返せ」と恨まれ、ボギーも死なせてしまったことに悔しがる。



吉野刑事(横谷雄二)に空手の特訓をしてもらうものの、短期間で上達するわけもなく、
「やっぱりコレに頼るしかないか」と指でピストルを作るボギーですが、
(いやいや、そっちもあんまり・・・)とツッコんだ人は私だけではないでしょう。



“冷静に”南を挑発し、自分を襲うように仕向け、ボロボロになりながらも最後の最後に
吉野から教わった必殺技を決めて、南を倒したボギー。
西岡徳馬さんがこんなに強いとは初めて知りました。狂気をはらんでめちゃめちゃ不気味でした。



親戚に引き取られてゆくツヨシを見送るボギーたち。
キャッチボールはできなかったけど、とバットとグローブを餞別に贈るものの、
ツヨシは叔母の陰から出てこない。

しんみりと見送り、帰ろうとしたその時、ツヨシが電車の窓から大きく手を振っていた。
嬉しさのあまり、よれよれの身体で電車を追うボギーと、慌てるドックとラガー。

「ころ」「んだ」


転びながらも電車が見えなくなるまで手を振るボギーと、彼を見捨てて立ち去るふたりw

そういえば、この当時シャツの下にTシャツ(おもに白)を着るのが流行ってましたっけ。
今回ボギーとラガーがそんな着こなしをしていますし、私もなんとなくそんな着方をしていた記憶があります。

#540 北の女

2018年12月02日 | 太陽にほえろ!
殺人容疑で手配中の森岡(平泉征)が、警官に職務質問され、思わずその警官を殴って逃げてしまった。
さっそくモンタージュが公開され、それらしい男を見たという通報が一係に入る。

森岡には同郷の雪子(二宮さよ子)という恋人がいることがわかった。
雪子のアパートを訪ね、いっしょにいた森岡を逮捕したラガー(渡辺徹)たち。

しかし、雪子は自分が通報したという。
それなのに森岡を逃がそうとして自分にしがみついてきた彼女の行動に困惑するラガー。

実は雪子には新しい恋人・川辺(角野卓造)がいて、彼との結婚を考えていた。

森岡を護送中に、ボギーの制止も聞かずにそのことを告げ、雪子を諦め立ち直るよう訴えるラガー。
しかし、逆上した森岡は覆面車の中で暴れ、逃走してしまう。

いや、いずれは知らなきゃいけないこととはいえ、今じゃないでしょう。
ラガー、タイミングを見誤りました。

「あいつら、なにやってんだ!」
知らせを聞いて怒るドック(神田正輝)。そりゃそうだ。
でも、底冷えのする寒さの中、雪子の店の前でひとり張り込むラガーの陣中見舞いに来たのもドックでした。

「俺だって奴を目の前にしたら、同じこと言ったかもしれない」
…たぶん、ドックは言わなかったでしょうが、そうやって励まされ
ラガーの表情がやっと少し和らぐ。

「寒いから気をつけてな」
どちらからともなく握手して、ドックは捜査に戻り、ラガーはその場に残ってガードを続ける。

いちいちそんなことするかーと思わなくもないですが、自分が招いた事態に落ち込み、
寒さが身に染みていたラガーは、ほっとぬくもりを感じたんじゃないでしょうか。



ところが、川辺が予定より早く帰京し、ラガーたちのガードの隙をついて森岡に襲われ大けがを負ってしまう。

川辺の入院する病院に森岡から電話があり、雪子はラガーを撒いて会いにゆき、
捕らえようとしたラガーの邪魔をして森岡を逃がしてしまう。

雪子が心から愛しているのは、川辺ではなく森岡だった。
通報したのも、これ以上罪を重ねて森岡が射殺されるのが怖かったから。
そう告白する雪子をラガーは理解できない。


ゲストが適材適所ですばらしいです。
純情で直情的ゆえに罪を重ねてしまう森岡に平泉征さん。
真面目な長距離トラックの運転手で、雪子を大切に思う川辺に角野卓造さん。
そして、二宮さよ子さん。
川辺とのささやかな幸せを夢見つつ、それでも森岡を愛してやまない姿が切ないです。

「ゆき」という小料理屋。雪子のようなおかみさんがいたら、
大勢じゃなくひとりで通いたいですよね。


追いつめられ、猟銃を強奪し、女性をさらって車で逃げた森岡を空き地に追いつめるラガー。
駆けつけたドックが隙を見て女性を救助し、逆上して猛スピードで迫る森岡の車のタイヤを撃つラガー。

勢い余って横転し車は爆発。あっというまに森岡は炎に包まれる。
信じがたい結末。山さんにすがって号泣するラガー。

そこから一転、静かなラストが印象的です。



「森岡は死にました。僕が撃ちました」

殺さないで!と頼まれたのに、森岡を生きて捕らえることができなかったラガー。
射殺したともとられかねない言葉ですが、余計な言い訳はせず、事実だけを告げるラガーに、
雪子はそっとおでんを差し出す。

いつのまにか雪が…。
「東京にも雪が降るんですね」
外を見やる雪子の表情が本当に美しいです。



ラガーが雪子とともに雪を見ているころ、
一係室ではみんなが帰らずにそれぞれの席で想いにふけている。

外の雪に気づいたジプシー。
その視線でボスも窓の外を見る。


「愛のテーマ」が流れるなか、誰も言葉を発することなく、静かに時が流れていく。
たぶんラガーが帰ってくるまでずっと。

このころにしては珍しくしんみりしたラストですが、ラガーにはこうした辛い話が多く、そして意外に似合います。
当時よりも今の方がより心に残る作品でした。

#538 七曲署・1983

2018年11月22日 | 太陽にほえろ!


大病を克服したボス(石原裕次郎)の久々のアクションも見られた、1983年最初のエピソード。
ボスだけでなく一係全員の見せ場があり、また、西山署長を長らく演じられた平田昭彦さんの
「太陽」最後の出演作でもあり、タイトルにふさわしく七曲署総出の作品です。


建設会社の西井部長がホテルの窓から転落死した。
遺書はなかったが、肺がんであることを本人も感づいていたふしがあり、
一応自殺とみられたが、現場検証をした一係の刑事たちは、
他殺の線もあると睨んでいた。

痛ましい遺体を見て、苦い表情のトシさん(地井武男)、ボギー(世良公則)、ラガー(渡辺徹)。
何度も殺人事件を捜査し、遺体には慣れているはずの刑事たちでも、やはり見たくはないでしょうね。
平気な顔じゃないことにほっとします。

一方、ドック(神田正輝)とジプシー(三田村邦彦)は、西井が泊まっていた部屋を捜索。
壁に掛けられたスーツ、封を切られた煙草と、吸い殻のない灰皿、セットされた目覚まし時計…
現場のあらゆるものに注意を払い、死の真相を探る。
刑事っぽい!と改めてちょっと感動しました。

地検の田島検事が七曲署を訪れ、5年前の首都圏再開発の入札の際に、西井のいた建設会社の前川社長と、
政務次官の木村との間に不正があったという告発が西井からあり、その矢先の転落死なので、
真相を突き止めてほしいとの依頼があった。

捜査線上に浮かんだのが、西井の部下の久野(北村総一朗)だった。
ドックとボギーが、久野の写真にひげやカツラ、サングラスを描き加え、ほとんどいたずら描きに
見える写真のおかげで、久野が変装し偽名を使って同じホテルに宿泊していたことを突き止める。

久野をマークしていた山さん(露口茂)は、歩道橋の上で襲われそうになった久野を、
逮捕という形で刺客の手から守った。
拘留期間そして収賄の時効が目前に迫るなか、山さんの取り調べが始まる。



取り調べをしている山さんは、いつ見ても惚れ惚れします。
ちょっと笑っちゃうくらい。

そして、北村総一朗さん。今回もいい仕事されてます。
強気でしらばっくれていたものの、山さんの落としのテクニックの前に、
どんどん不安が大きくなり、焦りと怯えがふくらんでいく様子が秀逸です。

めずらしく外出の多いボスは、自分をつけてきた暴力団員風の男に、
もうすぐ久野が落ちそうだという話をわざと聞かせ、
久野が襲撃されるであろうことを予測し山さんに伝える。

案の定、取調室から休憩で出てきた久野と山さんが襲われた!
共犯者の車で逃げた男を覆面車で追うドックとラガー。
ハンドルを握るドック、ラガーが赤色灯をつけ、ヘッドライトがカパーンと開き、
「七曲署」の看板を背に飛び出していくセリカがカッコいい!

やがて反対から走ってきたジプシー&ボギーコンビの車とで挟み撃ちにし、
鮮やかな逮捕。

ボスは、自ら木村と前川の車の前に立ちふさがり、襲ってきた運転手をパンチ&ガンアクションで倒し、
駆けつけた若手4人…あれ?ジプシーの代わりにトシさんがw、木村たちに手錠をうつ。

三田村さんはスケジュールの都合かと思いきや、裕次郎ファンの地井さんが、ボスのアクションシーンに
立ち合いたくてむりくり変わってもらった…とかだったら和みます。

逮捕したあとになって、山さんから「久野が落ちた」との無線が入る。

「山さんのやり方を、今までもこれからも100%信じてる。それだけの話さ」
そんなボスの言葉に応えた山さん。

一係に戻り、吐かせる自信はあったのかとボスに問われ、うまそうに煙草を吸いながら
「いや自信はなかったですね。ただ、ぜひとも吐かせにゃならんと思っただけです」という山さん。
大人の会話をしていると、ビールやらつまみやらを抱えてみんなが帰ってきた。

ドックからグラスの代わりに瓶ごと渡され、やけに嬉しそうなトシさん。

飲み干すのが早すぎるボギー。

年明けすぐの事件を解決しなごやかな空気の中、
「今の話は内緒だよ」

このふたりがいれば、七曲署も安泰。そんなツーショットです。



#530 検問突破

2018年10月31日 | 太陽にほえろ!


信用金庫の職員・上田が射殺され、前科のある前島という男に容疑がかかった。
前島のアパートに踏み込んだボギー(世良公則)とラガー(渡辺徹)だったが、
あと一歩のところで逃げられてしまう。

前島が上田から現金輸送のスケジュールを聞き出し襲おうとしていることをつかんだ一係だったが、
輸送車はすでに出発していて、刑事たちが行方を掴んだ時には、前島と共犯の西山が一足早く輸送車を
襲い逃げるところだった。

前島に裏切られ、刑事たちに捕らえられた西山の自供で、行員の上田を仲間に引き入れ情報を引き出した後
殺したのは西山で、前島は西山にそそのかされて計画に乗ったものの、強引なやり方に腹を立て、
金を独り占めして逃げたことがわかった。


非常線に引っかからない前島を探し、24時間体制で働く一係の面々。
時計は午前3時半を指している。
「最初にボギーさんが前島を逃がさなければこんなことにはならなかった」と愚痴るラガーに、
「おまえ、それを言うな。あいつだって逃がしたくて逃がしたんじゃないんだから」とたしなめるドック(神田正輝)。
そこに同期メシを食べてきたボギーとジプシー(三田村邦彦)が戻ってくる。


あら?聞こえちゃったかな?
なんとなくぎこちない雰囲気で、交代に出ていくトシさん(地井武男)、ドック、ラガー班。

そんな空気を察したのか、お茶を入れようとしてお湯がないことに気づき、給湯室にいくジプシー。
気配りの人です。

しかし、その間にかかってきた偽のタレコミ電話を受け、ボギーはなにも言わず自分の車で出かけてしまう。
給湯室は遠かったんでしょうか。
ボギー、せめて書置きを。
午前3時半、まともな判断ができない時間帯ではあります。


一方、パトカーを奪って検問を突破しようと刑事を呼び出した前島は、たまたま電話を受けたのがボギーで、
パトカーではなく自分の車で来たもんだから計画が丸つぶれ。
ボギーを殴りつけ(2度目)、拳銃を奪い手錠で拘束する。

みんなからバカにされ続けてきたと世の中への不満を漏らす前島に、自分もその気持ちはわかるというボギー。
最初に前島に殴られ逃がしてしまったとき、みんながダメな奴だと思ってるに違いないと拗ねてました。

そんなボギーだからこそ、前島も心を許したのかもしれない。
この車と警察手帳で検問突破して大好きな海まで連れて行くから、気のすむまで眺めたら自首しろ。
ボギーの言葉に態度を軟化させる前島。

ところが一係では、タクシー会社にも応援を要請してヘイチ号の動きをつかみ、
前島が自首しようとしたまさにそのとき、トシさん、ドック、ジプシー、ラガーの姿が!

信じかけたボギーに裏切られたと思い逆上する前島。
ボギーは、前島に銃を向ける仲間を非難する。

心配してようやく探し当てて駆けつけた仲間にしてみれば理不尽な抗議ですが、
ボギーの気持ちもわかります。

そして前島にもちゃんと伝わりました。
ボギーに向けていた拳銃の引鉄を引くことなく、前島もまたボギーとの男の約束を守ったのでした。


「ボギー、おまえいい男だな。…顔じゃないぞ」

額から流血しているボギーにハンカチを差し出すドック。
あんなに激しく非難していたのに、そういわれてまんざらでもないボギー。好きなシーンです。
そして、このときドックが差し出したハンカチがやけに小さくてツボでした。女物か?


【本日の持ち歌】
ボギーの趣味で、演歌専門のカラオケスナック?に連れてこられ、うんざりしているドックとラガー。

そのわりにボギーが電話を受けているあいだに、けっこう乗り気で曲を選んでましたw

事件が起きなきゃ歌っていたであろう3人。
何を歌うつもりだったんでしょう。聴いてみたかったですね。


#537 赤い憎悪

2018年10月22日 | 太陽にほえろ!
不動産会社に勤めるOLの恵子(島村佳江)が帰宅途中にひき逃げされ重傷を負う。
明らかに恵子の命を狙った犯行とみられたが、犯人も動機も不明だった。

恵子の所持品から、多摩刑務所に服役中の竹内(高橋長英)宛の手紙が見つかる。
多摩刑務所に竹内を訪ねたジプシー(三田村邦彦)は、公判を傍聴した恵子の方から竹内に
文通の申し込みがあり、今では婚約までしていると聞き驚く。

さらに調べが進むなか、実は3年前に竹内がもう一人の男と起こした銀行強盗の際に
射殺した職員の婚約者が恵子だったとわかった。




固い表情を崩さず、真意の読み取れない恵子。
25歳だそうですが、当時の25歳はこんなに落ち着いていたんでしょうか。

ジプシーは、以前自分が逮捕し死刑判決を受けた男が刑を執行されたと聞き、受刑者の父親に会いに行く。
「憎しみというのはときに親子の情よりも強い」
父親の言葉に、恵子が3年前に竹内に殺された婚約者・正之の復讐をするために
竹内に近づいたのではないかと思い至る。

月命日に正之の墓に花を供える人がいることを知ったジプシーが、彼女の婚約者に対する愛情と
犯人たちへの憎しみの深さを知り、自分の推理を恵子に話す場面で「まさゆきさん」を連呼する原昌之さん。
若干複雑な気分だったのではと推察します。

ジプシーの推理通り、恵子は死刑を免れて無期懲役になった竹内に自分を愛させ、その自分をいまだ捕まっていない主犯の男に殺させて
愛するものを失う悲しみを与えようと、時間をかけて計画し実行してきたのだった。

そんなことをしても正之さんは喜ばないと恵子を説得し、釈放を要求して医務室に立てこもった竹内に対して
本当の気持ちを手紙に書くよう促す。

竹内が手紙を読んで真実を知ったころ、恵子は婚約者との思い出の傘を橋の上から川に投げ入れ、復讐にピリオドを打つ。
復讐のために近づいたとはいえ、恵子は竹内が本気で自分を愛していたことをわかっていたし、
竹内も恵子を恨まず許してくれと慟哭する。

恵子を演じた島村さんの抑えた演技が、複雑な心境の変化を繊細に表していて印象的でした。
竹内役の高橋長英さんも、出てくると嬉しい役者さんです。
凶暴性を秘めつつも愛情に目覚めていく男の哀れさを表現していて魅力的でした。


【本日のツーショット】

めずらしい山さんとトシさんの張り込み。主犯は恵子がこれまた復讐のために入社した不動産会社の社長でした。
「さすがだな、トシさん。俺もそう思う」
渋い声でトシさんを称える山さんですが、なにげに自分も上げてないですか?


「ぼやくなぼやくな。捜査があるじゃないか」

前にも同じような場面がありましたが、ほかでも観た気がすると思ったら、一昨年の大河『真田丸』の真田兄弟もこんな感じでした。
兄弟味が増していくこのふたりについては改めて検証したいと思います。


貴重なボスとジプシーのツーショット。短い在籍期間のなかで、他の刑事と比べるとボスとのラストの絡みが少なかったジプシー。
煙草の煙を吹きかけられても、三田村さんにとっても大事なワンシーンになったのではないでしょうか。