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太陽LOG

「太陽にほえろ!」で育ち、卒業してから数十年…大人になった今、改めて向き合う「太陽」と昭和のドラマ

#540 北の女

2018年12月02日 | 太陽にほえろ!
殺人容疑で手配中の森岡(平泉征)が、警官に職務質問され、思わずその警官を殴って逃げてしまった。
さっそくモンタージュが公開され、それらしい男を見たという通報が一係に入る。

森岡には同郷の雪子(二宮さよ子)という恋人がいることがわかった。
雪子のアパートを訪ね、いっしょにいた森岡を逮捕したラガー(渡辺徹)たち。

しかし、雪子は自分が通報したという。
それなのに森岡を逃がそうとして自分にしがみついてきた彼女の行動に困惑するラガー。

実は雪子には新しい恋人・川辺(角野卓造)がいて、彼との結婚を考えていた。

森岡を護送中に、ボギーの制止も聞かずにそのことを告げ、雪子を諦め立ち直るよう訴えるラガー。
しかし、逆上した森岡は覆面車の中で暴れ、逃走してしまう。

いや、いずれは知らなきゃいけないこととはいえ、今じゃないでしょう。
ラガー、タイミングを見誤りました。

「あいつら、なにやってんだ!」
知らせを聞いて怒るドック(神田正輝)。そりゃそうだ。
でも、底冷えのする寒さの中、雪子の店の前でひとり張り込むラガーの陣中見舞いに来たのもドックでした。

「俺だって奴を目の前にしたら、同じこと言ったかもしれない」
…たぶん、ドックは言わなかったでしょうが、そうやって励まされ
ラガーの表情がやっと少し和らぐ。

「寒いから気をつけてな」
どちらからともなく握手して、ドックは捜査に戻り、ラガーはその場に残ってガードを続ける。

いちいちそんなことするかーと思わなくもないですが、自分が招いた事態に落ち込み、
寒さが身に染みていたラガーは、ほっとぬくもりを感じたんじゃないでしょうか。



ところが、川辺が予定より早く帰京し、ラガーたちのガードの隙をついて森岡に襲われ大けがを負ってしまう。

川辺の入院する病院に森岡から電話があり、雪子はラガーを撒いて会いにゆき、
捕らえようとしたラガーの邪魔をして森岡を逃がしてしまう。

雪子が心から愛しているのは、川辺ではなく森岡だった。
通報したのも、これ以上罪を重ねて森岡が射殺されるのが怖かったから。
そう告白する雪子をラガーは理解できない。


ゲストが適材適所ですばらしいです。
純情で直情的ゆえに罪を重ねてしまう森岡に平泉征さん。
真面目な長距離トラックの運転手で、雪子を大切に思う川辺に角野卓造さん。
そして、二宮さよ子さん。
川辺とのささやかな幸せを夢見つつ、それでも森岡を愛してやまない姿が切ないです。

「ゆき」という小料理屋。雪子のようなおかみさんがいたら、
大勢じゃなくひとりで通いたいですよね。


追いつめられ、猟銃を強奪し、女性をさらって車で逃げた森岡を空き地に追いつめるラガー。
駆けつけたドックが隙を見て女性を救助し、逆上して猛スピードで迫る森岡の車のタイヤを撃つラガー。

勢い余って横転し車は爆発。あっというまに森岡は炎に包まれる。
信じがたい結末。山さんにすがって号泣するラガー。

そこから一転、静かなラストが印象的です。



「森岡は死にました。僕が撃ちました」

殺さないで!と頼まれたのに、森岡を生きて捕らえることができなかったラガー。
射殺したともとられかねない言葉ですが、余計な言い訳はせず、事実だけを告げるラガーに、
雪子はそっとおでんを差し出す。

いつのまにか雪が…。
「東京にも雪が降るんですね」
外を見やる雪子の表情が本当に美しいです。



ラガーが雪子とともに雪を見ているころ、
一係室ではみんなが帰らずにそれぞれの席で想いにふけている。

外の雪に気づいたジプシー。
その視線でボスも窓の外を見る。


「愛のテーマ」が流れるなか、誰も言葉を発することなく、静かに時が流れていく。
たぶんラガーが帰ってくるまでずっと。

このころにしては珍しくしんみりしたラストですが、ラガーにはこうした辛い話が多く、そして意外に似合います。
当時よりも今の方がより心に残る作品でした。

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