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『扉は閉ざされたまま』石持浅海

2023年04月30日 19時49分02秒 | ■読書
石持浅海の連作ミステリ作品『扉は閉ざされたまま(英題:THE DOOR IS STILL CLOSED)』を読みました。
刑事コロンボ・シリーズ、福家警部補シリーズに続き、倒叙形式のミステリ作品です… 石持浅海の作品は、10年以上前に読んだ『月の扉』以来なので久し振りですね。

-----story-------------
大学の同窓会で七人の旧友が館に集まった。
“あそこなら完璧な密室をつくることができる…” 伏見亮輔は客室で事故を装って後輩の新山を殺害、外部からは入室できないよう現場を閉ざした。
自殺説も浮上し、犯行は成功したかにみえた。
しかし、碓氷優佳だけは疑問を抱く。
開かない扉を前に、息詰まる頭脳戦が始まった…。
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2005年(平成17年)に刊行された碓氷優佳を探偵役とする碓氷優佳シリーズの第1作です… 石持浅海の「倒叙三部作」の1作目にもあたる作品、、、

2008年(平成20年)に黒木メイサと中村俊介の主演でWOWOWでテレビドラマ化されているようですね。

 ■序章 扉は閉ざされたまま
 ■第一章 同窓会
 ■第二章 談笑
 ■第三章 不審
 ■第四章 対話
 ■終章 扉は開かれた
 ■前夜
 ■解説 語りたい、論じたいミステリ 光原百合

大学時代、軽音楽部に所属していた酒好きの仲間が作った有志「アル中分科会」の同窓会… 成城の高級ペンションに7人の旧友が集まった、、、

「あそこなら完璧な密室をつくることができる―」 当日、伏見亮輔は客室で事故を装って後輩の新山和宏を殺害、外部からは入室できないよう現場を閉ざした… 何かの事故か? 部屋の外で安否を気遣う友人たち。

自殺説さえ浮上し、犯行は計画通り成功したかにみえた… しかし、参加者のひとり碓氷優佳だけは疑問を抱く、、、

緻密な偽装工作の齟齬をひとつひとつ解いていく優佳… 開かない扉を前に、ふたりの息詰まる頭脳戦が始まった……。

2006年版の本格ミステリ大賞で最終候補作に残り、このミステリーがすごい!及び本格ミステリベスト10ではともに第2位に、週刊文春ミステリーベスト10では第5位にランクインした作品だそうですが… その評価通りの面白い作品でした、、、

伏見亮輔が新山和宏を殺害し、彼はある理由から遺体発見を遅らせるために、ごく自然な理由を並べ立て、扉を開けさせまいとすのですが、同宿した仲間のうち碓氷優佳だけが部屋の様子を不審に思い、鋭利な推理で伏見を徐々に追い詰めていく… 二人の息詰まる頭脳戦が繰り広げられる展開が愉しめましたね。

終盤になって明らかになる、殺害の動機や遺体発見を遅らせたかった理由が意外なことも印象的でした… 伏見と優佳は、これからどうなるのかな? 続篇では、その辺りも扱われるのかな? 気になります、、、

碓氷優佳シリーズの続篇、ぜひぜひ読みたいですね。


以下、主な登場人物です。

碓氷 優佳(うすい ゆか)
 アル中分科会に入っていた姉に連れられ、皆とも親しくなった。
 勘が鋭く、状況を俯瞰し、先を読むことに長けている。
 大学院生(博士課程)で、火山学を研究している。
 初めはアイドル的存在だったが、頭脳明晰なことが判明し、対等な友人として扱われるようになった。

伏見 亮輔(ふしみ りょうすけ)
 医療ベンチャー企業に勤めている。
 計画していた新山の殺害を実行し、事故死に見せかける。
 過去には優佳に告白されたこともあり、想い合っていたが、恋人関係には発展しなかった。

大倉 礼子(おおくら れいこ)
 優佳の姉。旧姓・碓氷。
 伏見の一級後輩。
 酒が好きというより、酒肴が好きで、学生時代は皆のリクエストに答えて腕を振るった。

石丸 孝平(いしまる こうへい)
 伏見の二級後輩。
 福岡の大学院へ進み、そのまま研究室の助手になった。
 グループ内では最年少。酒には詳しくないが強い。

安東 章吾(あんどう しょうご)
 伏見の同級生。人の良さそうな丸顔。今回の同窓会の発起人。
 資産家の祖父が遺した成城の一軒家を兄がペンションに改築したが、
 体調不良で休業したため、同窓会の場所として提供した。

上田 五月(うえだ さつき)
 伏見の一級先輩。グループ内では最年長。
 細い顎に細い目、メガネをかけている。
 つくばで研究員として働いている。うわばみ。

新山 和宏(にいやま かずひろ)
 伏見の一級後輩。礼子と同級生。ウイスキーを愛好する。愛煙家。
 故郷・北海道で公務員になった。強度の近視。

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