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じゅうのblog

こちらでボチボチ更新していく予定です。

『ハーリー・クィンの事件簿』 アガサ・クリスティ(著),山田順子(翻訳)

2025年05月31日 20時08分32秒 | ■読書
イギリスの作家アガサ・クリスティの連作ミステリ短篇集『ハーリー・クィンの事件簿(原題:The Mysterious Mr Quin)』を読みました。
アガサ・クリスティの作品は、3月に読了した『復讐の女神』 以来ですね。

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アガサ・クリスティ デビュー100年!
奇妙な人物クィン氏が関わる謎の数々、
著者ならではの人間観察が光る短編集。
名作ミステリ新訳プロジェクト

常に傍観者として、過剰なほどの興味をもって他者の人生を眺めて過ごしてきた小柄な老人サタスウェイト。
そんな彼がとある屋敷のパーティで不穏な気配を感じ取る。
過去に起きた自殺事件、現在の主人夫婦の間に張り詰める見えざる緊張の糸。
その夜屋敷にを訪れた不思議人物ハーリー・クィン氏にヒントをもらったサタスウェイトは、鋭い観察眼でもつれた謎を解きはじめる。
女王クリスティならでは深い人間描写が光る12編を収めた短編集。
解説=杉江松恋
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1930年(昭和5年)に刊行された、ハーリー・クィン(ハーリ・クィン)シリーズの作品……以下の12篇が収録されています。

 ■ミスター・クイン、登場(原題: The Coming of Mr Quin)
 ■ガラスに映る影(原題: The Shadow on the Glass)
 ■鈴と道化服亭にて(原題: At the "Bells and Motley")
 ■空に描かれたしるし(原題: The Sign in the Sky)
 ■クルピエの真情(原題: The Soul of the Croupier)
 ■海から来た男(原題: The Man from the Sea)
 ■闇の中の声(原題: The Voice in the Dark)
 ■ヘレンの顔(原題: The Face of Helen)
 ■死せる道化師(原題: The Dead Harlequin)
 ■翼の折れた鳥(原題: The Bird with the Broken Wing)
 ■世界の果て(原題: The World's End)
 ■ハーリクインの小径(原題: Harlequin's Lane)
 ■解説 杉江松恋

窓に映る幽霊の影が目撃したもの……事件当日にメイドが大空に見た不吉な兆候……カジノのルーレット係の奇怪な振る舞い……1枚の絵が語る自殺の真相──事件の陰にドラマあり、、、

神秘の探偵ハーリー・クィン氏と、人生の観察者サタスウェイト氏の名コンビ登場……幻想と推理を巧みに結合させた、女史の作品中ひときわ異彩を放つ珠玉短篇集。

どこからともなく、サタスウェイト氏の周辺に現れ、謎解きのきっかけとなる人物で、探偵のように事件を解決するわけではなく、ただ示唆するだけの不思議な存在のハーリー・クィン氏……ファンタジーっぽい感覚を味わえる作品でした、、、

後に収録された作品の方がハーリー・クィン氏の幻想的な存在が際立ってくるので……個人的には、本格ミステリ色の強い『ミスター・クイン、登場』、鈴と道化服亭にて』、『空に描かれたしるし』、『ヘレンの顔』等の本格ミステリっぽさの濃い、中盤までの作品が好みですね。
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『死の競歩』 ピーター・ラヴゼイ(著),村社伸(翻訳)

2025年05月30日 22時05分23秒 | ■読書
イギリスの作家ピーター・ラヴゼイの長篇ミステリ作品『死の競歩(原題:Wobble to Death)』を読みました。
ここのところ、イギリスの作家の作品が続いています。

-----story-------------
1879年11月の肌寒い月曜日の午前1時ロンドン郊外イズリントンの農業ホールで”ウォッブルズ”が開始された。
”ウォッブルズ”は”気の向くままに行く”とも呼ばれる19世紀末ヴィクトリア朝に流行した徒歩競技で、その過酷さはやはり当時盛んだったナックルファイティング(素手の拳闘)以上といわれた。
競技は昼夜をわかたず6日間にわたって続けられ、その間最長距離を走破したものに賞金の500ポンドが与えられることになっていた。
レースの参加者は、プロの選手とは見えない貧弱な体の”謎の男”を含めて16人、興味の焦点は軍人で紳士然とした選手権保持者のチャドウィック大尉とスタイルを無視した力強い走法で数々の競技に勝ち抜いてきた下層庶民のダレルの対決だった。

初日月曜日、レースは早くも白熱していた。
ダレルが猛然たる勢いでスパートし、はじめて動揺の色を見せたチャドウィックがこれまたすさまじいスピードでライバルに追いすがり、猛烈な競り合いが演じられたのだ。
そして2日目、3時間の睡眠後再び二人の対決が開始され、競技はますます興味を増すかに見えたが、そのとき気違いじみたスピードで飛ばしていたダレルが突然死亡するという事故─殺人事件が生じたのだ!

ヴィクトリア朝イギリスの驚くべき再現に本格ミステリの醍醐味を甦らせた処女犯罪小説賞受賞作品!
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1970年(昭和45年)に刊行されたピーター・ラヴゼイのデビュー作……クリッブ巡査部長シリーズの第1作です、、、

小口と天・地が黄色に染めてある、懐かしく、心ときめく装丁のハヤカワポケミス(ハヤカワ・ミステリ、HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOK)版で読みました。

19世紀末のヴィクトリア朝時代のスコットランド・ヤードが舞台の歴史ミステリです……当時、実際に行われていた6日間でどれだけの距離を走れるかを競う競技、、、

いつ眠ろうが休憩をとろうが歩こうが自由で、走破した距離で勝負が決まるという、人体の限界に挑む過酷な競技中に優勝候補だったチャールズ・ダレルが毒殺され、次にチャールズのトレーナーであるサム・モンクが殺される……犯人は競技のライバル関係者なのか!? 競技会場の農業ホール内を舞台にした事件のため、容疑者が限られる中、スコットランド・ヤードのクリッブ部長刑事とエドワード・サッカレイ巡査が捜査を進めるという展開。

犯人は意外な人物でしたが……犯人捜しよりも、現在では考えれない過酷な競技の行方の方が気になる物語でしたね。
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『ピープル・アンド・シングス』 ジャックス・マネキン

2025年05月27日 22時41分27秒 | ■音楽
サムシング・コーポレイトのリード・ヴォーカリスト兼ピアニスト・アンドリュー・マクマホンが率いるジャックス・マネキンの3rdアルバム『ピープル・アンド・シングス(原題:People and Things)』を聴いています……2011年(平成23年)に発売された作品です、、、

甘美でメロディアスな楽曲が魅力のアルバムです……中古の割引セールで250円だったので、ついつい買っちゃったんですよね。

オープニングトラックの"MY RACING THOUGHTS"から作品の魅力に引き込まれ……熱く響く鍵盤と歌が珠玉のメロディーを紡ぐアンドリュー・マクマホンらしさが溢れ出ている佳曲を堪能しています、、、

何度でも繰り返して飽きずに聴けますね……ジャックス・マネキンとしては、本作品が最後のスタジオアルバムのようで、その後は、ライヴ・アルバムが1枚だけリリースされているようですので、ぜひ、聴いてみたいですね。

ネットで検索してみると、ジャックス・マネキンとして今年(2025年)2月にツアーで来日して東京と大阪でライヴをしているようなので、時々、活動しているのかな、、、

アンドリュー・マクマホン・イン・ザ・ウィルダネスという名前で活動しているようなので……こちらも聴いてみたい!

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1.MY RACING THOUGHTS
2.RELEASE ME
3.TELEVISION
4.AMY,I
5.HEY HEY HEY(WE'RE ALL GONNA DIE
6.PEOPLE,RUNNING
7.AMELIA JEAN
8.PLATFORM FIRE
9.HOSTAGE
10.RESTLESS DREAM
11.CASTING LINES
12.10 DAYS GONE(* BONUS TRACK)
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『ジェゼベルの死』 クリスチアナ・ブランド(著),恩地三保子(翻訳)

2025年05月25日 22時10分52秒 | ■読書
イギリスの作家クリスチアナ・ブランドの長篇ミステリ作品『ジェゼベルの死(原題:Death of Jezebel)』を読みました。
ここのところ、イギリスの作家の作品が続いています。

-----story-------------
<おまえは殺されるのだ>素人演劇の公演を前に、三人の出演者に不気味な死の予告状が届く。
これは単なる嫌がらせか。
やがて舞台をライトが照らし出し、塔のバルコニーに出演者の一人、豊満な肉体を誇る悪女ジェゼベルが進み出る。
その体が前にのめり、異常なほどゆっくりと落下した。
演者の騎士たちが見守る"密室状態"の中で……現場にいたコックリル警部は謎を解けるのか?
本格推理の限界を突破する圧巻のミステリ。

解説 「パズラーの限界(リミット)に挑戦」 山口雅也
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1949年(昭和24年)に刊行されたクリスチアナ・ブランドの代表作……『東西ミステリーベスト100』では海外篇の24位にランクインしており、ケント州警察の”鬼”と呼ばれる名警部・コックリル警部と、スコットランドヤードのチャールズワース警部が共演している作品です。

帰還軍人のためのモデル・ハウス展がいま、アトラクション劇の幕を賑やかに開けた……居並ぶ華やかな馬上の騎士に拍手がわく、、、

期待と興奮のうちに見守る観客の中には気遣わしげなコックリル警部の顔も見えた……公演を前にした三人の出演者に不気味な死の予告状が届いていたのだ。

単なる嫌がらせであってくれればいいが……やがてライトを浴びた塔のバルコニーに、出演者のひとり、悪評高いジェゼベルが進み出た、、、

そして、その体が前にのめり、落下した……! 女流本格派ブランドの最高作。 結末のどんでん返しの連続はまさに本格推理の圧巻!

7年前に青年将校のジョニイ・ワイズが自殺したことの原因となった男女……パーペチュア・カークとアール・アンダーソン、そしてジェゼベル・ドルーの3人に殺人予告が届き、衆人環視のなか、ページェント劇の最中に密室状態の塔で悪女ジェゼベルが殺される……事件直後に劇場から姿を消したと思われていた役者のアールが首を落とされた死体で発見され、ジェゼベルよりも先に殺されていたことが判明する、、、

容疑者たちは誰もが2件の殺害を実行できないという不可能犯罪……そして、当初を容疑を否定していた容疑者全員が自白し始めるという複雑怪奇な展開。

さらには殺害予告が届いていたパーペチュアに容疑が向けられ……と、物語は二転三転! そんな難事件を意外な真相を“ケントの恐怖”の異名をとるコックリル警部が鮮やかに解決します、、、

どんでん返しに次ぐどんでん返しの展開が愉しめましたねー 誤った推理を連発するスコットランドヤードのチャールズワース警部の存在も印象的でした……巧妙な伏線、謎とトリックが愉しめる名作ですね。

以下、主な登場人物です。

イゼベル(ジェゼベル)・ドルー
 男に寄生して暮らす中年女

ジョニイ・ワイズ
 自殺した青年将校

パーペチュア(ペピイ)・カーク
 ジョニイの昔の恋人

ジョージ・エクスマウス
 パーペチュアに恋している少年

チャリティ・エクスマウス
 ジョージの母

アール・アンダーソン
 役者

エドガー・ポート
 旧英領マレー官吏

ブライアン・ブライアン
 スマトラ帰りの男

スーザン・ベッチレイ
 マレー帰りの女

チャールズワース
 スコットランドヤードの捜査課警部

コックリル(コッキー)
 ケント州警察の警部
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『エリザベス女王の事件簿 ウィンザー城の殺人』 S・J・ベネット(著),芹澤恵(翻訳)

2025年05月24日 20時39分48秒 | ■読書
イギリスの作家S・J・ベネットの長篇ミステリ作品『エリザベス女王の事件簿 ウィンザー城の殺人(原題:The Windsor knot)』を読みました。
ここのところ、イギリスの作家の作品が続いています。

-----story-------------
【追悼、エリザベス女王】
容疑者は50名!90歳の英国女王、奇怪なピアニスト殺人事件に挑む!
英国で10万部突破、18カ国で翻訳

ウィンザー城で若い男の遺体がクロゼットから発見される。
晩餐会に呼ばれたロシア人ピアニストで、遺体はあられもない姿だった。
事件について城では箝口令が敷かれ、警察とMI5はロシアのスパイによるものと見なし捜査するが、容疑者が50名もいて難航する。
でも大丈夫。城には秘密の名探偵がいるのだ。
その名もエリザベス2世。御年90歳。
世界最高齢の女王が華麗に事件を解決する!英国で10万部突破、18カ国で翻訳。
解説・大矢博子
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2020年(令和2年)に刊行された作品……エリザベス女王の事件簿シリーズの第1作です。

 ■第1部 Honi soit qui mal y pense
 ■第2部 ラスト・ダンス
 ■第3部 一帯一路(ベルト・アンド・ロード)
 ■第4部 束の間の遭遇
 ■謝辞
 ■解説 大矢博子

ウィンザー城で宿泊晩餐会が行われた翌日の朝、エリザベス女王は残念な報せを告げられる……前夜の集まりにピアノを演奏するために招かれたロシア出身の音楽家マクシム・ブロツキーが遺体で発見されたというのだ、、、

死についての第2報は、さらに忌まわしい情報を含んでいた……それは殺人事件だったのである。

クロゼットの中から発見された遺体は、全裸にドレッシングガウンという身なりで縊死していた……その恰好は快楽を求めて自ら窒息状態になり、誤って事故死してしまったようにも見えるが、体重がかかったことで締まるはずの紐の結び目は緩いままで、何者かが彼を絞め殺した後で、そのような偽装を施したのだ、、、

結び目には女性のものと思われる長い毛髪が1本挟まっていた……ウィンザー城で殺人事件が起きたというだけでも耐え難いのに、さらに女王を悩ませる出来事が続く。

事件の捜査に当たった保安局(MI5)長官のギャヴィン・ハンフリーズが愚かしいことを言い出したのである……犯人は、ウィンザー城の使用人だというのだ、、、

亡くなったマクシム・ブロツキーは、ロシアの現行政権に対する批判をたびたび行っていたことから、それを苦々しく思ったウラジーミル・プーチンがウィンザー城に潜入させたスパイ、すなわちスリーパーに彼を殺害させたというのである……そしてウラジーミル・プーチンほどの策略家が、他国の王宮内で暗殺の手を下すというような愚行を犯すだろうか? MI5頼むに足りずと考えた女王は、若き秘書官補のロージー・オショーディの手を借りて、事件の捜査を開始する。

架空の人物ではなく、イギリスの女王として知らない人のいない、あのエリザベス女王が主人公として活躍し、殺人事件の舞台がウィンザー城というミステリ……温厚で賢く、機知に富んだエリザベス女王と、その王室生活が魅力的に描かれた作品でした、、、

お国柄の違いとはいえ、日本で現役の皇族を主役にしたミステリって想像できないですよねー ロシアのプーチン大統領やアメリカのオバマ大統領、日本の安倍首相まで実名で登場するという大胆で印象に残る作品でした。

エリザベス女王本人が表立って捜査をすることはできないので、若き秘書官補のロージー・オショーディの手を借りて、事件の捜査を進める展開……頭脳役の老婦人探偵と、手足となって働く若い女性という組み合わせはミス・マープルっぽい展開でしたね、、、

ミステリとしてはまずまずだったかな……次作も翻訳されているようですが、読むかどうかは微妙ですね。
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ブルボンの『プレッツェルショコラ』

2025年05月22日 19時26分12秒 | ■飲食
職場で甘いモノが欲しくなったときのチョコレート菓子……たまにはビスケット系が欲しくなるのでブルボンの『プレッツェルショコラ』を購入、、、

カリッとした堅焼きのプレッツェルにチョコレートをコーティングした、甘じょっぱい感じが良いですね……食べ始めると止まらなくなりますねー 小袋にしておいて良かった。
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ロッテの『コアラのマーチ<全粒粉in旨ビス>』

2025年05月21日 19時21分35秒 | ■飲食
職場で甘いモノが欲しくなったときのチョコレート菓子……たまにはビスケット系が欲しくなるのでロッテの『コアラのマーチ<全粒粉in旨ビス>』を購入、、、

定番ですよねー 奥深い味わいのビスケット生地に、ほど良い甘さのチョコレートがたまりません……ひと口だけのつもりでも、止まらなくなって次々と食べてしまいます。
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明治の『ハイミルク』

2025年05月20日 19時14分47秒 | ■飲食
職場で甘いモノが欲しくなったときのためチョコレート……ロッテ製品を選択することが多いのですが、今回はミルク本来の香りとコクにこだわった明治の『ハイミルク』を購入、、、

甘ったる過ぎず、安定感のある味かな……たまには違う種類も良いですね。
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『放たれた虎』 ミック・ヘロン(著),田村義進(翻訳)

2025年05月19日 21時52分43秒 | ■読書
イギリスの作家ミック・ヘロンのスパイ小説『放たれた虎(原題:Real Tigers)』を読みました。
ミック・ヘロンの作品は、5年前に読了した『死んだライオン』以来なので久し振りですね。

-----story-------------
〈窓際のスパイ〉シリーズ最新刊
英国情報部の落ちこぼれスパイたち、通称〈遅い馬〉のひとりで、ボスのジャクソン・ラムの片腕の秘書キャサリンが、何者かに拉致された。
犯人の脅迫を受けたカートライトは彼女の身の安全と引き換えに、本部へ侵入して厳重に保管された情報を盗み出すことを引き受けるが……仲間の危機、そして〈泥沼の家〉の存亡をかけて、ラムが重い腰を上げ、〈遅い馬〉たちの奮闘がはじまる!
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2016年(平成28年)に刊行された、英国情報部の落ちこぼれスパイたち(通称〈遅い馬〉)の活躍を描く、〈泥沼の家〉シリーズとか、〈窓際のスパイ〉シリーズと呼ばれているシリーズの第3作です。

英国の落ちこぼれスパイたちの吹きだまり〈泥沼の家〉では、今日もボスのジャクソン・ラムのもと〈遅い馬〉たちが退屈な業務に向かっていた……ところが、そのひとりでラムの秘書のキャサリン・スタンディッシュが、何者かに拉致された! 犯人から指示を受けた〈遅い馬〉のリヴァー・カートライトは、彼女の身の安全と引き換えに、本部に厳重に保管された情報を盗み出すことになるが、、、

〈泥沼の家〉の存亡をかけて、落第スパイたちの奮闘がはじまる! 『窓際のスパイ』、『死んだライオン』に続く、待望のシリーズ第3弾!

〈泥沼の家〉のメンバーで、ボスのジャクソン・ラムの秘書キャサリン・スタンディッシュが誘拐された……仲間の危機に落ちこぼれスパイたちの奮闘がはじまるが、事態は制御不能に、、、

個性豊かな〈窓際のスパイ〉の面々のハチャメチャな活躍が愉しめる、ハラハラドキドキの展開……痛快なスパイ小説でした。

特にボスのラムは凄いですよねー 役立たずと思われる部下たちを巧く使って(利用して)陰謀を解決するだけでなく、陰謀の背後にある権力闘争を見抜き、保安局(MI5)のトップや幹部層に貸しを作っちゃうんですからね……面白かったです。
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『窓辺の老人―キャンピオン氏の事件簿〈1〉』 マージェリー・アリンガム(著),猪俣美江子(翻訳)

2025年05月18日 21時21分48秒 | ■読書
イギリスの作家マージェリー・アリンガムの短篇ミステリ作品集『窓辺の老人―キャンピオン氏の事件簿〈1〉(原題:The Case of the Old Man in the Window and Other Stories)』を読みました。
マージェリー・アリンガムの作品は昨年9月に読了した『幽霊の死』以来ですね。

-----story-------------
クリスティらと並び、英国四大女流ミステリ作家と称されるアリンガム。
その巨匠が生んだ名探偵キャンピオン氏の魅力を存分に味わえる、粒ぞろいの短編集。
袋小路で起きた不可解な事件の謎を解く「ボーダーライン事件」や、20年間毎日7時間半も社交クラブの窓辺にすわり続けているという伝説をもつ老人をめぐる、素っ頓狂な事件を描く表題作など計7編のほか、著者エッセイを併録。

*第7位『2015本格ミステリ・ベスト10』海外ランキング
解説/戸川安宣
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日本独自に編集されたアルバート・キャンピオン・シリーズの短篇集の第1作……1930年代に発表された初期の作品7篇とエッセイ『我が友、キャンピオン氏』が収録されています。

 ■ボーダーライン事件(原題:The Border-Line Case)
 ■窓辺の老人(原題:The Case of the Old Man in the Window)
 ■懐かしの我が家(原題:The Case of the Pro and the Con)
 ■怪盗“疑問符”(原題:The Case of the Question Mark)
 ■未亡人(原題:The Case of the Widow)
 ■行動の意味(原題:The Meaning of the Act)
 ■犬の日(原題:The Dog Day)
 ■我が友、キャンピオン氏(原題:My Friend Mr. Campion)
 ■解説 アルバート・キャンピオンと生みの親アリンガム 戸川安宣

名探偵キャンピオン氏の魅力を存分に味わえる、粒ぞろいの短編集……袋小路で起きた不可解な事件の謎を解く『ボーダーライン事件』や、20年間毎日7時間半も社交クラブの窓辺にすわり続けているという伝説をもつ老人をめぐる、素っ頓狂な事件を描く表題作など計7篇のほか、著者エッセイ『我が友、キャンピオン氏』を併録。

面白かったですねー この時代の作品の持つ独特の雰囲気、古き良き英国ミステリの雰囲気は大好きです……そんな中でも印象に残ったのは、、、

暑い夏の日、ロンドンの袋小路で男が倒れ、近くを巡邏していた警官は熱中症で倒れたのだと思い込んでいたのだが、なんと男はあり得ない角度から背中を撃たれて死んでいた……終幕の切れが良く、真相が印象的で短篇ミステリのお手本的な『ボーダーライン事件』、

キャンピオンが所属するクラブの名物会員で、道路に面した出窓の席にいつでも腰をおろしているサー・ローズマリーが、ある日姿を見せず騒ぎとなる……短篇ミステリの発端の謎として魅力的な『窓辺の老人』、

モンテ・カルロの町を歩いていたキャンピオンは、旧知の未亡人の料理人と出会い、未亡人とその使用人全員がモンテ・カルロで休暇を愉しんでおり、サフォーク州にある古くて傷んでいる屋敷を高額で他人に貸しているという信じ難い話を聞く……キャンピオンが、その裏に潜む企みを暴く『懐かしの我が家』、

キャンピオンは美人だが軽はずみなところがある女友達から、事情で婚約者のサー・マシューを素人探偵に尾行させていたところ、その探偵から「サー・マシューは、このところ世間を騒がせている高価な銀器ばかりを狙う夜盗・疑問符(クエスチョン・マーク)だ」との報告を受ける……キャンピオンが、猫背になって走る姿がクエスチョン・マークのようだという夜盗の正体を暴く『怪盗“疑問符”』、

キャンピオンは旧知のワイン商から頼まれてパピュラス氏なる人物が開催するブランディの実験(蒸留酒の熟成を進める機械の発明)に立ち会うことになり、ロンドンでも有数のワイン商たちとともに冬の海辺の寂しい宿に集まるが……驚くべき科学技術が発見されたという発表を巡るドタバタ劇を描いた『未亡人』、

の5篇かな……アルバート・キャンピオン・シリーズの短篇集は、第3作まで刊行されているので、ぜひ読んでみたいですね。
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