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『白砂』 鏑木蓮

2024年07月30日 22時21分47秒 | ■読書
鏑木蓮の長篇ミステリ作品『白砂(はくしゃ)』を読みました。
鏑木蓮の作品は昨年の5月に読んだ『思い出探偵』以来ですね。

-----story-------------
予備校生、高村小夜が一人暮らしのアパートで殺害された。
出入りが目撃された中年男性が捜査線上に浮かぶ。
心の動きに捜査の主眼を置く下谷署の目黒は、小夜を知るにつれ、援助交際の線を捨てて事件に迫った。
小夜が歌に詠んだ故郷、京都府の山村で目黒が掴んだ事実とは。
哀しい真相が隠された、切なさ溢れるミステリー。
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2010年(平成22年)に刊行された作品です。

苦労して働きながら予備校に通う、20歳の高村小夜が自宅アパートで殺害された……中年男性の目撃情報と大金が入金されていることから、援助交際との関わりが捜査線上に浮かぶ、、、

「こんなにつましい暮らしぶりで真面目な彼女がなぜ?」違和感を抱いた下谷署の刑事・目黒一馬は別の角度から捜査を開始する……小夜の両親はすでに亡く、なぜか祖母は頑なに遺骨を受け取らない。

鍵は小夜の故郷にあると見た目黒の執念が、運命に翻弄された女たちの人生を浮き彫りにしていく……最後にたどり着いた、死の裏にある驚愕の真実とは、、、

切なさあふれるミステリー。

働きながら大学入学を目指す20歳の高村小夜が殺害された事件を中心にしつつ、そこに建設会社社長・吉崎の交通事故死に纏わるエピソードが絡められ、ふたつのエピソードが交叉するあたりで表層的な犯罪の動機と犯人は特定できるのですが……逮捕された人物は黙秘、、、

その後、目黒刑事は、犯人の人格形成に影響を与えた特殊な環境下にあった宮崎の山村での生活や出来事を浮き彫りにして、犯人の心理に踏み込み犯行動機に迫る……執念の捜査が印象的でしたね。

社会派ミステリっぽい雰囲気を纏った作品でしたねー 目黒刑事の人柄も良く、感情移入しやすかったですね……それにしても、高村小夜の運命は哀しすぎますね、、、

好みの作風でした……目黒刑事と山名刑事のコンビもイイ感じなので、シリーズ化してたら次も読んでみたいな と思いました。

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