じゅうのblog

こちらでボチボチ更新していく予定です。

『湖底のまつり』 泡坂妻夫

2021年05月28日 22時09分00秒 | ■読書
「泡坂妻夫」の長篇ミステリ小説『湖底のまつり(仏題?:La Fete Du Seraphin)』を読みました。


ここのところ国内ミステリ作品が続いています… 「泡坂妻夫」の作品は、夢裡庵先生捕物帳以来なので、1年ちょっと振りですね。

-----story-------------
「綾辻行人氏」推薦──「最高のミステリ作家が命を削って書き上げた最高の作品」

傷ついた心を癒す旅に出た「香島紀子」は、山間の村で急に増水した川に流されてしまう。
ロープを投げ、救いあげてくれた「埴田晃二」とその夜結ばれるが、翌朝「晃二」の姿は消えていた。
村祭で賑わう神社に赴いた「紀子」は、「晃二」がひと月前に殺されたと教えられ愕然とする。
では、私を愛してくれたあの人は誰なの……。
読者に強烈な眩暈感を与えずにはおかない、「泡坂妻夫」の華麗な騙し絵の世界。
解説=「綾辻行人」
-----------------------

『幻影城』の1978年(昭和53年)6・7月合併号から10月号にかけて連載された作品です。

 ■一章 紀子
 ■二章 晃二
 ■三章 粧子
 ■四章 緋紗江
 ■終章
 ■解説 晃二


渓流の平らな岩に座り、「紀子」は足を伸ばした… その時、突然、彼女は川が大きくふくらむのを感じ、次の瞬間には濁流に呑み込まれていた、、、

傷心を癒すため旅に出た「香島紀子」は、旅先の峡谷で増水に遭い、危ういところを「埴田晃二」と名乗る若者に助けられた… その夜、彼女は村はずれのあばら家で、男と一夜を共にした。

だが翌朝、なぜか男が消えている… 探しに出た彼女は、村祭で賑わう神社で村人に尋ねると、男がひと月前に毒殺されていたと聞いて愕然とする! では彼女を助け、「晃二」と名乗った人物は誰なのか?


「香島紀子」「埴田晃二」の出会い、「藤舎緋紗江」「埴田晃二」の出会い… 似通ったシチュエーションでありながら、微妙にズレを感じつつ、そこに「荻粧子」「埴田晃二」の出会いにより物語は新たな展開を見せ、そして、「藤舎緋紗江」「荻粧子」の関係が明らかになるに連れて、徐々に真実が明らかになるという展開、、、

微妙な時間のズレや同一人物を異なる人物とミスリードさせる巧みな叙述トリック、そこに妖艶さが加わり、最初から最後まで集中力が途切れることなく読めましたね… 愉しめました。


以下、主な登場人物です。

「香島 紀子(かしま のりこ)」
 会社を辞めて千字村を訪れた女性。

「埴田 晃二(はにだ こうじ)」
 千字村出身の若者。自動車好きで東京でガソリンスタンドの修理工として働いていた。あだ名は「パンサー」。

「藤舎 緋紗江(とうしゃ ひさえ)」
 大学を卒業したばかりのダム工事の測量士補。

「金海 芳男(かなみ よしお)」
 晃二の友人。

「パーゾウ」
 千字村の住人。乞食。本名不明。

「深沢 源吉(ふかざわ げんきち)」
 千字村の住人。ダム反対運動の指導者。

「荻 粧子(おぎ しょうこ)」
 千字荘の投宿者。大学2年生。演劇部所属。

「館崎(たてざき)」
 所轄署の刑事。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『鬼平犯科帳スペシャル 「... | トップ | 緊急事態宣言延長決定… 『ス... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

■読書」カテゴリの最新記事