醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより  779号  白井一道

2018-07-02 14:27:57 | 随筆・小説



   グラスの話


侘輔 ノミちゃん、盃で酒の味が変わるのを経験したことがあるかい。
呑助 そんなことって、あるんですか。
侘助 あるみたいだよ。ワインはグラスで味が変わるって言うでしょ。
呑助 そういえば、そんな話を聞いたことがありますね。
侘助 リーデルグラスでワインを飲むと味が変わるという話を聞いたことがあるでしょ。
呑助 リーデルグラスって、言うんですか。白ワインと赤ワインではグラスが違うと言うことですよね。
侘助 うん。そういうことらしい。
呑助 赤ワインと白ワインではグラスがどう違っているんですか。
侘助 赤ワインは白ワインに比べて渋いでしょ。そうではない場合もあるかもしれないけれど、普通は赤の方が渋くて酸味があるじゃない。
呑助 そうですね。確かに赤は白に比べて渋いですね。赤の方が酸味の強いワインが多いようには思いますね。
侘助 そうでしよ。そのお酒の特徴というか、個性によってグラスを分けて
 作っているグラス会社がリーデル社なんだ。
呑助 リーデル社というのはもちろんフランスの会社なんですよね。
侘助 フランスの会社のようだ。ワインの風味は、ブドウ品種の個性的な果実の味、酸味、タンニン、アルコールのバランスによって決まるらしい。
呑助 日本酒の場合はどうなんですかね。
侘助 日本酒の場合は米の精米歩合、水、硬水か、軟水か、酵母、造りの違いによって味が違ってくるようだ。
呑助 赤と白のワインではグラスの違いによって味がどう違ってくるんですかね。
侘助 渋くて酸味が強い赤の場合は細いグラスで飲むと美味しく飲めると言われている。白の場合はやや口が広めのグラスがいいようだよ。
呑助 赤ワインはどうして細いグラスのほうが美味しく飲めるんでしょうね。
侘助 細いグラスでワインを飲むと頭をやや後ろに傾け口をすぼめて飲むようになるから少しづつ飲む。だから渋さや酸味を強く感じることが無いみたいなんだ。だから赤ワインを美味しく飲めると言われているようだよ。
呑助 白ワインはグラスの口が広がったグラスで飲んだ方が美味しいということになるんですか。
侘助 そのようだよ。口の広がったグラスだと細いグラスに比べてより多くのワインが口に入ってくるからね。白は赤に比べて酸味や渋みが柔らかだから一気に口の中にたくさんのワインが入ってきても美味しく飲めるという訳なんだ。
呑助 なるほどね。アブサンのようなアルコール度の高い蒸留酒は少しづつしか飲めないというのと同じことですか。
侘助 そうだよ。個性の強い酒は少しづつ、穏やかなお酒は少し量を多く飲めるということだと思う。
呑助 日本酒はワインやビールに比べてアルコール度数が高いからお猪口は小さかったということですか。
侘助 そうなんじゃないかなと思うね。ついこの間、青森の「田酒」の蔵のグラスを貰ったんだ。このグラスが軽快な白ワイン用のグラスに似て、日本酒を飲むと旨いんだ。

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