醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより   1502号   白井一道

2020-08-27 12:04:00 | 随筆・小説



  政治は選挙だ



侘助 立憲民主党の大串博志議員が「政治は選挙だ」とデモクラシータイムスの番組の中で発言していた。「政治は選挙だ」という言葉は何を言っているのかな。
呑助 「猿は木から落ちても猿だが、代議士は選挙 に落ちればただの人だ」と昔、言った自民党政治家がいましたね。
侘助 大野伴睦かな。典型的な党人政治家として名をなした人だった。「伴ちゃん」が愛称で、「政治は義理と人情だ」とも言った有名な政治家だった。
呑助 政治体制が五十五年体制と言われた頃の自民党には党人派と言われた政治家と官僚派と言われた政治家がいましたね。大野伴睦は代表的な党人政治家だったように思いますね。
侘助 党人政治家の代表と言えば、田中角栄だろうか。庶民宰相と言われていたように、昔の自民党政治家というと大人の風格があったように思うね。
呑助 庶民の要求を体現するような政治家が今はいなくなってしまったように思いますね。埼玉を代表する庶民政治家と言うと荒船清十郎がいましたね。圧倒的な人気がありましたよ。演説会場に行くと住民の熱気が感じられました。演説に飽きることがありませんでしたね。面白かったですね。
侘助 深谷駅問題が印象に残っているな。1966年(昭和41年)のことだ。第1次佐藤内閣の第2次改造内閣の運輸相に荒船清十郎は抜擢され、10月1日からの国鉄ダイヤ改正に際して、自分の選挙区にあった深谷駅に急行を停車させるよう圧力を加えた。この問題が表面化した9月、荒舩は自宅で新聞記者に「私のいうことを国鉄が一つぐらい聞いてくれても、いいじゃあないか」と発言した。同じ9月参議院運輸委員会でこの問題が取り上げられ、石田礼助国鉄総裁は「いままでいろいろ御希望があったのだが、それを拒絶した手前、一つくらいはよかろうということで、これは私は心底から言えば武士の情けというかね」と答弁した。庶民のわがままを通した。だから庶民の人気を博した。
呑助 問題だとは思っても許しちゃうようなキャメッケがあったということですか。
侘助 荒船清十郎のような政治家の存在を許す有権者がいた。こうした有権者が荒船清十郎という政治家を創りあげた。選挙には圧倒的な強さがあった。
呑助 安倍晋三氏も荒船清十郎と同じような事をしているように思いますが、荒船清十郎は許せても、安倍晋三氏は許せない。そんな気持ちが日本国民にはあるように思いますね。
侘助 国有地を破格の値段で売却しようとした森友学園問題にしても、加計学園を優遇するような学科の増設を許した問題、「桜を見る会」に自分の後援会会員を公費で招いた問題、すべて許せない。これが国民の気持ちのように思う。
呑助 シャーシャーとしている顔が許せない。そんな気持ちに庶民はなるのじゃないですかね。俺たちは毎日毎日厳しく、厳しく働かせられているのに、何だという気持ちですよ。
侘助 田中角栄の一番弟子を任じている小沢一郎氏が言っているように今度の衆議院選挙で自民党は大きな敗北を喫し、政権交代が起きるのもしれませんよ。
呑助 そうですかね。今は昔の自民党政権の中枢にいた小沢一郎氏がそう言うのだったら、もしかしたら自民党は政権を失うのかもしれませんね。政治は選挙によって決まるということですか。
侘助 そう、結局は国民がその国の政治の在り方を決定している。国民の支持を失った政党は政権を失う。基本的にはそうであっても現実には選挙に参加する有権者が少ないため、低投票率、小選挙区制のため、自民党が相対的に有利になることがある。そのため自民党の政権が続くことがあるかもしれないが、国民の政治への興味関心が高まり、投票率が高まると必然的に自民党は議席を失うことがあるように思う。
呑助 自民党は国民の政治への興味関心が高まるのが恐ろしいということになりますね。
侘助 自民党は政権を民主党に奪われたときを反省し、メディアが自民党政権を厳しく見ることを止めさせるような措置を取っているようだ。
呑助 そのせいでしょうかね。特にテレビでは政治的中正な報道が求められているようですね。
侘助 「桜を見る会」に安倍後援会会員を招待している事実を報道することに政治的中正など無いよ。

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