醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより 132号  聖海

2015-03-26 11:24:08 | 随筆・小説

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 新聞購読を止めて4・5年になる。新聞を読みたいと思わない。朝日新聞を40年間購読してきた。定年退職後、消費税増税を巡って国会論戦が行われていたころ、朝日新聞に電話した。消費税増税やむなしという朝日新聞の論調に嫌気がさし、電話したのだ。電話に出た読者係の職員は私と同じような定年退職後、再雇用されたような感じの年配の男の人だった。
「最近の朝日新聞は政府の広報誌のような記事ばかりですね」
「消費税増税なしにどうして社会保障費を賄うことができるのですか」
 朝日新聞読者係の職員は私に対して消費税増税必要論を説得する。この話を聞いて私は朝日新聞購読をやめる決心をした。早速、私は近所の新聞販売店に行き、新聞購読を止める旨、新聞販売店経営者に告げた。
「担当者は誰ですか」と新聞販売店経営者は私に問うた。
「知りません」
「誰が回っていますか」
「わかりません。私は40年間、契約することなく購読を続けてきました。手ぬぐいや、野球、落語などの見物無料券を一度も貰ったことがありません」
 新聞販売店経営者は慌てふためき、私の所番地、名前を確認すると近所の温泉無料入浴券を五枚くれた。後日、新聞販売店経営者は私の自宅を訪ね、今度は「読売さんですか、それとも毎日さんですか」と問うた。私はどこの新聞も購読するのを止めるのですと、答えた。「また、どうして新聞購読をお止めになるのですか」。「つまらない記事ばかりで読まなくてもいいかなと、思ったからですよ」
 新聞販売店経営者は怪訝な顔をしていた。朝日新聞社は新聞販売店経営者を集めて記事内容についての読者の反応などを聞く会を催すことはないのですかと、問うと、そのようなことは何もないという返事だった。この話を聞き、私は新聞社の驕りのようなものを感じた。
 2014年の後半、朝日新聞は他の新聞社を中心にメディアから従軍慰安婦問題や原発問題を巡って厳しく批判された。きっと購読者は減ったのではないかと思っていた。インターネットでニュースを得ている私は孫崎享さんのツイッター見て驚いた。2015年下期(9月~12月)朝日新聞の減紙44万部、読売新聞60万部、発行部数が減っている。朝日新聞より読売新聞は発行部数を減らしているのだ。読売、産経は先頭を切って朝日新聞を批判したが、両社とも発行部数を減らしている。このことは朝日新聞誤報問題が朝日から読者を引き離したということではないのかもしれない。全ての全国紙が読者の信頼を失っていっているのかもしれない。
 内田樹さんは講演会で話していた。新聞の読者層は5、6、70代の高齢者たちだ。若者は新聞を読まない。少子高齢化が進めば加速度的に新聞の読者離れは進むだろう。全国紙は無くなっていく。何百万部という発行部数を誇る新聞がなくなる日は近いというような発言をしていた。また、こんなことも言っていた。朝日新聞政治部の記者に良い記事を書く人がいた。首相動静欄を見たら、その記者が安倍首相と一緒に他の新聞やマスコミ関係者と共にお寿司を食べているの見つけたと。私はこの話を聞いた時、朝日新聞政治部部長S記者のことかなと思ったりした。
 若者は新聞を読まないばかりでなく、テレビも見ない。民放の番組制作費が減額されているので、お金がかかる番組は作れなくなってきている。このような話もしていた。
 安倍総理がマスコミ関係者に高価なお寿司を奢っても、思ったほどの効果があるのかどうか、疑問である。その結果がもうすぐ判明する。統一地方選挙で自民・公明両党推薦候補がどれだけ当選するのだろう。
 NYタイムズ東京支局長マーティンファクラーさんは言っていた。日本政府は国民を見くびっていると。そのつけが選挙結果に表れるに違いない。



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