醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより   31号   聖海

2014-12-15 10:43:13 | 随筆・小説

 2年前の12月、第四六回衆議院選挙が実施された。この直後、私は次のような
文章を書いた。 
 2012年12月16日第四六回衆議院選挙が実施された。選挙結果を楽しみ
していた。翌17日選挙結果を見てショックを受けてしまった。自民党が大勝し
第46回衆議院選挙が実施された。ていたのだ。共産党は一議席を失った。この
事実にガッカリしている自分がいた。どうしてこんなことになってしまったのか。
しばらく考えこんでいた。
 自民党は297議席を獲得して政権を奪回したが、実質的には敗北していることに
気が付いた。比例得票数の集計結果、自民党が獲得した票は1662万票だった。自
民党が民主党に大敗し、政権を失った2009年の比例得票数1881万票にも達してい
ない。自民党は2009年よりも確実に支持を失っているのだ。それにもかかわらず
政権を奪回したのだ。ここに小選挙区制という選挙制度のマジックがある。
 2005年の衆議院選挙で自民党が獲得した票の2588万票と比べてみると1.000万
票近く票を減らしている。自民党は確実に民意を失ってきていることがわかる。
にもかかわらず自民党が政権を握った。おまけに共産党は一議席削られた。どう
してこのようなことが起きたのか。今回の衆院選の投票率は59.32%、戦後最低
の投票率だった。政権選択選挙として関心を集めて民主党が大勝した前回、’09
年は69.28%である。民主党への幻滅が投票率を10%押し下げた。
 今回の衆院選の当日有権者数は1億395万9866人、このうち6.166万9473人が投票
した。自民党の得票率は27.6%、09年選挙の26.7%とほぼ変わらない。それでも
自民党は297議席を獲得した。小選挙区制は民意を歪める。
 今回の選挙の結果を見て感じるのは国民が深く民主党に失望したことが政治そ
のものへの失望になってしまった。民主党のマニフェスト破り、嘘が国民の政治
への信頼を奪った。どの党が政権をとっても国民の願いを実現してくれることは
ないとしらけてしまった。その煽りを受けて共産党も一議席失ったのではないか
なと思ったが共産党支持者にはこのようなことはないはずなのになぁー。
 私は志位さんの話を聞いて納得していた。「議席倍増を目指します。得票数で
六五〇万票の獲得を目指します」この言葉を信じていた私は選挙の結果を見て驚
いてしまった。共産党は比例代表で369万票(6.13%)の得票であった。議席でも
得票数でも目標を大きく下回ってしまった。その理由は何であったのか。
 選挙期間中、志位さんはアメリカ言いなり、財界言いなりの政治を変えます。
このように発言していた。この言葉にはリアリティーがあった。私もそう思う。
がしかし、北海道、網走の方の小選挙区から立候補していた人もまた志位さんと
まったく同じ発言をしていた。この言葉を聞いたとき、その言葉にリアリティー
を感じなかった。自分の言葉で発言していない。そう、思った。こんなところに
共産党の得票が伸びなかった理由の一つがあるのではないかと感じた。立候補者
は党の政策を自分の言葉で表現しなければいけない。党の政策を地元の政治状況
に応じて宣伝しなければならない。それには党の政策を十二分に理解していなけ
ればならない。それが足りなかったのではないかなぁーと、思ったりしている。


 第47回衆院選の投票率は52.32%。戦後最低の投票率だった。自民党が獲得し
た議席数291議席、前回獲得した議席数に及ばない。とてもアベノミクスが 信任
されたと胸を張れるような選挙結果ではあるまい。