じょじょりん文庫

読書好きで雑読。ゴルフ好きでへたくそ。
気の向くままに本ネタとゴルフネタを書かせて頂いています。

嫡出否認の訴え

2014-01-26 | その他
最近、離婚した芸能人元夫婦の長男が、実は夫の子ではなかったとかどうとか騒がれていますね。
別れた妻との子と、再婚した新しい妻子とのしがらみがあるのかどうかわかりませんが、なんかお子さんがお気の毒です。お子さんには何の罪もありませんよね。

この話を聞いたとき、昔読んだコミックを思い出しました。
おおにし真さんの書かれた「光と闇の方程式」。

光と闇の方程式 1 (Be・Loveコミックス)
クリエーター情報なし
講談社


これの中に、今回の話と似たような話が載っていました。
あるプロ野球選手が、自分の子供が怪我をした際血液型が合わないと言うことで、自分の子ではないことがわかってしまいます。ショックを受けた夫は、夫の不在の多いことから魔が差して浮気をしてしまったという奥さんの許しの懇願も受け入れられない精神状態となります。
このプロ野球選手は、奥さんと別れて子供とも自分の子ではないことを明らかにしようとする(昔読んだので、詳細は不確か)のですが、法律事務所で相談したら、嫡出否認の訴えは既に提訴期間が過ぎてしまって出来なく、嫡出の推定の及ぶ子である以上、親子関係不存在の訴えも提起できないのではないか、と言われます。
結局、親子として過ごした年月の方が大事だからと、奥さんと子供とやり直すことになる、と言う話です。

民法では、推定の及ぶ嫡出子との間の親子関係を否定する嫡出否認の訴えは、提起期間が「夫が子の出生を知った日から1年」となっています。
推定の及ぶ嫡出子というのは、普通の夫婦間で婚姻届提出後200日以後、解消後300日内に生まれた子を指します。
推定の及ばない嫡出子(上記以外)、や推定の及ぶ嫡出子の中の推定の及ばない子(夫が長期不在などで子供が生まれるはずがない状態だったなど)については、親子関係不存在の訴え(こちらは提訴期間の制限はない)で親子関係を否定する事になろうかと思います。

今回の芸能人元夫婦の場合は、たぶん推定の及ぶ嫡出子の場合になるので、嫡出否認の訴えによらなければならないのでしょうが、既に提訴期間は過ぎてしまっていますよね。こうした場合、親子関係不存在の訴えを別途起こして親子関係の否定をすることが出来るか、については、決まった判例がないようですが否定的なようです。とすれば、本件では推定の及ぶ嫡出子についての嫡出否認の訴えが提起できない以上、別途親子関係不存在の訴えは難しいことになりそうですよね。
いままでは、DNAで確実に親子関係のあるなしを知ることも出来なかったのでしょうから、何となくうやむやですんでしまったのでしょうが、これからはばっちり血縁関係か否かがわかってしまうので、その辺の修正は必要になるのかもしれません。

この親族相続の規定が出来たのは、戦後まもなくだったと思いますので(今手許に六法がなくてわからない)、今のようにDNA鑑定でばっちり親子関係のあるなしがわかってしまうという状況を想定していなかったのだと思います。
だけど、この嫡出否認の訴えの提訴期間が1年と短いのはなぜかを考えてみると、1年間親子として過ごしたのなら、血のつながりのあるなしにかかわらず強い親子の情ができているのではないかという点を重視したのではないか。
もちろん、大きくなってから、ある日突然父親から嫡出否認の訴えなど起こされたりしたら、身分関係が安定しないじゃないかという政策的な必要もあったのでしょうが。

たかが1年、されど1年、でしょうか。

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