ジュルのしっぽ-猫日記-

おっとりネコ・ジュルとのほげほげした毎日。

がんの勉強(3)

2008-10-12 | ネコの病気のこと
ジュルをがんから守るために、只今コツコツと基本から勉強中。
もし、「こんな治療もあるよ!」「こんなサプリを知ってるよ!」
「それは間違いだよ…」などなど、どんなことでも教えていただければ幸いです。
※内容はあくまでも個人的なノートの域を出ませんから、鵜呑みになさらないようにお願いします。




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Ⅴ.ネコの乳腺腫瘍

■乳腺腫瘍の原因

女性ホルモンが関係していると思われ、特別の理由がなければ初回発情前に避妊手術を行なった方がよい。発情を重ねるごとに乳腺腫瘍になる確率が高くなるという統計がある。また、細胞が衰えてくる高齢に発病することが多い。
猫の乳腺腫瘍の8割以上が悪性の乳がんとなるため注意が必要。

■症状
初期の段階ではネコも痛みを感じないため、発見されにくい。そのため、発見された時には複数の腫瘍、または大きくなってしまっている状態が多くなる。また、急速に増殖してリンパ節や肺に転移するため、早期発見早期治療が鍵となる。ひどくなると肺が侵されて息が荒くなり、乳頭から分泌物が出たり、腫瘍によって皮膚が破けたりする。

[ガン全般の典型的症状10項目]
(1) 腫れ物がなかなか治らない。
(2) 傷やただれがなかなか治らない。
(3) 体重が減っていく。
(4) 食欲がなくなる。
(5) 身体の開口部から血や分泌物が出る。
(6) 体から不快なにおいがする。
(7) 食べにくそうにする。また飲み込みにくそうにする。
(8) 運動をいやがる。
(9) 歩行の異常、体の麻痺が続く。
(10)呼吸・排尿・排便が困難になる。

ちなみにジュルは(1)(2)と(6)に該当。こうやってみると確かにサインは出ていたことがわかる。
一時、頭にできる腫れ物がなかなか治らなかったし、舐めすぎてできた傷さえなかなか治らなくてシャツを着せていたのもサインだったのか…。
毎日歯みがきしていたのに息が臭くなったので不思議だった。手術した現在、ストレスをかけないために歯みがきをお休みして1ヶ月以上になるけれど、臭くない。今から思うと体調変化のサインだったのだろうと思う。

■チェックのしかた
人差し指と中指の2本の指で、お腹に小さい「の」の字をいっぱい書くように満遍なく乳腺に沿って擦っていくと、乳首の周りに小さなしこりや腫れのような物が感じられる。乳腺が張っているだけで硬くならないこともあるので、“?”と思ったら獣医さんに診てもらう。

■診断方法
触診で疑わしい場合は、細胞診をして腫瘍か否か判定する。
腫瘍の場合、転移の有無を検査するためにレントゲンを撮る。
肺に転移がある場合は外科手術を選択せず、化学療法による治療を選択する。
転移がない場合は、良性・悪性を問わず、できるだけ早く手術によって摘出する。
摘出した腫瘍を病理検査することで、良性か悪性かを検査し、予後の治療方針を決定する。

■治療法
1.乳腺摘出手術
2.抗がん剤
3.放射線治療
4.1~3の組み合わせ
5.ホルモン療法(抗エストロゲン剤)
6. 免疫療法

やはり3大治療法がメイン。
良性、もしくは転移しておらず初期の段階で摘出できた場合は、予後を観察しながら必要があれば術後治療を検討する。
乳腺腫瘍で転移している場合は、リンパや肺に転移をしているため手術はせず、抗がん剤や放射線治療などの組み合わせを実施していく。
ホルモン療法はヒトの乳ガン治療ではすでにメジャーな治療法であり、ネコにも採用されている例がある。比較的副作用が少なく効果的な場合もあるが、すべての乳がんに効くわけではなく、投与してみないと効果はわからない。費用が比較的高いともいわれている。
また、ヒトとは違い、避妊手術をして既に卵巣を摘出しているネコの場合にも効果的なのか、素朴な疑問も残る。
最先端治療の免疫療法を実施している動物病院も既にある。



■乳腺腫瘍の手術後の猫の生存期間に影響を与える条件

(1)腫瘍の大きさ

あくまでも目安として一般的に、腫瘍の大きさが2cm以下で余命36ヶ月(3年)、2~3cmで余命24ヶ月(2年)、3cmを超えると余命6ヶ月といわれている。
いずれにせよ、2~3㎝の大きさが命にかかわる目安とされている。

(2)切除できる大きさ
猫の乳腺腫瘍の場合は可能な限り大きく腫瘍部分を取り除くことが根治する鍵となる。乳腺はつながっているため、一般には腫瘍がある片側すべての乳腺が摘出させる。反対側の乳腺も再発する可能性が高いため、左右両方摘出するのがベストといわれている。ただし、一度の手術で両方摘出することは、かなり高度な技術が必要とされるため、一般的には行われていない。

(3)「癌細胞の悪性度」
切除した腫瘍を病理検査して癌細胞の悪性度を出す。分裂像が多ければ多いほど悪性度が高いといわれている。

さて、ここまで勉強した上でジュルの術後の治療方針を、腰を据えて決めることにしよう。


がんの勉強(2)

2008-10-12 | ネコの病気のこと
ジュルをがんから守るために、只今コツコツと基本から勉強中。
もし、「こんな治療もあるよ!」「こんなサプリを知ってるよ!」
「それは間違いだよ…」などなど、どんなことでも教えていただければ幸いです。
※内容はあくまでも個人的なノートの域を出ませんから、鵜呑みになさらないようにお願いします。


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Ⅳ.治療方法

1.外科手術

手術によって腫瘍を摘出する治療法。第一に選択したい治療だが、転移が確認されているような場合、外科手術で患部を摘出したとしても、転移しているがん細胞を摘出しきることは不可能であり、手術をせず、化学療法等で患部を寛解させる治療を選択することになる。

2.化学療法
抗がん剤、ホルモン剤等の化学薬品をうまく使ってがんをコントロールして、できる限り生活の質を高めた生活を送りながら、長期に生存することを目的とする。
化学療法を行った結果、検査してもわからない程度に小さくなり、確認できなくなった状態を寛解(かんかい)という。この段階で腫瘍が消えたように見えるが、腫瘍は臨床的に検出できない状態になっただけで、骨の中や内臓の中に身を潜めた状態で、その時使っている抗がん剤に抵抗力ができたら、また出てくることが多い。
そのため、抵抗力が出てきたら抗がん剤の種類を変えていく。治療は主にプロトコールという実施計画に基づいて行われ、週一回を半年間、25週続けて行うのが理想とされている。



抗がん剤の効果があるがんの種類は以下のとおり。

[抗がん剤で完治する可能性のあるがん]
急性白血病、悪性リンパ腫、精巣腫瘍、絨毛がん等。
[病気の進行を遅らせることができるがん]
乳がん、卵巣がん、骨髄腫、小細胞肺がん、慢性骨髄性白血病、低悪性度リンパ腫等。
[症状が和らぐ効果があるがん]
前立腺がん、甲状腺がん、骨肉腫、子宮がん、肺がん、大腸がん、胃がん、胆道がん等。
[効果がほとんど期待できず、小さくなりもしないというがん]
脳腫瘍、黒色腫、腎がん、膵がん、肝がん等。
[化学療法と放射線治療で治癒可能ながん]
頭頚部がん、食道がん、子宮がん

抗がん剤は、分裂が活発な悪性腫瘍のがん細胞を保護する細胞膜を破壊するために使われる。そのため、分裂が活発な他の正常な細胞をも攻撃してしまう性質がある。特に毛根、胃や腸の粘膜、骨髄等の細胞まで傷つけてしまう。よって、脱毛、口内炎、食欲不振、貧血などが副作用として現れる。
また、骨髄抑制が起こると免疫力が低下して、他のがんができてくる可能性もある。抗がん剤の最適投与量は、体表面積で投与量を換算して決定する。

■抗がん剤とステロイドの関係
ステロイドは上記の抗がん剤の副作用を防ぐために、抗がん剤の効果を制限する役目を担っている。そのため、抗がん剤とステロイドは切り離すことができない関係にある。
ステロイドの効果は抗がん剤だけではなく、免疫力も制限してしまうため、ステロイドの長期間の常用によって、もともとある免疫力を発揮できなくなる恐れもあるので加減しながら使用される。

3.放射線治療
以下のようなケースに用いる補助的な治療。確かな効果はあるとされている。
・外科的治療、化学療法の補助的な治療として。
・外科で腫瘍を小さくしたけれど悪性で、正常な細胞に根がはっている可能性がある場合。
・外科ではアプローチできない、化学療法では効果がない腫瘍の場合。
放射線治療によって腫瘍を小さくすることはできるが、根本からなくすものではない。
副作用としては、火傷や脱毛、皮膚炎などが起こることがある。

ここまでが現代医療で効果が確立されているがんの3大治療法。
以下は大きく代替療法とされる療法群。



4.免疫療法
免疫療法は、第4の治療法ともいわれ、期待されている療法。
<がん細胞を抑えることに特化した免疫療法>と<全体的な免疫力を上げることを目的とした免疫療法>の2つに分類される。
前者の代表は「がんワクチン療法」。後者の代表は「免疫培養療法」。
「がんワクチン療法」はがん細胞の抗原を認識するように免疫系を教育し、がん抗原だけを攻撃する。
「免疫培養療法」は、採血した血液からリンパ球だけを取り出し、強化したリンパ球を培養した上で点滴によって体内に戻し免疫力を上げる療法。また、自身の体から採取したがん細胞とリンパ球を同じ容器内で培養。がん細胞を認識したリンパ球だけを体内に戻す方法もある。副作用もほとんどない。1度ではなく必要に応じて数回実施する必要がある。
免疫力を上げることにより治療を行う免疫療法と、免疫を押さえてしまう通常の抗がん剤治療とは両立しないので注意が必要。

5.ホルモン療法
乳がんのような女性ホルモンが原因とされるがんには、タモキシフェン等の抗エストロゲン剤によってホルモンを抑えることで治療効果が得られることがわかっている。ヒトの乳がんでは重度から軽度にかけて多用されているメジャーな治療法。転移もなく早期治療できた低リスクな場合の術後補助療法では、ホルモン療法単体で実施される場合もある。

6.代替療法
いわゆる健康食品やサプリメントを摂取するなどして効果を期待する療法。
劇的、奇跡的な効果を期待するよりもむしろ、安全性が確認されている商品をちゃんと選択し、経済的に無理することなく、長期間に渡り、毎日継続的に摂取を続けることは無駄ではない。体質改善ができれば、相乗効果で健康を維持することが可能であり、ひいては治療の効果も引き出しやすくなる。


がんの勉強(1)

2008-10-12 | ネコの病気のこと
ジュルをがんから守るために、只今コツコツと基本から勉強中。
もし、「こんな治療もあるよ!」「こんなサプリを知ってるよ!」
「それは間違いだよ…」などなど、どんなことでも教えていただければ幸いです。
※内容はあくまでも個人的なノートの域を出ませんから、鵜呑みになさらないようにお願いします。


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Ⅰ.がんとは

■腫瘍とは
もともとは自分の細胞。通常、細胞分裂は制御されているが、
異常に際限なく増殖をはじめて腫瘍となり、正常な組織を壊しながら大きくなっていく。
腫瘍には良性と悪性がある。

■良性腫瘍とは
転移せず命に関わるおそれの少ないもので、手術をすれば再発を防ぐことができる。
良性と診断された場合でも腫瘍が小さいうちに、少しでも早く手術をすると考えた方が良い。

■悪性腫瘍とは
転移する性質がある腫瘍のこと。
腫瘍自体、または転移している場所次第では、外科手術では対応しきれない。
悪性腫瘍は造血器でできるもの(白血病、悪性リンパ腫、骨髄腫等)以外に、「がん」と「肉腫」の2種類に大別される。

■がんとは
悪性腫瘍のうち、上皮組織(皮膚、消化管、呼吸器道)から発生したもの。

■肉腫とは
非上皮組織(血管、リンパ管、神経組織など)から発生したもの。

■腫瘍ができる原因
細胞が痛んでくる老化のほかに、発がん性の化学物質、紫外線、ウイルス、ホルモン、遺伝などが複雑に関係していると考えられている。

■ネコの腫瘍
ネコの腫瘍の約8割が悪性であるといわれている。猫で多い腫瘍は、リンパ肉腫、白血病、乳腺のがん。



Ⅱ.がんの治療

■がん治療のながれ


≪触診等により腫瘍の疑いがある場合≫

レントゲンやCT

腫瘍の所見、転移の有無を確認。
転移の状態によっては手術はせず、化学療法を選択。


  細胞診  

針を刺して細胞を採取し、たしかに腫瘍か否か確認。
ここでは良性・悪性は判別できない。


   手 術   

手術の場合は患部を摘出。病理検査へ出す。

病理検査

生検ともいう。摘出した患部の細胞を検査。
ここで良性・悪性が判明する。


予後と術後治療

状況により「根治」、「延命」、「緩和」の
3つのうちいずれかを予後の目標として、
化学療法、放射線療法等から最適な術後治療を選択する。




Ⅲ.検査方法
1.レントゲンと超音波を使用した基本的な検査
2.CTやMRIを使用した高度医療による検査
その他:腫瘍マーカー

・レントゲン、超音波では臓器の状態等詳細はわからないが、腫瘍の有無は判別がつく。
・CTは放射線、またMRIも全身麻酔のリスクが若干ある。
・腫瘍マーカーはもともと、術後の経過を判定するために使用することを目的としているものであり、腫瘍の有無を検査するものではない。また、ネコ用腫瘍マーカーはまだ採用されて日が浅い。