さばいている時点で足元から離れてくれない。
焼きはじめたりすると、もう目を輝かせて、
自分のために焼いているものと、勝手に思い込んでいる。
「あげないよ、ジュルはもう食べたでしょ」と、つれなく言っても、
まったくもって、聞いちゃいない。
それほど強烈に食べたいのに、
それほど真剣に食べたいのに、
けしてテーブルに乗らず、クリームパンのような丸っこい手を、
懸命に、それはそれは懸命にのばしている姿を見ると、
「すこし、あげようか。すこしだけだよ」と
頬がゆるむのが人情というもの。
「もっと、ちょうだい。もっとだよ」と
目が輝くのが猫情というもの。
お願いだから、そんな顔して見ないでよ。
* きょうから6/3まで 紀伊国屋新宿本店2Fにて ネコ本フェア開催
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