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主夫の徒然なるままに

毎日の夕食作りに奮闘する主夫の独り言

「史上最強の哲学入門」読みました(2)国家の「真理」

2022年02月04日 | 哲学
「史上最強の哲学入門」飲茶
第二章は<国家の「真理」>たいへんわかりやすく、楽しく勉強させてもらった。自分なりにちょっとまとめて。

<2>国家の「真理」>
▼1. プラトン  
― イデア論 本当のもの→本当の政治 アカデメイア(のちの大学)哲人王=哲人政治
―現代の理想の国家論へ連なる思想

▼2. アリストテレス 
― 人間はポリス的(社会的)動物である。
― 3つの政治体制とその堕落、そして革命。
君主制 → 独裁  貴族性 → 寡頭(一部の特権階級)制  民主制 → 衆愚制  
ー 各々腐敗 ⇒ 革命によって別の政治体制へ
           
▼3. ホッブズ 
― 国家とは自己中心的な人間たちが互いに殺し合わないように自己保存のため作った組織
― リバイアサン 人間は自らリバイアサンという仮想的な怪物を作り出し、その怪物(国家、王)を恐れ服従することで 殺し合わすに生き延びてきた。この安全保障システムが国家の正体。

▼4. ルソー   
― 人民主権=国家とは公共の利益を第一に考える民衆のための機関

▼5. アダム・スミス 
― 経済学の父 「神の見えざる手」により社会全体の利益に 

▼6. マルクス 
― 共産主義 ⇒ 時代は、共産主義の終焉を見た
ー そして現在、資本主義も新たな終焉(?)をむかえるか。→新自由主義の時代 
⇒ 労働の価値を見失った現代から新しい思想の構築が必要!


 非常に厳しい環境の中にある現代の国家、あるいは、日本の国家。政治家が日々苦闘しているように見えるが、どの哲学、国家観をもとに最善を求めているのであろうか。コロナ禍のなかのばらまき政策、グローバル時代といわれた経済の停止、超格差の増大。革命前夜のような現代に我々はどのような国家を目指すべきだろうか、考えさせる<国家の「真理」>の章であった。




<主夫の作る夕食>
冷凍エビをじょうずに解凍して、オリーブオイルで調理してみました。簡単そうに見えてむずかしい。



<もと塾講師のちょっと復習>









「史上最強の哲学入門」飲茶著 読みました(1)

2022年02月03日 | 哲学
「史上最強の哲学入門」飲茶(ヤムチャ)著
なんか変な名前の人が書いているので、興味をそそり、読んでみた。

 よくある哲学入門では、哲学者順であったり、時代順であったりするのだが、この本では、テーマを基本に哲学を紹介してるところが他の哲学入門とは、違うように感じだ。
 
 <真理><国家><神様><存在>のテーマに沿って時代とともに戦う哲学。この進め方が、たいへんわかりやすく感じ、楽しく勉強させてもらった。
各哲学者を一言で自分なりにまとめを作ってみた。

<真理の真理>
▼1. プロタゴラス  相対主義哲学 ― 「人間は万物の尺度である」

▼2. ソクラテス  無知の知 ― 毒杯の意味→この世界には命をかけるに値する真理が存在し人間はその真理を追究するために人生を投げ出す強い生き方ができる。

▼3. デカルト  我思う故に我在り ― 疑っている私の存在を疑ったとしても、やはり、疑っている私の存在は真だから。哲学の第一原理

▼4. ヒューム  イギリス経験論 ―すべて知識や概念は、人間が経験から作り出したものに過ぎない。「自我」「神」「科学」の絶対性の否定

▼5. カント  ― 人間共通の経験の形式があるのだから、人間共通の普遍的な概念(真理)はある。
        ー 人間はモノ自体には到達できない。 真理とは人間によって規定されるもの
       ー 人知を超えた「真理」から、人間にとっての「真理」へ=コペルニクス的転換      

▼6. ヘーゲル  ― 弁証法 真の真理へ導く唯一の方法 
             人類の歴史は対立によって究極の真理、理想の社会へと進展していく

▼7. キルケゴール ― 私にとって真理だと思える真理、私がそのために生き、そのために死ねるような真理   そういう真理をみつけることが重要だ。

▼8. サルトル  ― 「人間は自由の刑に処せられている」
           アンガージュマン「運命に従わず、自分の意思で何事も切り開いて行こう」「究極の真理を求める歴史の進展を僕たち自身の手で」という態度
           「実存は本質に先立つ」=実存主義=「人間の存在を中心に考える哲学的思考 」

▼9. レヴィストロース ― 「構造主義」 理性を重視し、唯一の真理に向かっていこうとする近代哲学を西欧中心主義の高慢な思い込みと断じた。
   この和批判は、西洋社会の知識人や哲学者たちに大きな衝撃を起こした
▼10. デューイ ― プラグマティズム 人間の思考(理性)とは、単に「生きるための道具」にすぎない。道具としてなんの役に立つかを考えればよい。
▼11. デリダ ― ポスト構造主義 脱構築=伝統や秩序を解体し、隠ぺいされていたものを解き明かし、意味を解釈しなおす
          西洋哲学や西洋文化の真理を批判 
▼12. レビィナス ― 他者論 本来うまくいかないはずの「私」と他者との関係(対話)を断絶させずに成り立たせている原動力とは、人間の「真理を求める熱い想い」である

 <真理>に対する熱い想いが、戦いとして歴史の中に登場してくる。その戦いは、面白くってしかたがない。おもしろい本に巡り合えた。(続く)


<想い出の一枚>
北九州市には、タコ公園が多い。






<主夫の作る夕食>
フライパン替えたら、冷凍餃子がじょうずに焼けました。


「哲学者190人の死に方」サイモン・クリッチリーを読んで

2022年01月26日 | 哲学
「哲学者190人の死に方」という奇妙な本を読んでしまいました。

 多くの哲学者が死について語っていることは有名です。 しかし、哲学者がどのように死んだのかを解説している本は、ほとんどありません。死に方として有名な哲学者もあまり多くはなく、裁判にかけられ自ら進んで毒杯を飲んだソクラテスの死、 梅毒で狂気のなかに死んだニーチェくらいしか個人的には知りません。「死」を見つめることで「生」をどのように考察するかについては、すべての哲学者が必ず通る道だと思うけれども、どのように死んだのかということにどれだけの意味があるのかよくわかりません。有名な哲学者たちが 非常に奇妙な死に方をしているのは、事実なのだろうが、一方で非常に多くの哲学者が普通の死に方、例えば、病死をしているというのは 当然のことだと思う。では、なぜ、哲学者の190人もの死に方を、この著者は、根気よく書き続けているのだろうか。<「死ぬことを学ぶこと」ーソクラテス> ここから、哲学が始まるという、だからこそ、「死」についての考察が重要であり、哲学者たちは皆、死を前にして苦悩し考えそして死んでいったのでしょう。しかし、その死に方は、一般の人々と同じ程度に、残酷で滑稽で悲しい。自殺を強要されるもの、自殺するもの、さらし首にされるもの、 梅毒やコレラ、ペストにより死んだもの、動物の糞で窒息死させられたもの、八つ裂きにされたものなど悲惨な例も多い。それでも、読み進んでしまう不思議な本になっている。

 20世紀後半以降の哲学者たちの死を初めてこの本で読んだ。ミッシェルフーコー、メルローポンテ、ハンナアーレント、サルトル、ボーボワールなど。しかし、どのように死んだかより、死ぬまでに何をしたかの解説の方が面白かった。ある意味でこの本は哲学の辞書のようなものかもしれない。




<主夫の作る夕食>
コストコのチキンの残りで一品作った。腕が上がったかも!


<思い出の一枚>
受験の春まじか。冬期講習のがんばり。




塾講師の書いた「哲学入門」を読んで

2022年01月14日 | 哲学
   『マンガみたいにすらすら読める哲学入門』蔭山 克秀
 
  高校時代の倫理の教科書は、眠たいだけのものだったが、塾講師をしてから、塾講師の書く参考書を何冊も読んだ。その中に倫理社会の参考書もあって、さすがに面白く紹介しているのに驚いた。そこで、中学生や高校生の親御さんが喜ぶような部分を抜粋して紹介したりしていた。朝から勉強して夜まで勉強する中学生には、楽しくなくては勉強は続かない。塾講師は、楽しくて、ためになる(学力アップする)授業に力をいれる。同じように、「哲学」というなんとも硬そうな学問を面白く紹介するのは、やはり「塾講師」だからこそ可能なのだろう。


 この本では、基本的に大学入試での倫理受験を含むため、高校生向きマンガ本の登場人物やストーリーがたくさんでてくる。若者には、大いに受けるだろうと想像する。各哲学(者)の紹介には、時代背景と時代が要請した哲学の出自がたいへんわかりやすく解説してある。たいへんためになる部分である。特に面白いのは、キルケゴール。脱線気味に著者自身の話とシンクロする部分が、私自身の大学卒業後のあり方とよく似ているのでちょっと感動、あるいは、苦笑いであった。「サラリーマンなんかなってやるか」と粋がってもサラリーマンになる実力もない自分。そしていろいろあって同じく塾講師の道へ。

【僕(著者)やキルケゴールは「現実的に稼がなきゃ」の意識が甘いため、「みんなもなるからいいか」なんかイヤだと駄々をこねる。つまり、ちゃんと稼ぐ気概もない半人前のくせに、平均化された人生を送ることには覚悟が決まっておらず、そこに恐怖すら覚えるのだ。甘えてんね〜。結果、キルケゴールはダメニートに、僕は留年アルバイター雀士になってしまった。】
 笑えない。
 そして、私は、世界の放浪者となり、他の日本人の放浪者のつまらなさにげんなりし、仕事を見つけ、仕事にのめり込み、自分の居場所を見つけた。キルケゴールと著者、そして自分.......。

 とても面白く最後まで飽きさせない「哲学入門」である。少し残念なのは、最後が「精神分析」のフロイトとユングで終わっている点だろうか。せめて、マルクスを登場させてほしかった。できれば、ヴィトゲンシュタインやフッサール、レビィストロースなども解説してくれたら嬉しかった。


<主夫の作る夕食>
コストコでみつけた「ハニーグレイスチキン」とワインで夕食。白菜の柚子浅漬け。変な取り合わせになってしまった。でも、美味しかった。
 


<思い出の一枚>
バリのケチャ


「ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた」を読んでみた。

2021年12月30日 | 哲学
「ニーチェが京都にやってきて~」の単行本を読んでみた。表紙の女子高生のイラストでは、中年以降の男性が、気軽に持ち歩いて読むというわけにはいかない雰囲気でもある。


 場所は、京都。大学時代に寺町今出川付近の学生寮に住んでいたので、次から次にでてくる地名が懐かしい。河原町、丸太町、四条通、白川通、鴨川などなど。出町柳駅がでてきた時には、懐かしさがぐっと込み上げてきた。定番の「哲学の道」の登場は当然だろう。
 17歳の女子高生が、恋愛もどきで落ち込んでいた時、ニーチェに会う。やさしさのかけらもない冷たい言葉で熱く接するニーチェに、女子高生の彼女だけでなく20代の自分を重ね合わせてワクワクしてしまう。彼の有名な哲学用語が次々とあらわになる。と、キルケゴールが登場する。「なんじゃこりゃ」というのが正直な感想。さらにワーグナー、これは、小島アリサのコージマの関連でだろうか、ショーペンハウアーもやってくる。

 「ニーチェは欲望を押し殺さず、積極的に生きていくべきだと言った。」
 「キルケゴールは、自分にとっての真実が大切だと言った。」
 「ショーペンハウアーは、人生は苦痛で、感性こそが大切だと言った。」

 サルトルがやってきた。面倒くさい奴の登場だと思っていると、ちょっと暗い奴、ハイデッカーもやってきた。この本どうなっているのかと思いつつここでもワクワク興奮してしまう。何度も読んだ彼の代表作「存在と時間」、まったく理解できなかった想い出がガツンときた。最後の登場が、ヤスパース。「愛」で終わるところが、17歳の女子高生の物語らしい。
 
 360頁の読み応えのある本である。上中下巻構成のマンガもあるようだ。ただし、個人的には、途中何度か出てくるイラストが、我らの時代のイメージと合わなくて困ってしまった。
 
 昔、ニーチェに凝った60代、70代の高年齢の方々にぜひ、お勧めしたい。



<想い出の一枚>
寺町今出川近く



<主夫の作る夕食>
串カツに挑戦、鍋に入れすぎ、皿に盛りすぎ。初めてですから、こういうこともあります。