JMのバレーボール観戦記

テレビのバレーボール解説では触れられない戦術面や選手個人の特徴について、「全員応援」の立場から語ります。

S1対策 セルビア男子の場合

2012-09-16 10:54:58 | 用語解説
JMのお気に入りチームのセルビア男子ですが、S1はかなり分かりやすい戦略で対応しています。

・S1の問題点
ライトには、左利きで207cmもあるパワーヒッターのスタロビッチ選手と、右利きで巧さもあるアタナシエビッチ選手が入ります。S1が問題となるのは、もちろんスタロビッチ選手の方。スタロビッチ選手は、207cmもあるのに、あたかもスケートボードで地面を滑るかのような水平ジャンプで、本当に低いのです。さらに、一旦ジャンプしてしまうと、そこからは物理学の法則に従って必然的なヒットポイントに突っ込んでいくだけ。ライトとしては通用しますが、レフトからはこれだとダメです。S1では、Aパスが返ってもレフトから遅い助走にしか入りません。また、ライトに回るレフトのニキッチ選手は、ライト打ちも合格とは言え、悪いときの東レのボヨビッチ選手のようなスパイクフォームになってしまい、高さが活かせません。

・解決策1 センターのスタンコビッチ選手に頑張ってもらう
スタンコビッチ選手は裏センターで、表センターのポドラスチャニン選手と比べて、普段はクイックがやや少な目です。そのスタンコビッチ選手に、S1ではかなりトスが上がります。普段はあまり打たない選手なので、相手センターもどうコミットすればいいか分からず、なかなか止められません。

・解決策2 裏レフトのニコラ・コバチェビッチ選手がパイプを打つ
スタンコビッチ選手のクイックが読まれ始めたら、後ろからコバチェビッチ選手がパイプを打ちます。コバチェビッチ選手はパイプの打つコースが広いため、読まれてもかなり有効に決まります。

つまり、セルビア男子は、裏センターと裏レフト、言わば2番手のアタッカー2人が、S1を救います。2番手のポジションでも、彼らは一流のスパイカーです。セルビア男子は、やはり底力が凄いですね。

ちなみに、ロンドンOQTの日本戦、第3セット途中までスタロビッチ選手がスタメンでしたが、そのS1ローテでは福澤達哉選手(第1セット)と宇佐見大輔選手(第2~3セット)が殆ど毎回サーブミスしました。セルビア男子のS1は、サーブは入れていって、クイックに1人コミットし、残り2人でパイプとライトセミをリード的に警戒すれば止められます。なのにサーブミス。フィジカルで劣るだけではなく、戦略面でも劣っています。こういうところが、私が全日本男子が好きになれない理由です。

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