JMIU 全日本金属 博多協議会

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御手洗日本経団連会長 「法律が悪い!」

2006-10-22 22:00:35 | 雇用・労働
 最近、飲酒運転で摘発されるケースが多いが、これは飲酒運転が急に増えたのではなく、取締りが強化されたからであることは間違いない。
そして、それは、福岡の「海ノ中道大橋」での子ども3人が殺される重大事故など、飲酒運転による大事故が相次いだためであろう。
飲酒運転を違法とする法律が悪いから、摘発が増えたのではない。

 この「飲酒運転の法律が厳しすぎるから、もっと緩和して欲しい」という意味の発言をした財界人が居る。
キャノンという国際企業の会長であり、CSRやコンプライアンスを声高に叫んでいる日本経団連の会長である御手洗冨士夫氏だ。

彼は言う。
 「請負法制に無理がありすぎる」「これをぜひもう一度見直してほしい」

その発言をしたのが、飲酒の場ではなく、安倍政権で顔ぶれを変えてスタートした経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相) 第一回目の会合の場である。
2006年10月13日のことだ。

要するに財界総理が政治の総理に、「法律が悪いから偽装請負問題が発覚した。」
「格好悪いし、儲けが減るから、法律のほうをもっと緩めてくれ!」と言ったいうことだ。
「飲酒運転で摘発される基準となる、アルコール濃度をもっと緩めてくれ!」と言っているのと、どこが違うのか?

法律違反をしておいて、法律が悪いと居直るなら法治国家は成立し無い。
人殺しをして法律が悪いから、と言えるのだろうか?

しかし、過労死や、低賃金で生活困難に陥って自殺する人も少なく無いことを考えて欲しい。
偽装請負を容認するように法律を緩めるということは、企業による労働者の虐待や殺人を野放しにすることになるのだ。

親による子どもの虐待。教師による生徒の虐待が、これだけ問題になっているのに企業による労働者虐待が何故こんなに容認されているのか?

偽装請負での指導や摘発が増えたのは、労働者達が声を上げ始め、悪質な「飲酒運転」に相当する、「危険運転致死罪」のような、犯罪行為が横行し、労働基準監督署も『お目こぼし』をしていられる事態ではなくなった。
それだけ悪質な労働関係法令違反が広範に広がっているという背景があるからである。

まさに、飲酒運転と同じ構図だ。

労働者は声を上げ始めている。
光洋シーリングテクノしかり、
松下プラズマディスプレイしかり、
キャノンしかり。
これら声を上げる労働者の居るところには、必ずや我らがJMIUの力がある。

これからも、着実に!しかし強力に!運動を進めていかなければならない。

以下、しんぶん「赤旗」記事 を引用する。
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2006年10月20日(金)「しんぶん赤旗」

キヤノン偽装請負 告発されて
御手洗経団連会長“法律が悪い”
「制度見直せ」と居直り
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 自社の偽装請負が国会でも問題になった御手洗冨士夫・キヤノン会長(日本経団連会長)が、経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)で、請負では製造業者が労働者に指揮・命令できないという現行法の規定について、「請負法制に無理がありすぎる」「これをぜひもう一度見直してほしい」と発言していたことが十八日に公表された議事録でわかりました。
財界トップが会長の企業が法令違反を犯したうえ、“法律の方が悪い”と居直っていることに、労働者から怒りの声があがっています。
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 請負は、製造会社が一年以上継続して使っても、派遣のように直接雇用を申し入れる義務がなく、労働安全衛生の責任も負わずにすみます。ただし、製造業者は請負労働者に指揮・命令できません。大手メーカーは、指揮・命令が必要な製造現場で違法を承知で請負を使い、偽装請負として社会問題化しています。
十八日にはキヤノンの工場で働いていた請負会社の労働者が偽装請負を告発し、正社員化を求めました。

 労働者派遣法についても御手洗会長は、「三年たったら正社員にしろと硬直的にすると、たちまち日本のコストは硬直的になってしまう」と現行法の「見直し」を要求しました。派遣法では、派遣労働者を三年間(製造業では一年)続けて使ったら使用者側が労働者に直接雇用を申し入れる義務を負います。

 御手洗氏の発言は、十三日に開かれた諮問会議でのこと。安倍政権で顔ぶれを変えてスタートした一回目の会合でした。
同日、参院予算委員会では日本共産党の市田忠義書記局長が、偽装請負など大企業による無法の一掃を求めて質問。
安倍首相は、法令違反には「適切、厳格に対応する」と答弁し、「ワーキングプア(働いても貧困から抜け出せない非正規労働者)といわれる人たちを前提にコストあるいは生産の現状が確立されているのであれば大変な問題」と述べました。

 市田氏が示した資料では、偽装請負で行政処分を受けた会社が属する人材派遣グループ「クリスタル」から百人以上の労働者供給を受けているのは全国101事業所、最も多いのがキヤノングループの3,033人でした。
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引用終わり。

この記事には書いていないが、その筋の確かな情報によると、市田氏への安倍首相の答弁で、【ワーキングプアといわれる人たちを前提に、コストあるいは生産の現状が確立されているのであれば大変な問題】と述べたことに対して、「そのようなお考えならば財界として政治献金のありかについて再検討することになる」(という意味の発言:表現は正確ではない)とあからさまに脅迫したと言う。

財界総理が、政界総理を政治献金という【金】で買収する姿がありありと浮かぶ。
TVドラマ以上にリアルである。

日野自動車、1100人偽装出向

2006-10-06 17:42:03 | 雇用・労働
   
      【製造現場における偽装出向の仕組み】
        (asahi.com より転載)

去年から今年に掛けての社会面のキーワードは「偽装」であろう。
ホテルやマンションの【耐震偽装】をはじめ、様々な「偽装」がニュースを飾ったが、今年4月に、NHKが「生活ほっとモーニング」で光洋シーリングテクノの【偽装請負】を始めとする非正規雇用の問題を1時間近くに亘って特集したことを皮切りに、7月末からは、朝日新聞が【偽装請負】の特集を連日一面TOPで取り上げ、情勢を動かした。

こと、ここに至るまでには、JMIU徳島地域支部や全国や中央のJMIUの支援、徳島県労連の支援があり、(社民党や民主党も無視する中で)唯一日本共産党がこれら違法・無法なやり方を国会質疑で糾ししんぶん赤旗が何度も報道するという地道な闘いがあった。

朝日新聞のスタンスは必ずしも好きではないが、ことこの問題に関する限り、その積極的な対応は大手新聞随一であることは正当に認めたい。
今も、Web版に、【特集記事】 を掲載している。

リードが長くなったが、そこで、本日(2006/10/6)の朝日新聞 である。

本日の一面TOP記事は、福岡版でさえも「自民党が現職福岡市長・山崎広太郎氏を推薦しないことを決めた」という重大ニュースではなく、
日野自動車による【偽装出向】の記事である。

【偽装請負】がクローズアップされた、光洋シーリングテクノは、トヨタの下請け企業であったが、日野自動車はトヨタの連結子会社であるから、なお一層トヨタの責任は重い。
やれやれ、【偽装請負】が、ばれそうになったら 今度は【偽装出向】かい?!

1兆円を超える、史上最高の利益を上げ、世界の自動車市場を席巻するトヨタ・グループは、実のところ、このような労働者の搾取によって生き延びているのである。
労働者の待遇を欧州並みにして市場競争してこそ、公平な市場競争というものであろう。労働者の極端な搾取の上に君臨する企業に、長い目で見て未来は無い。

さて、その 朝日新聞の記事 を引用しよう。

上のリンクを見れば良いのだが、いつまで掲載されるか不明なので
Web版の記事を全文引用する。(改行・色文字は引用者)
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日野自動車、1100人偽装出向
 労働局指導で派遣に
                2006年10月06日10時29分

 トラック製造大手の日野自動車が、実態は労働者派遣なのに出向契約を装う 「偽装出向」 で、人材会社から 約1100人の労働者を自社工場に受け入れ、働かせていた ことがわかった。
東京労働局は 職業安定法(労働者供給事業の禁止)に違反する として指導。
これを受けて日野は9月1日、すべての出向労働者を派遣に切り替えた

社会問題化している偽装請負と同様に、使用者責任をあいまいにしたまま、人員調整をしやすくする違法な手法がメーカーに広がっている実態が浮かび上がった。

 出向は、一般に企業グループ内の人事交流や研修などを理由とする場合は認められているが、人材会社が営利事業として行うことは、労働者を商品のように売り買いすることにつながりかねないため、禁止されている

 日野によると、7月11日に東京都日野市の本社工場が東京労働局の立ち入り調査を受けた。同工場では、人材会社14社から出向の形で約300人の労働者を継続的に受け入れていた。このため同労働局は違法な労働者供給事業と判断し、7月26日に文書で指導した。

 このほか、羽村工場(東京都羽村市)、新田工場(群馬県太田市)でも人材会社から計約800人の労働者を同様の手法で受け入れていた。
1100人という人数は、同社の全工場労働者の8分の1に当たる。

 メーカーが工場労働者を外部から受け入れる場合は、労働者派遣法に基づく正規の手続きをとらなければならないが、出向契約を装うことで免れていた
派遣の場合、1年以上経過すると直接雇用を申し込む義務がメーカー側に発生するが、こうした義務を回避する狙いがあったとみられる。

 また、派遣の場合、労働者の社会保険加入状況を日野側が確認する義務があるが、出向の場合はない。実際、日野では、社会保険未加入の出向労働者が働いている事例が複数あったという。

 請負の場合は「偽装請負」だとして許されない正社員による指揮命令も出向契約だと可能だ。
偽装出向は工場の現場を調査しただけでは発覚しにくく、偽装請負以上に製造業に利点が多い。

 日野は、人手不足を理由に02年3月から人材会社からの出向労働者を受け入れていたという。派遣への切り替えは行政指導の前から検討していたというが、「対応が遅れたのは事実で、今後は法令順守を徹底したい」と話している。

 労働者を工場に受け入れる違法な手法としては、請負を装うのが一般的だが、労働局の関係者によると「偽装出向も一部で広がっている」という。

 日野自動車 トヨタ自動車の子会社で、トラック・バスなど商用車を生産する。普通トラックの販売台数は、05年まで33年連続で国内首位。06年3月期の連結売上高は1兆1969億円。
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JMIUFK 2006Oct06

「偽装請負」で業務停止命令へ 大手派遣会社コラボレート

2006-10-02 21:41:41 | 雇用・労働
JMIU徳島地域支部のホームページによると、徳島の光洋シーリングテクノの仕事を『請負契約』を装う「偽装請負」で“受注”し、労働者を派遣していた、大手コラボレートに対して、厚生労働省が「事業停止命令」を出したということです。
上記ホームページでは、 Asahi.com のニュースを引用しています。

このブログで何度も取上げてきた、JMIU徳島地域支部(光洋シーリングテクノ)の闘いの一つの成果です。

 派遣労働者は、派遣先で1年を超えて働く場合、派遣先企業は、当該労働者に正社員としての雇用を申し出る義務がありますが、
請負の場合は、その義務はありません
『偽装請負』とは、事実上派遣労働者であるのに、請負を隠れ蓑にして、何年働いても正社員への採用を免れるというものです。

 もっとも、労働者が、このことを知らないのを良いことに、派遣契約でも『正社員としての雇用を申し出る』会社は殆ど無いのが実態です。

 トヨタ・光洋シーリングテクノ・コラボレーとは、いわばグルになって、使い捨て労働による低賃金・不安定雇用を押し付け、空前の利益を上げてきたのです。

 このような、法律違反の常習者に対して社会的制裁を求める声が広がっていましたが、このたび厚生労働省が、重い腰をようやく上げ、この種の事犯では初めて「事業停止命令」を出したということです。
 ただ停止期間は2週間程度と言う、「警告」程度の内容ではありますが・・・

Asahi.com の記事は結構詳しく書かれています。

下記のリンクをみれば全文が読めますが、Web上の掲示がいつまで続くか解りませんので、念のため全文引用します。
ここをクリック
******** 引用開始 ********
偽装請負で事業停止命令へ 大手コラボレートに厚労省
              2006年09月30日07時50分
 実態は労働者派遣なのに、請負契約を装う違法な「偽装請負」を繰り返していたなどとして、厚生労働省は今週中にも、製造請負大手の「コラボレート」(大阪市北区)に対し、労働者派遣法に基づき、事業停止命令を出す方針を固めた。
偽装請負に絡んで事業停止命令を出すのは初めて。
厚労省は、大手メーカーの国内工場で偽装請負が蔓延(まんえん)していることから、請負・派遣企業とメーカーへの指導を強めていた。

 コラボレートは、国内最大級の人材会社「クリスタル」(京都市下京区)グループの中核会社。

 コラボレートの事業停止期間は2週間程度とみられる。
対象は、労働者派遣法に基づき届け出ている同社の全84事業所に及ぶ見通し。
停止期間中、同社はメーカーなどに新しく労働者を派遣できなくなる。
ただ、すでに派遣されている従業員は引き続き働くことができる。

 行政処分を出すのは大阪労働局。同時に事業改善命令も出し、すべての事業所での自主点検と再発防止の徹底を求める。

 関係者によると、コラボレートは、トヨタ自動車系の部品会社「光洋シーリングテクノ」(徳島県藍住町)での偽装請負が発覚し、今年2月に徳島労働局から文書指導を受けるなど、各地の労働局から職業安定法違反や労働者派遣法違反があったとして行政指導を受けていた。
新たに関西の素材メーカー子会社でも偽装請負が発覚したが、コラボレートは、事前に労働局から報告を求められた際、事実と異なる内容の書類を提出していた。
こうした違反の積み重ねが事業停止処分に結びついたとみられる。

 また、コラボレートの前身の一つである「タイアップ」が、昨年6月に東京労働局から事業改善命令を受けながら、十分な法令順守体制を整えなかったことも厳しい処分に影響した模様だ。

 コラボレートは多数の大手メーカーと取引があり、工場内での製造業務を請け負うほか、一部で労働者派遣事業を手がけている。同社の会社案内のビデオによると、04年度の売上高は1560億円。
「アウトソーシングでは国内ナンバー1」と自社を紹介している。同社の従業員は今年8月現在3万4290人。
グループ全体だと年商は国内だけで5000億円、従業員は11万人を超える。
国外では、米国や英国で人材事業を展開している。

 コラボレート側は取材に対し、処分について「正式に発令されたわけではないのでコメントは控える」とした。
******** 引用おわり ********

この件に関する 徳島地域支部 のニュース。