大淀の
浦立つなみの歸らずは
変らぬ松の
色を見ましや
徽子女王
斎宮女御集
大淀の浦たつ浪のかへらずは変らぬ松の色をみましや
参考
新古今和歌集巻第十七 雜歌中
むすめの齋宮に具して下り侍りて大
淀の浦に禊し侍るとて
女御徽子女王
大淀の浦に立つ波かへらずは松のかはらぬ色を見ましや
よみ:おおよどのうらにたつなみかえらずはまつのかわらぬいろをみましや 定隆 隠
意味:大淀の浦に立つ波が返らないなら逢えない樣に、再び伊勢に帰ってこなければ、昔見た景色も変わらず、常緑の松の色が変わらないのが分からなかっただろう。それにしても懐かしい。
備考:かつて斎宮であった徽子女王は、娘の規子内親王の斎宮の伊勢下向に同行。本歌は、在原業平の「大淀の松はつらくもあらなくにうらみてのみもかへる波かな」。帰ると返るの掛詞で、返るは波の縁語。斎院女御集とはかなり違っているが経緯は不明。
斎王尾野湊御禊場趾
大淀の松(歌碑のある場所の業平松)
大淀港