松尾芭蕉を
旅する
英語で読む名句の世界
ピーター・J・マクミラン
First winter showers!
call me by my true name-
Traveler!
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英訳すると
旅人と
我名よばれん
初しぐれ
的確な英訳と親しみやすい解説で、
旅人・芭蕉の新たな魅力を発見する
最良のガイドブック!
講談社
英訳・現代語訳・解説で、
芭蕉の魅力を味わう一冊!
【旅人と我名よばれん初しぐれ 解説より】
「(旅人と)よばれん」という表現には、旅に生きた先人と同じく、
旅人になろうとする決意が込められている。初冬の景物である
時雨とともに旅立つ以上、これから厳しくなっていく寒さに耐えながら進まなければならない。
英訳では、旅人として生きる覚悟が伝わるように、
「call me by my true name―Traveler!」とした。
意訳ではあるが、結果としてこの句の真髄に迫る訳になったと思う。
著者:ピーター・J・マクミラン
初版:2021年12月8日
発行:講談社
監修・現代語訳 金田房子
ピーター ジェイ マクミラン
翻訳家・詩人。アイルランド生まれ。アイルランド国立大学ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンを首席で卒業後、同大学院で哲学の修士号、その後、米国で英文学の博士号を取得。プリンストン、コロンビア、オクスフォードの各大学で客員研究員を勤める。渡日後は杏林大学教授、東京女子大学講師を歴任。現在は東京大学非常勤講師を勤める。2008年に英訳『百人一首』を出版し、日米で翻訳賞を受賞。2016年に英訳『伊勢物語』、2018年には英訳『百人一首(新訳)』の新訳がPenguin Booksより出版される。また、アーティストとして「西斎」名義で版画の制作活動も行っている。日本での著書に『日本の古典を英語で読む』『英語で味わう万葉集』など多数。朝日新聞で「星の林に」を連載中そのほか、2022年2月より京都新聞で「古典を楽しむ」を連載予定。また、NHK WORLD-JAPAN「Magical Japanese」に出演中。
目次
はじめにー芭蕉とともに旅に出よう
春の旅
大津絵の
むめがゝに
獺の
丈六に
種芋や
春雨や
ちゝはゝの
草の戸も
山路来て
うかれける
さま/"\の
木のもとに
何の木の
はなのかげ
日は花に
花ざかり
草臥て
木曽の情
行春や
行春を
夏の旅
暫時は
落くるや
あらたうと
目にかゝる
象潟や
どむみりと
五月雨の
日の道や
蚤虱
閑さや
涼しさを
涼しさや
ゆふばれや
水の奥
石の香や
夏草や
馬ぼく/\
嶋/"\や
夏衣
雲の峰
秋の旅
荒海や
牛部やに
道のべの
一家に
義仲の
其まゝよ
鎖あけて
猿を聞人
石山の
塚もうごけ
吹とばす
野ざらしを
鳩の声
今日よりや
露しぐれ
病鴈の
蛤の
此道や
秋深き
此秋は
冬の旅
旅人と
初しぐれ
世にもふる
しぐるゝや
寒けれど
ごを焼て
葱白く
狂句木枯の
住つかぬ
あそび来ね
芹焼や
あられせば
鷹一つ
海くれて
旅寐して
馬をさへ
磨なほす
明ぼのや
冬の日や
旅に病で
芭蕉を翻訳する難しさと楽しさ
謝辞