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草
白
沙頭雨染斑〃草水面風駈瑟〃波
元稹
西施顔色今何在應在春風百草頭
直幹
瓢箪屡空草滋顔淵之巷藜
藋深鎖雨湿原憲之樞
後江相公
草色雪晴初布濩鳥聲露暖漸綿蠻
保胤
華山有馬蹄猶露傳野無人路漸滋
早春憶微之 白居易
沙頭に雨染む斑々たる草。水面に風駈る瑟々(しつしつ)たる波。
春詞 元稹
西施顔色は、今何(いずく)にか在る。春風百草の頭(ほとり)に在るべし。
申民部大輔状 橘直幹
瓢箪、屡(しばし)ば空し。草、顔淵が巷に滋し。
藜藋(れいでい)、深く鎖せり。雨、原憲が樞(とぼそ)を湿(うるお)す。
延長六年内裏御屏風詩
春日山居 大江朝綱
草色は雪晴て初て布濩(ほごし)たり。
鳥の声は露暖にして漸く綿蠻(めんばん)たり。
遠草初含色 慶滋保胤
華山に馬有て蹄して猶露る。傳野に人無して路漸く滋し。
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かのをかに草かるをの〔こ〕しかなかりそ
ありつゝも君がきまさんみまくさにせん
おほあらきのもりのした草おいぬれば
こまもすさめずかる人もなし 重之
やかずともくさはもえなむかすが野を
たゞはるの日にまかせたらなむ 忠見
鸖
賈嶋
嫌少人而踏髙位鸖有乗軒悪利
口之覆邦家雀能穿屋
皇甫曽
同李陵之入胡但見異類似屈
拾遺集 旋頭歌 柿本人丸
かの岡に草刈る男しかな刈りそありつつも君が来まさんみま草にせん
万葉集 巻第七
此岡 莫苅小人 然苅 有乍 君来座 御馬草為
この岡の草刈る童然な刈りそね在りつつも君が来まさむ御馬草にせむ
この岡の草刈る童然な刈りそね在りつつも君が来まさむ御馬草にせむ
右廿三首、柿本朝臣人麿之歌集出
古今集 題しらず よみ人しらず(古今六帖 小野小町)
大荒木の森の下草おいぬれば駒もすさめず刈る人もなし
新古今和歌集巻第一 春歌上 壬生忠見
焼かずとも草はもえなむ春日野をただ春の日に任せたらなむ
焼かずとも草はもえなむ春日野をただ春の日に任せたらなむ
よみ:やかずともくさはもえなむかすがのをただはるのひにまかせたらなむ 有隆 隠削
意味:野焼きしなくても今草は萌えているのでは無いか。春日野をただ春の日に任せたら良い。
備考:忠見集によれば内裏屏風歌で「春日野焼く人あり。御社詣づる人ゆく」とある。
鳳凰為王賦 賈嶋
少人して髙位を踏むことを嫌ふ。鶴軒に乗る有り。
利口の邦家を覆すことを悪(にく)む。雀よく屋を穿つ。
鶴覆群雞賦 皇甫曽
李陵が胡に入同じ。ただ異類のみを見る。
屈原が楚に在るに似たり。衆人皆酔り。
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原之在楚衆人皆酔
白
聲來枕上千年鸖影落盃中五老峯
白
清唳数聲松下鸖寒光一點竹間燈
劉禹錫
雙舞庭前花落處数聲池上月明時
都良香
鸖歸舊里丁令威之詞可聴龍
迎新儀陶安公之駕在眼
飢鼯性躁忩〃乳老鸖心閑緩〃眠
題元八渓居 白居易
声、枕上に来て千年の鶴。影、盃中に落つ五老の峯。
在家出家 白居易
清唳(せいれい)数声(すせい)松下の鶴。寒光一点、竹間の燈び。
贈鶴詩 劉禹錫
雙(なら)び舞ふ庭前の花落る処。数声の池上に月の明なる時。
神仙策 都良香
鶴、旧里に帰る。丁令威が詞は聴くべし。
龍、新儀を迎ふ。陶安公が駕(のりもの)の眼(まなこ)在り。
晩春題天山台 都良香
飢鼯(きご)性、躁して忩忩として乳す。
老鶴、心閑にして緩緩として眠る。
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順
叫漢遥驚孤枕夢和風漫入五絃弾
わかのうらにしほみちくればかたをなみ
あしべをさしてたづなきわたる 赤人
おほぞらのむれたるたづのさしながら
おもふこゝろのありげなるかな 伊勢
あまつかぜふけゐのうらにゐるたづの
などかくもゐにかへらざるべき 清正
猿
謝觀
瑤䑓霜満一聲之玄鸖唳天
巴峡秋深五夜之哀猿叫月
霜天聞夜鶴 源順
漢(そら)に叫で遥に孤枕の夢に驚く。
風に和して漫(みだり)に五絃の弾に入る。
万葉集巻第六
和歌の浦に潮満ちくれば潟をなみ芦辺をさして田鶴鳴き渡る 赤人
古今和歌六帖 伊勢
大空の群れたる田鶴のさしながら思ふ心のありげなるかな
新古今和歌集第十八 雜歌下
殿上離れ侍りてよみ侍りける
藤原清正
天つ風ふけひの浦にゐる鶴のなどか雲居にかへらざるべき
よみ:あまつかぜふけいのうらにいるたづのなどかくもいにかえらざるべき 有隆雅 隠削
殿上離れ侍りてよみ侍りける
藤原清正
天つ風ふけひの浦にゐる鶴のなどか雲居にかへらざるべき
よみ:あまつかぜふけいのうらにいるたづのなどかくもいにかえらざるべき 有隆雅 隠削
意味:天からの風の吹く吹飯にいる鶴は、どうして雲の上、宮中に帰らないことがあろうか
備考:清正集によれば、「紀伊守になりてまだ殿上もせざりしに」とあるが、同じく忠見集には壬生忠見が清正に代わって詠んだとある。吹飯の浦は、大阪府岬町深日港を指すと思われるが、和歌山市の吹上の混同と言う説もある。天津風吹から吹飯を導き出している。天は天皇を、鶴は自身を比喩している。
清賦 謝觀
瑤台に霜満てり。一声の玄鸖、天に唳く。
巴峡、秋深し。五夜の哀猿、月叫ぶ。